俳優・山口智子が、ライフワークとして取り組む世界各地の音楽を収録・撮影して伝えるプロジェクト「LISTEN.」について語った。
山口が登場したのは、ゲストに様々な国での旅の思い出を聞く、J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。オンエアは12月17日(土)。
葉加瀬:色んなところに旅をされていると思うんですけど、その中でも毎年、コロナ(禍)の前に訪れていらっしゃったのがスペインですか。
山口:フラメンコ好きで、命をかけてフラメンコを学んでいる最中なので。20代の頃に日本で近所のフラメンコ教室に行っていたんですけど、数年習ってある日大嫌いになって、「もう二度とフラメンコはするか」というぐらい不良になりまして(笑)。もう10何年もずっと間が空いてたんです。でもある日、世界を旅している中で「しょうがない、寄ってみるか」と思って寄ったスペインで、少女たちとおばあちゃんたちの地元の商店街のお祭りみたいな踊りを見ちゃったときに、もうズキューンときて。なんで私はこれから遠ざかっていたんだろうと。本場って、まず音楽があってリズムがあって、それが暮らしの中にあって、生きていく毎日の元気のもとになって……大きな文化の背景の流れがあるから。そういうものとしてのフラメンコは心から愛しているし、それを学びたいって今でも思ってる。
「洋音楽的な観点からフラメンコを捉えると、クラシックの中にもそういう要素を取り入れた芸術作品・音楽作品がいっぱいある」と葉加瀬。フラメンコのカウントを実演しながら、「(こういうふうにやれば)なんとなくフラメンコになる。ところが本場の人たちはカウントしないでしょ」と山口に語りかけた。
山口:宇宙の惑星の巡りと同じように次のサイクルのリズムを刻む、みたいな考え方ですね。決してカウントしない。すごく深い哲学というか、真理のある感じ。
葉加瀬:それと日々の暮らし。「俺たちはなんでこんな苦しい人生を送ってんだ」って(曲中で)泣くわけだよ。でもその後に今日のところはそれは忘れて「はい、みんなで飲んで踊りましょう」ってやるわけじゃん。
山口:それで体を使って声を出したり踊ったり、心臓をバクバク言わせることで元気に力がわいてくるんだよね。本当に生きていくためには歌と踊り、これはなくてはならないでしょう。水や食べ物と同じようなエネルギーで。
葉加瀬:音楽というのは結局、歌と踊りと祈り、この三つの要素がいいバランスで入り込んできているものはやっぱりクオリティが高いものになるよね。
山口:その秘密をどうやったら知れるんだろうという思いで、追いかけずにはいられない。
葉加瀬:このご本、夢中になって毎日手にしています。現地にあるネイティブな音楽にフォーカスを当てて旅をすると。
山口:食べ物、作物、ものづくりがその風土の土とか水とか暮らしから芽生えて花開くのと同じように、音楽もやっぱりその土地の暮らしからエキスを吸い上げて花開くじゃないですか。それって地球の宝ですよね。この様々な彩り、ただのグレー一色じゃない素敵な地球を知らずにどうするんだという。もっともっと知りたいですよね。
葉加瀬:旅して見に行こうという、そのフットワークの軽さを知りたいんですけど、どうしてそんな大変な旅に?
山口:とにかく頭でどうのこうの考えるより体感したい、体で感じたいということをまず大事に(している)。最初に旅に出た欲望なんて、スターの追っかけと同じです。「かっこいい、追いかけずにはいられない」と思ってその(音楽の)輝きを追っていって、追いかけていったらまた次の輝きがまた待ち受けていて……その繰り返し。だから「こうしなければならない」という恐れも何もなかったですね。追いかけていく限り、嬉しさのみ。
葉加瀬:フラメンコから(世界の音楽を追いかけるようになった)次のステップの気配みたいなものは、どんな音楽だったんですか?
山口:「LISTEN.」の一番の始まりの地となったのは、ハンガリーがすごく強烈で。ハンガリーは東の文化と西の文化が出合う(場所)。西洋の豪華絢爛というイメージがあると思いきや、行ってみると東洋を感じる。彼らは東からやってきた騎馬民族だったという自分たちのルーツも誇りに思っているし、日本から来たと言うと「東の日本から来たのか、俺たちのやってきた東だな」とものすごく歓迎してくれて。彼らも歴史の中で、国として立っていくときに自分のルーツ、力を思い出すことで踏ん張って、周りからの圧力や侵略に負けずに立ってきた。その根源が「東から来た俺たちの交わる地を思い出せ」と言って立ち上がった精神で今に至っている。そういうこともある地だと知らせてくれたのは(現地の)音楽がきっかけで。
さらにハンガリーで体感した現地の音楽の印象、セルビア、ジョージアでの思い出も語った山口。12月24日(土)も引き続きゲスト出演。オンエア後、radikoで一週間楽しむことができる。
【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20221224190000
葉加瀬太郎がお届けする『ANA WORLD AIR CURRENT』は、J-WAVEで毎週土曜の19:00-19:54オンエア。
山口が登場したのは、ゲストに様々な国での旅の思い出を聞く、J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。オンエアは12月17日(土)。
フラメンコの魅力に気づいたスペインでの光景
まずは、世界各国の中でも特に多く訪れていたというスペインについてトーク。葉加瀬:色んなところに旅をされていると思うんですけど、その中でも毎年、コロナ(禍)の前に訪れていらっしゃったのがスペインですか。
山口:フラメンコ好きで、命をかけてフラメンコを学んでいる最中なので。20代の頃に日本で近所のフラメンコ教室に行っていたんですけど、数年習ってある日大嫌いになって、「もう二度とフラメンコはするか」というぐらい不良になりまして(笑)。もう10何年もずっと間が空いてたんです。でもある日、世界を旅している中で「しょうがない、寄ってみるか」と思って寄ったスペインで、少女たちとおばあちゃんたちの地元の商店街のお祭りみたいな踊りを見ちゃったときに、もうズキューンときて。なんで私はこれから遠ざかっていたんだろうと。本場って、まず音楽があってリズムがあって、それが暮らしの中にあって、生きていく毎日の元気のもとになって……大きな文化の背景の流れがあるから。そういうものとしてのフラメンコは心から愛しているし、それを学びたいって今でも思ってる。
「洋音楽的な観点からフラメンコを捉えると、クラシックの中にもそういう要素を取り入れた芸術作品・音楽作品がいっぱいある」と葉加瀬。フラメンコのカウントを実演しながら、「(こういうふうにやれば)なんとなくフラメンコになる。ところが本場の人たちはカウントしないでしょ」と山口に語りかけた。
山口:宇宙の惑星の巡りと同じように次のサイクルのリズムを刻む、みたいな考え方ですね。決してカウントしない。すごく深い哲学というか、真理のある感じ。
葉加瀬:それと日々の暮らし。「俺たちはなんでこんな苦しい人生を送ってんだ」って(曲中で)泣くわけだよ。でもその後に今日のところはそれは忘れて「はい、みんなで飲んで踊りましょう」ってやるわけじゃん。
山口:それで体を使って声を出したり踊ったり、心臓をバクバク言わせることで元気に力がわいてくるんだよね。本当に生きていくためには歌と踊り、これはなくてはならないでしょう。水や食べ物と同じようなエネルギーで。
葉加瀬:音楽というのは結局、歌と踊りと祈り、この三つの要素がいいバランスで入り込んできているものはやっぱりクオリティが高いものになるよね。
山口:その秘密をどうやったら知れるんだろうという思いで、追いかけずにはいられない。
ハンガリーで「ものすごく歓迎」された理由
今年「LISTEN.」を書籍化。山口は、世界中を飛び回ってきた経験がプロジェクトになったきっかけと、原点になった体験についても語った。葉加瀬:このご本、夢中になって毎日手にしています。現地にあるネイティブな音楽にフォーカスを当てて旅をすると。
山口:食べ物、作物、ものづくりがその風土の土とか水とか暮らしから芽生えて花開くのと同じように、音楽もやっぱりその土地の暮らしからエキスを吸い上げて花開くじゃないですか。それって地球の宝ですよね。この様々な彩り、ただのグレー一色じゃない素敵な地球を知らずにどうするんだという。もっともっと知りたいですよね。
葉加瀬:旅して見に行こうという、そのフットワークの軽さを知りたいんですけど、どうしてそんな大変な旅に?
山口:とにかく頭でどうのこうの考えるより体感したい、体で感じたいということをまず大事に(している)。最初に旅に出た欲望なんて、スターの追っかけと同じです。「かっこいい、追いかけずにはいられない」と思ってその(音楽の)輝きを追っていって、追いかけていったらまた次の輝きがまた待ち受けていて……その繰り返し。だから「こうしなければならない」という恐れも何もなかったですね。追いかけていく限り、嬉しさのみ。
葉加瀬:フラメンコから(世界の音楽を追いかけるようになった)次のステップの気配みたいなものは、どんな音楽だったんですか?
山口:「LISTEN.」の一番の始まりの地となったのは、ハンガリーがすごく強烈で。ハンガリーは東の文化と西の文化が出合う(場所)。西洋の豪華絢爛というイメージがあると思いきや、行ってみると東洋を感じる。彼らは東からやってきた騎馬民族だったという自分たちのルーツも誇りに思っているし、日本から来たと言うと「東の日本から来たのか、俺たちのやってきた東だな」とものすごく歓迎してくれて。彼らも歴史の中で、国として立っていくときに自分のルーツ、力を思い出すことで踏ん張って、周りからの圧力や侵略に負けずに立ってきた。その根源が「東から来た俺たちの交わる地を思い出せ」と言って立ち上がった精神で今に至っている。そういうこともある地だと知らせてくれたのは(現地の)音楽がきっかけで。
さらにハンガリーで体感した現地の音楽の印象、セルビア、ジョージアでの思い出も語った山口。12月24日(土)も引き続きゲスト出演。オンエア後、radikoで一週間楽しむことができる。
【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20221224190000
葉加瀬太郎がお届けする『ANA WORLD AIR CURRENT』は、J-WAVEで毎週土曜の19:00-19:54オンエア。
radikoで聴く
2022年12月24日28時59分まで
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番組情報
- ANA WORLD AIR CURRENT
-
毎週土曜19:00-20:00