『そこのみて光り輝く』『オーバーフェンス』などで知られる作家・佐藤泰志による短編小説を映画化した『夜、鳥たちが啼く』(12月9日公開)の完成披露上映舞台挨拶が17日都内で行われ、主演の山田裕貴、共演の松本まりか、そして城定秀夫監督が参加した。
若くして小説家としてデビューするも、その後鳴かず飛ばずの鬱屈した日々を送る主人公・慎一役の山田。満席の客席を眺めながら「これまでの自分の作品の中でも一番感想が気になる作品。みなさんの感想はエゴサするので、自分の言葉で感想をいただけたら嬉しいです」と反響を期待した。
慎一は人との距離の取り方がうまくない人物だが「彼の行動すべてが愛を求める叫びのように聞こえました。人に干渉されたくはないけれど人と関わり合いたいという葛藤を持っている人で、その表現の仕方が下手。演じる上では共感をしつつも、こうはならないようにと、自分の心の中に眠る汚い感情を出しながら」と演じる上での心構えを語った。
慎一の家で半同居をする、行き場のないシングルマザー・裕子役の松本。「15歳でデビューをして22年くらいになりますが、今回のような作品に憧れていたので、お声がけいただけるようになったんだと感慨深いです」と感慨無量。5度目の共演となる山田については「人間力が凄い。まさに生命体。この生命体から何が出てくるのか?その面白さにワクワクしました」と独特な言い回しで絶賛していた。
演じた裕子は、心の傷に蓋をして葛藤しながら生きる役どころ。「掴みどころのない人で凄く歯がゆかった。自分が何を求めているのかそれに蓋をして、でもその感じが当時の自分の心境と重なったので、そのもどかしさを利用しました。まるで右手と右足が同時に動いてしまうような違和感を持って演じました」と心の中にある感情をぶつけながら成り切ったと明かした。
劇中では別居生活という特殊な半同居関係が描かれる。この半同居というシチュエーションについて山田は「慎一という役をやってから半同居する気持ちがわかると思った」と共感しつつも「僕はその方向に向かってしまうのか…と思ってしまうけれど」と苦笑い。
一方の松本は「この作品をやるまでは理解したくなくて、曖昧な関係性は耐えられないし、したくないと思いました。二人の間に愛があるのはわかるけれど、自分がこれをできるのかと言われたら不安。演じる上ではその感情に自分を持って行くのはきつかったです。でもいざ演じてみると『あー、そういうことか……』と。枠に捕らわれていたり、形がないと不安だと言うのは自分が子どもだからだと気付きました」と作品を通して学びを得たようだった。
(取材:石井隼人)
慎一は人との距離の取り方がうまくない人物だが「彼の行動すべてが愛を求める叫びのように聞こえました。人に干渉されたくはないけれど人と関わり合いたいという葛藤を持っている人で、その表現の仕方が下手。演じる上では共感をしつつも、こうはならないようにと、自分の心の中に眠る汚い感情を出しながら」と演じる上での心構えを語った。
演じた裕子は、心の傷に蓋をして葛藤しながら生きる役どころ。「掴みどころのない人で凄く歯がゆかった。自分が何を求めているのかそれに蓋をして、でもその感じが当時の自分の心境と重なったので、そのもどかしさを利用しました。まるで右手と右足が同時に動いてしまうような違和感を持って演じました」と心の中にある感情をぶつけながら成り切ったと明かした。
(取材:石井隼人)