異色の男女デュオ・東京○X問題はどう生まれた? NFT活用の独特なアイデアも聞く

J-WAVEが展開する音楽プロジェクト「J-WAVE MUSIC ACCELERATOR PROGRAM」通称「MAP」。同プロジェクトでは、次世代を担う新人アーティストを、豪華クリエイター・プロデューサー陣が発掘しメンターとなって半年間育成した後、制作した楽曲をNFTとして発売。さらに10月22日、23日に開催される音楽とテクノロジーの祭典「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA」(通称イノフェス)で、6か月の成果としてライブパフォーマンスを披露する。

今回、メンターの一人である音楽コンシェルジュ・ふくりゅうが聞き手を務める、審査を勝ち抜いた8組のアーティストへのインタビュー連載として、エレクトロポップデュオ・東京○X問題へのインタビューを紹介。同デュオは、俳優やモデルとしても活動するボーカルの小日向ひなたと、クラシックのピアニストとして「ピティナピアノコンペティション特級」でグランプリを受賞しているカタヤマシュウからなる2人組。2021年9月29日に1stシングル『シブヤ・プラネット』をリリースし本格的に活動を開始している。

バックグラウンドがまるで違う二人は、どのようにして出会い、ユニット結成に至ったのか。そして、NFTと音楽の融合についてどんな可能性を見出しているのか――。異色の男女デュオの素顔と本音をふくりゅうが紐解く。

出会いのきっかけは、共通の知り合いの紹介

ふくりゅう:まずはバンド結成のきっかけから教えてください。

小日向:私もともと、「ドアノブ ロック」というバンドをやっていて。それこそ、「キラキラポップ:ジャパン」(※ふくりゅうが作成しているSpotify公式プレイリスト)にドアノブ時代の楽曲を入れていただいたこともあって、ふくりゅうさんのことは以前から存じ上げていました。

ふくりゅう:そっか、ひなたさんはドアノブの方だったんですね!

小日向:そうなんです。ドアノブ ロックのボーカルを担当していました。ふくりゅうさん、どんな顔なのかなと思って今日初めて見たら、メガネだけ当たってました(笑)。

ふくりゅう:(笑)。

小日向:たぶん30歳ぐらいの、ひょろりとしたメガネをかけた白いシャツとか着てる方だと勝手に思っていました。はじめまして(笑)。

ふくりゅう:よろしくお願いします(笑)。

小日向:あ、そうそう、結成の経緯でしたね。ドアノブ ロックとして活動していた頃、ライブハウスでアルバイトをしていたんです。そのときに同じバイトとして勤務していた男の子が「面白いやつがいるから、一緒に何かやったら楽しいんじゃない?」ということで、お見合いみたいな場をセッティングしてくれました。そして、来たのがこの人でした。

カタヤマ:そのバイトの男の子は、僕が北海道で通っていた高校の同級生だったんです。

ふくりゅう:そういったご縁だったんですね。カタヤマさんはポップアーティストとして活動することは以前から考えていたんですか?

カタヤマ:そうですね。クラシックのピアノを始める前から、ポップスの曲が好きで影響を受けていたので、「機会があれば」と思っていました。

サウンドで大事にしていることは?

ふくりゅう:小日向さんは、カタヤマさんのどんなところに才能を感じたのですか?

小日向:ユニット結成前に、(カタヤマが)オーケストラと一緒にピアノを弾いている映像を観たのですが、そのときの顔がイっちゃってて(笑)。「こいつはきっとヤバいやつだ……」と思いつつも、実際に会ってみたら物腰が柔らかいですし、それに、私がアコギで弾き語りをした音源をカッコよく編曲して返してくれたりしたから、「こいつは良い奴だ」と見直しました。そんなわけで、今一緒にいます(笑)。

ふくりゅう:ちなみに、バンド名はどのようにして決まったのでしょうか?

小日向:実はお見合いをセッティングしてくれた男の子がもともとメンバーだったんですよ。でも、めちゃくちゃ私とバトって仲悪くなって辞めちゃったんですけど(笑)。当時、その子と二人で「バンド名を決めよう」となり、彼が北海道出身で東京に憧れがあったからなのか、「“東京”を付けたい」と言い出したんです。東京を冠するグループって、何か背負うものが大きいイメージがあるじゃないですか。だから私は「それはどうかな……」と思ったんですけど、彼は「絶対に付けたい」と譲らなかったので、仕方なく折れました。私はポップな記号を入れたいと思っていたから「◯X問題」と思い付き、東京にくっつけて今のバンド名になったという感じです。

ふくりゅう:東京◯X問題ならではのサウンド感・楽曲センスがあると思うんですけど、独自のアイデンティティを表現する上で大切にしていることは何ですか?

小日向:私は「嘘をつかないこと」を大事にしています。歌詞はもちろん、メロディも、自分の中にあるものでしか曲を作れないと思っているので。

カタヤマ:僕もそうですね。いい意味でトレンドを意識しないというか。じゃないと、うちらもたないよね。

小日向:うん。

NFTは「中田敦彦のYouTube大学」で勉強

ふくりゅう:では、アーティストとしての課題は何かあります?

小日向:リアルな私たちの課題で言うと、もっとたくさんの人に聴いてもらわなければいけないと思います。今は、いわゆる“大人の力”を借りなくても、SNSなどを活用して自分たちで作ったものを自分たちで発信できる時代じゃないですか。実は私たち、そういうの苦手なんですよね。

カタヤマ:でもひなたちゃん、「MAP」のプロジェクトが始まってからはTwitter頑張ってるよね。今まであまりしてこなかった日常系のつぶやきをしているなと、僕は陰ながら思ってるよ(笑)。

小日向:ありがとう(笑)。もちろん、一番大事なのはカッコいい曲を作ることだけど、たぶんそれだけじゃいけなくて、音楽以外の発信の仕方をもうちょっと考えてやっていかないと、埋もれてこのまま死んじゃうよね。

ふくりゅう:「MAP」プロジェクトでは、NFTの活用が一つの重要なテーマとなっています。東京◯X問題のお二人はNFTを活用してどんなことをやってみたいとお考えですか?

小日向:最初全くわけがわからず、NFTって聞いたこともなかったので、とりあえず「中田敦彦のYouTube大学」を見て何となくの概要を押さえました(笑)。そこから思い付いたことが一つあって。

ボタンを押したら音が出る子ども向けの絵本ってあるじゃないですか。私あれがすごい好きで、ドアノブ ロック時代から、いつかCDじゃなくてこの絵本の技術を応用したアイテムを作りたいと考えていたんです。子ども向けの絵本の場合、鳴る音はチープですが、仮にこの音の出る絵本をNFTでデータ化できたなら、音もクリアに聴けそうですし、面白いんじゃないかなと思っています。

カタヤマ:僕が考えていたのは、物語仕立てのNFTを第1話、第2話、第3話と3回に分けて販売し、最後に、「イノフェス」のステージで結末がわかるみたいな展開です。複数の楽曲を繋ぎ一つのストーリーにしていくのもアリなのではないかなと思っていました。

小日向:でもそれ、ものすごいちゃんと話作らなきゃダメじゃん。伏線を張りまくって張りまくって、最後に大どんでん返しみたいな話じゃないと。プレッシャーだわ~(笑)。

カタヤマ:まぁまぁ、あくまでもアイデアの一つだから(笑)。

■MAP公式サイト

https://www.j-wave.co.jp/map/

(構成=小島浩平)

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