現役藝大生・藤本陸斗、NFTなど「テクノロジー×音楽の」融合に期待。表現の幅を広げる機会に

次世代を担う新人アーティストを、豪華クリエイター・プロデューサー陣が発掘し、メンターとなって育成するJ-WAVEの音楽プロジェクト「J-WAVE MUSIC ACCELERATOR PROGRAM」通称「MAP」。メンターの一人である音楽コンシェルジュ・ふくりゅうが聞き手を務める、審査を勝ち抜いた8組のアーティストへのインタビュー連載をお届けする。

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今回は、藤本陸斗へのインタビューを紹介。2000年生まれで、3歳よりピアノを、11歳よりクラリネットを始めた藤本。現在は東京藝術大学作曲科に在籍し、自身のInstagramからインストルメンタルを中心とした独創的な楽曲をいくつか発表している。

彼の音楽活動のルーツとなったミュージシャンは誰なのか、また、創作活動のインスピレーションはどんなところから湧いてきて、そして、「MAP」ではどんなことに挑戦したいと考えているのか。現役東京藝大生アーティストの本音を、ふくりゅうが紐解く。

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根底にあるのは、好きな音や世界観への探求心

ふくりゅう:まずは、創作活動を始めるきっかけから教えてください。

藤本:実家に母のアップライトピアノが置かれていて、また、きょうだいがピアノの習い事をしていたこともあり、僕も当たり前のようにピアノを始めました。作曲に目覚めたのは、小学校高学年ぐらいの頃。いつも通りピアノを弾いていたのですが、「面白くないな」と思い、楽譜にない音を出してみたい衝動に駆られたんですよね。そこから自分で曲を作るようになりました。

ふくりゅう:創作活動のインスピレーションはどんなことから受けていますか?

藤本:僕はもともと性格的に人見知りで、内気なところがあって。なので、人に言葉でうまく説明できないものが音楽になっている気がします。インスピレーションは様々なところから受けていますが、ピアノとずっと向かい合っている中で、新しい音楽のきっかけが生まれることが多いですね。

ふくりゅう:では、独自の音楽性・アイデンティティを表現するにあたって大切にされていることは何でしょうか?

藤本:奇をてらって人と違うことをしたいという気持ちは全くありません。単純に、自分が好きな音や世界観をどんどん追求していきたいと思っています。それに、自分の音楽性やアイデンティティは確立できていませんし、今はまだ確立しようとも思っていないんです。

ふくりゅう:ちなみに、どんなアーテイストや音楽がお好きですか?

藤本:僕はどちらかと言うと、洋楽がポップスを聴くきっかけで、邦楽はここ2~3年で聴き始めたんです。中でも印象に残っている洋楽が、レディー・ガガの『バッド・ロマンス』。当時の流行歌としてカーステレオから流れてきて、ちょっと怖い雰囲気の曲調だったんですけど、そのインパクトにやられました。

アートを鑑賞するように、ファッションを楽しむ

ふくりゅう:音楽以外のカルチャーだと何に興味を持たれていますか?

藤本:ファッションに興味があります。洋服が大好きだった祖母の影響で、自分で着ることはもちろん、見ることも、アート作品を鑑賞するような感覚で楽しんでいます。特定の曲において何かインスピレーションの源になったことはありませんが、いつも刺激を受けていますね。特に好きなのが、デザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンです。今の時代のストリートカルチャーとは遠い感じがするんですけど、ストイック過ぎる感じというのかな。そういった部分にいつも惹かれているんですよね。

ふくりゅう:おばあ様は何か表現をされていた方だったのでしょうか?

藤本:いや、何かの芸術家というわけではなかったのですが、とにかく服が大好きで、いつも着飾っていた人だったんですよ。オシャレをしているというよりは、それが彼女のライフスタイルといった感じで。ずっと「カッコいいな」と思っていて、僕のファッション好きは、明らかに祖母がきっかけだったと思います。

今はインスト中心も、今後は“歌”にも意欲

ふくりゅう:「MAP」プロジェクトでは、NFTの活用が一つ大きなキーワードとなっています。こういった2022年のテクノロジーを活用した音楽シーンについてどんな印象を持っていますか?

藤本:僕はかなり期待しています。当然、NFTだけを使ってアーティストがずっと活動していけるかと言われれば、疑問符を付けざるを得ません。ただ、アーティストにとって活動の幅を広げていけるいい機会であることは間違いない。そんなわけで、NFTなどの最新テクノロジーと音楽が融合することはすごくいいことだと感じているんです。

ふくりゅう:藤本さんのInstagramにアップされた作品を聴かせていただいたのですが、想像力を掻き立ててくれるインスト曲やアンビエント調のサウンドが多いように感じました。個人的には、ドラマティックな音像で耳に残る“異次元への音の旅”とでも言うべき、30分~1時間の長尺な作品を今後期待したいのですが、いかがでしょうか?

藤本:僕がまだトライできていないジャンルではあるのですが、すごく興味はあります。いつかやってみたいと漠然と思っていたので、もしかすると「MAP」がそういったことにチャレンジするいい機会なのかもしれませんね。

ふくりゅう:インスタではほかにも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのカバーを歌ったりしていましたよね。非常に聴き心地が良くて、ボーカルさえも楽器感があるというか。そのあたりも、藤本さんらしさが表現されていて、面白いなと感心しました。

藤本:ありがとうございます。僕にとって歌は専門分野ではありませんが、すごく特別なものだと考えていて。歌って極端な話、ピアノなどの楽器よりも、何十倍もその人の良さや個性が表現されるものだと思うんですよね。僕自身、歌に対しての憧れがあって、だからインスタでは勝手に歌ってみたわけで(笑)。でも今後、うまい具合に自分の声を活かせるような音楽も作れたらいいなと思います。

(構成=小島浩平)

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