俳優の成田 凌が、小説家の燃え殻とともに、ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』や、17歳の頃の自分を語り合った。
成田が登場したのは5月31日(火)に放送されたJ-WAVEの番組『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)だ。成田は前週のオンエアでもゲスト登場していた。
【前週の記事】成田 凌「弱さを見せることで繋がれる」 ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』撮影で感じたこと
監督を務めたのは、映画『東京喰種 トーキョーグール』『サヨナラまでの30分』などで知られる萩原健太郎。燃え殻は成田に、撮影にあたってどんな話をしたのかを訊いた。
成田:(演じる役柄である)荻野という人間はこういう人間です。こういう家庭環境で育って、こういった人生を歩んできましたっていうプロットをいただいて。あとは現場でって感じでしたね。でも現場でもいろんな話をしながらですけど。自分は「ああしたい、こうしたい」って言うほうなので(笑)。
燃え殻:そうなんですか。それで萩原さんも……。
成田:「じゃあ、これでやってみましょう」って。
燃え殻:また穏やかな人ですからね。
成田:すごく優しくて。でも、ちゃんと意志があるうえで優しい方で。それは完成品を観たらわかることだったんですけど。完成を観たとき「こんなにトガってたんだ」って思って。
燃え殻:完璧主義者と言っても過言ではない。稚拙な言葉で言うとルックがいいっていうのがまずあって。画がいいし、編集もいいんだけど、でもちゃんとおもしろいっていう。萩原さんからすれば「だからおもしろいんだよ」って言われちゃいそうですけど。それがすごくいいなと思って。
成田:全ての面において、しっかりした作品になっていましたね。
燃え殻は「僕は台詞を書いているときに、どうしても自分の思いみたいなものを強めに、短くコピーのように書いてしまうところが何点かあって心配していた」と明かす。不安に思う部分もあったが、役者の力で自然に見えると荻原監督に言われたそうだ。
燃え殻:荻原さんが「言う人が言うと変に映らない。その人の人生を背負った一言になるから大丈夫」って言っていて、ドラマを観て、たしかに全然変じゃないって。
成田:書いていて気になる台詞ってあったんですか?
燃え殻:「平凡だけど退屈じゃない」とか「平凡は怖いぞ。俺たちはずっと逃げてきたから」とか。そういうような決め台詞みたいなものが章ごとにあって。その章のある種テーマみたいなものだったんですけど、僕は脚本、原作を書き慣れてなかったので、もう少し日常の言葉のなかでやっていったほうがいいのかなって思ったんですけど、本当に役者さんの発するタイミングとか口調とか、どこを見てどういう動きでそれを言うのかで全然変じゃなくて。
成田:やっぱり考えますからね、難しい台詞って。でも日常会話では出てこない言葉だから“立つ”ってことは必ずあると思うんですよね。
燃え殻:ああ。それは小説と実写にするときにいちばん難しいことのひとつかもしれないんですよね。だから僕は変えてもらってもいいですよ、みたいな話はしたと思うんですけど、ただそれが「こうやって全く違和感なくなじむのか」って今回本当に勉強になりました。
燃え殻:17歳ってあえて中途半端な年齢にしたかったんですよ。27歳っていうのもある種で中途半端で。人によっては大人って言われるし、社会人だとまだ新米って呼ばれる可能性もある。
成田:そうですね。
燃え殻:法事とかに行くと「おまえはもう大人なんだから」って言われたりして、すごく難しい歳だなと思って僕は設定したんですけど。17歳の頃の成田さんってどうだったんですか?
成田:高校2年生ですよね。本当に何も考えていなかったですね。
燃え殻:へえ。
成田:部活やって、死ぬほど走らされて「キツいな。明日も部活だな。学校だな」って。でも学校生活はむちゃくちゃ楽しい。とりあえず大きい声を出してりゃいいと思ってたので。
燃え殻:それから先に何かやりたいってのは?
成田:何にも考えてなかったですね。将来に対する漠然とした期待や不安は持ってるけど、どうなるんだろうなって。
燃え殻:とりあえず走ろうって感じですか。
成田:こんなキツい思いをしてたら将来何があっても大丈夫だろう、みたいなくらいでした。
現在28歳の成田は、27歳について「チャレンジしつつ、停滞しているときだったのかな」と振り返り始める。
成田:停滞はしてないか……。
燃え殻:17歳の「何してるんだろう」ってときから10年後の、あらゆるドラマとか映画、舞台をやっている自分になっていて、ふとあのとき走っていた自分が「おまえ何してんの?」って思う瞬間ってないですか。それは「スゲえな」って意味も込めて。
成田:(きっと17歳の自分は)「何してんの?」って(笑)。ただ、17歳、18歳くらいの自分が憧れる自分や、作品選びはしたいとは毎回思っています。ずっと。
燃え殻:あの頃の自分が観たら「いいな」って。
成田:高校生っていろんなことをバカにするくらいの頃だと思うんです。「とりあえず、わかんないけど嫌い」みたいな。だけど当時から「カッコいいな」みたいな人はいるはずなんですよね。
燃え殻:僕らもいましたね。
成田:17歳の頃の自分になめられたくないみたいな気持ちはありますけどね。
燃え殻:だからとにかく同級生が読んでない雑誌を読んでみたりとか。大人のね。
成田: それはわかる気がします。自分の個性って何だろうって思いながら、みんながしない制服の着方をしたりとか。
燃え殻:そういうのありますよね。
成田:俺、黄色いローファーに赤いダッフルコート着てましたもん(笑)。
燃え殻:でもちょっと似合いそうだよね。
成田:キモかったですよ。右側の髪だけめちゃくちゃロン毛にしてパーマにしたりとか(笑)。
燃え殻:それはキモいね(笑)。
成田:(笑)。これは俺しか似合わない、みたいな。
燃え殻:それって誰かがやってたことじゃなくて?
成田:目立てばいいと思ってました。それはそれでよかったですけどね。
燃え殻:ある種、俺はどうなんだろうってことに不安があふれてたかもしれない。
成田:不安でしたね。サッカーも上手にならないし、不安で大きい声出して。だからといって意志があるわけでもなくて。
成田は部活の顧問から「おまえたちは将来どうなるんだ?」と訊かれたエピソードを明かす。
成田:そのときに隣にいた友だちが「俺たち専門学校に行きます」って俺の手を勝手に上げたんですよ。
燃え殻:あはは(笑)。
成田:「そうなんだ」ってなって18歳で美容学校に入学するわけですよ。美容が大好きだったし、ファッションも好きだったから、服か美容かどっちかかなって。それくらいはあったんですけど、そこに対しての意志はなく。「仕事にするってどうなんだろう」と思いながら美容学校に行き、その途中でスカウトされて。でもそこでも意志は固まってなくて、入りたい美容室もないし……ってなってたら徐々に「俺、そういえば子どもの頃から表に出たかったな」みたいな。
燃え殻:人から手を挙げられたのに、「俺はこういうの好きだからちょっといいかもしれない」って思い、それをやる。そしてスカウトされて「でも緊張するしな」って思ったりプレッシャーも絶対にあると思うけど「俺、やりたかったしな」ってやるほうを選んでいるなかで、たぶんやる気とか。運命みたいなことって過去形で言うみたいな。「俺はこの人に会う運命だった」「やるべきことだった」みたいな過去形で語るべきことなのかなって。
成田:なるほどな。それこそ、18歳くらいのときに専門学校で出会った友人が「僕、運命ってあると思うんだよね。だから別に何でもやっていいと思う」ってポソっと言ったときに、自分の中のたがが外れた瞬間みたいなときがあって。それなら好きに生きてみようかなと思った瞬間でしたね。でもその友だちは覚えてないと思うんですけど。
燃え殻:覚えてないくらいの言葉とかに、ふっと背中を押されることってありますよね。
成田:本当にあるなって思いますね。
燃え殻がお届けする『BEFORE DAWN』は、毎週火曜26時から。
成田が登場したのは5月31日(火)に放送されたJ-WAVEの番組『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)だ。成田は前週のオンエアでもゲスト登場していた。
【前週の記事】成田 凌「弱さを見せることで繋がれる」 ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』撮影で感じたこと
“難しい台詞”が実写になったとき
燃え殻の書き下ろしによるHuluオリジナルドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』。成田が主演を務めている。<あらすじ>
あの時、17歳だった僕らは27歳の大人を冷めた目で見ていた。17歳は、どんな夢も叶うと信じていた無敵で最強の時期だったけれど、時間は誰にでも平等に流れている。僕らはあの時の大人と同じ27歳になった。役者になる夢を諦めきれずにもがく荻野智史(成田 凌)、アイドルになりかった前田ゆか(伊藤沙莉)、小説家志望の片桐晃(藤原季節)、売れないバンド人生に区切りをつけラーメン屋を継ぐ中澤悠斗(上杉柊平)、人気アイドルのモノマネに活路を見出した島田まさみ(前田敦子)、そして17歳だった彼らに27歳という年齢を刻んだ元英語教師の望月かおり(田中麗奈)。27歳だった先生と27歳になった生徒たちの運命が10年の歳月を経て再び交わろうとしていた。
(「あなたに聴かせたい歌があるんだ」公式サイトより)
監督を務めたのは、映画『東京喰種 トーキョーグール』『サヨナラまでの30分』などで知られる萩原健太郎。燃え殻は成田に、撮影にあたってどんな話をしたのかを訊いた。
成田:(演じる役柄である)荻野という人間はこういう人間です。こういう家庭環境で育って、こういった人生を歩んできましたっていうプロットをいただいて。あとは現場でって感じでしたね。でも現場でもいろんな話をしながらですけど。自分は「ああしたい、こうしたい」って言うほうなので(笑)。
燃え殻:そうなんですか。それで萩原さんも……。
成田:「じゃあ、これでやってみましょう」って。
燃え殻:また穏やかな人ですからね。
成田:すごく優しくて。でも、ちゃんと意志があるうえで優しい方で。それは完成品を観たらわかることだったんですけど。完成を観たとき「こんなにトガってたんだ」って思って。
燃え殻:完璧主義者と言っても過言ではない。稚拙な言葉で言うとルックがいいっていうのがまずあって。画がいいし、編集もいいんだけど、でもちゃんとおもしろいっていう。萩原さんからすれば「だからおもしろいんだよ」って言われちゃいそうですけど。それがすごくいいなと思って。
成田:全ての面において、しっかりした作品になっていましたね。
燃え殻は「僕は台詞を書いているときに、どうしても自分の思いみたいなものを強めに、短くコピーのように書いてしまうところが何点かあって心配していた」と明かす。不安に思う部分もあったが、役者の力で自然に見えると荻原監督に言われたそうだ。
燃え殻:荻原さんが「言う人が言うと変に映らない。その人の人生を背負った一言になるから大丈夫」って言っていて、ドラマを観て、たしかに全然変じゃないって。
成田:書いていて気になる台詞ってあったんですか?
燃え殻:「平凡だけど退屈じゃない」とか「平凡は怖いぞ。俺たちはずっと逃げてきたから」とか。そういうような決め台詞みたいなものが章ごとにあって。その章のある種テーマみたいなものだったんですけど、僕は脚本、原作を書き慣れてなかったので、もう少し日常の言葉のなかでやっていったほうがいいのかなって思ったんですけど、本当に役者さんの発するタイミングとか口調とか、どこを見てどういう動きでそれを言うのかで全然変じゃなくて。
成田:やっぱり考えますからね、難しい台詞って。でも日常会話では出てこない言葉だから“立つ”ってことは必ずあると思うんですよね。
燃え殻:ああ。それは小説と実写にするときにいちばん難しいことのひとつかもしれないんですよね。だから僕は変えてもらってもいいですよ、みたいな話はしたと思うんですけど、ただそれが「こうやって全く違和感なくなじむのか」って今回本当に勉強になりました。
17歳の頃の自分になめられたくない
ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』は17歳と27歳という軸でストーリーが展開する。燃え殻:17歳ってあえて中途半端な年齢にしたかったんですよ。27歳っていうのもある種で中途半端で。人によっては大人って言われるし、社会人だとまだ新米って呼ばれる可能性もある。
成田:そうですね。
燃え殻:法事とかに行くと「おまえはもう大人なんだから」って言われたりして、すごく難しい歳だなと思って僕は設定したんですけど。17歳の頃の成田さんってどうだったんですか?
成田:高校2年生ですよね。本当に何も考えていなかったですね。
燃え殻:へえ。
成田:部活やって、死ぬほど走らされて「キツいな。明日も部活だな。学校だな」って。でも学校生活はむちゃくちゃ楽しい。とりあえず大きい声を出してりゃいいと思ってたので。
成田:何にも考えてなかったですね。将来に対する漠然とした期待や不安は持ってるけど、どうなるんだろうなって。
燃え殻:とりあえず走ろうって感じですか。
成田:こんなキツい思いをしてたら将来何があっても大丈夫だろう、みたいなくらいでした。
現在28歳の成田は、27歳について「チャレンジしつつ、停滞しているときだったのかな」と振り返り始める。
成田:停滞はしてないか……。
燃え殻:17歳の「何してるんだろう」ってときから10年後の、あらゆるドラマとか映画、舞台をやっている自分になっていて、ふとあのとき走っていた自分が「おまえ何してんの?」って思う瞬間ってないですか。それは「スゲえな」って意味も込めて。
成田:(きっと17歳の自分は)「何してんの?」って(笑)。ただ、17歳、18歳くらいの自分が憧れる自分や、作品選びはしたいとは毎回思っています。ずっと。
燃え殻:あの頃の自分が観たら「いいな」って。
成田:高校生っていろんなことをバカにするくらいの頃だと思うんです。「とりあえず、わかんないけど嫌い」みたいな。だけど当時から「カッコいいな」みたいな人はいるはずなんですよね。
燃え殻:僕らもいましたね。
成田:17歳の頃の自分になめられたくないみたいな気持ちはありますけどね。
好きに生きてみようと思った友人の言葉
成田の話を受け、燃え殻も自分の17歳を振り返り「自分に個性がないって自分ではわかったけど、それバレたくなった」と語る。燃え殻:だからとにかく同級生が読んでない雑誌を読んでみたりとか。大人のね。
成田: それはわかる気がします。自分の個性って何だろうって思いながら、みんながしない制服の着方をしたりとか。
燃え殻:そういうのありますよね。
成田:俺、黄色いローファーに赤いダッフルコート着てましたもん(笑)。
燃え殻:でもちょっと似合いそうだよね。
成田:キモかったですよ。右側の髪だけめちゃくちゃロン毛にしてパーマにしたりとか(笑)。
燃え殻:それはキモいね(笑)。
成田:(笑)。これは俺しか似合わない、みたいな。
燃え殻:それって誰かがやってたことじゃなくて?
成田:目立てばいいと思ってました。それはそれでよかったですけどね。
燃え殻:ある種、俺はどうなんだろうってことに不安があふれてたかもしれない。
成田:不安でしたね。サッカーも上手にならないし、不安で大きい声出して。だからといって意志があるわけでもなくて。
成田は部活の顧問から「おまえたちは将来どうなるんだ?」と訊かれたエピソードを明かす。
成田:そのときに隣にいた友だちが「俺たち専門学校に行きます」って俺の手を勝手に上げたんですよ。
燃え殻:あはは(笑)。
成田:「そうなんだ」ってなって18歳で美容学校に入学するわけですよ。美容が大好きだったし、ファッションも好きだったから、服か美容かどっちかかなって。それくらいはあったんですけど、そこに対しての意志はなく。「仕事にするってどうなんだろう」と思いながら美容学校に行き、その途中でスカウトされて。でもそこでも意志は固まってなくて、入りたい美容室もないし……ってなってたら徐々に「俺、そういえば子どもの頃から表に出たかったな」みたいな。
燃え殻:人から手を挙げられたのに、「俺はこういうの好きだからちょっといいかもしれない」って思い、それをやる。そしてスカウトされて「でも緊張するしな」って思ったりプレッシャーも絶対にあると思うけど「俺、やりたかったしな」ってやるほうを選んでいるなかで、たぶんやる気とか。運命みたいなことって過去形で言うみたいな。「俺はこの人に会う運命だった」「やるべきことだった」みたいな過去形で語るべきことなのかなって。
成田:なるほどな。それこそ、18歳くらいのときに専門学校で出会った友人が「僕、運命ってあると思うんだよね。だから別に何でもやっていいと思う」ってポソっと言ったときに、自分の中のたがが外れた瞬間みたいなときがあって。それなら好きに生きてみようかなと思った瞬間でしたね。でもその友だちは覚えてないと思うんですけど。
燃え殻:覚えてないくらいの言葉とかに、ふっと背中を押されることってありますよね。
成田:本当にあるなって思いますね。
燃え殻がお届けする『BEFORE DAWN』は、毎週火曜26時から。
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2022年6月7日28時59分まで
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