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一流建築家が「旅をしてでも見たい建築」とは? ル・コルビュジエの魅力に迫る

<(C)国立西洋美術館>

一流建築家が「旅をしてでも見たい建築」とは? ル・コルビュジエの魅力に迫る

2020年10月より施設整備のために休館していた国立西洋美術館が22年4月、リニューアルオープンした。ル・コルビュジエが設計した前庭を開館当時の姿にできる限り近づけるなどしているという。

『J-WAVE SPECIAL LANDSCAPE WONDER〜ARCHITECT JOURNEY〜』は、女優の玄理さんと、様々な施設の建築に関わっている“施設参謀”川原秀仁さんがナビゲート。最年少でプリツカー賞を受賞した、日本を代表する建築家の西沢立衛さんをゲストに迎え、ル・コルビュジエ作品を中心に、国内外の「旅をしてでも見たい建築」を語り合った。オンエアは4月29日(金・祝)。
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トークは、YouTubeでも公開中だ。

PART 1
https://youtu.be/LzMVJWQWptM

PART 2
https://youtu.be/51qiVHlIIcU

PART 3
https://youtu.be/jgi6k3csqwo

PART 4
https://youtu.be/YAjymjsJUgk

現代建築の聖地、直島

最初に語られたのは、川原さんおすすめの「旅をしてでも見たい建築」。1つ目は愛知県犬山市の博物館明治村だ。20世紀建築界の巨匠として名高いフランク・ロイド・ライトによって設計された、旧帝国ホテルの中央玄関部が移築されている。
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<画像提供/博物館 明治村>

川原:外観も内観も家具に至るまで、デザインのディテールを現物で味わうことができる、数少ない場所なんです。

東京都千代田区に帝国ホテルが開業したのは1923年。奇しくも、関東大震災当日だった。

川原:帝国ホテルの震害は軽微なもので済んだ。そのニュースを聞きつけたフランク・ロイド・ライトさんはもう本国に帰ってたんですけど、大宣伝したそうですよ。

ちなみに、フランク・ロイド・ライドの設計した帝国ホテルは1967年に閉鎖。翌年に中央玄関部のみが博物館明治村に移築され、1976年に外観が、また1985年に内装が施工し公開されている。

川原さんおすすめの2つ目は、瀬戸内海の直島だ。
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<提供:ベネッセホールディングス>

玄理:直島は瀬戸内国際芸術祭の開催地で、アートの聖地ですよね。私も高校生の頃、友だちと卒業旅行で行きました。草間彌生さんの《南瓜》とベネッセの施設はありましたが、今ほど充実はしてなかった時期でした。今は何を見ればいいでしょうか?

川原:アートもすごいですけど、負けず劣らず現代建築の聖地でもあるんですね。アートと建築が一体的になって楽しめる、唯一の場所と言ってもいい。今年春にオープンした「ヴァレーギャラリー」を含めて、安藤忠雄さんの建築だけで、9つもあります。妹島和世さんと西沢立衛さんのユニットSANAA(サナア)の建築が2つ。そして写真家で建築デザインを手がける杉本博司さんのギャラリーも、今年春にオープンしました。
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<安藤忠雄 ヴァレーギャラリー 撮影:矢野勝偉>

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<杉本博司ギャラリー 時の回廊 ラウンジ風景、2022年 撮影:森山雅智>

川原さんによれば、直島はコロナ禍前までは年間300万人の来島者がいて、そのうち6割は外国人旅行客だったという。インバウンド需要が落ち着いている今こそ、ゆっくり建築を楽しめる時期かもしれない。

リニューアルした国立西洋美術館

続いては、上野にある国立西洋美術館を設計したル・コルビュジエの話題に。
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国立西洋美術館が開館したのは1959年のこと。美術館の前庭は以降さまざまな改変が行われていたが、2016年にユネスコの世界文化遺産に登録された際に「当初の設計意図が一部失われている」という指摘を受け、今回のリニューアルで前庭を開館当時の姿にできるだけ戻したという。

川原:まずリニューアルしたのは前庭。植栽を最小限にして、石畳の目地のパターンを当初の通りに戻して、さらに開放的によく見通せるような柵に変更されました。開館時の姿に、限りなく近づけています。ロダンの彫刻の位置も、当初の通りに再配置。もちろん同時に空調設備、前庭の近くにある企画展示館防水のリニューアルも行われています。

彼の作品の魅力を、川原さんはこう語る。

川原:まず、プロポーションの美しさだと思うんですね。どこを切り取ってもかっこいい。洗練されているので、今の時代でも古さは全然感じさせないんじゃないかなと思うんですよ。この美術館は、彼が提唱した近代建築の五原則──ピロティ、屋上庭園、自由な平面、自由な立面、水平連続窓が当初は網羅されていました。でも屋上庭園は建物を傷めるので、途中でなくしたんです。
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玄理:屋上に緑を配置することで、何か良くないことが?

川原:根がコンクリートの中に入っていって、そこから水が侵食して、建物の劣化を招くんです。作品に悪い影響を与えていくような形になるので、取りやめになったそうです。

玄理:仰っていた、近代建築の五原則とは?

川原:当時の建築物は大地にどっしり構えて、門がしっかりして、いろいろな装飾があるようなものが普通だったんです。ル・コルビュジエは、そこに軽やかで、全く違うモチーフを用いて、シンプルに作った。1階を浮かす構造のピロティを取り入れて、屋上庭園で潤いを与えた。それまでの形式ばった平面のプランも立面のプランも自由に開放して、今までできなかった横長の窓を採用したんです。
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玄理:分かりやすく五原則と言ってくれると、後世の人たちは非常に楽ですよね。世界三大建築家の1人として数えられるまでになった理由の一つかもしれませんね。

川原:国立西洋美術館は「無限成長美術館」なんです。中央部からスタートして、ぐるぐると展示室を回遊する構造で、増築してもずっと無限に広がっていく。アンモナイトやカタツムリ的な広がりを持つような構成をコンセプトとしてるんですね。
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玄理:実際に国立西洋美術館は、今無限に成長してるんですか。

川原:敷地の関係で無理ですが……建物は「無限成長」というスパイラルの構造がしっかり踏襲されています。

ちなみに、国立西洋美術館を作る前の1955年、ル・コルビュジエは一度だけ来日をしている。その際、いろいろな建物を見学しているが、飛行機から見た富士山の風景からインスピレーションを受けて、国立西洋美術館の明り採り(トップライト)の三角屋根のモチーフにしたのでは、とも言われている。背景を知ってから改めて建築を見てみると、また違った見え方ができるだろう。

ル・コルビュジエのDNAを引く建築家たち

続いては、ル・コルビュジエのDNAを引き継いでいる建築家たちの話に。

川原:まず直接薫陶を受けた愛弟子は前川國男さんの他に、坂倉準三さん、吉阪隆正さんがいらっしゃいます。この3人が国立西洋美術館の実施設計者です。基本設計がコルビュジエ、実施設計は信頼が置ける3人に任せたという感じです。

玄理:その3人はどうやって選ばれたんですか?
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川原:パリのコルビュジエの事務所で働いていた3人です。他にも、丹下健三さん、安藤忠雄さん、伊東豊雄さん、谷口吉郎さん・吉生さん親子、そして村野藤吾さんはコルビュジエの影響を受けていると思います。世界的建築家に育った人ばかりですね。

玄理:安藤忠雄さんは飼っている犬に「ル・コルビュジエ」と名づけるくらいだそうですね(笑)。

川原:安藤さんは、コルビュジエのDNAをいっぱい継承した人ですよね。コルビュジエを見るためにシベリア鉄道でヨーロッパに旅に向かわれたこともあるそうです。

コルビュジエのDNAを感じる建築は日本にもある。川原さんが最初に挙げたのは、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮の境内にある鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム。コルビュジエの愛弟子、板倉準三の設計だ。
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<鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム>

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<鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム>

川原:実はこの美術館は、国立西洋美術館の8年前にできているんですね。コルビュジエから学んだ「無限成長美術館」を一足先に実現してるんですよ。コルビュジエのDNAと和のデザインが見事に融合しているミュージアムだと思います。

続いては、東京・六本木にある国際文化会館だ。坂倉準三、前川國男、吉村順三の共同設計で、1955年に作られた。
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<国際文化会館>

川原:当時は式典などが行われる場所でした。今は結婚式場やカフェがあります。実はコルビュジエさんも来日の際にここを見学しているんですよ。近代建築の原則の一つである屋上庭園のスケッチを残していったと言われてます。

玄理:コルビュジエの雰囲気というよりは、だいぶ和の要素を強く感じます。

川原:そうかもしれないですね。華美に流れないような端正な表情が特徴。名建築なのに全然威張っていないんです。

そのほか、コルビュジエのDNAが感じられる建築として、川原さんが挙げたのは、山梨県北杜市の清春芸術村にある光の美術館。安藤忠雄が設計した、自然採光だけで鑑賞できる小さな美術館だ。そのほかの安藤の建築、例えば表参道ヒルズもコルビュジエのDNAが感じられる、と川原さんはいう。

川原:表参道ヒルズも吹き抜けが自然採光ですね。中でスロープがスパイラルにぐるぐる回っている、「無限成長美術館」そのものですよね。屋上庭園もありますし。

玄理:五原則を全部詰め込んだ、コルビュジエ愛の塊の建物ですね。

西沢立衛の「最高傑作」

建築家の西沢立衛さんをゲストにお迎え。西沢さんは、妹島和世さんとのユニット「SANAA」で、2010年に建築界のノーベル賞とも称されるプリツカー賞を受賞。西沢さんの受賞は日本人の中でも最年少受賞だった。国内外で今最も大活躍している建築家の一人だ。
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川原:SANAAとしては、ルーヴル美術館ランス別館、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のロレックス・ラーニング・センター、ニューヨークのニュー・ミュージアム。そして西沢さん個人としては、軽井沢の千住博美術館など、とにかく建築雑誌に登場しないときはないほど、旬の建築家です。
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玄理:「旅をしてでも見たい」ような、西沢さんが手がけた建築のおすすめは?

川原:私の超おすすめは2つ。一つはSANAAとしての作品で、金沢21世紀美術館。西沢さん単独の作品では、直島の隣の豊島にある豊島美術館です。特に豊島美術館は、よくあんな造形を実際の建築で実現できるもんだなと。
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玄理:豊島美術館はザハ・ハディドのような曲線が使われているんですけど、どうやって作られたんですか。
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西沢:土で山を作って、型枠にして、コンクリートを打ちました。ベニヤ型枠でやると、ジョイントが出ちゃうじゃないですか。普通ドームは足場を組むんですけど、(豊島美術館は)低いドームなので、土を盛って、型枠として作るのが早いんです。

玄理:土を盛って、その上に資材をかぶせて、曲線を出しているということですね。今、人が入ってる空間は土だったということですか。こういう曲線を作るとなると、(建築費が)高くなるというのは有名な話だと思うんですけど、これはよく使われる手法なんですか?

川原:全然! なかなかないアイディアですね。

玄理:豊島美術館のほか、金沢21世紀美術館もおすすめと。

川原:金沢21世紀美術館は、本当に最高傑作じゃないかな。
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ル・コルビュジエの晩年の作品は「大地に還る」

ここで改めて、西沢さんはル・コルビュジエの魅力を語る。

西沢:彼の建築の魅力はいろいろありますけどね。建築の中心に人間を置いたという意味で、彼のようにやれた人は他になかった。彼の前にも後にもいなかったと言えるんじゃないかなと思います。

玄理:何か建物を建てるとき、人が使うことが前提であると思うんですけど、それでも人を中心に置いた建築家はあまりなかったということですか?

西沢:彼はバロック建築を批判しているんですけど、それは中に人間が入ることを考慮しておらず、テーブルの上で考えたアイディアが建築になっているから。バロック建築にもいくつか貴族の邸宅があって、中に人間が入っているんですけど、それがテーマになっているとは言いがたい建築です。

玄理:確かに貴族のお家は、彼らの住みやすさというよりは、彼らの権力を見せびらかすために、作っている側面が大きそうです。西沢さんの心に残っているコルビュジエ作品は?

西沢:大体いいんですよ。やっぱり天才以上だなと思うのは、見ていてここは嫌だなというところが、ほとんどないこと。例えば、チャンディガールのキャピトル・コンプレックスなんかは、人類が滅びた後も残る遺産だなと思います。

【キャピトル・コンプレックスはこちら(外部リンク)】
http://www.fondationlecorbusier.fr/corbuweb/morpheus.aspx?sysId=13&IrisObjectId=9192&sysLanguage=en-en&itemPos=1&itemSort=en-en_sort_string1%20&itemCount=9&sysParentName=Home&sysParentId=64

玄理:どういうところなんですか?

西沢:チャンディガールは、インド北部のパンジャブ州にある都市で、コルビュジエが設計した3つか4つの建物がものすごく離れた中で、キャピトル・コンプレックスというエリアを形成している。すごく大きいんですけど、人間的。建築って大きいから、原寸大だと考えられないわけですよ。100分の1とか1000分の1とか小さくする。抽象化と言うんですけど、コルビュジエはその力が特にすごくて、考えられないものを考える。キャピトルはそれが最大限に出た。それに、ショーダン邸なんかも素晴らしい。個人の住宅ですけど、楽園のような緑豊かな場所です。

西沢さんが紹介したように、コルビュジエはインドに作品を多く残している。

西沢:やっぱり晩年に花開いた一つが、大地に還るというところ。コルビュジエの初期の建築は空中に浮いているわけですよね。それがどんどん地面に還っていって、大地の建築になっていくんです。インドに行くと、みんな大地の上で生活している。神様がいて、緑があって大自然があるという混沌とした世界は、コルビュジエにぴったりだったのでしょう。

川原:インドで仕事をされてから、作風が相当変わるんですよね。

西沢:コルビュジエの初期の建築は、真っ白に塗られてガラスが入っているんですけど、徐々に塗装が取れて、化粧型枠だったのが普通型枠になって、窓ガラスが外れて、建築がどんどん廃墟のようになる。あんなに理知的な人間だったのに、どんどん原始化していく。そのパワーがすごいですよね。
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玄理:晩年の作品と有名になったときの初期の作品、個人的にはどちらがお好きですか?

西沢:心情的には晩年の彼の達成は素晴らしいと思うけど、初期も単なるピューリズムではなく、古典主義との連続の上にあって……。どちらも素晴らしいですよね。

大自然から一歩も引かない勇気

西沢さんが建築家になろうと目覚めたきっかけとなった建築の一つは、ドイツの建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエだという。

西沢:大学1年のときに教科書で、たぶんトゥーゲントハット邸だったかなと思うんですけど。ミースは、独創的なんですよね。大学に入って、モダニズム建築を勉強しなきゃと思って、写真を見る。そうするとコルビュジエの作品はみんな白くて四角くて、失礼ながらそのときは違いが分からなかったんですよ(笑)。だけど、ミースだけはもう全然違う。

川原:今でも世の中の都市空間は、ミースのデザインだらけですからね。

玄理:そんなに独創的なんですか。

西沢:とにかく柱がまず銀色で光ってますから。石とガラスを使って、エロチックというか、重厚で、濃密な建築です。コルビュジエと並んで、近代建築の三大巨匠として有名な人です。

続いて、西沢さんが「旅をしてでも見たい」建築はどんなものなのだろうか。

西沢:ミースで1つ挙げるなら、シカゴのクラウン・ホール。あれを見たときの感動は、今も忘れないです。国内ならば、唐招提寺とか厳島神社とか東大寺南大門ですかね。

玄理:国内だと神社仏閣がお好きなんですね。

西沢:そうですね。近代建築も素晴らしいのがいっぱいあるんですが、まずは古い建築から。伊勢神宮も、建築というよりは森とセットで見にいくといいのではないかなという気がします。

玄理:そういう神社仏閣はご自身の建築にも影響を与えている部分はありますか。

西沢:あるんでしょうね。唐招提寺をたまに見に行くと、自分がやろうとしていたことが、実現されているなと思ったりします。屋根が緑に飛び出して、開放感がすごいんですけど、大自然から一歩も引かない勇気というか。ああいうのは日本独特の自然感じゃないかなと思います。入場券を買って、門から入ると、遠くに見えるんです。近づいていくと、どんどん屋根が上がっていって、室内に入っていく。ヨーロッパの建築みたいに、壁1枚で内外というのではなくて、徐々に中になっていく。「本来こういうのをやりたかったのかな」なんて思いますよね。
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<写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー>

玄理:大自然から一歩も引かない勇気。ぶつかっているわけでもなく、融合しながら。でも負けてはいない。

西沢:そうです。そこのぶつかるところに、縁側とか軒先という融和的な空間が生まれるんです。それが唐招提寺は一番感動的。他にも素晴らしい建築がいっぱいあるので、1つには特定できないんですけど、唐招提寺は、僕は好きですね。

西沢さんは建築を考えるにあたり大切にしていることとして、「場所に合っているか、場所にふさわしいかということと、あとは人間にふさわしい建築かどうか」と話す。

玄理:日本は坂もあるし山も多いし、土地によって制限がかなり生まれますよね。

西沢:そういう難しい問題とのぶつかり合いで、縁側のように豊かな空間ができるんですよね。何もないと意外にあんまり上手くいかない。そういう意味ではこの地形の豊かさや、自然の激しさは建築の命になるんじゃないのかな。

見に行くべき建築は、大阪中之島美術館、JR熊本駅、そして北海道ボールパークFビレッジ!

最後は、今注目の最新建築情報。「建築は景色に馴染んできた頃がおすすめ」と語る川原さんが最初に挙げたのは、2022年2月にオープンした大阪中之島美術館。
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川原:遠藤克彦さんが設計した美術館。個人的には、新しいコルビュジエDNAの誕生だと勝手に思い込んでいます。国立西洋美術館にイメージが重なっているんですよね。宙に浮いたプロポーションの現代的な解釈に感じられます。

玄理:似ていると言われれば似ているんですけど、もっと近未来的。宇宙船が舞い降りたみたいな感じがしますね。

川原:パッサージュと言われる遊歩空間を回遊しながら展示室にアプローチする構成がとても国立西洋美術館に近似しているなと思うんです。
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続いては、意外にもJR熊本駅。
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川原:公園のような駅がコンセプト。熊本に住んでいたので、昔の熊本駅の閑散ぶりを知っているのですが……その変貌ぶりに腰を抜かしました。安藤忠雄さんの建築で、めちゃくちゃかっこいい。

さらに、日建設計が設計した駅ビルも見どころ。商業施設「アミュプラザくまもと」とホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO」で構成されており、ビルの吹き抜けの3階から地上階へ落ちる幅10mの滝があるのだ。
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川原:そこに本物の緑の植栽が生い茂っているんです。イミテーションかなと思ったんですけど、本物でした。とにかく駅とその周辺施設含めた一体感が素晴らしい。駅の広場は、ゲストの西沢立衛さんはじめ、いろいろな建築家がデザインを施しているんですが、そこもまた一体感があって。昔に比べて、圧倒的に賑わっている場所になっている点も素晴らしいですね。

玄理:リニューアルしたことで、人が集まるようになって、利用客が増えたとなると、これから日本全国、駅をつくるときのロールモデルになりそうですね。

そして、川原さんが携わっている北海道北広島市の北海道ボールパークFビレッジについても話が広がった。

川原:来年の春にいよいよオープンですが、だいぶできてきました。“BIGBOSS”こと新庄剛志監督の日本ハムファイターズのスタジアムで、開閉屋根付きのすけすけのスタジアムです。
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玄理:格好いいですね。なんか野球場らしからぬ感じ。野球場に施設がついているというよりは、施設の一部に野球場があるぐらいのインパクトですね。温泉があって、温泉に入りながら試合を楽しめる構想までは、以前聞いていたんですけど、サウナまで作ったんですね。

川原:そうです。サウナから試合を見られる形になっているんですが、温泉から見られるようにするかは要検討中です。
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玄理:ボールパークの完成、すごく楽しみですね!

■玄理
1986年12月18日生まれ。東京都出身。日本語・英語・韓国語の トライリンガル。中学校時代にイギリス短期留学、大学在学中に韓国に演技留学。2014年の主演映画『水の声を聞く』で第29回高崎映画祭最優秀新進女優賞、2017年にソウル国際ドラマアワードにてアジアスタープライズをそれぞれ受賞した。近年の出演作は映画「スパイの妻」「偶然と想像」ドラマ「君と世界が終わる日に」など。公式サイト

■川原 秀仁
山下PMC取締役会長。農用地開発公団、JICA等を経て、山下設計に入社。1999年より山下PMC(当時の社名:山下ピー・エム・コンサルタンツ)の創業メンバーとして参画し、国内のコンストラクションマネジメント技術の礎を築く。著書に『施設参謀』(ダイヤモンド社)、『プラットフォームビジネスの最強法則』(光文社)がある。山下PMC公式サイト

■西沢立衛
一級建築士。横浜国立大学大学院Y-GSA教授。SANAA、西沢立衛建築設計事務所代表。プリツカー賞、日本建築学会賞作品賞3度、吉岡賞他多数受賞。西沢立衛建築設計事務所

<編集:ピース株式会社/構成:五月女菜穂>

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番組情報
J-WAVE SPECIAL LANDSCAPE WONDER〜ARCHITECT JOURNEY〜
2022年4月29日
18:00-19:55

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