UNISON SQUARE GARDEN、XIIXの斎藤宏介(Gt/Vo)が9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎(Vo/Gt)と音楽のルーツや楽曲制作について語り合った。
J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW”と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。
4月のマンスリープレゼンターは斎藤が務める。4月16日(土)のオンエアでは、菅原がゲストとして登場した。
斎藤:初めて音楽に触れたのは何歳ぐらいのときでしょうか?
菅原:はっきりは覚えてないんだけど、母親が車に子どもを乗せて移動するときにカセットで必ず童謡みたいなのをかけてて。そういうので聴いていた曲の中にお気に入りのやつがあって、毎回それをガチャッと入れて聴いてた記憶がある。そのへんがたぶん、自分はこの曲が好きで、これを聴きたいという最初の体験なんじゃないかなと。
斎藤:年齢で言うと?
菅原:記憶があるギリギリだから4歳とか5歳とか。幼稚園に行くのに送ってもらったときだと思うんだよね。
斎藤:それが最初で「自分が音楽好きだな」という意識があったまま育っていった感じなんですか?
菅原:そのへんはまだ気づいてなくて。小学生の3、4年生ぐらいになると上のきょうだいがいる子たちが、学校にCDを持ってきて「これがかっこいいんだ」って言い出して。それがMr.Childrenとかスピッツとか、あとは小室ファミリーの楽曲群がドーンと押し寄せてきていて。テレビをつけたら、俺は上にきょうだいはいないんだけど、テレビで見て「あっ」って完全にリンクして。うちにはずっとCDデッキがなくて。
斎藤:そうなんですね。
菅原:プレイヤーがなくて、俺のお年玉で導入したんだけど(笑)。
斎藤:まさかの(笑)。
菅原:小5か小6ぐらいのときに。それでラジオも聴けるしCDも聴けるぞ、という風にしていったから。だから自分でそうやって音楽を探索していくのが好きだったんだと思う。
菅原:Fのコードで挫折するという噂が中学生ぐらいになると、みんなのなかで流れるじゃない。だから「絶対負けねえ!」と思って(笑)。
斎藤:(笑)。
菅原:「俺だけはこれで負けない」みたいな。そのクラシックギターでB'zのリフとか弾いてたから(笑)。
斎藤:絶対選ぶギター間違ってますよね(笑)。
菅原:X JAPANとかもそれで弾いてたから。
斎藤:わあ……そのころからそういう音楽に目覚めていたんですね。
菅原:そうそう。好きなラジオ番組があって、そこで流れるのが日本のギターロックバンドとかが多くて。そこでだんだんと「こういう音楽があるんだ」というか「この音はギターで出てるのか?」とか。だけどその音は出ないんだけどね(笑)。
斎藤:ギターが違うから絶対に出ないですね(笑)。
菅原:ズクズクズクズク♪ みたいなのを頑張ってクラシックギターで練習していました。
菅原:アコースティックギターで始まる大ヒットソングですけど。あのイントロをみんな弾くでしょ?
斎藤:みんな弾きますね。
菅原:これもだから「俺は脱落しない」みたいな。みんなで聴かせ合うでしょ(笑)?
斎藤:ありましたね。
菅原:いまで言う「楽器マウント」をとり合っていたわけだよね。「俺は弾けるんだ」っていう。でもそのあと誰も弾けないんだよ(笑)。
斎藤:(笑)。
菅原:話がそれるかもしれないけど、UNISON SQUARE GARDENの楽曲のテンポを30とか40ぐらい落としたら、すごくGLAYに近いんじゃないかって。
斎藤:なるほど。
菅原:改めてGLAYの『BELOVED』だなと思って聴き返していたときに、ユニゾンと順番に弾くと、なんかすごく要素が近いと思って。だからちょっと聴き直してみてください(笑)。
斎藤:やっぱりあそこの世代の音楽で形成されているから、そこは間違いなくあるはずなんですよね。グッとくるメロディーとかコード進行みたいなのはあそこで育っちゃっているから。
菅原:自分のなかで体験したことがある感情の引き出しというか「これはあのときと同じだな」「あれに似てるな」というものに近づけていく。だからそれは自分だけど自分じゃないというか。ほとんどが曲が先だから「発注されているもの」だと思って。「菅原卓郎という人が歌うならこういう歌詞がいいんじゃないかな」と思って書いているところもある。
斎藤:そこまで考えているんですね。
菅原:しかも「9mmで菅原さんが歌うなら、こういう歌詞じゃなきゃダメなんじゃないですか?」っていう。
斎藤:すばらしいですね。
菅原:でもそれは昔、いしわたり淳治さんにプロデュースされていたときに「卓郎くんはこういうのじゃなきゃダメなんじゃないの?」っていう風に言われていたから(笑)。“内なる淳治さん”がいまでもいるんだよね。
斎藤:内なる(笑)。
菅原:影響を受けた人たちが自分のなかで。だから言葉自体をストックしていた時期もあるんだけど、最近は全然しなくて。本を読むんだけど、本はただ好きだから読んでいるだけになってきちゃっているのね。だから宏介と作詞におよぼしている効果はそんなに変わらない気がする(笑)。読んでいても読んでなくても。
斎藤:どのくらい浮かびます? メロディーは打ち込みとかですかね。
菅原:メロディーは打ち込み。
斎藤:打ち込みということは、スーパーとかで流れている「ポ、ポ、ポ」みたいな状態じゃないですか。それを聴いてどのぐらいまで、こういう世界でこういう場所で時間はここでとかというのは、どのくらい感じ取れるものなんですかね。
菅原:曲によるけど『黒い森の旅人』という曲があって、その曲は広大な森があるんだけど、そこに一人、旅人がいて……というところまでちゃんと歌詞になっているところと、エンディングまでの映像みたいなのは聴いたときに頭に浮かんで。そういうときってデモトラックをもらって聴いていると、先に涙が出てきちゃったりして。何曲かあるんだけど、そういう状態のあとで鼻をすすりながら書き始めるんだけど(笑)。そういう風に感情をこじ開けるようなことあると、歌詞はイメージも言葉もそのまま「一筆書き」みたいに書けることが多いかな。
斎藤:どうして、そんなにたくさんやるんですか(笑)?
菅原:(笑)。でもなりゆきに任せていることがすごく多くて。キツネツキは滝(善充)が9mmのライブを休んでいた時期があったんだけど、でもステージにまったく出ないと勘も鈍っちゃうし。そのときは腕の不調だったんだけど、別の楽器をやるといい作用があるという話もあって。滝はもともとドラマーだから「ドラムだけ叩いて楽しいバンドをやろう」というのがキツネツキ。で、菅原卓郎さんという歌謡シンガーみたいなソロのプロジェクトみたいなのがあるんだけど。
斎藤:メチャクチャ面白いですよね(笑)。
菅原:あれはもともとうちのレーベルにいたバンドがブッキングしていたライブが、そのバンドが出られなくなっちゃって。それで「卓郎さんやってもらえませんか?」みたいなことになったんです。「どうする? いきなりで曲とかないし」というので、そのときは滝先生といしわたり先生に発注して。「沢田研二みたいにしよう」といって、でっち上げられたのが……(笑)。
斎藤:メチャメチャハマってますよね。あとは、それとこれとはべつ。
菅原:これは村山☆潤がまず、9mmのトリビュートに当時いたFLOWER FLOWERというバンドで参加してくれていたんだけど、その前からちょこちょこFLOWER FLOWERのyuiとむらじゅんと俺っていう、フェスのステージで何曲かやる機会があって。そのあとに9mmのアコースティックにもサポートの鍵盤で参加してくれたりとかしたんだけど「なんかここもちょっと魔法かかるな」みたいな風に思っていたから、なにか一緒にやりたいなと思っていたんだけど。そんなときにまたスタッフから「BIGMAMAの東出真緒ちゃんとむらじゅんと一緒になにかやってみたら面白そうじゃない?」って。これも外からでしょ? その人選にはなにも文句はないし、そもそもやりたいと思っていたし、真緒ちゃんはキツネツキにも参加してくれてたりもするから「じゃあやってみよう」というので始めたのが、それとこれとはべつっていう。
『WOW MUSIC』はJ-WAVEで土曜24時-25時。また、『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。
・『MUSIC FUN !』のYouTubeページ
https://www.youtube.com/c/musicfun_jp
J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW”と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。
4月のマンスリープレゼンターは斎藤が務める。4月16日(土)のオンエアでは、菅原がゲストとして登場した。
音楽の原体験は幼稚園のころ
UNISON SQUARE GARDENと9mm Parabellum Bulletは2004年結成の「同い年バンド」。付き合いの長い両者だが、音楽の話を深掘りしたことはないのだそう。まずは菅原の音楽のルーツを尋ねることに。斎藤:初めて音楽に触れたのは何歳ぐらいのときでしょうか?
菅原:はっきりは覚えてないんだけど、母親が車に子どもを乗せて移動するときにカセットで必ず童謡みたいなのをかけてて。そういうので聴いていた曲の中にお気に入りのやつがあって、毎回それをガチャッと入れて聴いてた記憶がある。そのへんがたぶん、自分はこの曲が好きで、これを聴きたいという最初の体験なんじゃないかなと。
斎藤:年齢で言うと?
菅原:記憶があるギリギリだから4歳とか5歳とか。幼稚園に行くのに送ってもらったときだと思うんだよね。
斎藤:それが最初で「自分が音楽好きだな」という意識があったまま育っていった感じなんですか?
菅原:そのへんはまだ気づいてなくて。小学生の3、4年生ぐらいになると上のきょうだいがいる子たちが、学校にCDを持ってきて「これがかっこいいんだ」って言い出して。それがMr.Childrenとかスピッツとか、あとは小室ファミリーの楽曲群がドーンと押し寄せてきていて。テレビをつけたら、俺は上にきょうだいはいないんだけど、テレビで見て「あっ」って完全にリンクして。うちにはずっとCDデッキがなくて。
斎藤:そうなんですね。
菅原:プレイヤーがなくて、俺のお年玉で導入したんだけど(笑)。
斎藤:まさかの(笑)。
菅原:小5か小6ぐらいのときに。それでラジオも聴けるしCDも聴けるぞ、という風にしていったから。だから自分でそうやって音楽を探索していくのが好きだったんだと思う。
クラシックギターを手にX JAPAN
菅原が楽器を始めたのは中学のころ。母親の実家にあったというクラシックギターを手に入れて弾いていたそう。エレキギターやアコースティックギターよりも難易度が高いクラシックギターだが、だからこそやる気が芽生えたという。菅原:Fのコードで挫折するという噂が中学生ぐらいになると、みんなのなかで流れるじゃない。だから「絶対負けねえ!」と思って(笑)。
斎藤:(笑)。
菅原:「俺だけはこれで負けない」みたいな。そのクラシックギターでB'zのリフとか弾いてたから(笑)。
斎藤:絶対選ぶギター間違ってますよね(笑)。
菅原:X JAPANとかもそれで弾いてたから。
斎藤:わあ……そのころからそういう音楽に目覚めていたんですね。
菅原:そうそう。好きなラジオ番組があって、そこで流れるのが日本のギターロックバンドとかが多くて。そこでだんだんと「こういう音楽があるんだ」というか「この音はギターで出てるのか?」とか。だけどその音は出ないんだけどね(笑)。
斎藤:ギターが違うから絶対に出ないですね(笑)。
菅原:ズクズクズクズク♪ みたいなのを頑張ってクラシックギターで練習していました。
GLAY『BELOVED』に影響を受けた
「激しいサウンドでメロディーもちゃんとある」という楽曲が好きだったという菅原は、人生に大きな影響を与えた曲としてGLAYの『BELOVED』を挙げた。菅原:アコースティックギターで始まる大ヒットソングですけど。あのイントロをみんな弾くでしょ?
斎藤:みんな弾きますね。
菅原:これもだから「俺は脱落しない」みたいな。みんなで聴かせ合うでしょ(笑)?
斎藤:ありましたね。
菅原:いまで言う「楽器マウント」をとり合っていたわけだよね。「俺は弾けるんだ」っていう。でもそのあと誰も弾けないんだよ(笑)。
斎藤:(笑)。
菅原:話がそれるかもしれないけど、UNISON SQUARE GARDENの楽曲のテンポを30とか40ぐらい落としたら、すごくGLAYに近いんじゃないかって。
斎藤:なるほど。
菅原:改めてGLAYの『BELOVED』だなと思って聴き返していたときに、ユニゾンと順番に弾くと、なんかすごく要素が近いと思って。だからちょっと聴き直してみてください(笑)。
斎藤:やっぱりあそこの世代の音楽で形成されているから、そこは間違いなくあるはずなんですよね。グッとくるメロディーとかコード進行みたいなのはあそこで育っちゃっているから。
作詞のこだわりは「感情だけは本物」
菅原は作詞の際のこだわりについて、物語は大体がフィクションだが「感情だけは本物にしておこう」といったポリシーがあることを明かした。菅原:自分のなかで体験したことがある感情の引き出しというか「これはあのときと同じだな」「あれに似てるな」というものに近づけていく。だからそれは自分だけど自分じゃないというか。ほとんどが曲が先だから「発注されているもの」だと思って。「菅原卓郎という人が歌うならこういう歌詞がいいんじゃないかな」と思って書いているところもある。
斎藤:そこまで考えているんですね。
菅原:しかも「9mmで菅原さんが歌うなら、こういう歌詞じゃなきゃダメなんじゃないですか?」っていう。
斎藤:すばらしいですね。
菅原:でもそれは昔、いしわたり淳治さんにプロデュースされていたときに「卓郎くんはこういうのじゃなきゃダメなんじゃないの?」っていう風に言われていたから(笑)。“内なる淳治さん”がいまでもいるんだよね。
斎藤:内なる(笑)。
菅原:影響を受けた人たちが自分のなかで。だから言葉自体をストックしていた時期もあるんだけど、最近は全然しなくて。本を読むんだけど、本はただ好きだから読んでいるだけになってきちゃっているのね。だから宏介と作詞におよぼしている効果はそんなに変わらない気がする(笑)。読んでいても読んでなくても。
斎藤:どのくらい浮かびます? メロディーは打ち込みとかですかね。
菅原:メロディーは打ち込み。
斎藤:打ち込みということは、スーパーとかで流れている「ポ、ポ、ポ」みたいな状態じゃないですか。それを聴いてどのぐらいまで、こういう世界でこういう場所で時間はここでとかというのは、どのくらい感じ取れるものなんですかね。
菅原:曲によるけど『黒い森の旅人』という曲があって、その曲は広大な森があるんだけど、そこに一人、旅人がいて……というところまでちゃんと歌詞になっているところと、エンディングまでの映像みたいなのは聴いたときに頭に浮かんで。そういうときってデモトラックをもらって聴いていると、先に涙が出てきちゃったりして。何曲かあるんだけど、そういう状態のあとで鼻をすすりながら書き始めるんだけど(笑)。そういう風に感情をこじ開けるようなことあると、歌詞はイメージも言葉もそのまま「一筆書き」みたいに書けることが多いかな。
「なりゆき任せ」で幅広く活動
ここからは菅原個人の活動について話を聞くことに。現在、菅原は9mm Parabellum Bulletに加えて「キツネツキ」「それとこれとはべつ」などのバンドを兼任し、ソロプロジェクトもおこなっている。斎藤:どうして、そんなにたくさんやるんですか(笑)?
菅原:(笑)。でもなりゆきに任せていることがすごく多くて。キツネツキは滝(善充)が9mmのライブを休んでいた時期があったんだけど、でもステージにまったく出ないと勘も鈍っちゃうし。そのときは腕の不調だったんだけど、別の楽器をやるといい作用があるという話もあって。滝はもともとドラマーだから「ドラムだけ叩いて楽しいバンドをやろう」というのがキツネツキ。で、菅原卓郎さんという歌謡シンガーみたいなソロのプロジェクトみたいなのがあるんだけど。
斎藤:メチャクチャ面白いですよね(笑)。
菅原:あれはもともとうちのレーベルにいたバンドがブッキングしていたライブが、そのバンドが出られなくなっちゃって。それで「卓郎さんやってもらえませんか?」みたいなことになったんです。「どうする? いきなりで曲とかないし」というので、そのときは滝先生といしわたり先生に発注して。「沢田研二みたいにしよう」といって、でっち上げられたのが……(笑)。
斎藤:メチャメチャハマってますよね。あとは、それとこれとはべつ。
菅原:これは村山☆潤がまず、9mmのトリビュートに当時いたFLOWER FLOWERというバンドで参加してくれていたんだけど、その前からちょこちょこFLOWER FLOWERのyuiとむらじゅんと俺っていう、フェスのステージで何曲かやる機会があって。そのあとに9mmのアコースティックにもサポートの鍵盤で参加してくれたりとかしたんだけど「なんかここもちょっと魔法かかるな」みたいな風に思っていたから、なにか一緒にやりたいなと思っていたんだけど。そんなときにまたスタッフから「BIGMAMAの東出真緒ちゃんとむらじゅんと一緒になにかやってみたら面白そうじゃない?」って。これも外からでしょ? その人選にはなにも文句はないし、そもそもやりたいと思っていたし、真緒ちゃんはキツネツキにも参加してくれてたりもするから「じゃあやってみよう」というので始めたのが、それとこれとはべつっていう。
『WOW MUSIC』はJ-WAVEで土曜24時-25時。また、『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。
・『MUSIC FUN !』のYouTubeページ
https://www.youtube.com/c/musicfun_jp
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2022年4月23日28時59分まで
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