世界的なアーティストを輩出する「バークリー音楽大学」は、どんなところなのか? 同大学に在籍していたサックス奏者の小西 遼と音楽プロデューサーのVivaOlaが語った。
2人が登場したのは、2月14日(月)にJ-WAVEで放送された番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。
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VivaOla:そもそも作曲で4つぐらい学科があって。コンポジションというクラシックよりのやつと、ジャズコンポジションというビッグバンドの作曲と、ソングライティングという、いわゆるジョン・メイヤーとチャーリー・プースがいた学科なんですけど、一番ポップスなのかな? もう1個はCWPで……。
小西:Contemporary Writing and Productionじゃなかったっけ?
VivaOla:それです。それがCM音楽とかのほうです。
小西:製作、プロデューサー寄りの学科があって。
VivaOla:アレンジとかがヘビーな。僕がいた学科はあんまりアレンジとかやらないんです。基礎だけで、いわゆるギターとかピアノと声だけみたいな。トップラインみたいな感じで、ラッパーに近いです。
演奏学科に在籍していた小西は、ほかにも多様な学科があると解説。それだけに生徒のタイプもバラバラで、どの学科生も受講するような授業ではバークリーならではの光景を目にしたのだとか。
小西:映画音楽とか作曲系にいこうとしているやつらはちょっと真面目っぽいというか、どちらかというとナード(内向的)っぽいんだけど、演奏科でしかもバリバリ前に行きたいやつとかは本当にギャングスターみたいなやつがやってる(笑)。
あっこゴリラ:それはかなり面白いね。
小西:そのつながりで、全然違うやつらが組んでプロジェクトが動いたりとかもするし。
VivaOla:そういうの多かったですね。
小西:ね、垣根は全然なかった。
あっこゴリラ:そんな最高な学校生活うらやましい。
小西:すごくリソースがいっぱいあるところだから、すごくよかった。
VivaOla:まさにそれですね。
あっこゴリラ:大人になって私たちがやってることじゃん? いろいろな垣根を越えていろいろな人とコラボしたりとか一緒に仕事したりとかさ。それを学校のときからやれちゃうってのはいいね。
VivaOla:いろいろな人がいましたね、変人が多かった。
小西:普通に学生生活だからみんなでパーティするんですよ。それがもうメッチャカオスなんです。
VivaOla:個人的には人間関係とか、業界の縮小版じゃないけど「どうやって物事を動かしていくのか」みたいなのをすごく学びました。
小西:日本の授業ってたとえば、今日は1から5までやりました。宿題は1から3、できたら4、5もみんなやってきてね、みたいな感じじゃないですか。アメリカは「15ぐらいまでやってこい」みたいな。
あっこゴリラ:えー!
小西:1から5がわかれば、15までは応用すればできるだろうから、みたいな。たとえば本当に簡単な理論を1個教わったら、それで3曲作ってこいみたいな(笑)。
あっこゴリラ:死ぬ程曲を作らされるってことだよね。
小西:メッチャ作った。
VivaOla:僕はソングライティングだったから特に多かった。必修のハーモニーとかでもたまに軽く曲を作らないといけないんです。それでまず3曲あって、ソングライティングワンという授業で3曲あって、リリックラインティングワンという授業で3曲あって、1週間で9曲。
あっこゴリラ:1週間で9曲!? ヤバ。
VivaOla:僕のソングライティングの場合、(授業のある曜日が)月水だったんです。だから短いほうが絶対あるんです。
小西:2日で5、6曲とか書く。
VivaOla:そうそう(笑)。
あっこゴリラ:ヤバいね。
VivaOla:月曜から月曜じゃないんです。
あっこゴリラ:じゃあ大人になってからのほうが楽だね。本当に修行だね。
小西:全然楽。
あっこゴリラ:〆切に追われるのが大人の世界のほうが楽だね。
VivaOla:逆に追われたいです。
小西:(笑)。それとは別に自分のプロジェクトも動かしたいし、友だちとハングアウトしているときにできた曲を進めたりとかもしたいし、というのもメッチャあって。そうなるともう、自然に1週間だと全然足りなくて。
あっこゴリラ:死ぬ程充実しているね、しすぎてヤバいっていう(笑)。
VivaOla:彼はちょうど今年で卒業する学年の子で、TikTokがここ数年流行ってるじゃないですか。ちょうど流行りだす前に始めていた子で、LizzoとかがTikTokでデュエットしてくれたり。
あっこゴリラ:ヤバ!
番組ではThomas Ngの『her shadow』をオンエア。VivaOlaはThomasがリリースした曲を学生当時に共作したこともあったそう。小西はマンモス校だからこそさまざまなプロフェッショナルがいると解説した。
小西:どこに行っても、とりあえず自分は勝てないっていう(笑)。
あっこゴリラ:その道の一流は絶対にどこかしらにいると。
小西:絶対にいるから、俺はもう演歌ぐらいでしか勝てないな、ぐらいの。逆にいうとそういうルーツをもう1回ちゃんと自分で再発見できるし、そういう人らとからんでいるだけですごく沸き立つものがいっぱい出てくる学校だった。
あっこゴリラ:教育のあり方としてもいいよね。その競争の仕方はすごく正しい気がする。
小西:すごくいいし、それをちゃんとハンドリングするプロフェッショナルな先生たちがいるから。その先生たちがどれだけ偉いかじゃなくて、先生たちは教えるプロフェッショナルとしてしっかりそこにいる。だから「お前がどれだけすごくても、お前は課題に対してこれだけできてねえから」みたいな(笑)。俺たちをフラットに見てくれている感じもありました。
VivaOlaが2人目として紹介した注目アーティストは、同期でスペイン出身のDJ、プロデューサーのKastelo。番組ではTom Budin & Kasteloの『Slow Down』をオンエアした。
小西:彼はスペインのフェスとかにも普通に出てて。バークリーながらリモートで映像を自分でそこで作ってみたいな。グリーンバック使ったりとか、けっこう前衛的な方でした。
あっこゴリラ:とんでもない千本ノックの課題があるにもかかわらず、こうやっていっぱい活動しているって。在学生兼アーティストはすごいよね。
小西:たぶんVivaOlaくんと僕が行っていた時期が10年近く違うと思うけど、俺みたいなジャズ系であってもそういう人がすごい多かった。
あっこゴリラ:そうなんだ。
小西:ヤングライオンじゃないけど若手注目株みたいなので、地元に帰るとジャズフェスにボンボン出てまた戻ってきてとか。けっこうフェスとかで忙しくて単位がとれずにドロップアウトしていくやつも少なくなかった。まあミュージシャンとしてそれは成功じゃんね。だからけっこう多かったですね。
VivaOla:バークリーに関しては正直、オーディションも「あーヤバい、難しい、緊張する」とか思ったんですけど、入ったあとのほうが5000倍難しかったんです。「オーディションって遊びだったんだな」と思うぐらいにやることも楽しかったし難しかったし、つらかったしみたいな。だから「バークリーに落ちちゃいけない」というメンタリティよりも、1個の機会だと思って理論を勉強してみたり、楽器にもう一度向き合ってみたり(したほうがいい)。歌だったら歌でもいい。バークリーにもし入ったとしても学校とたぶん感じないと思う。学校というより職場体験みたいなのを4年間させるみたいな感じだったので。だからそういう意識で、挑んでみるといいかもしれないです。
小西:俺は「気合い」かな(笑)。どんなジャンルを学んでいても──たとえばいまクラシックの勉強をしていて、ポップスもやりたいですとなっても、いまの勉強がポップスにすごく役立つ。自分はポップスをやってきていないからって思わずに、気合いでポップスやるとか。まあ逆でもいいんですけど。自分は全然理論とか知らないけどジャズやりたいですってなるんだったら気合いでジャズやるみたいな。どこまでいってもミュージシャンって最終的には理論じゃなくて気持ちとかやる気でしか戦えないじゃないですか。あっこはわかると思うけど「明後日までにリリック3本書いて」みたいな。無茶言うなよみたいなのがあるけど、自分が「ミュージシャンとして」というところがあるんだったら、そこは気合いで行くじゃないですか。お金のこととか英語とか、海外留学するんだったらすごくいろいろ大変だと思うんです。それも結局全部自分の種、糧になるからVivaOlaくんが言っていたのと同じで、そこの時点でミュージシャンライフ始まっていると思ってメチャ本気でやったらいいんじゃないですかね。
VivaOla:確かに気合いって大事ですね。
あっこゴリラ:頑張ろう、マジで(笑)。私がスゲー気合い入っちゃった。
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月曜から木曜、22時~24時のオンエア。
2人が登場したのは、2月14日(月)にJ-WAVEで放送された番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。
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学科も生徒も多種多様
クインシー・ジョーンズ、上原ひろみなど世界的アーティストを輩出するバークリー音楽大学。VivaOlaはソングライティング科でメロディーと作詞について学んでいたそうで、同じ作曲でもいくつもの科があると解説した。VivaOla:そもそも作曲で4つぐらい学科があって。コンポジションというクラシックよりのやつと、ジャズコンポジションというビッグバンドの作曲と、ソングライティングという、いわゆるジョン・メイヤーとチャーリー・プースがいた学科なんですけど、一番ポップスなのかな? もう1個はCWPで……。
小西:Contemporary Writing and Productionじゃなかったっけ?
VivaOla:それです。それがCM音楽とかのほうです。
小西:製作、プロデューサー寄りの学科があって。
VivaOla:アレンジとかがヘビーな。僕がいた学科はあんまりアレンジとかやらないんです。基礎だけで、いわゆるギターとかピアノと声だけみたいな。トップラインみたいな感じで、ラッパーに近いです。
演奏学科に在籍していた小西は、ほかにも多様な学科があると解説。それだけに生徒のタイプもバラバラで、どの学科生も受講するような授業ではバークリーならではの光景を目にしたのだとか。
小西:映画音楽とか作曲系にいこうとしているやつらはちょっと真面目っぽいというか、どちらかというとナード(内向的)っぽいんだけど、演奏科でしかもバリバリ前に行きたいやつとかは本当にギャングスターみたいなやつがやってる(笑)。
あっこゴリラ:それはかなり面白いね。
小西:そのつながりで、全然違うやつらが組んでプロジェクトが動いたりとかもするし。
VivaOla:そういうの多かったですね。
小西:ね、垣根は全然なかった。
あっこゴリラ:そんな最高な学校生活うらやましい。
小西:すごくリソースがいっぱいあるところだから、すごくよかった。
VivaOla:まさにそれですね。
あっこゴリラ:大人になって私たちがやってることじゃん? いろいろな垣根を越えていろいろな人とコラボしたりとか一緒に仕事したりとかさ。それを学校のときからやれちゃうってのはいいね。
VivaOla:いろいろな人がいましたね、変人が多かった。
小西:普通に学生生活だからみんなでパーティするんですよ。それがもうメッチャカオスなんです。
VivaOla:個人的には人間関係とか、業界の縮小版じゃないけど「どうやって物事を動かしていくのか」みたいなのをすごく学びました。
「エゲツない」課題
小西は授業の課題について「課題の量がエゲツない」とコメント。具体的には「絶対に終わらない」量だったのだとか。小西:日本の授業ってたとえば、今日は1から5までやりました。宿題は1から3、できたら4、5もみんなやってきてね、みたいな感じじゃないですか。アメリカは「15ぐらいまでやってこい」みたいな。
あっこゴリラ:えー!
小西:1から5がわかれば、15までは応用すればできるだろうから、みたいな。たとえば本当に簡単な理論を1個教わったら、それで3曲作ってこいみたいな(笑)。
あっこゴリラ:死ぬ程曲を作らされるってことだよね。
小西:メッチャ作った。
VivaOla:僕はソングライティングだったから特に多かった。必修のハーモニーとかでもたまに軽く曲を作らないといけないんです。それでまず3曲あって、ソングライティングワンという授業で3曲あって、リリックラインティングワンという授業で3曲あって、1週間で9曲。
あっこゴリラ:1週間で9曲!? ヤバ。
VivaOla:僕のソングライティングの場合、(授業のある曜日が)月水だったんです。だから短いほうが絶対あるんです。
小西:2日で5、6曲とか書く。
VivaOla:そうそう(笑)。
あっこゴリラ:ヤバいね。
VivaOla:月曜から月曜じゃないんです。
あっこゴリラ:じゃあ大人になってからのほうが楽だね。本当に修行だね。
小西:全然楽。
あっこゴリラ:〆切に追われるのが大人の世界のほうが楽だね。
VivaOla:逆に追われたいです。
小西:(笑)。それとは別に自分のプロジェクトも動かしたいし、友だちとハングアウトしているときにできた曲を進めたりとかもしたいし、というのもメッチャあって。そうなるともう、自然に1週間だと全然足りなくて。
あっこゴリラ:死ぬ程充実しているね、しすぎてヤバいっていう(笑)。
注目のバークリー現役学生を紹介!
VivaOla未来の音楽会を担う注目のバークリー現役学生を紹介。最初に挙げたのはVivaOlaの同期でもある香港出身のThomas Ngで、長期の休日になった際には2人で作曲やセッションなどをしていたのだとか。VivaOla:彼はちょうど今年で卒業する学年の子で、TikTokがここ数年流行ってるじゃないですか。ちょうど流行りだす前に始めていた子で、LizzoとかがTikTokでデュエットしてくれたり。
あっこゴリラ:ヤバ!
番組ではThomas Ngの『her shadow』をオンエア。VivaOlaはThomasがリリースした曲を学生当時に共作したこともあったそう。小西はマンモス校だからこそさまざまなプロフェッショナルがいると解説した。
あっこゴリラ:その道の一流は絶対にどこかしらにいると。
小西:絶対にいるから、俺はもう演歌ぐらいでしか勝てないな、ぐらいの。逆にいうとそういうルーツをもう1回ちゃんと自分で再発見できるし、そういう人らとからんでいるだけですごく沸き立つものがいっぱい出てくる学校だった。
あっこゴリラ:教育のあり方としてもいいよね。その競争の仕方はすごく正しい気がする。
小西:すごくいいし、それをちゃんとハンドリングするプロフェッショナルな先生たちがいるから。その先生たちがどれだけ偉いかじゃなくて、先生たちは教えるプロフェッショナルとしてしっかりそこにいる。だから「お前がどれだけすごくても、お前は課題に対してこれだけできてねえから」みたいな(笑)。俺たちをフラットに見てくれている感じもありました。
VivaOlaが2人目として紹介した注目アーティストは、同期でスペイン出身のDJ、プロデューサーのKastelo。番組ではTom Budin & Kasteloの『Slow Down』をオンエアした。
あっこゴリラ:とんでもない千本ノックの課題があるにもかかわらず、こうやっていっぱい活動しているって。在学生兼アーティストはすごいよね。
小西:たぶんVivaOlaくんと僕が行っていた時期が10年近く違うと思うけど、俺みたいなジャズ系であってもそういう人がすごい多かった。
あっこゴリラ:そうなんだ。
小西:ヤングライオンじゃないけど若手注目株みたいなので、地元に帰るとジャズフェスにボンボン出てまた戻ってきてとか。けっこうフェスとかで忙しくて単位がとれずにドロップアウトしていくやつも少なくなかった。まあミュージシャンとしてそれは成功じゃんね。だからけっこう多かったですね。
音楽大学を目指す人へ
最後に、バークリー音楽大学や音楽大学に入りたいと考えている人たちに向けて、小西とVivaOlaはメッセージを贈った。VivaOla:バークリーに関しては正直、オーディションも「あーヤバい、難しい、緊張する」とか思ったんですけど、入ったあとのほうが5000倍難しかったんです。「オーディションって遊びだったんだな」と思うぐらいにやることも楽しかったし難しかったし、つらかったしみたいな。だから「バークリーに落ちちゃいけない」というメンタリティよりも、1個の機会だと思って理論を勉強してみたり、楽器にもう一度向き合ってみたり(したほうがいい)。歌だったら歌でもいい。バークリーにもし入ったとしても学校とたぶん感じないと思う。学校というより職場体験みたいなのを4年間させるみたいな感じだったので。だからそういう意識で、挑んでみるといいかもしれないです。
小西:俺は「気合い」かな(笑)。どんなジャンルを学んでいても──たとえばいまクラシックの勉強をしていて、ポップスもやりたいですとなっても、いまの勉強がポップスにすごく役立つ。自分はポップスをやってきていないからって思わずに、気合いでポップスやるとか。まあ逆でもいいんですけど。自分は全然理論とか知らないけどジャズやりたいですってなるんだったら気合いでジャズやるみたいな。どこまでいってもミュージシャンって最終的には理論じゃなくて気持ちとかやる気でしか戦えないじゃないですか。あっこはわかると思うけど「明後日までにリリック3本書いて」みたいな。無茶言うなよみたいなのがあるけど、自分が「ミュージシャンとして」というところがあるんだったら、そこは気合いで行くじゃないですか。お金のこととか英語とか、海外留学するんだったらすごくいろいろ大変だと思うんです。それも結局全部自分の種、糧になるからVivaOlaくんが言っていたのと同じで、そこの時点でミュージシャンライフ始まっていると思ってメチャ本気でやったらいいんじゃないですかね。
VivaOla:確かに気合いって大事ですね。
あっこゴリラ:頑張ろう、マジで(笑)。私がスゲー気合い入っちゃった。
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月曜から木曜、22時~24時のオンエア。
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2022年2月21日28時59分まで
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番組情報
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あっこゴリラ