音楽プロデューサー/ベーシストの亀田誠治と、俳優の宮崎美子がJ-WAVEで対談。宮崎が歌手デビュー40周年を記念してリリースした『スティル・メロウ〜40thアニバーサリー・アーカイブス』と、ナット・キング・コールのアルバムを聴きながら、アルバム制作への思いや若き日の恋心などについて語り合った。
二人が対談したのは、亀田がナビゲートする番組『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』(月曜~木曜 21:50-22:00)。毎週ゲストが1枚のアルバムを携えて登場し、キリンのクラフトビール「スプリングバレー 豊潤<496>」を亀田と飲みながら、音楽やライフスタイル、こだわりなどを語る。
【オンエア日:2022年1月31日から2月3日】
■radikoで聴く
2月1日(火)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220201215000
2月2日(水)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220202215000
2月3日(木)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220203215000
(※それぞれオンエア一週間後まで再生可能)
亀田:持ってきていただいたアルバムが、実は2枚あります。まず1つ目は昨年、歌手デビュー40周年を記念してリリースされた『スティル・メロウ〜40thアニバーサリー・アーカイブス』。格好いい名前がついています。
宮崎:長いですよね。今まで何枚か出していたレコードをまとめてCDにしていただきました。最初のアルバムのときのディレクターだった方が声をかけてくださって。もう引退されているんですけど、今回はプロデューサーとして作ってくださったんですよ。
亀田:アルバムを聴かせていただいて、本当に豪華な作家陣、ミュージシャン、編曲家の方々。
宮崎:そうなんですよ。私の歌唱はどうでもいいんですよ。この豪華な顔ぶれで、この時代の曲をもう一回皆さんに聴いていただきたいなという気持ちです。
亀田:早速ですけど、その中で今、宮崎美子さんが聴いてもらいたい曲は?
宮崎:『私の心はハンバーグ』というかわいいタイトルなんですけど、作詞・作曲は谷山浩子さん。
亀田:たいてい、ハンバーグやスープというと、女子の念が込められていたりしますが(笑)。
宮崎:かわいくてお洒落な曲なんですけど、ちょっと怖いんです(笑)。
亀田:このときは、女優業は始めていたんですか?
宮崎:まだ本当に駆け出しの頃です。
亀田:もしかしたら歌の世界を表現することと、宮崎さんが女優としてやっていく、その相乗効果というか、何かその芽があるような気がしました。
宮崎:セリフを読むのは自由にできるけど、歌は音が決まっていて、当てはめていかなくてはいけない。難しさと楽しさを味わわせてもらったと思います。
亀田:キャリアの初期にそういう経験ができるのは、人気があるから歌を出そうということだけではなく、これから先の40年につながっていくタネになる。セリフ一つにせよ、伝わってきましたよ。
宮崎:嬉しいです。細かくディレクションしていただいたし、本当に頑張りました。
宮崎:プロデューサーの命令で「『ビオラ』というタイトルで詞を書きなさい」と。私は普段、詞を書くなんてことは全くしない。楽器のビオラなのか、それともお花のビオラなのか。どちらも控えめだけど、そこにあることで人を慰めるような音だったり花だったりする。そういうものの詞を書きなさいという宿題が出されたんです。
亀田:どうでした?
宮崎:もう困りました。本当にどうすればいいんだろうと。
亀田:メロディはあったんですか?
宮崎:いや、あとなんです。字数や長さもバラバラのまま出して、どなたかが詞と曲を整えて作ってくださるんだろうと思ったら、ハンバート・ハンバートの佐藤(良成)さんがその詞のまま作ってくださって。嬉しいような、ちょっと困っちゃったような、申し訳ないような気分でした。
亀田:佐藤さんって、普段からご自分たちでも一筆書きの気持ちを歌うような歌を書かれていますよね。佐藤さんを推薦してくれたのは?
宮崎:プロデューサーです。
亀田:恐るべしですよ。お花のビオラと、楽器のビオラ。宮崎さんが仰ったように、寄り添うーー主役がいるんだけど、健気に、押し付けがましくなく調和していく。そんな象徴ですよね。
宮崎:それは別に自己犠牲ではなくて、そういうあり方が心地よい存在なのだろうと思って書いてみました。ちょうどいろいろ我慢しなくてはいけない状況だったので、そっと「大丈夫」と声をかけられるような歌になっていれば嬉しいかなと思います。
亀田:ハンバート・ハンバートの佐藤さんはレコーディングにも立ち会われたんですか?
宮崎:はい。スタジオで楽器の音を録るのを見ていました。格好いいじゃないですか、スタジオのみなさんって。プロっていう感じで。
亀田:宮崎さんも女優としてプロじゃないですか。
宮崎:素敵だなと思いながら見ていました。ドラマもそうですけど、いろいろな役割の人がいて、みんなが一緒にならないとできませんよね。音楽も同じで、それぞれの持ち場でベストを尽くすんですよね。
亀田:映画とか舞台とかになると、今度は音楽と役者さんとの世界が合体して、総合芸術になっていく。それが僕も大好き。時間もかかかって、手間隙もかかるし、大変と思うこともあるけれど、実りある気持ちになりますね、完成すると。
宮崎:これこそ人間がやっている仕事だという感じがしますよね。
宮崎:バラードを集めたアルバムです。どれもスタンダードな楽曲で、選ぶのが大変でしたけど、大好きなんですよね。
亀田:やっぱり彼の甘い歌声、あとはジャジーなサウンド。
宮崎:とても思い出があるんですよね。本当によく聞いていたんですけど、長いロケのときにも持っていきました。あれは私が30歳になるちょっと手前だったかな。中国の内モンゴル自治区で、モンゴル族の人たちのゲルに1週間ぐらい滞在して、同じような生活を体験する番組に参加していたんです。そこで私は一人の青年に出会ってしまったのです。
亀田:これはもしかして恋バナですか?
宮崎:なのかな? もうちょっとビールを飲まないと(笑)。彼は村で一番馬の乗り方がうまいんです。そろそろ彼が来そうだなと思うと、来るんですよ!
亀田:王子様がやってくるみたいな。
宮崎:そうなの。恋をしていると、そういうアンテナが妙に発達しますよね(笑)。最終日に、番組のスタッフが「最後だから二人きりで馬に乗ってきたら?」と言ってくれて。そうしたら、いつもは栗毛の馬に乗っていた彼が、その日は白い馬に乗ってきて!
亀田:おとぎ話というか、映画の世界でしか見られない世界じゃないですか(笑)。
宮崎:マイクの音声も切って、私は彼の馬の上に乗せてもらって。言葉が通じはしないんですけど、勝手に二人でおしゃべりしながら、馬を走らせたり歩かせたり。あのひとときは忘れられないわ。ドキドキしてました。
亀田:目が遠くを見ています。
宮崎:お別れのときに、何も差し上げるものがないから、いつも羊の肉を食べたりするときに使っていたナイフを記念に送って、握手をして、元気でねと別れたんです。あとで聞いたら、モンゴル族の皆さんの中では婚約の印にナイフを送る習慣があるらしく、ちょっとまずかったかなと(笑)。でも本当にドキドキします。
亀田:『Too Young』というタイトルがまた合いますね(笑)。
宮崎:私は28歳でしたけど、彼はまだ10代でしたからね。彼ももちろん素敵だったんですけど、彼らの暮らしぶりも素敵でした。ゴミ一つ出さない。全てが循環しているの。着ているものも飼っている羊から作っていて、最後はスネの肉しか残らないんだけど、それは飼っている犬がかじって終わるの。見事でした。人間もその一部で、循環に入っている。今まさに我々が問われているような生活がそこにありました。彼に嫁いだりしたら……。
亀田:「嫁ぐ」!
宮崎:でもあまり長生きもできないだろうし、60歳は迎えられないかも。あと30回春を迎えたら、私の命もないのかなということまで考えました。そんなことを考えさせられる大地なんですよ。
亀田:大地と出会いと。
宮崎:聴いていただいた『ビオラ』という曲を作っているときに、佐藤さんが「好きな曲はありますか?」と聞いてくださったので、「『Too Young』が好きです」と言ったら、気づいてくださるかしら? イントロのフレーズ。
亀田:なるほど!
宮崎:めちゃくちゃ嬉しかったです。
亀田:これはおいしいお酒が飲めそうだ。乾杯!
亀田:宮崎さんのこだわりはありますか?
宮崎:逆に、こだわりたくないということが、こだわりかな。とらわれたくないんです。年を経るごとに、そういうものを捨てて、ふわふわと自由に生きたいと思えるようになってきました。
亀田:賛成です。僕も自然とそういう風になってきたような気がします。本当に音1つ、曲1曲つくるにも、もちろんこだわりはあるんですけど、許せる幅や受け入れられる幅が広がってきている気がする。とはいえ、例えばターニングポイント、「よし、女優をやっていくぞ」というところなどはあったんですか。
宮崎:私はいろいろな方との出会いがそれぞれポイントになっているんですけど、黒澤 明監督との出会いは大きかったと思います。お芝居をしようとしないで、その役で自然にいなさい、と。一番難しいことを仰っているんですけどね。「お芝居しよう」という企むような心はすぐに見透かされて。できないならできないまま、その気持ちになって、そこにいてくださいと。
亀田:黒沢監督が宮崎さんに直々に仰ったことなんですか。
宮崎:はい。不安で「どうしたらいいんでしょうか」という風にお聞きしてしまったんですよね。本当はね、あるがままでいることがどんなに難しいか。あとあとになってわかってきました。でもまた逆に年を重ねて、そうなっていけたらいいんですけど。
亀田:今でも役の中に新しい自分を見つけたりされるんですか?
宮崎:本当そうなんですよ。この年齢になっても新しく出会うことがあるんですよね。同じお母さんでも同じおばあちゃんでも。本当にそれが面白い。この仕事の面白さを感じています。
亀田:なるほどね。出会いがあって、しかもそれが作品になって残るというのがいいですよね。一つ一つの経験や出会いを生かせる。それは音楽もそうなんですけど、共通してますよね。誰かの心の中に何かが残るって、一番嬉しくないですか。
宮崎:嬉しいですね。
2月7日(月)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220207215000
2月8日(火)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220208215000
2月9日(水)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220209215000
2月10日(木)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220210215000
<編集:ピース株式会社/構成:五月女菜穂>
二人が対談したのは、亀田がナビゲートする番組『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』(月曜~木曜 21:50-22:00)。毎週ゲストが1枚のアルバムを携えて登場し、キリンのクラフトビール「スプリングバレー 豊潤<496>」を亀田と飲みながら、音楽やライフスタイル、こだわりなどを語る。
【オンエア日:2022年1月31日から2月3日】
■radikoで聴く
2月1日(火)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220201215000
2月2日(水)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220202215000
2月3日(木)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220203215000
(※それぞれオンエア一週間後まで再生可能)
引退したプロデューサーも参加した記念アルバム
乾杯をしてリラックスしたあと、宮崎が歌手デビュー40周年を記念してリリースしたアルバムの話に。亀田:持ってきていただいたアルバムが、実は2枚あります。まず1つ目は昨年、歌手デビュー40周年を記念してリリースされた『スティル・メロウ〜40thアニバーサリー・アーカイブス』。格好いい名前がついています。
宮崎:長いですよね。今まで何枚か出していたレコードをまとめてCDにしていただきました。最初のアルバムのときのディレクターだった方が声をかけてくださって。もう引退されているんですけど、今回はプロデューサーとして作ってくださったんですよ。
亀田:アルバムを聴かせていただいて、本当に豪華な作家陣、ミュージシャン、編曲家の方々。
宮崎:そうなんですよ。私の歌唱はどうでもいいんですよ。この豪華な顔ぶれで、この時代の曲をもう一回皆さんに聴いていただきたいなという気持ちです。
亀田:早速ですけど、その中で今、宮崎美子さんが聴いてもらいたい曲は?
宮崎:『私の心はハンバーグ』というかわいいタイトルなんですけど、作詞・作曲は谷山浩子さん。
亀田:たいてい、ハンバーグやスープというと、女子の念が込められていたりしますが(笑)。
宮崎:かわいくてお洒落な曲なんですけど、ちょっと怖いんです(笑)。
亀田:このときは、女優業は始めていたんですか?
宮崎:まだ本当に駆け出しの頃です。
亀田:もしかしたら歌の世界を表現することと、宮崎さんが女優としてやっていく、その相乗効果というか、何かその芽があるような気がしました。
宮崎:セリフを読むのは自由にできるけど、歌は音が決まっていて、当てはめていかなくてはいけない。難しさと楽しさを味わわせてもらったと思います。
亀田:キャリアの初期にそういう経験ができるのは、人気があるから歌を出そうということだけではなく、これから先の40年につながっていくタネになる。セリフ一つにせよ、伝わってきましたよ。
宮崎:嬉しいです。細かくディレクションしていただいたし、本当に頑張りました。
テーマは「ビオラ」 寄り添うような歌詞を制作
『スティル・メロウ〜40thアニバーサリー・アーカイブス』には新録曲もあり、宮崎自身が作詞にもトライしたという。宮崎:プロデューサーの命令で「『ビオラ』というタイトルで詞を書きなさい」と。私は普段、詞を書くなんてことは全くしない。楽器のビオラなのか、それともお花のビオラなのか。どちらも控えめだけど、そこにあることで人を慰めるような音だったり花だったりする。そういうものの詞を書きなさいという宿題が出されたんです。
亀田:どうでした?
宮崎:もう困りました。本当にどうすればいいんだろうと。
亀田:メロディはあったんですか?
宮崎:いや、あとなんです。字数や長さもバラバラのまま出して、どなたかが詞と曲を整えて作ってくださるんだろうと思ったら、ハンバート・ハンバートの佐藤(良成)さんがその詞のまま作ってくださって。嬉しいような、ちょっと困っちゃったような、申し訳ないような気分でした。
亀田:佐藤さんって、普段からご自分たちでも一筆書きの気持ちを歌うような歌を書かれていますよね。佐藤さんを推薦してくれたのは?
宮崎:プロデューサーです。
亀田:恐るべしですよ。お花のビオラと、楽器のビオラ。宮崎さんが仰ったように、寄り添うーー主役がいるんだけど、健気に、押し付けがましくなく調和していく。そんな象徴ですよね。
宮崎:それは別に自己犠牲ではなくて、そういうあり方が心地よい存在なのだろうと思って書いてみました。ちょうどいろいろ我慢しなくてはいけない状況だったので、そっと「大丈夫」と声をかけられるような歌になっていれば嬉しいかなと思います。
亀田:ハンバート・ハンバートの佐藤さんはレコーディングにも立ち会われたんですか?
宮崎:はい。スタジオで楽器の音を録るのを見ていました。格好いいじゃないですか、スタジオのみなさんって。プロっていう感じで。
亀田:宮崎さんも女優としてプロじゃないですか。
宮崎:素敵だなと思いながら見ていました。ドラマもそうですけど、いろいろな役割の人がいて、みんなが一緒にならないとできませんよね。音楽も同じで、それぞれの持ち場でベストを尽くすんですよね。
亀田:映画とか舞台とかになると、今度は音楽と役者さんとの世界が合体して、総合芸術になっていく。それが僕も大好き。時間もかかかって、手間隙もかかるし、大変と思うこともあるけれど、実りある気持ちになりますね、完成すると。
宮崎:これこそ人間がやっている仕事だという感じがしますよね。
異国の地で、恋に落ちた
続いては、宮崎が好きだというナット・キング・コールのアルバム、そして宮崎の若き日の恋のお話に。宮崎:バラードを集めたアルバムです。どれもスタンダードな楽曲で、選ぶのが大変でしたけど、大好きなんですよね。
亀田:やっぱり彼の甘い歌声、あとはジャジーなサウンド。
宮崎:とても思い出があるんですよね。本当によく聞いていたんですけど、長いロケのときにも持っていきました。あれは私が30歳になるちょっと手前だったかな。中国の内モンゴル自治区で、モンゴル族の人たちのゲルに1週間ぐらい滞在して、同じような生活を体験する番組に参加していたんです。そこで私は一人の青年に出会ってしまったのです。
亀田:これはもしかして恋バナですか?
宮崎:なのかな? もうちょっとビールを飲まないと(笑)。彼は村で一番馬の乗り方がうまいんです。そろそろ彼が来そうだなと思うと、来るんですよ!
亀田:王子様がやってくるみたいな。
宮崎:そうなの。恋をしていると、そういうアンテナが妙に発達しますよね(笑)。最終日に、番組のスタッフが「最後だから二人きりで馬に乗ってきたら?」と言ってくれて。そうしたら、いつもは栗毛の馬に乗っていた彼が、その日は白い馬に乗ってきて!
亀田:おとぎ話というか、映画の世界でしか見られない世界じゃないですか(笑)。
宮崎:マイクの音声も切って、私は彼の馬の上に乗せてもらって。言葉が通じはしないんですけど、勝手に二人でおしゃべりしながら、馬を走らせたり歩かせたり。あのひとときは忘れられないわ。ドキドキしてました。
亀田:目が遠くを見ています。
宮崎:お別れのときに、何も差し上げるものがないから、いつも羊の肉を食べたりするときに使っていたナイフを記念に送って、握手をして、元気でねと別れたんです。あとで聞いたら、モンゴル族の皆さんの中では婚約の印にナイフを送る習慣があるらしく、ちょっとまずかったかなと(笑)。でも本当にドキドキします。
亀田:『Too Young』というタイトルがまた合いますね(笑)。
宮崎:私は28歳でしたけど、彼はまだ10代でしたからね。彼ももちろん素敵だったんですけど、彼らの暮らしぶりも素敵でした。ゴミ一つ出さない。全てが循環しているの。着ているものも飼っている羊から作っていて、最後はスネの肉しか残らないんだけど、それは飼っている犬がかじって終わるの。見事でした。人間もその一部で、循環に入っている。今まさに我々が問われているような生活がそこにありました。彼に嫁いだりしたら……。
亀田:「嫁ぐ」!
宮崎:でもあまり長生きもできないだろうし、60歳は迎えられないかも。あと30回春を迎えたら、私の命もないのかなということまで考えました。そんなことを考えさせられる大地なんですよ。
亀田:大地と出会いと。
宮崎:聴いていただいた『ビオラ』という曲を作っているときに、佐藤さんが「好きな曲はありますか?」と聞いてくださったので、「『Too Young』が好きです」と言ったら、気づいてくださるかしら? イントロのフレーズ。
亀田:なるほど!
宮崎:めちゃくちゃ嬉しかったです。
亀田:これはおいしいお酒が飲めそうだ。乾杯!
「お芝居」をしない─黒澤 明監督からの一言
最後は、宮崎がターニングポイントだと感じる黒澤 明との出会いについての話が語られた。亀田:宮崎さんのこだわりはありますか?
宮崎:逆に、こだわりたくないということが、こだわりかな。とらわれたくないんです。年を経るごとに、そういうものを捨てて、ふわふわと自由に生きたいと思えるようになってきました。
亀田:賛成です。僕も自然とそういう風になってきたような気がします。本当に音1つ、曲1曲つくるにも、もちろんこだわりはあるんですけど、許せる幅や受け入れられる幅が広がってきている気がする。とはいえ、例えばターニングポイント、「よし、女優をやっていくぞ」というところなどはあったんですか。
宮崎:私はいろいろな方との出会いがそれぞれポイントになっているんですけど、黒澤 明監督との出会いは大きかったと思います。お芝居をしようとしないで、その役で自然にいなさい、と。一番難しいことを仰っているんですけどね。「お芝居しよう」という企むような心はすぐに見透かされて。できないならできないまま、その気持ちになって、そこにいてくださいと。
亀田:黒沢監督が宮崎さんに直々に仰ったことなんですか。
宮崎:はい。不安で「どうしたらいいんでしょうか」という風にお聞きしてしまったんですよね。本当はね、あるがままでいることがどんなに難しいか。あとあとになってわかってきました。でもまた逆に年を重ねて、そうなっていけたらいいんですけど。
亀田:今でも役の中に新しい自分を見つけたりされるんですか?
宮崎:本当そうなんですよ。この年齢になっても新しく出会うことがあるんですよね。同じお母さんでも同じおばあちゃんでも。本当にそれが面白い。この仕事の面白さを感じています。
亀田:なるほどね。出会いがあって、しかもそれが作品になって残るというのがいいですよね。一つ一つの経験や出会いを生かせる。それは音楽もそうなんですけど、共通してますよね。誰かの心の中に何かが残るって、一番嬉しくないですか。
宮崎:嬉しいですね。
番組ゲストにYOUが出演中
J-WAVE『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』は、月曜から木曜の21:50-22:00オンエア。2月7日(月)~2月10日(木)のゲストはYOU。放送から一週間後までradikoで聴くことができる。2月7日(月)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220207215000
2月8日(火)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220208215000
2月9日(水)OA:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220209215000
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<編集:ピース株式会社/構成:五月女菜穂>
番組情報
- SPRING VALLEY MY CRAFT TIME
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月曜日から木曜日21:50-22:00