コメディもシリアスも全力だった。2月4日(金)公開の映画『ミラクルシティコザ』は、沖縄市コザで1970年代と現代がクロスオーバーするタイムスリップコメディ。第3回未完成映画予告編大賞のグランプリ受賞作を、桐谷健太主演で長編映画化した注目作だ。特にやりたいこともなく、惰性な日々を過ごすニートの翔太(津波竜斗)が、ひょんなことから1970年代にタイムスリップ! 祖父である伝説的ロックンローラーのハル(桐谷健太)の体に乗り移り、沖縄の歴史を知るとともに、明るい未来のために奮闘していく。見どころは、なんといっても桐谷の芸達者ぶり。翔太の魂が宿ったハルを、コメディ演技とシリアス演技を使い分けて見事に演じ切っている。フルパワーでの表情&ダンスで爆笑を誘う桐谷に単独インタビューを行った。
とにかく平一紘監督の情熱がすごかったことです。脚本の初稿を読ませていただき、感想をください!と監督がおっしゃったので、斬新な切り口で面白いと思ったけれど、「もう少し沖縄の人の想いなどを知りたい」と監督に伝えました。気になるところや意見を箇条書きにして渡したら、すぐに脚本を書き直して届けてくれました。そこでまた意見を伝えると、また書き直して送ってきてくれる。ここまで脚本の段階から密に打ち合わせをした経験は初めてで、チームの一員として一緒に映画を作っているという感覚を強く感じることが出来ました。
――平一紘監督の桐谷さんへの愛も相当なものだったようですね。
コロナ禍ゆえに3度ほど撮影が延期になりました。その間も平監督は僕だけのために沖縄のロケ地を紹介する動画を3本も作って送ってくれました。僕のスケジュールの関係もあって平監督は不安に感じていたところもあったみたいで。そんな中にあっても動画を通して「主役は桐谷健太しかいない!」という気持ちを届けてくれて。その情熱と愛情は俳優として本当にありがたいことです。
自分の見た目が変わっているわけですから、それが本当に鏡に映っている自分なのかを確かめるのには自分ならではの変な動きをしたり、変顔をしたりして確かめるだろうなと。演じる上では、自分ではない顔になったときに人はどのような反応を示すのかを考えました。計算ではなく、もはやインスピレーション。ただしコメディ芝居をしようとは思っているわけではなく、翔太として反応した結果、滑稽ゆえに笑えてしまう。翔太だったらどう反応するのかを考えて、それを表に出すことを意識していました。
――全力の表情には笑わせていただきました。桐谷さんは笑いのポテンシャルが高いですよね。
生まれ育った町が関西なので、その影響も大きいと思います。友だちとボケとツッコミの応酬をするのは当たり前だったし、おもろい奴がカッコいいというような価値観でした。人の笑顔が持つエネルギーを信じているのは今も変わりません。人の笑顔は最高!という考えが自分の根本としてある気がしますね。
――劇中で見せる「ご機嫌ダンス」の破壊力もすさまじいものがありました。
あくまでも翔太として振り切っているだけで、自分として振り切っているわけではないのですが、思い切りの良さは自分の長所だと思っています。脚本には「ご機嫌ダンス」としか書かれていないので、津波竜斗さん扮する翔太の「ご機嫌ダンス」を拝見して、それを練習して思い切りやる。僕がやる「ご機嫌ダンス」では、笑いだけではなく切なさも滲み出せればいいなと思っていました。過去にタイムスリップして体が入れ替わった翔太が、周囲に理解してほしくてパニックになりながらも踊る。受け取る人によってはその姿が健気にも見えるわけですから。
――劇中では歌唱シーンもあります。桐谷さんも歌手活動をされていますが、俳優業との違いはありますか?
お芝居の場合は、そこに役柄というフィルターがあるので、自分の感情と役の感情は違います。どんなに自分が気持ち良くても、役とずれていたら、もうワンテイク、となるでしょうし。でも歌の場合は自分が気持ち良ければ正解という気持ちでやっています。オーディエンスを楽しませるというハードルもありますが、まずは自分。自分の内に入っていくものがお芝居だとすれば、外に向けて突き抜けていくのが音楽。歌手として色々なステージに立たせていただきましたが、そのたびに「俺は音楽が好きだ!」と実感しています。
――普段どのような音楽を好んで聴いていますか?
ロックも聴きますが、クラシックも好きです。最近のお気に入りは、ジョン・ホプキンス。コールドプレイの世界ツアーをサポートしたことで知られるエレクトロニック・プロデューサーです。僕の同級生でもあるサウンドクリエイターのPolar Mから教えてもらいました。激しい楽曲もあれば、高次元に飛ばしてくれるような壮大な楽曲もあるので、ジョン・ホプキンスの穏やかな曲を聴きながら寝落ちするというようなことが多いです。
秘訣というか、すべて気持ちの問題だと思います。明るい方向を見ていたらポジティブになるし、暗い方向を見ていたらネガティブにもなるという単純なこと。明るい方を向いていれば相手にも明るい印象を与えることが出来ます。小さな幸せに気づけるかどうかも重要です。僕は常に面白そうなことを考え、面白そうなところに身を置きたいと思う人間なので、肩の力を抜いてフットワークを軽くすることも意識しています。
映画『ミラクルシティコザ』の詳細は、公式サイト(https://miraclecitykoza.com/)まで。
(取材・文=石井隼人、撮影=竹内洋平、ヘアメイク=石崎達也、スタイリスト=岡井雄介)
映画『ミラクルシティコザ 』予告編
「主役は桐谷健太しかいない!」監督の猛アプローチに感動
――俳優としてのフルスロットルぶりに感動しました! 何が桐谷さんを突き動かしたのでしょうか?とにかく平一紘監督の情熱がすごかったことです。脚本の初稿を読ませていただき、感想をください!と監督がおっしゃったので、斬新な切り口で面白いと思ったけれど、「もう少し沖縄の人の想いなどを知りたい」と監督に伝えました。気になるところや意見を箇条書きにして渡したら、すぐに脚本を書き直して届けてくれました。そこでまた意見を伝えると、また書き直して送ってきてくれる。ここまで脚本の段階から密に打ち合わせをした経験は初めてで、チームの一員として一緒に映画を作っているという感覚を強く感じることが出来ました。
――平一紘監督の桐谷さんへの愛も相当なものだったようですね。
コロナ禍ゆえに3度ほど撮影が延期になりました。その間も平監督は僕だけのために沖縄のロケ地を紹介する動画を3本も作って送ってくれました。僕のスケジュールの関係もあって平監督は不安に感じていたところもあったみたいで。そんな中にあっても動画を通して「主役は桐谷健太しかいない!」という気持ちを届けてくれて。その情熱と愛情は俳優として本当にありがたいことです。
全力表情、突然のダンス…でも「笑える」だけじゃない芝居
――翔太の魂が入ったハルが鏡で自分の顔を確認して驚く場面は、喜劇と悲劇の両極端を表現できる桐谷さんならではの名シーンだと思いました。自分の見た目が変わっているわけですから、それが本当に鏡に映っている自分なのかを確かめるのには自分ならではの変な動きをしたり、変顔をしたりして確かめるだろうなと。演じる上では、自分ではない顔になったときに人はどのような反応を示すのかを考えました。計算ではなく、もはやインスピレーション。ただしコメディ芝居をしようとは思っているわけではなく、翔太として反応した結果、滑稽ゆえに笑えてしまう。翔太だったらどう反応するのかを考えて、それを表に出すことを意識していました。
映画『ミラクルシティコザ』©2021 Office Crescendo
――全力の表情には笑わせていただきました。桐谷さんは笑いのポテンシャルが高いですよね。
生まれ育った町が関西なので、その影響も大きいと思います。友だちとボケとツッコミの応酬をするのは当たり前だったし、おもろい奴がカッコいいというような価値観でした。人の笑顔が持つエネルギーを信じているのは今も変わりません。人の笑顔は最高!という考えが自分の根本としてある気がしますね。
――劇中で見せる「ご機嫌ダンス」の破壊力もすさまじいものがありました。
あくまでも翔太として振り切っているだけで、自分として振り切っているわけではないのですが、思い切りの良さは自分の長所だと思っています。脚本には「ご機嫌ダンス」としか書かれていないので、津波竜斗さん扮する翔太の「ご機嫌ダンス」を拝見して、それを練習して思い切りやる。僕がやる「ご機嫌ダンス」では、笑いだけではなく切なさも滲み出せればいいなと思っていました。過去にタイムスリップして体が入れ替わった翔太が、周囲に理解してほしくてパニックになりながらも踊る。受け取る人によってはその姿が健気にも見えるわけですから。
音楽を聴きながら寝落ちすることも…最近のお気に入りは?
映画『ミラクルシティコザ』©2021 Office Crescendo
お芝居の場合は、そこに役柄というフィルターがあるので、自分の感情と役の感情は違います。どんなに自分が気持ち良くても、役とずれていたら、もうワンテイク、となるでしょうし。でも歌の場合は自分が気持ち良ければ正解という気持ちでやっています。オーディエンスを楽しませるというハードルもありますが、まずは自分。自分の内に入っていくものがお芝居だとすれば、外に向けて突き抜けていくのが音楽。歌手として色々なステージに立たせていただきましたが、そのたびに「俺は音楽が好きだ!」と実感しています。
――普段どのような音楽を好んで聴いていますか?
ロックも聴きますが、クラシックも好きです。最近のお気に入りは、ジョン・ホプキンス。コールドプレイの世界ツアーをサポートしたことで知られるエレクトロニック・プロデューサーです。僕の同級生でもあるサウンドクリエイターのPolar Mから教えてもらいました。激しい楽曲もあれば、高次元に飛ばしてくれるような壮大な楽曲もあるので、ジョン・ホプキンスの穏やかな曲を聴きながら寝落ちするというようなことが多いです。
エネルギーの秘訣は「面白そうなところに身を置く」
――桐谷さんはエネルギッシュで若々しさを保たれている感じがします。秘訣はありますか?秘訣というか、すべて気持ちの問題だと思います。明るい方向を見ていたらポジティブになるし、暗い方向を見ていたらネガティブにもなるという単純なこと。明るい方を向いていれば相手にも明るい印象を与えることが出来ます。小さな幸せに気づけるかどうかも重要です。僕は常に面白そうなことを考え、面白そうなところに身を置きたいと思う人間なので、肩の力を抜いてフットワークを軽くすることも意識しています。
映画『ミラクルシティコザ』の詳細は、公式サイト(https://miraclecitykoza.com/)まで。
(取材・文=石井隼人、撮影=竹内洋平、ヘアメイク=石崎達也、スタイリスト=岡井雄介)