「高品質で低価格な3Dプリント義肢装具」を開発するインスタリム株式会社。創業者で代表の徳島 泰さんが事業を始めたきっかけを、事業開発部の小林律子さんが語った。
小林さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)のワンコーナー「DREAM PITCH」。オンエアは1月14日(金)。
小林:一人ひとりに医学的に最適な形状をカスタムする必要がある義足などの義肢装具は、これまで職人技とアナログな製造プロセスにより作られてきており、多額の設備コストが必要でした。たとえば品質的に問題がない、硬いひざ下の義足は50万円から100万円と非常に高価です。そのため義肢装具を必要としながらも購入できない方々が世界に9000万人も存在する大きな社会的課題となっています。そこで当社は、すべて自社開発をしたAIと義肢装具製作専用の3D-CADソフトと義肢装具製作専用の3Dプリンターを組み合わせ、カスタム量産ソリューションを開発し、フィリピンで事業を開始いたしました。
川田は「義肢装具は難しい分野。僕は10年ぐらいメーカーで働いたことがあって、そのときも義足の話が出ていた。ただ20年前なのでテクノロジーが今と全然違う」と話す。
川田:ユーザーはどのくらいいるんでしょうか?
小林:弊社ですと、いまフィリピンで450人くらいになったかと思います。
川田:すごい数ですよね。僕がいたころのメーカーの20年前のテクノロジーでその数はまず無理ですね。一人ひとりオンデマンドでやるのは無理。やっぱり技術的にはプリンターとスキャナーでしょうか。あとAIのCADソフトですかね。
小林:そうですね。CADソフトを使って設計しています。
川田:もともとの価格である50万円から100万円って非常に高いですよね。
小林:高いと思います。日本だと保険制度によって、全額実費負担ではなく、3万円から4万円ぐらい出せば義足を手に入れられる現状があります。しかし私たちがいま活動しているフィリピンはまだ保険制度が整っていないので、寄付を待つか、自分で買うとしても自分の年収分ぐらい出さないと購入できないので、なかなか難しいんです。
川田:どう作っていくんですか?
小林:大きく分けて3ステップあります。まず足の切断部分を3Dスキャナーでスキャンします。そのあと義足に特化した自社製の3D-CADで補正をして、そのデータから自社開発をした3Dプリンターで試作品を作ります。その試作品が患者さん(お客さま)の切断部分にフィットするかをテストします。問題なく歩けるか、痛くないかをチェックします。その結果をデータに反映して最終品を印刷してお客さまにお届けします。
川田:試作とか個々に調整しないといけない部分がけっこうあるから、そこが今のテクノロジーと合っているんでしょうね。
小林:最初にとったデータから最終的な製品を出力するまでの差分をなるべくなくしていくチャレンジをしています。
小林:徳島が約10年前、青年海外協力隊でフィリピンに行ったことがきっかけです。そこでファブリケーション・ラボラトリー、デジタルなものづくりができる工房の立ち上げのプロジェクトリーダーをやっておりまして、その関係で現地の方々から「3Dプリンターを使って義足を作れないか」と訊かれたことがきっかけとなっています。
川田:国状もあったのでしょうか。
小林:いろいろなデータがあるのですが、フィリピンではだいたい1割ぐらいの方が糖尿病患者と言われています。糖尿病は、昔はぜいたく病のように思われていましたけど、いまは貧困病なんです。フィリピンでいうと、ちょっとのおかずでたくさん白いごはんを食べてお腹いっぱいにして頑張って働く。毎年の健康診断もないですし、医療費も高いので、ちょっと体がおかしいなと思っても病院には行かない方が多いんですね。そうすると、気づくと体の壊死が始まっていて切断せざるを得ない。そういう方は肉体労働をしていた方が多いんです。もともと低所得で肉体労働をしていて、病気になって切断して、歩けないから働けない、家族のお荷物のような存在になってしまっている、そういう方々を徳島は見てきました。それで3Dプリンターであれば、もしかしたらこういう方々を、「救う」というと上から目線になりますが、役立てることがないだろうかと思い、スタートした事業です。
インスタリム株式会社では現在、人材を募集しているそうだ。
川田:どんな人が必要でしょうか。
小林:機械設計や生産技術のエンジニアを募集しております。技術側だけではなくバックオフィスマネージャーの募集もしていますので、弊社ウェブサイトをご覧になっていただけたらうれしいです。
川田:最後に一言、目標をいただけますか?
小林:私たちインスタリムがAI技術と3Dプリンターの技術を使い、必要とするすべての人が義肢装具を手に入れられる世界を作ります。
川田:重要なお仕事だと思います。ありがとうございました。
インスタリム株式会社の情報は、公式サイトまで。
『INNOVATION WORLD』のワンコーナー「DREAM PITCH」は、起業家や学生など明日のイノベーターを発掘。ユニークなビジネスモデルを1分間でプレゼンする。放送は毎週金曜の20時33分頃から。
小林さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)のワンコーナー「DREAM PITCH」。オンエアは1月14日(金)。
世界で義肢装具を購入できない人はおよそ9000万人
インスタリムは、高品質で低価格な3Dプリント義肢装具と、それを量産するソリューションを開発する日本初のテクノロジー・スタートアップだ。小林:一人ひとりに医学的に最適な形状をカスタムする必要がある義足などの義肢装具は、これまで職人技とアナログな製造プロセスにより作られてきており、多額の設備コストが必要でした。たとえば品質的に問題がない、硬いひざ下の義足は50万円から100万円と非常に高価です。そのため義肢装具を必要としながらも購入できない方々が世界に9000万人も存在する大きな社会的課題となっています。そこで当社は、すべて自社開発をしたAIと義肢装具製作専用の3D-CADソフトと義肢装具製作専用の3Dプリンターを組み合わせ、カスタム量産ソリューションを開発し、フィリピンで事業を開始いたしました。
川田は「義肢装具は難しい分野。僕は10年ぐらいメーカーで働いたことがあって、そのときも義足の話が出ていた。ただ20年前なのでテクノロジーが今と全然違う」と話す。
川田:ユーザーはどのくらいいるんでしょうか?
小林:弊社ですと、いまフィリピンで450人くらいになったかと思います。
川田:すごい数ですよね。僕がいたころのメーカーの20年前のテクノロジーでその数はまず無理ですね。一人ひとりオンデマンドでやるのは無理。やっぱり技術的にはプリンターとスキャナーでしょうか。あとAIのCADソフトですかね。
小林:そうですね。CADソフトを使って設計しています。
製作は3ステップ
世界には義肢装具が必要な方が大変な数いる。しかし90パーセントの人が買えない状況が続いている。川田:もともとの価格である50万円から100万円って非常に高いですよね。
小林:高いと思います。日本だと保険制度によって、全額実費負担ではなく、3万円から4万円ぐらい出せば義足を手に入れられる現状があります。しかし私たちがいま活動しているフィリピンはまだ保険制度が整っていないので、寄付を待つか、自分で買うとしても自分の年収分ぐらい出さないと購入できないので、なかなか難しいんです。
川田:どう作っていくんですか?
小林:大きく分けて3ステップあります。まず足の切断部分を3Dスキャナーでスキャンします。そのあと義足に特化した自社製の3D-CADで補正をして、そのデータから自社開発をした3Dプリンターで試作品を作ります。その試作品が患者さん(お客さま)の切断部分にフィットするかをテストします。問題なく歩けるか、痛くないかをチェックします。その結果をデータに反映して最終品を印刷してお客さまにお届けします。
川田:試作とか個々に調整しないといけない部分がけっこうあるから、そこが今のテクノロジーと合っているんでしょうね。
小林:最初にとったデータから最終的な製品を出力するまでの差分をなるべくなくしていくチャレンジをしています。
フィリピンは糖尿病患者が多い…役立つために起業
続いて小林さんが、創業者で代表である徳島 泰さんがフィリピンで事業を始めたきっかけを語った。小林:徳島が約10年前、青年海外協力隊でフィリピンに行ったことがきっかけです。そこでファブリケーション・ラボラトリー、デジタルなものづくりができる工房の立ち上げのプロジェクトリーダーをやっておりまして、その関係で現地の方々から「3Dプリンターを使って義足を作れないか」と訊かれたことがきっかけとなっています。
川田:国状もあったのでしょうか。
小林:いろいろなデータがあるのですが、フィリピンではだいたい1割ぐらいの方が糖尿病患者と言われています。糖尿病は、昔はぜいたく病のように思われていましたけど、いまは貧困病なんです。フィリピンでいうと、ちょっとのおかずでたくさん白いごはんを食べてお腹いっぱいにして頑張って働く。毎年の健康診断もないですし、医療費も高いので、ちょっと体がおかしいなと思っても病院には行かない方が多いんですね。そうすると、気づくと体の壊死が始まっていて切断せざるを得ない。そういう方は肉体労働をしていた方が多いんです。もともと低所得で肉体労働をしていて、病気になって切断して、歩けないから働けない、家族のお荷物のような存在になってしまっている、そういう方々を徳島は見てきました。それで3Dプリンターであれば、もしかしたらこういう方々を、「救う」というと上から目線になりますが、役立てることがないだろうかと思い、スタートした事業です。
インスタリム株式会社では現在、人材を募集しているそうだ。
川田:どんな人が必要でしょうか。
小林:機械設計や生産技術のエンジニアを募集しております。技術側だけではなくバックオフィスマネージャーの募集もしていますので、弊社ウェブサイトをご覧になっていただけたらうれしいです。
川田:最後に一言、目標をいただけますか?
小林:私たちインスタリムがAI技術と3Dプリンターの技術を使い、必要とするすべての人が義肢装具を手に入れられる世界を作ります。
川田:重要なお仕事だと思います。ありがとうございました。
インスタリム株式会社の情報は、公式サイトまで。
『INNOVATION WORLD』のワンコーナー「DREAM PITCH」は、起業家や学生など明日のイノベーターを発掘。ユニークなビジネスモデルを1分間でプレゼンする。放送は毎週金曜の20時33分頃から。
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毎週金曜20:00-22:00