ヴィンテージショップ「BOY」のオーナー、TOMMYこと奥冨直人が音楽とファッションの関係を語った。
奥富が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは3月22日(月)にオンエアした内容をテキストで紹介する。
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番組では、「音楽とファッション」を特集。ゲストには、音楽とファッションをつなぐヴィンテージショップ「BOY」のオーナー、TOMMYこと奥冨直人が登場。「BOY」には古着だけでなく、奥富自らがセレクトしたCDやテープなども置いている。さらにDJとして様々なイベントに出たり、自らのイベントをオーガナイズしたりもしている。
あっこゴリラ:まずはどんなお話を?
奥冨:今、ファッションとしてもスタンダードになっているアイテムが、実は音楽から来ているというものを紹介していきます!
あっこゴリラ:おお~! 例えば?
奥冨:「フレアパンツ」はもう定番になってるよね。このフレアパンツは、元々「ヒッピー文化」からきています。70年代には履く人の幅も広がって、気づいたら最近の女の子のパンツもフレアパンツ多いですよね。
あっこゴリラ:そうだね~。
奥冨:ゆらゆら帝国も『ラメのパンタロン』という曲を出してるんですが、ヒッピー文化以降、サイケデリックも通ってロックの形で“パンタロン”っていう言葉を使ったことで、僕なんかは「パンタロンとは何ぞや」ってことを知るっていう。
あっこゴリラ:『ラメのパンタロン』で知ったんだ?
奥冨:そう。パンタロンって言葉、世代間的になじみがないからね。
あっこゴリラ:そうだよね。私、小学校のときフレアパンツ流行ってたんだけど、それはギャル文化でブーツカットみたいな、そんな感じだった気がする。で、今流行ってるフレアパンツも、あのギャル文化のリバイバルみたいな感覚として自分は楽しんでいるけど、本当はパンタロン文脈なんだよね。
奥冨:そうだね。パンタロン文脈(笑)。
あっこゴリラ:私も二十歳くらいのときに高円寺に入り浸ってた時期があって、そのときなんてゆらゆら帝国はやっぱり神だから、柄シャツパンタロンがこの世で一番のおしゃれだと思ってた。
奥冨:本当に多かった。その姿は街の一つの彩になってたよね。やっぱりどの時代も世界中平行線にある感じがして、多少の前後はあれど音楽の新しいはじまりを感じるタイミングって、わりとどこも近いですよね。
続いてのファッションアイテムは、「ジャージ(サッカーシャツ)」。
奥冨:これはOasisから火がついたものだと僕は思っていて。世間的にすごくファッショナブルなイメージはないと思うんだけど、振り返ると初期なんかはいい感じに抜けたファッションしてるんですよ。
あっこゴリラ:へえ~!
奥冨:イギリス文化への愛が深さが見えたり、モッズコートをよく着てたりとか。あとは、ヒップホップの文化とも違う、スポーツアイテムの着こなしをしてたUKのアーティストは多かったですね。ブリットポップ周辺のアーティストは、すごく独自の空気を作ったんじゃないかなって思う。
あっこゴリラ:確かに。私、あまりわかってなかったけど、ヒップホップのスポーツアイテム着る感じと全然違うもんね。
奥冨:そうだね。出が同じでも違う風に着れるっていうのは、音楽の同じコード進行だけど、まったく違う曲になったりするようなおもしろさがあるなと思う。
続いてのファッションアイテムは、「厚底ブーツ」。
奥冨:これはちょっと日本の話になるけど、火をつけたのは安室奈美恵さんなんじゃないかなと。
あっこゴリラ:間違いないね。
奥冨:僕は当時小学校一年とかだったけど、テレビで見たときにかわいいし、ファッションも毎回素晴らしくて。
あっこゴリラ:当時安室ちゃんのようなファッションをする“アムラー”っていたじゃないですか。私はまだ街とかに繰り出せない年齢だったから、テレビの中の世界っていうか、ちょっと幻想みたいな感じもあるかもしれない。
奥冨:そうだよね。当時どんな感じだったか知りたいよね。
あっこゴリラ:わかる! 当時の渋谷とかマジで見たいもん。
奥冨:同時期の浜崎あゆみさんもそうだけど、特にこのときの一発一発はパンチがあるし、何もかもがかっこよかったなって思う。
あっこゴリラ:ギャルってかっこいいんだよね。自然発生したヤバい文化みたいな(笑)。あと、バーバリーチェックも安室ちゃんが流行らしたんだもんね。
奥冨:もう完全にそのイメージだね。
あっこゴリラ:バーバリーのマフラーとか可愛すぎでしょ。今でもやりたい。
そして最後に紹介してくれたファッションアイテムは、「スタッズ」。
奥冨:そもそもパンク音楽との繋がりから広がっていくんだけど、そこからのイメージを変え流行らせたのは、アヴリル・ラヴィーンなんじゃないかなと思う。
あっこゴリラ:おお~!
奥冨:今までロンドンパンクが持ってたイメージをちょっと独自のスタイルで悪ガキっぽく着こなしたのは、当時だとブリンクとか他にもたくさんのパンクバンドがいるけど、アヴリル・ラヴィーンは特に若いデビューだったし、センセーショナルだったね。
あっこゴリラ:あのパンクのルーツのスタッズを、ファッションスタッズとして“普通に着ててもおかしくないよ”ってしちゃったのはアヴリル・ラヴィーンなんだね。
奥冨:もちろんそれまでも日本のパンクの流れ的にはあるけど、あんなにポップではないよね。特にスケータースタイルに混ぜるっていうのはなかったかな。
あっこゴリラ:しかもアヴリル・ラヴィーンってカナダ出身なんだよね。UKのパンク大好きっ子みたいな感じじゃないのも、またおもしろいよね。
ここで番組では、奥冨がファッション的に一番影響を受けた音楽ジャンルからThe Smashing Pumpkinsの『Today』をオンエアした。
【The Smashing Pumpkins『Today』を聴く】
あっこゴリラ:ミュージシャンのファッションを真似たりするというのはよくあると思うけど、トミーは何がきっかけでファッションに興味を持ったんですか?
奥冨:明確な人がいたわけじゃなくて、もともと大のテレビっ子で。とにかくテレビが好きで、音楽番組で見るミュージシャンのファッションがかっこよくて興味を持ったのがきっかけ。
あっこゴリラ:すぐにファッションのアンテナが立ったんだね。
奥冨:服への反応は早かったね。その人たちそれぞれのスタイルが好きだったかも。
あっこゴリラ:確かにファッションも音楽も、その人自身を体現してるというか、そこがおもしろよね。例えば、どんなアーティストのファッションに影響を受けたの?
奥冨:これ、難しい(笑)。一番影響受けたのは、スーパーカー。UKの独特のナード感もあれば、90年代のオルタナの感じもして、そこにNUMBER GIRLやくるりのようなオルタナティブバンドがいたりっていうとらえようのない不思議な影響を受けてたね。アートワークも素敵なものが多いから、そういう細かいところからもファッション的な影響は受けてると思う。
そんな奥冨が、ファッションにおいて注目しているアーティストが……。
奥冨:Mr.Childrenです。それこそアートワークの影響も強くて、桜井さんの作っている曲って、けっこう精神状況よって楽曲表現が変わることで有名で。実はファッションも同じように変わっているんですよ。
あっこゴリラ:そうなんだ~。
奥冨:そこが人として信頼できるみたいな。やっぱり音楽とかファッションって、そういう力があるからすごい。
あっこゴリラ:そんなミスチルの変化を教えてもらいたいんですけど。
奥冨:まずは、アルバム『Atomic Heart』期。このころは、明るく突き抜けた感じの曲が多かった。なかでも『雨のち晴れ』はサラリーマンの感情を歌ったような曲で、なんで大ブレークしてスターになった人がサラリーマンの気持ちわかるんだろうっていう不思議さもあるし、時代の代弁として20代半ばのバンドがやるには強烈でしたね。
あっこゴリラ:今、『雨のち晴れ』のMVを見てるけど、すごいサラリーマンっぷりだね。しかも世代的にあまり見たことないサラリーマン。トレンディードラマとかに出てくるような。
奥冨:もう役者だよね。
続いては、アルバム『BOLERO』期。
奥冨:このアルバムの収録曲『Brandnew my lover』のMVなんですけど、さっきサラリーマンの格好をしてた人とは思えない。
あっこゴリラ:どんな感じ?
奥冨:急にグラムロックいってるから(笑)。ファッションもそうだけど、この辺からよりブレイクの反動というか、ファンの間では鬱期みたいにたとえられてて。
あっこゴリラ:(MVを見て)確かにちょっと鬱々としているような映像ですね。
奥冨:毒々しい感じになっていくんだよね。このへんの心境ってどんな感じだったんだろうって思う(笑)。音楽の追及もそうだけど、心の追及をしているような感じもするんだよね。
あっこゴリラ:そういう人間の性みたいなものを覗き見てしまうからこそ、こういう表現になったんだろうなって感じしますよね。
その後、アルバム『Q』期を経て、『IT'S A WONDERFUL WORLD』期へ。
奥冨:これは、僕が一番影響受けたといっても過言ではないアルバムです。その中でも、特に影響を受けたのが『youthful days』。
あっこゴリラ:大好き。
奥冨:特にファンの多い曲ですよね。これに関しては、もはやファッション的な影響は受けてない(笑)。
あっこゴリラ:あはははは! シンプルに好きな曲っていう。
奥冨:このときリアルタイムで聴いてたけど、もう大御所って感じだったんだよね。いろんな時代を乗り越えて、見た目も音楽も変わっていくっていうのが、活動を続けていく素晴らしさなんだなって思いました。
あっこゴリラ:やっぱりファッションと連動させて考えるとおもしろいね。
奥冨:バンドも音楽もだけど、やっぱり変化していくから、切り離されないっていうのは人が作る表現として素直だよね。やっぱりそこは本当にずっと大好き。
・The 1975のマシュー・ヒーリー
奥冨:この人は、本当に何にでもなれちゃうスーパースター。『Me & You Together Song』のMVでは、スーパーマンのロゴのTシャツを着ていて、ちょっとやんちゃな男の子みたいな格好をしてるんだけど、同じアルバムの違うMVでは全く違う格好をしていたり。ちょっと恐ろしいくらい何でも似合っちゃうのもそうだし、最近はスカートを履いていたり、混ぜこぜな感じ。でも、どれを着てもマシューになる。曲もいろんな人の声を代弁したかのようなものが多いなという印象。
【The 1975『Me & You Together Song』を聴く】
・デュア・リパ
あっこゴリラ:音楽でもファッションでも、デュア・リパは人気ですよね。
奥冨:グローバルチャートもトップですから、世界的スターですよね。
あっこゴリラ:トミー的には、デュア・リパのファッションのどんなところにグッとくるの?
奥冨:この人が着たら何でも良くなっちゃうみたいな、そういうパワーもあるし、あと私服がフォーマルなものをカジュアルダウンしたりとか、スポーティーなものを着たりとか、わりと取り入れやすいような雰囲気のものを着たりしてて、ステージのバッキバキな感じとも違うんだよね。どこか取り入れたくなっちゃうような感じ。
【Dua Lipa『We’re Good』を聴く】
・Awich
あっこゴリラ:Awich、めちゃめちゃかっこいいですよね。
奥冨:もう大好きでね。僕は配信番組をやってるんだけど、そこにゲストで出てもらったんですよ。一番緊張したというか、それくらいミューズとして好きな存在で。さっきのデュア・リパのように、Awichもカジュアルな部分とステージやファッション誌に写る部分との振れ幅とか、逞しさから生まれている強さっていうのもアーティストとして感じてます。とにかく存在感と音楽の力強さを感じますし、やっぱりどの時代もそういう人がアイコンとして引っ張って行くんだなって思います。 【Awich『Shook Shook』を聴く】
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
奥富が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは3月22日(月)にオンエアした内容をテキストで紹介する。
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音楽から来ているファッションアイテム
切っても切れない関係性の音楽とファッション。パンクといえばライダース、HIP HOPといえばB-BOYスタイルなど、音楽がきっかけで、そのファッションがトレンドになることもよくある。番組では、「音楽とファッション」を特集。ゲストには、音楽とファッションをつなぐヴィンテージショップ「BOY」のオーナー、TOMMYこと奥冨直人が登場。「BOY」には古着だけでなく、奥富自らがセレクトしたCDやテープなども置いている。さらにDJとして様々なイベントに出たり、自らのイベントをオーガナイズしたりもしている。
あっこゴリラ:まずはどんなお話を?
奥冨:今、ファッションとしてもスタンダードになっているアイテムが、実は音楽から来ているというものを紹介していきます!
あっこゴリラ:おお~! 例えば?
奥冨:「フレアパンツ」はもう定番になってるよね。このフレアパンツは、元々「ヒッピー文化」からきています。70年代には履く人の幅も広がって、気づいたら最近の女の子のパンツもフレアパンツ多いですよね。
あっこゴリラ:そうだね~。
奥冨:ゆらゆら帝国も『ラメのパンタロン』という曲を出してるんですが、ヒッピー文化以降、サイケデリックも通ってロックの形で“パンタロン”っていう言葉を使ったことで、僕なんかは「パンタロンとは何ぞや」ってことを知るっていう。
あっこゴリラ:『ラメのパンタロン』で知ったんだ?
奥冨:そう。パンタロンって言葉、世代間的になじみがないからね。
あっこゴリラ:そうだよね。私、小学校のときフレアパンツ流行ってたんだけど、それはギャル文化でブーツカットみたいな、そんな感じだった気がする。で、今流行ってるフレアパンツも、あのギャル文化のリバイバルみたいな感覚として自分は楽しんでいるけど、本当はパンタロン文脈なんだよね。
奥冨:そうだね。パンタロン文脈(笑)。
あっこゴリラ:私も二十歳くらいのときに高円寺に入り浸ってた時期があって、そのときなんてゆらゆら帝国はやっぱり神だから、柄シャツパンタロンがこの世で一番のおしゃれだと思ってた。
奥冨:本当に多かった。その姿は街の一つの彩になってたよね。やっぱりどの時代も世界中平行線にある感じがして、多少の前後はあれど音楽の新しいはじまりを感じるタイミングって、わりとどこも近いですよね。
続いてのファッションアイテムは、「ジャージ(サッカーシャツ)」。
奥冨:これはOasisから火がついたものだと僕は思っていて。世間的にすごくファッショナブルなイメージはないと思うんだけど、振り返ると初期なんかはいい感じに抜けたファッションしてるんですよ。
あっこゴリラ:へえ~!
奥冨:イギリス文化への愛が深さが見えたり、モッズコートをよく着てたりとか。あとは、ヒップホップの文化とも違う、スポーツアイテムの着こなしをしてたUKのアーティストは多かったですね。ブリットポップ周辺のアーティストは、すごく独自の空気を作ったんじゃないかなって思う。
あっこゴリラ:確かに。私、あまりわかってなかったけど、ヒップホップのスポーツアイテム着る感じと全然違うもんね。
奥冨:そうだね。出が同じでも違う風に着れるっていうのは、音楽の同じコード進行だけど、まったく違う曲になったりするようなおもしろさがあるなと思う。
続いてのファッションアイテムは、「厚底ブーツ」。
奥冨:これはちょっと日本の話になるけど、火をつけたのは安室奈美恵さんなんじゃないかなと。
あっこゴリラ:間違いないね。
奥冨:僕は当時小学校一年とかだったけど、テレビで見たときにかわいいし、ファッションも毎回素晴らしくて。
あっこゴリラ:当時安室ちゃんのようなファッションをする“アムラー”っていたじゃないですか。私はまだ街とかに繰り出せない年齢だったから、テレビの中の世界っていうか、ちょっと幻想みたいな感じもあるかもしれない。
奥冨:そうだよね。当時どんな感じだったか知りたいよね。
あっこゴリラ:わかる! 当時の渋谷とかマジで見たいもん。
奥冨:同時期の浜崎あゆみさんもそうだけど、特にこのときの一発一発はパンチがあるし、何もかもがかっこよかったなって思う。
あっこゴリラ:ギャルってかっこいいんだよね。自然発生したヤバい文化みたいな(笑)。あと、バーバリーチェックも安室ちゃんが流行らしたんだもんね。
奥冨:もう完全にそのイメージだね。
あっこゴリラ:バーバリーのマフラーとか可愛すぎでしょ。今でもやりたい。
そして最後に紹介してくれたファッションアイテムは、「スタッズ」。
奥冨:そもそもパンク音楽との繋がりから広がっていくんだけど、そこからのイメージを変え流行らせたのは、アヴリル・ラヴィーンなんじゃないかなと思う。
あっこゴリラ:おお~!
奥冨:今までロンドンパンクが持ってたイメージをちょっと独自のスタイルで悪ガキっぽく着こなしたのは、当時だとブリンクとか他にもたくさんのパンクバンドがいるけど、アヴリル・ラヴィーンは特に若いデビューだったし、センセーショナルだったね。
あっこゴリラ:あのパンクのルーツのスタッズを、ファッションスタッズとして“普通に着ててもおかしくないよ”ってしちゃったのはアヴリル・ラヴィーンなんだね。
奥冨:もちろんそれまでも日本のパンクの流れ的にはあるけど、あんなにポップではないよね。特にスケータースタイルに混ぜるっていうのはなかったかな。
あっこゴリラ:しかもアヴリル・ラヴィーンってカナダ出身なんだよね。UKのパンク大好きっ子みたいな感じじゃないのも、またおもしろいよね。
ここで番組では、奥冨がファッション的に一番影響を受けた音楽ジャンルからThe Smashing Pumpkinsの『Today』をオンエアした。
【The Smashing Pumpkins『Today』を聴く】
ミュージシャンとファッションの因果関係
ここからは、ミュージシャンと音楽の因果関係について教えてもらった。あっこゴリラ:ミュージシャンのファッションを真似たりするというのはよくあると思うけど、トミーは何がきっかけでファッションに興味を持ったんですか?
奥冨:明確な人がいたわけじゃなくて、もともと大のテレビっ子で。とにかくテレビが好きで、音楽番組で見るミュージシャンのファッションがかっこよくて興味を持ったのがきっかけ。
あっこゴリラ:すぐにファッションのアンテナが立ったんだね。
奥冨:服への反応は早かったね。その人たちそれぞれのスタイルが好きだったかも。
あっこゴリラ:確かにファッションも音楽も、その人自身を体現してるというか、そこがおもしろよね。例えば、どんなアーティストのファッションに影響を受けたの?
奥冨:これ、難しい(笑)。一番影響受けたのは、スーパーカー。UKの独特のナード感もあれば、90年代のオルタナの感じもして、そこにNUMBER GIRLやくるりのようなオルタナティブバンドがいたりっていうとらえようのない不思議な影響を受けてたね。アートワークも素敵なものが多いから、そういう細かいところからもファッション的な影響は受けてると思う。
そんな奥冨が、ファッションにおいて注目しているアーティストが……。
奥冨:Mr.Childrenです。それこそアートワークの影響も強くて、桜井さんの作っている曲って、けっこう精神状況よって楽曲表現が変わることで有名で。実はファッションも同じように変わっているんですよ。
あっこゴリラ:そうなんだ~。
奥冨:そこが人として信頼できるみたいな。やっぱり音楽とかファッションって、そういう力があるからすごい。
あっこゴリラ:そんなミスチルの変化を教えてもらいたいんですけど。
奥冨:まずは、アルバム『Atomic Heart』期。このころは、明るく突き抜けた感じの曲が多かった。なかでも『雨のち晴れ』はサラリーマンの感情を歌ったような曲で、なんで大ブレークしてスターになった人がサラリーマンの気持ちわかるんだろうっていう不思議さもあるし、時代の代弁として20代半ばのバンドがやるには強烈でしたね。
あっこゴリラ:今、『雨のち晴れ』のMVを見てるけど、すごいサラリーマンっぷりだね。しかも世代的にあまり見たことないサラリーマン。トレンディードラマとかに出てくるような。
奥冨:もう役者だよね。
続いては、アルバム『BOLERO』期。
奥冨:このアルバムの収録曲『Brandnew my lover』のMVなんですけど、さっきサラリーマンの格好をしてた人とは思えない。
あっこゴリラ:どんな感じ?
奥冨:急にグラムロックいってるから(笑)。ファッションもそうだけど、この辺からよりブレイクの反動というか、ファンの間では鬱期みたいにたとえられてて。
あっこゴリラ:(MVを見て)確かにちょっと鬱々としているような映像ですね。
奥冨:毒々しい感じになっていくんだよね。このへんの心境ってどんな感じだったんだろうって思う(笑)。音楽の追及もそうだけど、心の追及をしているような感じもするんだよね。
あっこゴリラ:そういう人間の性みたいなものを覗き見てしまうからこそ、こういう表現になったんだろうなって感じしますよね。
その後、アルバム『Q』期を経て、『IT'S A WONDERFUL WORLD』期へ。
奥冨:これは、僕が一番影響受けたといっても過言ではないアルバムです。その中でも、特に影響を受けたのが『youthful days』。
あっこゴリラ:大好き。
奥冨:特にファンの多い曲ですよね。これに関しては、もはやファッション的な影響は受けてない(笑)。
あっこゴリラ:あはははは! シンプルに好きな曲っていう。
奥冨:このときリアルタイムで聴いてたけど、もう大御所って感じだったんだよね。いろんな時代を乗り越えて、見た目も音楽も変わっていくっていうのが、活動を続けていく素晴らしさなんだなって思いました。
あっこゴリラ:やっぱりファッションと連動させて考えるとおもしろいね。
奥冨:バンドも音楽もだけど、やっぱり変化していくから、切り離されないっていうのは人が作る表現として素直だよね。やっぱりそこは本当にずっと大好き。
現代のファッションアイコン
最後は、現代のファッションアイコンを紹介してもらった。・The 1975のマシュー・ヒーリー
奥冨:この人は、本当に何にでもなれちゃうスーパースター。『Me & You Together Song』のMVでは、スーパーマンのロゴのTシャツを着ていて、ちょっとやんちゃな男の子みたいな格好をしてるんだけど、同じアルバムの違うMVでは全く違う格好をしていたり。ちょっと恐ろしいくらい何でも似合っちゃうのもそうだし、最近はスカートを履いていたり、混ぜこぜな感じ。でも、どれを着てもマシューになる。曲もいろんな人の声を代弁したかのようなものが多いなという印象。
【The 1975『Me & You Together Song』を聴く】
・デュア・リパ
あっこゴリラ:音楽でもファッションでも、デュア・リパは人気ですよね。
奥冨:グローバルチャートもトップですから、世界的スターですよね。
あっこゴリラ:トミー的には、デュア・リパのファッションのどんなところにグッとくるの?
奥冨:この人が着たら何でも良くなっちゃうみたいな、そういうパワーもあるし、あと私服がフォーマルなものをカジュアルダウンしたりとか、スポーティーなものを着たりとか、わりと取り入れやすいような雰囲気のものを着たりしてて、ステージのバッキバキな感じとも違うんだよね。どこか取り入れたくなっちゃうような感じ。
【Dua Lipa『We’re Good』を聴く】
・Awich
あっこゴリラ:Awich、めちゃめちゃかっこいいですよね。
奥冨:もう大好きでね。僕は配信番組をやってるんだけど、そこにゲストで出てもらったんですよ。一番緊張したというか、それくらいミューズとして好きな存在で。さっきのデュア・リパのように、Awichもカジュアルな部分とステージやファッション誌に写る部分との振れ幅とか、逞しさから生まれている強さっていうのもアーティストとして感じてます。とにかく存在感と音楽の力強さを感じますし、やっぱりどの時代もそういう人がアイコンとして引っ張って行くんだなって思います。 【Awich『Shook Shook』を聴く】
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
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