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小林武史が選ぶ、ジョン・レノンが活動領域を広げた「始まりの象徴」のような一曲

小林武史が選ぶ、ジョン・レノンが活動領域を広げた「始まりの象徴」のような一曲

音楽プロデューサー・小林武史が、「過去」「現在」「未来」をテーマに曲をセレクト。また、小林が中心となって運営しているサステナブルファーム&パーク「KURKKU FILEDS」(クルックフィールズ)への想いを語った。

小林が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『RADIO DONUTS』(ナビゲーター:渡辺 祐・山田玲奈)のワンコーナー「VOLVO MOVING INTO THE FUTURE」。オンエアは10月30日(土)。

ジョン・レノンの活動を象徴する曲

小林は、Mr.Children、My Little Lover、レミオロメンなど、数々のヒット作を手がけ、Bank Bandのメンバーとしても活動している。そんな小林が、まずは「過去」をテーマに、ザ・ビートルズ『Strawberry Fields Forever』をセレクトし、その理由を語った。

The Beatles - Strawberry Fields Forever

小林:この曲は、アルバム『Revolver』完成後に初めてレコーディングした楽曲で、シングルとして発売されています。ビートルズのそれまでの歴史のなかでも実験的なサウンドがシングルになるという、本当に珍しい楽曲だと言われていますし、個人的にもそう思います。その後、数年してビートルズは解散することになりますし、ジョン・レノンはオノ・ヨーコさんと結婚してソロアーティストとして活動を続けていきます。ニューヨークに渡ってベトナム反戦運動など、ミュージシャンとしての活動は自分のフィールドから越境していくという。さまざまな活動を展開していくわけですけれども、その活動の始まりを象徴しているのが、『Strawberry Fields Forever』なのではないかという気がしているわけです。「ストロベリー・フィールド」は、リヴァプール郊外にあるジョンが幼少期に暮らしていた家の近くにあった戦争孤児院なんですね。その庭園で遊ぶのが、ジョンの楽しみのひとつになっていたと言われています。弱者の立場になって、さまざまな活動を繰り広げていくという、それを象徴しているエピソードのような気がいたします。

『東京協奏曲』に込めた想い

続いて小林は、「現在」をテーマに宮本浩次×櫻井和寿 organized by ap bank『東京協奏曲』を選曲。作詞作曲を担当した小林が、曲に込めた想いを語った。

「東京協奏曲」宮本浩次 × 櫻井和寿 organized by ap bank

小林:東日本大震災後に、僕は東北のほうで「Reborn-Art Festival」という芸術祭をやっておりまして、石巻市などの街並みをずっと見ながら活動していたわけです。東京に戻ってくるたびに、ビルがどんどん乱立していくさまを見ていて、「なにに向かって進んでいるのか」と、ちょっと危惧するような想いがあって。あるときに気づいたのは、いろいろな競争で勝ち残った強いものだけがこの街を作っているわけでは決してなくて、この歌詞のなかにも出てくるんですが、弱い立場の人の想いもいろいろな形でバトンが渡って、この街に人を住まわせている、受け入れているという。そういう包容力のようなものもあるんだという実感が、この曲を作らせたというのはあります。都市だけが未来を作っていくわけではないと僕は本当に思っていますけれども、都市の役割もきっとある。そんなふうに思っています。

「クルックフィールズ」でYEN TOWN BANDが演奏する意味

続いてのテーマは「未来」。千葉県木更津市にあるサステナブルファーム&パーク「クルックフィールズ」について語った。

小林:水や太陽光などのエネルギーの循環イメージというか概念が本当に必要になるのではないかと思っていて。「クルックフィールズ」ではバイオジオフィルターという水の循環、そして太陽光パネル、蓄電池を用いた再生エネルギーを取り入れております。動物の排泄物をたい肥にしたり、僕らが出しているごみをコンポストなどで再利用したり。僕らが人間活動をやる上で当たり前のように出ていた「ごみ」も、「なにがごみなのか」という概念も、今後その境界線すら僕たちはとらえなおして、常識になっていく未来になっていくのではないかと思っています。

番組ではYEN TOWN BAND『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』をオンエア。YEN TOWN BANDは、岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』(1996年)の音楽を担当した小林のプロデュースにより、劇中に登場した架空のバンド。ボーカルは、映画の主人公・グリコ役を演じたChara。

YEN TOWN BAND は11月6日(土)、「クルックフィールズ」にてライブが決定している。

小林:映画『スワロウテイル』は、経済が向かう未来だけについていけないというか、ある意味はみだしてしまう人たちが、ふきだまった場所が「円都(イェン・タウン)」であり、そのなかでカウンター的な精神を持って「なにかやってやろうじゃないか」という想いで生まれたのがYEN TOWN BANDというシチュエーションだったんですね。「クルックフィールズ」が、僕のなかでは経済の合理性などからはみだしてしまう人たち。それが大地に根差しているというか。太陽光や土のなかの微生物とともに、農業や食という、人間が生きていくことのかなりボトムに近いところに集まって生きていこうとする。実際そういうスタッフが多いのが「クルックフィールズ」なんですね。ロック初期のカウンター的スピリットが、いまの時代は自然とのつながりのなかで新しい扉を開けていこうじゃないかというムーブメントに置き換わっているような感じがしているわけです。11月6日(土)は、ひさびさのライブです。「クルックフィールズ」に招いてというか、まあ僕自身もそこで演奏するわけですけど、くるべくして、このタイミングでYEN TOWN BANDのライブがあると思っております。自然と人間の関わりのひとつとして、こういう音楽を通して僕たちがなにかを感じたり学べたりする機会を増やしていきたいし、増やしていくきっかけになればいいなと思っております。

『RADIO DONUTS』のワンコーナー「VOLVO MOVING INTO THE FUTURE」では、ゲストに過去の思い出から、未来に伝え残したい音楽をセレクトしてもらう。オンエアは毎週土曜日の10時50分頃から。

過去のゲストが選んだ「未来に伝え残したい音楽」「現在聴いている曲」「未来に伝え残したい音楽(ラジドセレクト)」は公式サイトに掲載されている。

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2021年11月6日28時59分まで

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番組情報
RADIO DONUTS
毎週土曜
8:00-12:00