布袋寅泰「意外と練習をしない」 ギターと、あえて距離をおく理由は?

女優・創作あーちすと のんと、布袋寅泰が対談。パフォーマンス開会式のパフォーマンスへの思いや、映画『キル・ビル』など担当した映画音楽の裏話を語った。

ふたりがトークを展開したのは、10月17日(日)放送のJ-WAVEのPodcast連動プログラム『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』のワンコーナー「FROM THE NEXT ERA」。のんは同番組の毎月第3週目のナビゲーターを務めている。

頑張っている人たちを応援するのに理由なんてない

今年、アーティスト活動40周年を迎えた布袋は、「自分もそれなりに努力してきたけど、ファンやスタッフの方に感謝しかない」と口にする。

そんな布袋は、8月に行われた東京2020パラリンピックの開会式に出演。全盲のギタリストらとの共演が話題になった。

のん:カッコよかったです。ステージから見た景色はどうでしたか?
布袋:素晴らしかったですよね。とにかく笑顔に溢れていたし、始めから終わりまで見つめているものがみんなひとつだった。今年の3月頃にオファーの話をいただいたんですけど、その頃(居住地の)ロンドンはロックダウン中だから、日本にちゃんと帰れるのかなと思ったり、日本では当初オリンピックやパラリンピックに対していろんなご意見があったから最初は正直ちょっと迷ったんです。でもよくよく考えると頑張っている人たちを応援するのに理由なんてないんじゃないかなって思って。
のん:なるほど。みんなの気持ちが溢れていたし、パワフルで勇気をもらいました。
布袋:開会式は片翼の小さな飛行機がみんなの声援を受けて、自らの決意で飛んでいくっていうストーリーだったんですけど、そのストーリー以上の感動があったじゃないですか。

布袋の友人は、その開会式を見て最初は「片翼の飛行機が飛び立つって美しいコンセプトではあるけれども、実際の飛行機は片翼では飛べない」と思ったそうだが、実際にパラリンピックの競技を見て「その考えは間違っていた」と言われたという。

布袋:(その友人は)「片翼どころか両手両足に障害を持った方が背泳ぎをしてゴールを切ったり、そういった姿を見たら片翼で飛べないなんて思った自分自身が恥ずかしい」って言われて。だからパラリンピックは無限の可能性を示してくれたと思うんですよね。そこにかかわれたということはとても光栄だし、僕自身もあくまでもみなさんの思いを音楽で表現するという立ち位置に終始集中できた故にエゴを捨てきって布袋寅泰としてではなく、パラチームの一員としてみんなと一緒に参加できたのが伝わったのだと思います。
のん:素敵ですね。

僕は意外とギターの練習をしない

布袋は6月に40周年を第1弾作品『Pegasus』をリリースした。

のん:ギターのリフってどうやって思いつくんですか?
布袋:僕は意外とギターの練習をしないんですよ。不真面目だってことが第一だと思うんだけど、あんまりうまくなりたいとも思ってないし、たくさん練習しちゃうと手癖になっちゃうところがあってついつい好きなフレットとかフレーズばかりをなぞっちゃう。僕はある種ギターとは距離を保っていて、1、2週間全くギターを弾かないと久しぶりに弾いた瞬間ほとばしるようにいろんなフレーズが出てくる気がするのね。
のん:そうなんですね!
布袋:のんさんはアコースティックギターも弾くの?
のん:基本的にはエレキギターですね。
布袋:アコースティックは難しいでしょ?
のん:難しいです。
布袋:音出ないしね。
のん:布袋さんも苦手ですか?
布袋:苦手ですね。アコギがうまい人はうまいですよね。でも今度一緒にギターを弾きましょうよ。
のん:本当ですか!? うれしい!

映画『キル・ビル』の音楽はあの映画がきっかけだった

のんが布袋に今活躍するステージの扉を開けた突破ストーリーを訊くと、布袋は「今思えば無数の壁を乗り越えてきたような気がする」と振り返る。

布袋:でも40年も経つと一回超えたハードルはもうハードルではないというか、一番初めの壁なんて壁じゃなかったなと思います。でもいろいろありましたよ。

布袋はクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』や、中野裕之監督の『SF サムライ・フィクション』など、映画音楽でも数々の名作を生み出してきた。

布袋:初めに映画音楽に携わらせてもらったのは『SF サムライ・フィクション』でした。監督の中野さんは僕の『POISON』や『スリル』、『バンビーナ』などのミュージックビデオを撮ってくださっていて。彼が初めての映画を撮りたいから「布袋くん主役と音楽やってよ」って言われて。「布袋くんのままでいいから。ロックなサムライ映画にしたいんだ」ってことでおだてられて。演じることはいまだに自信がないけど、音楽を映画に付けるのはとてもクリエイティブで面白い作業でしたね。
のん:普段、音楽制作しているときと、映画音楽の制作は何か違いますか?
布袋:『SF サムライ・フィクション』のときは殺陣のシーンがあって、僕はフレーム一コマ一コマにBPMを刻んで合わせていって刀の当たるところにスネアのタイミングがきたり、倒れるところにギターがギューンって鳴ったり、まるでバレエを踊っているみたいに殺陣が見えるようにしました。すごくリズミカルでダンサブルなサムライ映画に仕上がったと思います。

布袋は『キル・ビル』の音楽制作の裏側も明かす。そのきっかけは阪本順治監督の映画『新・仁義なき戦い。』の主演とともに、映画音楽を担当したことだったそうだ。

布袋:でも当初、出演にはみなさん反対したんですよね。やっぱり『仁義なき戦い。』と布袋寅泰がちょっと熱すぎるだろうと。怖い顔だから余計に怖がられるんじゃないか、みたいな。
のん:そういうことか。
布袋:納得しないでよ(笑)。
のん:ごめんなさい(笑)。
布袋:でも、まわりからやめろって言われるとやりたくなっちゃうんですよね。もともと『キル・ビル』で使った曲は『新・仁義なき戦い。』で作った曲で。『新・仁義なき戦い。』をクエンティン・タランティーノ監督とロバート・ロドリゲス監督が観たらしくて、ロドリゲス監督が「(このシーンの音楽を)俺が使う」って言ったら先輩のタランティーノが「いやいや、これは俺のもの」って取り合いになって。それでタランティーノ監督側から連絡がきたんですよ。
のん:タランティーノ監督が勝ち取ったわけですね(笑)。
布袋:そう。先輩の勝ち(笑)。でも僕はせっかく新しい映画を作るんだったら新しい曲を書き下ろしたいって言ったんだけど、タランティーノは「絶対にこのままがいい」と。それでタイトルまで自分に付けさせてくれって言われて、もちろん阪本順治監督にその承諾を得て、『BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY』というタイトルがついたんです。
のん:そうだったんですね。
布袋:だからあのときにまわりが言った、熱すぎる『仁義なき戦い。』に僕が参加しなかったら『キル・ビル』にあの音楽がのってなかったわけです。

布袋の初ドキュメンタリー映画『Still Dreamin’ ~布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム~』が2022年に公開が決定。現在は活動40周年を記念した全国ツアー「HOTEI 40th Anniversary ~Double Fantasy Tour~ "BLACK or WHITE ?"」が開催中。

布袋寅泰の最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。

番組は、J-WAVEのポッドキャストサービス「SPINEAR」などでも聴くことができる。

・SPINEAR
https://spinear.com/shows/innovation-world-era/

『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』では、各界のイノベーターが週替りでナビゲート。第1週目はライゾマティクスの真鍋大度、第2週目はASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文、第3週目は女優で創作あーちすとの「のん」、第4週目はクリエイティブディレクター・小橋賢児。放送は毎週日曜日23時から。
radikoで聴く
2021年10月24日28時59分まで

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番組情報
TOPPAN INNOVATION WORLD ERA
毎週日曜
23:00-23:54

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