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川の「プラごみ」を泡の力で回収。自然環境の負担を減らす、オランダの実験

画像素材:PIXTA 

川の「プラごみ」を泡の力で回収。自然環境の負担を減らす、オランダの実験

オランダで「実験的なごみの回収方法」がおこなわれている。泡の力を用いるこの方法について、オランダ在住の気象予報士であり、「気象とコミュニケーションデザイン」代表の渡邉俊幸さんが語った。

渡邉さんが登場したのは、『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「KONICA MINOLTA GLOBAL SCALE」。ここでは6月21日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。

「泡のバリア」が小さなごみを回収

環境省は6月16日、家庭から出るプラスチック製の菓子袋や食品トレーなどの容器・包装と、文房具やハンガーといった製品をまとめて資源ごみとして集める市区町村に対し、新たな財政支援を講じるよう、総務省に要望する調整に入った。収集にかかる費用の一部を追加的に地方交付税で手当てすることなどを検討し、プラごみのリサイクルに積極的な自治体を優先して支援する。

オランダでは現在、プラスチックごみを泡のバリアで回収する「グレートバブルバリア」というシステムの実験がおこなわれている。そのシステムについて、渡邉さんが詳しく説明してくれた。

渡邉:(グレートバブルバリアは)泡の力を使って、川に漂うプラスチックのごみを集めようというものです。設置されているのはオランダの首都、アムステルダムの運河が大きな川に流れ込む場所です。アムステルダムの運河には多くのごみが沈んでいて、その一部が川を通じて北海に流れ込んでいくことが問題となっていました。船で運河からごみを救い上げることもおこなわれていて、毎日3,500キロものごみが取れているそうですが、2センチ以下の小さなプラスチックをうまく回収できないという課題がありました。そこで実験的に導入されたのが「グレートバブルバリア」です。

グレートバブルバリアの仕組みはいたってシンプルだと、渡邉さんは語る。

渡邉:穴の開いたパイプを川の端から端まで斜めに走らせてコンプレッサーで空気を送り、小さな泡をたくさん出します。運河の上流から流されてきたごみは、泡のバリアがあるのでそこから先に進めません。パイプは斜めに敷かれていて、下流側の端にごみをキャッチする装置がつけられています。ごみの集まるところの横には運河沿いのオープンテラスがあり、自分もそこで座って様子を見ていたのですが、流れ込むごみとしては使い捨てマスク、空き缶、ファストフードのマークが入った薄いプラスチックの包装、スイカの皮などがありました。ほかにも綿棒やたばこの吸い殻なども集まり、カフェの店員によると大きなものでは、植木鉢なども流れ込んだことがあるそうです。

環境に負荷をかけないのもポイント

泡でごみをキャッチするグレートバブルバリアは現在3年間の実証実験の真っ最中で、ちょうど1年半が経過したところ。ごみをキャッチする効率は、実験段階では80パーセント以上を記録したという。実際の河川に設置した場合、環境面への影響はあるのだろうか?

渡邉:泡は24時間、365日出され続けます。泡の大きさはとても小さく、弾ける音を聞いても「プツプツプツプツ」といった程度で、大きな騒音は発生していません。鳥や魚は泡のバリアを難なく通り過ぎますし、レジャー用のボートも頻繁に行き交うのですが、水面に泡のラインが走っていることに気づかない人もいるほど環境に溶け込んでいます。

環境にやさしいグレートバブルバリアによって集められたごみを集める生けすは、近くの建物に設置されたカメラでチェックされており、溜まったごみは定期的に救い上げられる。渡邉さんはこの装置を現地で見た感想も語ってくれた。

渡邉:水の流れが弱く逆流もあるので、いったん収集用の生けすに入ったごみが再度飛び出してしまったり、パイプと生けすの角度の関係でうまくごみが流れ込んでいないこともあったりするので、まだまだ改良の余地があるのではないかという印象を受けました。とはいえシンプルな構造で、自然環境や生活環境に大きな負荷をかけずにごみを集めることができているので、今後の取り組みに期待したいと思っています。

環境に溶け込みながらごみを集めるグレートバブルバリア。課題をクリアし、世界に広がっていくことを期待したい。

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2021年6月28日28時59分まで

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