料理研究家・土井善晴が、「食べる」「料理をする」ことの意味、そして喜びを考えるラジオ特別番組『J-WAVE SPECIAL ZOJIRUSHI TO EAT IS TO LIVE』が、2月11日(木)にオンエアされた。ナビゲーターはクリス智子。
ここでは、おいしいカキフライの作り方を解説した部分を紹介する。他の揚げ物にも当てはまる、「自家製のパン粉」の重要性も語った。
【関連記事】料理研究家・土井善晴が伝授する「おいしいおむすびの作り方」 米の洗い方が肝心!
その後、「カキの水分をきちんと拭くこと」が重要だ。拭き方ひとつで仕上がりにも影響が出るという。
土井:カキとカキのくっついているところが全部濡れてるから、キチッと拭くためには、おふきんを広げて、そこにカキを並べて、もう一枚のおふきんでキレイに優しく押さえてあげる。グシャって押さえるとカキが「痛い」って言いますから(笑)。
クリス:聞こえますね(笑)。優しくね。
水分を拭き取ることで小麦粉の量が少なく済み、衣が薄くなるため、カロリーも下がるそうだ。「油を吸う量が違いますから」と土井は解説した。
クリス:パンの種類とかはあんまり関係ないんですか?
土井:食パンでいいです。うちも6枚切りの1斤を買っても、2枚ぐらい残るんです、硬くなって。いいパンだったら、すぐにちぎってミキサーにかけても、ちゃんとパン粉になるんです。余分な水分がなくて粘りがないから、キリッとパン粉になる。
パン2枚分で、3、4人で食べられるカキフライ1回分くらいになるそうだ。保存の際は、袋にひとまとめにしておくのではなく、この使い切れる量で分けて冷凍しておこう。「おいしいパンで作ったおいしいパン粉、おいしいパン粉で揚げたフライがおいしいのは当たり前じゃないですか」と土井は力説。コロッケなど他の揚げ物もワンランクアップするそうだ。
土井:なぜかと言うと、新しい油で揚げるからです。
クリス:なるほど。
土井:油は時間を置くと酸化するものなんです。(揚げる)回数のたびに油は衰えてくる。その酸化した油はいちばん体に悪いから、キレイな油、体にエエものはスキッとしているんですね。だから「揚げ物で胃がもたれる」というのは家の揚げ物ではないはずなんです。
油の温度は、家庭料理ならではのコツがある。
クリス:(油の温度の確認は)「菜箸を入れる」ですか?
土井:そうです、そうです。160度とか165度とか、いやいやカキの場合はもうちょっと短時間で170度とかって、わからへんですやん?
クリス:わからないんですよ。
土井:カキって、さっきまで冷蔵庫に入っていたりするものですから、冷たいんですよ。何度だろうとカキを入れた途端に100度以下ぐらいになるということです(笑)。
温度を一定にするために、お店ではたっぷりの油を使う。しかし、家庭の場合はそれほどの量は必要ない。
土井:ほどほどの量でけっこうですから、油の温度が温まったところに入れたらいい。そして入れたときには強火にせえと。火は比較的、強火。だって(カキを)入れたら温度が下がるでしょ?というね。で、揚げ物らしくお鍋のなかが鳴ってきたら火を必ず弱めることさえしていたら。火加減で油の温度を調整しましょう。
クリス:そうですよね、つい「あれあれ」って、
土井:油に菜箸を入れて、菜箸から泡が染み出してくるぐらいの温度でいいんです。火を強めると量が少ないからすぐに回復しますからね。
クリス:土井先生の教えは菜箸もそうですけど、「見た目」だから忘れないんですよね。
土井:いい感じになっていくでしょ? まあ入れたら最初は静かにしてますわ。だけどグッと温度を上げていくでしょ? 最初にパン粉の部分に火が入るわけです。シュワーっと優しい音で、それがパチンとか鳴ってくる。カキのほうに火が入りだすと、カキの持っている水分が外に出てくる。そのときに音が瞬間的に変わるんです。あんまり激しくパチパチと油が跳ねたら、絶対に温度が上がっているから弱めてください。「怖い」という自分の万能のセンサーがいちばん働いてわかりますから、「怖そうだったら火を弱める」。当たり前のことなんです。そして今度は「いつ(カキフライを)上げるねん」というね。小さいものと大きなものがあったら、小さいものから先に火が入るのが当たり前なので、「私はおいしくなったよ」みたいな顔をしていますから、おいしそうなものから取り出していってください。
「洗う」「パン粉を作る」といった手間を怠らず、食材の声を聞くように調理すると、ぐっとおいしくなるようだ。アドバイスを参考に、カキフライに挑戦してみては。
同番組では、土井による「おむすび講座」もオンエア。J-WAVE公式Instagramで動画がアップされている。また、J-WAVE NEWSでもテキストで17日18時にアップ予定。
ここでは、おいしいカキフライの作り方を解説した部分を紹介する。他の揚げ物にも当てはまる、「自家製のパン粉」の重要性も語った。
【関連記事】料理研究家・土井善晴が伝授する「おいしいおむすびの作り方」 米の洗い方が肝心!
カキを丁寧に洗う一手間が、おいしさにつながる
カキは下処理が大切。おいしく食べるには、大根おろしなどを使って、ヒダの汚れをしっかり落とそう。隅々まで洗うと、大根おろしが黒くなるほど汚れているという。この汚れを残したままだと、臭みや雑味につながってしまう。その後、「カキの水分をきちんと拭くこと」が重要だ。拭き方ひとつで仕上がりにも影響が出るという。
土井:カキとカキのくっついているところが全部濡れてるから、キチッと拭くためには、おふきんを広げて、そこにカキを並べて、もう一枚のおふきんでキレイに優しく押さえてあげる。グシャって押さえるとカキが「痛い」って言いますから(笑)。
クリス:聞こえますね(笑)。優しくね。
水分を拭き取ることで小麦粉の量が少なく済み、衣が薄くなるため、カロリーも下がるそうだ。「油を吸う量が違いますから」と土井は解説した。
自家製のパン粉で、揚げ物はワンランクアップ!
水気を切ったら、小麦粉、溶き卵、パン粉をつけていく。せっかくのカキフライ、パン粉にもこだわってみよう。残った食パンでOKだという。パン屋に売られている食パンは、昔と比べてオーブンで中までしっかりと焼かれているものが増えたため、ミキサーにかけても“だんご”にならないそうだ。クリス:パンの種類とかはあんまり関係ないんですか?
土井:食パンでいいです。うちも6枚切りの1斤を買っても、2枚ぐらい残るんです、硬くなって。いいパンだったら、すぐにちぎってミキサーにかけても、ちゃんとパン粉になるんです。余分な水分がなくて粘りがないから、キリッとパン粉になる。
パン2枚分で、3、4人で食べられるカキフライ1回分くらいになるそうだ。保存の際は、袋にひとまとめにしておくのではなく、この使い切れる量で分けて冷凍しておこう。「おいしいパンで作ったおいしいパン粉、おいしいパン粉で揚げたフライがおいしいのは当たり前じゃないですか」と土井は力説。コロッケなど他の揚げ物もワンランクアップするそうだ。
家庭の揚げ物がいちばんおいしい? 決め手は「新しい油」
家庭で揚げ物を作ることに苦手意識がある人もいるかもしれない。しかし土井は「家庭の揚げ物が私は一番おいしいと思ってます」と話す。その理由は油にある。土井:なぜかと言うと、新しい油で揚げるからです。
クリス:なるほど。
土井:油は時間を置くと酸化するものなんです。(揚げる)回数のたびに油は衰えてくる。その酸化した油はいちばん体に悪いから、キレイな油、体にエエものはスキッとしているんですね。だから「揚げ物で胃がもたれる」というのは家の揚げ物ではないはずなんです。
油の温度は、家庭料理ならではのコツがある。
クリス:(油の温度の確認は)「菜箸を入れる」ですか?
土井:そうです、そうです。160度とか165度とか、いやいやカキの場合はもうちょっと短時間で170度とかって、わからへんですやん?
クリス:わからないんですよ。
土井:カキって、さっきまで冷蔵庫に入っていたりするものですから、冷たいんですよ。何度だろうとカキを入れた途端に100度以下ぐらいになるということです(笑)。
温度を一定にするために、お店ではたっぷりの油を使う。しかし、家庭の場合はそれほどの量は必要ない。
土井:ほどほどの量でけっこうですから、油の温度が温まったところに入れたらいい。そして入れたときには強火にせえと。火は比較的、強火。だって(カキを)入れたら温度が下がるでしょ?というね。で、揚げ物らしくお鍋のなかが鳴ってきたら火を必ず弱めることさえしていたら。火加減で油の温度を調整しましょう。
クリス:そうですよね、つい「あれあれ」って、
土井:油に菜箸を入れて、菜箸から泡が染み出してくるぐらいの温度でいいんです。火を強めると量が少ないからすぐに回復しますからね。
クリス:土井先生の教えは菜箸もそうですけど、「見た目」だから忘れないんですよね。
土井:いい感じになっていくでしょ? まあ入れたら最初は静かにしてますわ。だけどグッと温度を上げていくでしょ? 最初にパン粉の部分に火が入るわけです。シュワーっと優しい音で、それがパチンとか鳴ってくる。カキのほうに火が入りだすと、カキの持っている水分が外に出てくる。そのときに音が瞬間的に変わるんです。あんまり激しくパチパチと油が跳ねたら、絶対に温度が上がっているから弱めてください。「怖い」という自分の万能のセンサーがいちばん働いてわかりますから、「怖そうだったら火を弱める」。当たり前のことなんです。そして今度は「いつ(カキフライを)上げるねん」というね。小さいものと大きなものがあったら、小さいものから先に火が入るのが当たり前なので、「私はおいしくなったよ」みたいな顔をしていますから、おいしそうなものから取り出していってください。
「洗う」「パン粉を作る」といった手間を怠らず、食材の声を聞くように調理すると、ぐっとおいしくなるようだ。アドバイスを参考に、カキフライに挑戦してみては。
同番組では、土井による「おむすび講座」もオンエア。J-WAVE公式Instagramで動画がアップされている。また、J-WAVE NEWSでもテキストで17日18時にアップ予定。
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2021年2月18日28時59分まで
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番組情報
- J-WAVE SPECIAL ZOJIRUSHI TO EAT IS TO LIVE
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2021年2月11日(木・祝)18:00-20:55
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クリス智子