1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を繰り広げる、J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。2月6日(土)のオンエアでは、2月12日(金)に6年ぶりのオリジナルアルバム『The Lucky Ones』をリリースするPentatonixを特集。Little Glee Monster(以下、リトグリ)・かれんとINSPi・吉田圭介がPentatonixの魅力を語り合った。
グローバー:Pentatonixに出会ったのは、このコラボよりも前ですか?
かれん:けっこう昔に出会ったんですけど、はっきりと「いつ」っていうのはあんまり覚えてなくて、知らず知らずのあいだに知っていたというか。でもやっぱり衝撃的だったなって思うのはDaft Punkの動画ですね。
グローバー:どう衝撃的だったんですか?
かれん:アカペラっていうアカペラじゃなかった。ボイパ(ボイスパーカッション)がめちゃめちゃすごいから機械音みたいに聴こえて、アカペラの常識を覆されたというか。「こんなアカペラもあるんだ」と当時思ったのを覚えてます。
グローバー:当時かれんさんはいくつで、アカペラをどれぐらいやってたときでした?
かれん:アカペラは小学生のときからずっとやってたんですけど、Pentatonixに出会ったのは小学校6年生とか中学校1年生ぐらいだった気がします。
コーラスにおいて低音は重要の役割を持つ。グローバーはPentatonixの魅力として「ベースとドラムの新しさやすごさ」を挙げる。
かれん:「こんなにもアカペラって厚みが出るんだ」と思いました。どちらかというとアカペラはきれいにまとまってるイメージが強かったので、こんなにポップなサウンドを表現できるんだって当時思いました。
グローバー:いちばんお気に入りの曲はなんですか?
かれん:『I Need Your Love(Calvin Harris feat. Ellie Goulding Cover)』です。メロディがきれいで、みなさんの裏声がすごく魅力的に発揮されてる曲だと思います。
吉田:ゴスペラーズの北山陽一さんの家でいろいろと動画を観ていたんです、低音同士で(笑)。そしたら「圭介これ観てみなよ」って言われて、Katy Perry『E.T. ft. Kanye West』のカバーを観て、すごいなと思ったんです。モンゴルの伝統的な歌い方「ホーミー」をINSPiもモンゴルでライブをしたときに教わって、それから取り入れてるんですけど。
グローバー:一人の声なんだけど低音とその倍音が一緒に鳴るっていう。
吉田:そうなんです。地声をロングトーンでキープしながら上で口笛みたいな高い音でメロディを奏でるっていうのを、Pentatonixの当時のベースのアヴィ・カプランくん(旧メンバー)がやってたんですよ。古臭い音楽じゃなく、ちゃんとEDM風なかっこいいアレンジのなかにそれを入れてたんです。
グローバー:そのエレクトロニックな音の厚みをアカペラで出してるっていうのは、そのホーミーの伝統的なテクニックを使ったりして最新の音を出してるからなんですね。彼らの登場、そしてどんどんスキルアップしてく姿をどう見ていましたか?
吉田:やっぱり衝撃的で「アカペラ界の未来が変わってくるな」と思いました。というか、もう新しい軸ができた気がします。さっきかれんが言ったように、そもそもアカペラにはビートボックスっていうものはなかったんですよね。そこからボイスパーカッションが入ってきてメジャーになったけど、ヒューマンビートボックスが入ったことでEDMサウンドみたいなイケイケな音楽のアレンジの可能性が何倍にも膨れ上がりました。
吉田:ビートボックスがまずあって、これがまったく飽きさせない展開を作り出すんですね。リズムパターンだけでまず飽きさせない。しっかり伝統的な声楽に基づいたちゃんとした譜面なので、リードが頑張って、コーラスも音がかぶらないようにできている。すさまじいクオリティです。
グローバー:声楽としてきちんと基礎もできてるってなかなかないことなんですか?
吉田:意外とそうです。アカペラ界だとそれがあってこそっていう部分はあるんですけど、オケが入ってコーラスがある曲とかだと、わりとそういうことがない現場もあったりするので。
グローバー:そこに彼らのこだわりを感じるんですね。
吉田:オーケストレーションアンサンブルの譜面の段階ですごく感じます。
グローバー:ビートを出してるケヴィン・オルソラがメンバーに入ったきっかけが、彼がチェロをプレイしながらビートボックスをやっていて、その動画をメンバーが見つけたからという話を聞きました。そういう個々人のなかにある音楽の幅もすごいんだなと、そのエピソードを聞いて思ったんですよね。
吉田:新しさしかないですもんね。
アカペラにスポットを当てた番組『青春アカペラ甲子園 全国ハモネプリーグ』(フジテレビ系)で審査員を務めてきた吉田は、ここにもPentatonix以前と以後で大きな変化を感じているという。
吉田:完全に変わりました。「うちはビートボックスを入れてます」というグループが増えてきました。日本にはたくさんアカペライベントがあるんですけども、Pentatonixの影響が相当大きいと感じたのが、オーディション番組みたいにステージングで激しく動いたりするんです。それまではみんな突っ立ってアカペラをしていたんです。だって、動いたら音がブレるから。
グローバー:そうですね。みんな歌声に集中してお互いの距離を保って、息を合わせてる。でも今はガンガン動くフォーメーション。
吉田:目でも楽しませて、耳でもそのクオリティの音を出すんだっていう、Pentatonixに憧れてるグループは顕著に増えたと思います。
かれんはPentatonixとともに作品作りをした際、コーラスパート3人の技術に驚いたと振り返る。
かれん:Pentatonixのすごさって、ベースとボイパの2人もそうなんですけど、コーラスの3人もめちゃめちゃ声質が違うのにぶつかり合わず個性があるところです。「なんでこんなにきれいに聴こえるんだろう?」とすごく不思議に思っていました。実際に一緒に『Dear My Friend』を歌わせていただいて、ボーカルのパラの音源を聴かせていただくと、みんな切り際とかすごく細かいところまでそろえてるんです。だからこそ声質や歌い方の個性が3人全然違っても、こんなにそろってるんだなって気づいて、勉強になりました。
3位:『O Holy Night』
吉田:ビートボックスでアゲアゲになってるサウンドが多いですけど、ボイパレスでアレンジ的には伝統的なオーケストレーションというか、まるで違うグループかのように聴こえるんです。だけど、やっぱりPentatonixだなと感じるし、サウンドの聴こえ方も「わ、これは違うな」と思います。「こういう面もあるんだよ」と知っていただきたいのもあって、この楽曲を挙げました。
2位:『Video Killed The Radio Star』
吉田:これはさっきも言ったんですけども、なんで動きながらハモれるのか我々にはわからないんですよ。音がブレちゃうんですもん。20年アカペラをやってきても、動くのだけは最後に考えようと僕は思っていて。Pentatonixはこの曲でカチカチって体を動かすんですよ。だから「これ、どうなってるの!?」ですね。
1位:『Daft Punk』
吉田:これは問答無用と言いますか、アレンジャーとしてもあっぱれですね。年中アカペラを書いてますと、どうしても頭でっかちになるんですよ。自分の引き出しが限られてきたり、いろいろな職業の方でもそれはあると思うんです。だけど「そんな切り口があったか」っていうアレンジが、人工的にリミックスしてるような、刻んであるような、普通のユニゾンを人を分けることによってベルトーンみたいに聴かせたり、もう本当に飽きないであっという前に時間が過ぎる、すごいアレンジですね。
J-WAVE『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』では、ゲストを迎え、1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を展開。来週もPentatonixを特集する。放送時間は土曜の17時から。
「アカペラでこんなにポップなサウンドを表現できるんだ」
リトグリとPentatonixは、2020年12月にコラボ曲『Dear My Friend feat. Pentatonix』をリリースして話題に。Little Glee Monster 『Dear My Friend feat.Pentatonix』Music Video
かれん:けっこう昔に出会ったんですけど、はっきりと「いつ」っていうのはあんまり覚えてなくて、知らず知らずのあいだに知っていたというか。でもやっぱり衝撃的だったなって思うのはDaft Punkの動画ですね。
グローバー:どう衝撃的だったんですか?
かれん:アカペラっていうアカペラじゃなかった。ボイパ(ボイスパーカッション)がめちゃめちゃすごいから機械音みたいに聴こえて、アカペラの常識を覆されたというか。「こんなアカペラもあるんだ」と当時思ったのを覚えてます。
グローバー:当時かれんさんはいくつで、アカペラをどれぐらいやってたときでした?
かれん:アカペラは小学生のときからずっとやってたんですけど、Pentatonixに出会ったのは小学校6年生とか中学校1年生ぐらいだった気がします。
[Official Video] Daft Punk - Pentatonix
かれん:「こんなにもアカペラって厚みが出るんだ」と思いました。どちらかというとアカペラはきれいにまとまってるイメージが強かったので、こんなにポップなサウンドを表現できるんだって当時思いました。
グローバー:いちばんお気に入りの曲はなんですか?
かれん:『I Need Your Love(Calvin Harris feat. Ellie Goulding Cover)』です。メロディがきれいで、みなさんの裏声がすごく魅力的に発揮されてる曲だと思います。
[Official Video] I Need Your Love - Pentatonix (Calvin Harris feat. Ellie Goulding Cover)
Pentatonixはアカペラ界の未来を変えた
続いて、2021年でデビュー20周年を迎えるINSPiの吉田がPentatonixとの出会いを語った。吉田:ゴスペラーズの北山陽一さんの家でいろいろと動画を観ていたんです、低音同士で(笑)。そしたら「圭介これ観てみなよ」って言われて、Katy Perry『E.T. ft. Kanye West』のカバーを観て、すごいなと思ったんです。モンゴルの伝統的な歌い方「ホーミー」をINSPiもモンゴルでライブをしたときに教わって、それから取り入れてるんですけど。
グローバー:一人の声なんだけど低音とその倍音が一緒に鳴るっていう。
吉田:そうなんです。地声をロングトーンでキープしながら上で口笛みたいな高い音でメロディを奏でるっていうのを、Pentatonixの当時のベースのアヴィ・カプランくん(旧メンバー)がやってたんですよ。古臭い音楽じゃなく、ちゃんとEDM風なかっこいいアレンジのなかにそれを入れてたんです。
グローバー:そのエレクトロニックな音の厚みをアカペラで出してるっていうのは、そのホーミーの伝統的なテクニックを使ったりして最新の音を出してるからなんですね。彼らの登場、そしてどんどんスキルアップしてく姿をどう見ていましたか?
吉田:やっぱり衝撃的で「アカペラ界の未来が変わってくるな」と思いました。というか、もう新しい軸ができた気がします。さっきかれんが言ったように、そもそもアカペラにはビートボックスっていうものはなかったんですよね。そこからボイスパーカッションが入ってきてメジャーになったけど、ヒューマンビートボックスが入ったことでEDMサウンドみたいなイケイケな音楽のアレンジの可能性が何倍にも膨れ上がりました。
すさまじいアレンジのクオリティ
吉田はリトグリのアレンジ全体をまとめ、コーラスディレクターを担当している。そんな彼がPentatonixのアレンジのすごさがどこにあるのか解説した。吉田:ビートボックスがまずあって、これがまったく飽きさせない展開を作り出すんですね。リズムパターンだけでまず飽きさせない。しっかり伝統的な声楽に基づいたちゃんとした譜面なので、リードが頑張って、コーラスも音がかぶらないようにできている。すさまじいクオリティです。
グローバー:声楽としてきちんと基礎もできてるってなかなかないことなんですか?
吉田:意外とそうです。アカペラ界だとそれがあってこそっていう部分はあるんですけど、オケが入ってコーラスがある曲とかだと、わりとそういうことがない現場もあったりするので。
グローバー:そこに彼らのこだわりを感じるんですね。
吉田:オーケストレーションアンサンブルの譜面の段階ですごく感じます。
グローバー:ビートを出してるケヴィン・オルソラがメンバーに入ったきっかけが、彼がチェロをプレイしながらビートボックスをやっていて、その動画をメンバーが見つけたからという話を聞きました。そういう個々人のなかにある音楽の幅もすごいんだなと、そのエピソードを聞いて思ったんですよね。
吉田:新しさしかないですもんね。
吉田:完全に変わりました。「うちはビートボックスを入れてます」というグループが増えてきました。日本にはたくさんアカペライベントがあるんですけども、Pentatonixの影響が相当大きいと感じたのが、オーディション番組みたいにステージングで激しく動いたりするんです。それまではみんな突っ立ってアカペラをしていたんです。だって、動いたら音がブレるから。
グローバー:そうですね。みんな歌声に集中してお互いの距離を保って、息を合わせてる。でも今はガンガン動くフォーメーション。
吉田:目でも楽しませて、耳でもそのクオリティの音を出すんだっていう、Pentatonixに憧れてるグループは顕著に増えたと思います。
かれんはPentatonixとともに作品作りをした際、コーラスパート3人の技術に驚いたと振り返る。
かれん:Pentatonixのすごさって、ベースとボイパの2人もそうなんですけど、コーラスの3人もめちゃめちゃ声質が違うのにぶつかり合わず個性があるところです。「なんでこんなにきれいに聴こえるんだろう?」とすごく不思議に思っていました。実際に一緒に『Dear My Friend』を歌わせていただいて、ボーカルのパラの音源を聴かせていただくと、みんな切り際とかすごく細かいところまでそろえてるんです。だからこそ声質や歌い方の個性が3人全然違っても、こんなにそろってるんだなって気づいて、勉強になりました。
INSPi・吉田圭介が思わず唸る、すごすぎアレンジ曲TOP3!
吉田が「これ、どうなってるの!?」と思わず唸った、Pentatonixの“すごすぎアレンジ曲”を3つピックアップ。理由と共に紹介した。3位:『O Holy Night』
[Yule Log Audio] O Holy Night - Pentatonix
2位:『Video Killed The Radio Star』
吉田:これはさっきも言ったんですけども、なんで動きながらハモれるのか我々にはわからないんですよ。音がブレちゃうんですもん。20年アカペラをやってきても、動くのだけは最後に考えようと僕は思っていて。Pentatonixはこの曲でカチカチって体を動かすんですよ。だから「これ、どうなってるの!?」ですね。
1位:『Daft Punk』
吉田:これは問答無用と言いますか、アレンジャーとしてもあっぱれですね。年中アカペラを書いてますと、どうしても頭でっかちになるんですよ。自分の引き出しが限られてきたり、いろいろな職業の方でもそれはあると思うんです。だけど「そんな切り口があったか」っていうアレンジが、人工的にリミックスしてるような、刻んであるような、普通のユニゾンを人を分けることによってベルトーンみたいに聴かせたり、もう本当に飽きないであっという前に時間が過ぎる、すごいアレンジですね。
J-WAVE『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』では、ゲストを迎え、1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を展開。来週もPentatonixを特集する。放送時間は土曜の17時から。
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2021年2月13日28時59分まで
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番組情報
- MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY
-
毎週土曜17:00-17:54