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現役弁護士で小説家の29歳。「このミス」大賞、新川帆立の素顔に迫る

現役弁護士で小説家の29歳。「このミス」大賞、新川帆立の素顔に迫る

J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。1月21日(木)のオンエアには、東大法学部卒で現役弁護士の小説家、新川帆立がリモートで出演。小説家を志したきっかけや、第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作品『元彼の遺言状』(宝島社)について聞いた。

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夏目漱石を読んで「こういう笑えるのを書きたいな」

第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した新川は現在29歳。アメリカ生まれ、宮崎育ちの彼女は小説家でありながら東大法学部卒の現役弁護士、また元プロ雀士というパラレルキャリアの持ち主だ。16歳から小説家を目指していたという。そのきっかけとは?

新川:夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んで「あ、これは面白い、こういうものを書きたい」と思ったのっがきっかけです。
別所:『吾輩は猫である』、僕も読みましたけど、そこから小説家になりたい!って思っちゃったってことですか?
新川:そうですね、すごい面白かったので、こういう笑えるのを書きたいなと思って(笑)。
別所:そして法曹界、弁護士の世界へと進むわけですけど、こちらは執筆活動とは全く違うと思うんです。弁護士の仕事、そして小説家としての執筆活動、どちらの世界がより自分に近いと感じていらっしゃいますか?
新川:小説家ですね。弁護士の仕事は無理くり頑張ってやっているっていう感じです(笑)
別所:法律上のご専門は、どんな分野を?
新川:会社と会社の取引と言いますか、ビジネスに関連するところをやっています。

「女性が憧れる強い女性」を小説の主人公に

そんな新川が第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作品『元彼の遺言状』。主人公はお金が大好きな美人女性弁護士の剣持麗子(けんもちれいこ)。彼女はある日、学生時代に3か月だけ付き合った彼、森川栄治が亡くなったことを知る。大手製薬会社の御曹司である森川は、「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残していた。強気で凄腕の若手弁護士剣持が、遺言状の真意を解き明かす……というストーリーだ。

別所:新川さんの経歴を伺うと、主人公とキャラクターがかぶるというか、ご自身を投影しているんですか?
新川:私とは全然違うんですけど、こういう人がいると楽しいかな、というところで(キャラ設定を)考えています。
別所:快活に女性弁護士が頑張るわけですけど、このキャラクターに審査員が満場一致で魅了されたと伺っています。この主人公、どんな思いを込めて書かれたんですか?
新川:ミステリーって読むのも書くのも男性が多くて、女性が読んで楽しいって思えるものが比較的少なかったので、女性が読んで憧れるような強い女性を主人公にしたいなと思っていました。
別所:そこが見事に読者の気持ちを鷲掴みにしたって感じなんでしょうけど、モデルはいたんですか?
新川:特定のモデルはいないんですけど、こういう子がいると楽しいかなっていうところで考えました。

応募2回目で大賞を受賞

応募総数475作品の中から頂点に輝いた『元彼の遺言状』。「このミステリーがすごい!」大賞からは『チームバチスタ』シリーズ、『スマホを落としただけなのに』シリーズなど、数多くのベストセラーや映像化作品が生まれている。

別所:(「このミステリーがすごい!」大賞には)これまでにも応募されていたんですか?
新川:はい、2回目ですね。
別所:これまでに小説は何作品くらい書かれているんですか?
新川:長編だとその2つで、短編も合わせると7作くらい書いていますけど……。
別所:ちょっと待って、16歳から小説家になりたいとおっしゃってて、書き始めたのは?
新川:2年前です。10年くらい「なりたい」って言って回ってるわりに、なんか全然書いてない人だった(笑)。
別所:じゃあ社会人になってから?
新川:そうです、社会人になって働くようになってあら「あ~、やっぱり私って小説書きたいんだな」って改めて思って。
別所:でも長編2作品目にして受賞ですからね。これまでも(書いたのは)全部ミステリーですか?
新川:基本的に同年代の女性向けに書いているんですけど、ミステリーでないものもありましたし、ファンタジー小説みたいなものも書いています。

幅広いジャンルの作品を読み、執筆してきた新川。今回の受賞作『元彼の遺言状』は3週間弱で書き上げたのだとか。

新川:そうです、プロットはその前の数ヶ月かかってるんですけど。プロットを考えているうちに締め切りが迫ってきて、急いで書かなきゃという感じでした。
別所:じゃあやっぱりまずはプロットで形を書いて、流れを作って、ディテールに入っていったということですか?
新川:ただ、結局プロットが固まりきらずに書きはじめちゃったので、自分で作った謎を書きながら自分で解く、みたいな感じで(笑)。
別所:(作品の)どんな部分にいちばん注力されたんでしょう?
新川:やっぱり読みやすさですかね。法律の話とかが出てくると、難しいなと思って(読者)離れてしまうこともあるので、そうならないようになるべくわかりやすくっていうのを心がけました。

ペンネームの由来は「ほたてのほ」

最後に、よく「本名ですか?」と聞かれる「帆立」というペンネームをつけた理由について語ってくれた。

新川:帆立の「帆」の字が本名に入っていて、よく電話とかで「帆立の「帆」」っていう風に漢字を伝えていたので、わかりやすいかなと。
別所:なるほど、そういうことだったんですか。耳の中にしっかり残ってほっこりします。帆立ももちろんお好き?
新川:好きなんです。寿司屋とかでもよく食べます。おいしいですよね。
別所:ぜひ次回作は、帆立ミステリーをお願いします。
新川:魚介ミステリーを(笑)。

魅力あふれるキャラクターと意外性溢れる設定、そして想像を超える結末に、読んだらハマる『元彼の遺言状』(宝島社)。ステイホームが再び叫ばれるこの時期、おうち時間のおともにぜひ手に取ってみては。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。お楽しみに!

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2021年1月28日28時59分まで

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