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映画『パラサイト 半地下の家族』 日本だけ“副題”がついている…その理由は? 宣伝プロデューサーが語る

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映画『パラサイト 半地下の家族』 日本だけ“副題”がついている…その理由は? 宣伝プロデューサーが語る

J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)のワンコーナー「DNP GLOBAL OPEN INNOVATION」。1月15日(金)のオンエアでは、映画『パラサイト 半地下の家族』など多数の映画宣伝を手がける映画配給会社「ビターズ・エンド」の宣伝プロデューサー・星 安寿沙さんが登場。『パラサイト 半地下の家族』公開までの宣伝秘話や現在担当しているオススメ最新映画について語った。

脚本段階から配給を決めていた

ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』は、カンヌ国際映画祭の最高賞となるパルムドールを受賞、アカデミー賞では作品賞を含む4冠を達成するなど世界中で大ヒットした。星さんは本作の日本での宣伝プロデューサーを担当した。

『パラサイト 半地下の家族』90秒予告

“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“高台の豪邸”で暮らすパク一家という、相反するふたつの家族の格差を描いた作品だ。

川田:映画館で観ましたけど、めっちゃよかったですよね。でも、この映画を配給するってなかなかの大勝負だと思います。だって、ジャンルも「これだ」って言えないような作品じゃないですか。
星:そこがポン・ジュノ監督の魅力でもあり、宣伝する立場としては難しいところでもありました。
川田:犯罪の話でもあるし、階級の話でもあるし、社会性を帯びた話でもある。それとサスペンス要素もあるから、本当にジャンルを横断していますよね。場面ごとに変わってますからね。
星:そうですね。前半は笑えて、中盤はハラハラして、最後に社会性を描いているというところもありますが、ちょっと涙してしまうような話でもあります。

「半地下の家族」を副題にした理由

これまでにもポン・ジュノ監督の作品を配給してきたビターズ・エンドは、『パラサイト 半地下の家族』を脚本段階で配給することを決めていたという。

星:私も脚本から読んでいて、完成版をカンヌ国際映画祭で観たんですけど、脚本だけでも素晴らしかったのに、実際に映画を観て驚愕したというか。映像や芝居、音楽などが一体となっていて、映画って総合芸術だと体感するような感じでした。
川田:この作品の冒頭から半地下じゃないですか。そういう映像の視座から不思議な引っかかりがありましたけど、脚本からそれがイメージできたんですか?
星:イメージできない部分はありましたし、半地下というものは日本だとなじみがない場所だったりするので、邦題にはあえて「半地下の家族」と入れました。半地下をひとつの引っかかりとして、日本の観客のみなさんにも届けられればと思っていました。

副題「半地下の家族」がついているのは日本だけ。星さんは、ポン・ジュノ監督にも許可を得て付けたと話し、ふたつの理由を明かした。

星:ひとつは宣伝方針としてネタバレ厳禁と打ち出していて、ストーリーがほぼほぼ伝えられないので、どんなジャンルかを想像してもらいにくいのではないかという懸念があり、副題を付けることでキャラクターの設定などを想像してもらえたらと考えました。もうひとつは、平日の日中の劇場に多く足を運ぶのはご年配の方が多いということで、「パラサイト」だけではちょっとSFっぽく聞こえて敬遠されてしまう可能性があったので、「半地下の家族」というなじみやすい副題を付けさせていただきました。
川田:「半地下」って言葉が引っかかりますからね。「半地下って何?」って。聞き慣れない「半地下」と聞きなじみのある「家族」って言葉だから引っかかりますよね。この副題をポン・ジュノ監督はよく許可してくれましたね。
星:国によってマーケティングも違ってくるので、監督からは「いいタイトルをつけたね」とお墨付きもいただきました。

アカデミー賞を受賞できた理由

『パラサイト 半地下の家族』アカデミー賞を受賞する前と後では、どういった変化があったのだろうか。

星:アカデミー賞を受賞する前から日本では公開が始まっていました。ヒットした状況ではあったのですが、やはり受賞することによって普段は劇場に足を運びにくい方も気軽にお越しいただき、かなり客層が広がった印象があります。
川田:アカデミー賞って単なるエンタメだと獲りにくくて、社会性も必要じゃないですか。『パラサイト 半地下の家族』が受賞できた理由をどう考えられていますか?
星:非英語圏の映画でアカデミー賞の作品賞を受賞したことは歴史的に見ても快挙なのですが、ひとつは圧倒的なオリジナリティというか、ポン・ジュノ監督にしか撮れないような作品だったことが大きいですね。もうひとつは作品のテーマだと思います。格差問題も含めてどの国の人が観ても自分が今生きている社会について考えたくなるような作品だと思いますので、エンタメ性と社会性が完璧に融合していたから受賞できた作品だと思っています。

もともとポン・ジュノ監督は漫画家志望だったこともあり、『パラサイト 半地下の家族』の制作では、非常に緻密な絵コンテを描き上げ、豪邸や半地下などすべて3Dで設計してから撮影に臨むという手法を取っていたという。

星:映像で見えているよりも、さらに奥行きがあると思います。
川田:建物からの視座とかも完璧でしたからね。
星:ただ建築家からすると、「あの豪邸は構造的に現実にはありえない」と言われるらしいです。
川田:ぜひそこは映画で観てほしいですね。

今年のオススメ映画は『ドライブ・マイ・カー』

星さんが担当する今年公開予定のオススメ映画として、『ドライブ・マイ・カー』を紹介した。本作は、ポン・ジュノ監督が2019年のお気に入り作品に挙げた映画『寝ても覚めても』を手掛けた濱口竜介監督の新作で、村上春樹が2013年に発表した短編小説が原作となる。

星:『ドライブ・マイ・カー』は奥さんを亡くしてしまった主人公の舞台俳優と、彼の専属ドライバーを務める女性の物語になります。少し希望が見えるような作品になっているので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。
川田:『パラサイト 半地下の家族』を推した星さんのオススメだから、観ないわけにはいかないですね。

『INNOVATION WORLD』のワンコーナー「DNP GLOBAL OPEN INNOVATION」は、各分野のエキスパートを招き業界トレンドをお届けする。放送は毎週金曜の21時15分頃から。

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