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音楽の「ミキシング」とは? 楽曲はどう変わる? 音楽プロデューサー・横山裕章が解説

音楽の「ミキシング」とは? 楽曲はどう変わる? 音楽プロデューサー・横山裕章が解説

【J-WAVE『SONAR MUSIC』から最新音楽情報をお届け】

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。10月21日(水)のオンエアでは、音楽プロデューサーの横山裕章をゲストに迎え、「ミキシング」の世界に迫った。

ミキシングの仕事は、より良い音楽を作っていくこと

横山は、agehasprings所属の音楽プロデューサーで作曲家。YUKI、JUJU、MISIA、木村カエラなど、様々なアーティストへの楽曲提供、アレンジ、サウンドプロデュースを手掛けている。

あっこゴリラ:そもそも「ミキシング」って何ですか?
横山:文字通り「混ぜる」という意味で、歌、ドラム、ベース、ギターなどの音量調整をしていく作業です。例えば、電話が掛かってきて、声が聞こえにくかったら音量を上げることもミキシングです。
あっこゴリラ:わかりやすいですね。じゃあ、みんなミキシングしてるんだ。音の加工とかもそうですか?
横山:そうですね。エフェクトをかけたり、そういうことをしてより良い音楽を作っていくっていくのが、ミキシングの仕事だと思います。
あっこゴリラ:そのミキシングのあとに、マスタリングっていうのもあるんですよね?
横山:はい。例えば、CDが最終形だとしたら、CDになる一歩手前の調整をいいます。12曲あったら、それぞれの音量を整えるといった作業がマスタリングになります。
あっこゴリラ:たまにマスタリングで大きく化けることもありますよね。

横山のような音楽プロデューサーは、どこまでの作業を担当するのだろうか。

横山:ケースバイケースですが、「最後まで面倒を見てください」っていう場合は、マスタリングの最後の最後までやらせてもらいます。
あっこゴリラ:やっぱり最初のプロデュースからやってたら、最後のマスタリングまでやりたいものですか?
横山:理想はそうですね。やっぱり自分でコントロールしたいです。
あっこゴリラ:良いミキシングといわれるのは、どんな音だと思いますか?
横山:難しいですね。十人十色、それぞれがあると思うので。でも、個人的には、曲を聴いただけで映画のように映像がスピーカーの前に現れて、歌の世界観をサポートしてくれるものが良いミキシングだと思っています。

ここで、横山が「このミキシングがすごい!」と思う楽曲を紹介した。

横山:ACOの『悦びに咲く花』です。ドラムとベースの解像度が抜群に良いんです。プロデュースは元電気グルーヴの砂原良徳さんです。ミキシングもそうなんですけど、鳥の鳴き声とかSE(サウンドエフェクト)にも耳を傾けてほしいです。ACOさんの声とちょっと妖艶な雰囲気を演出するために、絶妙な音量加減でミックスされているところにすごく感銘を受けました。

あっこゴリラ:やっぱり同じ曲でもミキシングする人によって、ガラッと変わるものですよね。
横山:そうですね。エンジニアさんの聴いてきた音楽だったり、体験してきたことだったりで、だいぶ変わると思います。
あっこゴリラ:何で感動するのかとか、それぞれ沸点も違いますもんね。
横山:はい。脳みそに記憶されてることを音に出すのが、エンジニアの仕事だと思います。

一聴しただけでインパクトを残したかった

ここからは、新たなゲストとして緑黄色社会の穴見真吾(Ba./Cho.)が登場。ミキシングについてさらに掘り下げていく。

あっこゴリラ:穴見さんから見た「ミキシング」とは、どんな作業ですか?
穴見:例えるならば、味付けですね。素材とかはプロデューサーやバンドが決めて、塩を多めにするのか、脂っぽくするのか、その味付けを決めるのがミキシングかなって思います。
横山:いい例え。
あっこゴリラ:ミキシングの作業をするとき、プロデューサーやエンジニアとアーティストとのやりとりってどうしてるんですか?
横山:緑黄色社会と一緒にやった『Mela!』は、わりと託してもらったので、信頼してもらって自由にやらせてもらいました。
あっこゴリラ:そうなんですね。『Mela!』のミキシングでこだわった部分って何ですか?
横山:一聴しただけで、緑黄色社会が新しいことやってるなっていうインパクトを残したかったんです。だから、そういう新しいサウンド作りを目指しました。
あっこゴリラ:この『Mela!』は、どんなところに注目して聴いてほしいですか?
穴見:ミックスの観点でいうと、2番のBメロが終わったあたりから間奏が盛り上がるところがあるんですけど、いろんなエフェクトがかかったりしていて面白いかなって思います。

アーティストによってはミキシングを海外で行うことも。日本と海外でミキシングに違いがあるのだろうか。

横山:もちろん言語の違いもありますが、スタジオの造りも違うと思います。例えば、ロンドンのエア・スタジオは古い教会を改造していて、響きが豊かだったりします。あとは天気、楽器に影響する湿度とかは、録音の環境でも変わってくるのかなって思います。
あっこゴリラ:海外でやる人は、どんなことを求めていると思いますか?
横山:やっぱり日本とは違う環境になることでインスピレーションが湧きやすくなったりするので、そういうこともあるのかなと。

オンエアでは、横山が実際にスタジオでミキシングを披露する場面も。音量の加減で変わる印象や、録音した環境によるミックスへの影響にあっこゴリラは終始感激した様子だった。

最後に横山は、アーティストから求められるエンジニアの素質として「瞬発力の高さ」を挙げ、「一発で思い描いているものが出てくるというのも大事だと思います」とミキシングの極意を語った。

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