J-WAVEで放送中の番組『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。12月6日(日)のオンエアでは評論家・丸屋九兵衛がゲスト出演。タイ・ダラー・サインの楽曲を紹介した。「やる気がない」タイトルの楽曲に隠されたスゴさとは?
丸屋:最近のヒットは『ザ・ボーイズ』というAmazonプライム・ビデオのドラマなんですが、あれを観るとやっぱりクリスさんを思い出さずにはいられないというね。
クリス:なんで?
丸屋:カール・アーバンがメインでしょ? 2009年の『スター・トレック』の劇場版のジャパンプレミアムのときにクリスさんが司会で、カール・アーバンが(ジョークで)「私が始めて日本に来たのは『ロード・オブ・ザ・リング』というマイナーな映画のときです」と言ったら、クリスさんが「『ロード・オブ・ザ・リング』? 知らねえな」って言ったでしょ。
クリス:ハッハッハ!
丸屋:すごいのは、カール・アーバンはその通訳を待たずにクリスさんに殴りかかろうとしましたよね。
クリス:リアクションで僕がなにを言ったかわかっていたんでしょうね。
丸屋:いや、あの人、漢字の練習までしてるから……。
クリス:あっ、ホント? 日本語わかるのかな。
丸屋:わかるのかもしれない。なぜか私が持って行ったDVDに「和」っていうサインをくれましたよ。
クリス:じゃあ日本語ができるのかもしれない。
丸屋:「知らねえな」でわかったのかもしれないですよ。
クリス:そうなんだ。
丸屋:というエピソードを『ザ・ボーイズ』を観ると毎回思い出すんですよ。
クリス:今日はなにを持ってきてくれましたか?
丸屋:タイ・ダラー・サインというアーティストがいまして、そのとてもやる気がないタイトルの『Featuring Ty Dolla Sign』というアルバムが出たんです。
クリス:自分のアルバムにも関わらず?
丸屋:そうなんです。それでそのアルバムのなかから特にやる気がないタイトルの『Track 6』というのが6曲目に入っているんです。
クリス:それが名前なんですね。
丸屋:もうやる気のなさがすごいんです。なんですが、その曲でフィーチャーしているのが、カニエ・ウェスト、アンダーソン・パーク、サンダーキャットという。
クリス:スゲーなあ。
丸屋:この面子なのに、曲とアルバム名のやる気のなさがすごいんですよ。カニエ・ウェストがこんなところにちょろっと気軽に参加するのね、ってビックリしますよ。
クリス:わかるわかる。アンダーソン・パークとサンダーキャットはけっこうマブダチでずっといろいろなコラボレーションをしていますけど、ここでカニエが入るかっていう、すごいですよね。
クリス:どこでアンダーソン・パークとサンダーキャットが出てくるのかと思ったら、後半のほうでアンダーソンがラップで入って。
丸屋:アンダーソン・パークは歌っていたんですけど、サンダーキャットがなにをやっていたのかが、よくわからないんですよ。
クリス:最後の曲が別の曲になったあたりがサンダーキャットなんじゃないですか? 最後のファルセットのコーラスみたいな部分がサンダーキャットで、ベースも弾いている気がする。
丸屋:ちょっと面白いなと思うのがまさにその部分だと思うんですが、タイ・ダラー・サインってもともとベースなんですよ。
クリス:そうなんだ。
丸屋:タイ・ダラー・サインってラッパーが全員オートチューンで歌うようになってしまい、シンガーが滅亡に追いやられているこの時代を象徴するような人なんです。もともとベースから初めてギターとか鍵盤をやって、しかも歌うようになったという、とてもミュージシャン肌なのにこの時代に生き残るために、オートチューンで歌っているラッパーのフリをしている気がするんです。
クリス:わかるような気がします。いまのアメリカはいろいろな意味でシンプリファイ(単純化)されちゃっているので「コード進行も簡単にしないと売れない」みたいな、「能ある鷹は爪を隠す」という時代なのかもしれないですね。
丸屋:いまはシンガーをフィーチャーすることすらほとんどなくなっているんです。ラッパーがフィーチャーされてラッパーが歌っちゃってるでしょ?
クリス:まあでも、ちゃんとアンダーソンもサンダーキャットも参加していると。だから最初は「サンダー出ているのかな?」と。後半はでもちゃんと弾いてますけどね。
丸屋:実はミュージシャンシップにあふれる1曲だったということなんです。
クリス:なんかカニエが薄いのがホッとしたかなという感じ。
丸屋:やっぱり(笑)、私もそう思いました。
クリス:なかなかこの「やる気のなさ」に、ひとつの底力を感じるというね、そんな感じの曲ですよね。実は可能性で語ろうと思えば、無限大に語れるような曲ですよね。
丸屋:そうなんですよ。ミュージシャンがミュージシャンらしさを隠さないと生きられないこの時代というのを象徴しているような気がします。
クリス:いまのアメリカはそうでしょうね、シンプリファイというかすべてが簡素化されているというね。あまり複雑にいろいろと哲学的になっちゃうと逆に破滅しちゃうみたいなところがありますからね。
丸屋:「俺は楽器が弾けるぞ」とは絶対に言わないタイ・ダラー・サインというのが、潔いなと思います。
クリス:すごいですね、本当だったらバキバキなんでしょうね。
丸屋:ギターもベースも鍵盤もやるんでしょうけど。
クリス:面白い曲。今日はありがとうございました。
丸屋の最新情報は、Twitterまで。
『SAISON CARD TOKIO HOT 100』ではさまざまなデータをもとに、世界の音楽シーンからJ-WAVEが厳選した100曲をカウントダウン。ゲストを招いたトークコーナーにも注目。放送は毎週日曜の13時から。
『ザ・ボーイズ』を見るとクリスを思い出す丸屋
さまざまなジャンルの評論家である丸屋。ステイホーム期間中は、以前よりもサブスクリプション系のドラマを観るようになったそうだ。丸屋:最近のヒットは『ザ・ボーイズ』というAmazonプライム・ビデオのドラマなんですが、あれを観るとやっぱりクリスさんを思い出さずにはいられないというね。
クリス:なんで?
丸屋:カール・アーバンがメインでしょ? 2009年の『スター・トレック』の劇場版のジャパンプレミアムのときにクリスさんが司会で、カール・アーバンが(ジョークで)「私が始めて日本に来たのは『ロード・オブ・ザ・リング』というマイナーな映画のときです」と言ったら、クリスさんが「『ロード・オブ・ザ・リング』? 知らねえな」って言ったでしょ。
クリス:ハッハッハ!
丸屋:すごいのは、カール・アーバンはその通訳を待たずにクリスさんに殴りかかろうとしましたよね。
クリス:リアクションで僕がなにを言ったかわかっていたんでしょうね。
丸屋:いや、あの人、漢字の練習までしてるから……。
クリス:あっ、ホント? 日本語わかるのかな。
丸屋:わかるのかもしれない。なぜか私が持って行ったDVDに「和」っていうサインをくれましたよ。
クリス:じゃあ日本語ができるのかもしれない。
丸屋:「知らねえな」でわかったのかもしれないですよ。
クリス:そうなんだ。
丸屋:というエピソードを『ザ・ボーイズ』を観ると毎回思い出すんですよ。
やる気がない? シンプルなタイトルながらも豪華共演の1曲
丸屋はこの日のレコメン曲を紹介。タイトルはシンプルながらもメンバーは豪華で、クリスを驚かせた。クリス:今日はなにを持ってきてくれましたか?
丸屋:タイ・ダラー・サインというアーティストがいまして、そのとてもやる気がないタイトルの『Featuring Ty Dolla Sign』というアルバムが出たんです。
クリス:自分のアルバムにも関わらず?
丸屋:そうなんです。それでそのアルバムのなかから特にやる気がないタイトルの『Track 6』というのが6曲目に入っているんです。
クリス:それが名前なんですね。
丸屋:もうやる気のなさがすごいんです。なんですが、その曲でフィーチャーしているのが、カニエ・ウェスト、アンダーソン・パーク、サンダーキャットという。
クリス:スゲーなあ。
丸屋:この面子なのに、曲とアルバム名のやる気のなさがすごいんですよ。カニエ・ウェストがこんなところにちょろっと気軽に参加するのね、ってビックリしますよ。
クリス:わかるわかる。アンダーソン・パークとサンダーキャットはけっこうマブダチでずっといろいろなコラボレーションをしていますけど、ここでカニエが入るかっていう、すごいですよね。
ミュージシャンシップにあふれた1曲
番組では『Track 6 feat. Kanye West, Anderson .Paak & Thundercat』をオンエア。2人は曲に関するトークを繰り広げた。クリス:どこでアンダーソン・パークとサンダーキャットが出てくるのかと思ったら、後半のほうでアンダーソンがラップで入って。
丸屋:アンダーソン・パークは歌っていたんですけど、サンダーキャットがなにをやっていたのかが、よくわからないんですよ。
クリス:最後の曲が別の曲になったあたりがサンダーキャットなんじゃないですか? 最後のファルセットのコーラスみたいな部分がサンダーキャットで、ベースも弾いている気がする。
丸屋:ちょっと面白いなと思うのがまさにその部分だと思うんですが、タイ・ダラー・サインってもともとベースなんですよ。
クリス:そうなんだ。
丸屋:タイ・ダラー・サインってラッパーが全員オートチューンで歌うようになってしまい、シンガーが滅亡に追いやられているこの時代を象徴するような人なんです。もともとベースから初めてギターとか鍵盤をやって、しかも歌うようになったという、とてもミュージシャン肌なのにこの時代に生き残るために、オートチューンで歌っているラッパーのフリをしている気がするんです。
クリス:わかるような気がします。いまのアメリカはいろいろな意味でシンプリファイ(単純化)されちゃっているので「コード進行も簡単にしないと売れない」みたいな、「能ある鷹は爪を隠す」という時代なのかもしれないですね。
丸屋:いまはシンガーをフィーチャーすることすらほとんどなくなっているんです。ラッパーがフィーチャーされてラッパーが歌っちゃってるでしょ?
クリス:まあでも、ちゃんとアンダーソンもサンダーキャットも参加していると。だから最初は「サンダー出ているのかな?」と。後半はでもちゃんと弾いてますけどね。
丸屋:実はミュージシャンシップにあふれる1曲だったということなんです。
クリス:なんかカニエが薄いのがホッとしたかなという感じ。
丸屋:やっぱり(笑)、私もそう思いました。
クリス:なかなかこの「やる気のなさ」に、ひとつの底力を感じるというね、そんな感じの曲ですよね。実は可能性で語ろうと思えば、無限大に語れるような曲ですよね。
丸屋:そうなんですよ。ミュージシャンがミュージシャンらしさを隠さないと生きられないこの時代というのを象徴しているような気がします。
クリス:いまのアメリカはそうでしょうね、シンプリファイというかすべてが簡素化されているというね。あまり複雑にいろいろと哲学的になっちゃうと逆に破滅しちゃうみたいなところがありますからね。
丸屋:「俺は楽器が弾けるぞ」とは絶対に言わないタイ・ダラー・サインというのが、潔いなと思います。
クリス:すごいですね、本当だったらバキバキなんでしょうね。
丸屋:ギターもベースも鍵盤もやるんでしょうけど。
クリス:面白い曲。今日はありがとうございました。
丸屋の最新情報は、Twitterまで。
『SAISON CARD TOKIO HOT 100』ではさまざまなデータをもとに、世界の音楽シーンからJ-WAVEが厳選した100曲をカウントダウン。ゲストを招いたトークコーナーにも注目。放送は毎週日曜の13時から。
radikoで聴く
2020年12月13日28時59分まで
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番組情報
- SAISON CARD TOKIO HOT 100
-
毎週日曜13:00-16:54