J-WAVEで放送中の番組『CLASSY LIVING』(ナビゲーター:村治佳織)。11月21日(土)のオンエアでは、子どもに人気の図鑑『わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』(ダイヤモンド社)などを手掛けた図鑑制作者の丸山貴史さんがゲストに登場。生き物の進化について語った。
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丸山さんは「生き物で一番おもしろいと思うのは進化」だと語る。
丸山:進化には必ず理由があります。繁殖に有利なものがたくさん子孫を残して、それが積み重なることで進化が起きます。オスとメスの違いを見せることで、進化がどうして起きたか、なんでオスとメスに違いがあるのかを伝えることが、この本のテーマですね。
村治:この本では哺乳類から昆虫まで69種類ものオスとメスの違いがわかりやすく解説文とイラストで紹介されています。まとめるのは大変だったのでは。
丸山:ある程度バランスよく、いろいろな分類のものを入れたいなと思いました。人気があるのは哺乳類なんですが、哺乳類って意外とオスとメスの違いが少ないんです。
村治:違いがあるのは魚とかカエルとかですよね。
丸山:鳥もクジャクのオスはすごく派手だったり、違いが大きいものが多いんです。
村治:なぜ哺乳類は違いが少ないんですか?
丸山:もちろん違いが大きいものもいるので、本ではわりと違いがあるものを取り上げました。ですが、鳥や爬虫類に比べると、哺乳類は色を見る能力が退化しています。恐竜時代、ずっと夜に活動していた小さい生き物だったので、色を見る必要がないために退化しちゃってるんです。サルだけは二次的に色を見る能力が発達してきたので、マンドリルみたいに顔が派手で、お尻も派手なものが生まれてきましたが、哺乳類は毛色もみんな地味で、茶色か黒か白ぐらいしかいません。そういう意味では、オスとメスの違いも少ない部分が多い。哺乳類でオスとメスの違いがあるものは「体の大きさが違う」という感じですね。
丸山:今回のイラストはしょうのまきさんという方が担当していて、もともと動物を描いてらっしゃる方で、実際の姿かたちをあまりデフォルメしないでコミカルな感じに仕上げてくれています。
村治:図鑑というと精密に描かれているイメージがありますけど、『つがい動物図鑑』は精密な部分もありつつ表情豊かですよね。目がちょっと驚いていたり、ハートが描かれていたり、擬態語が書かれていたり。そういうことから「手に取りやすい図鑑」というイメージがあるのかなと思います。
村治は図鑑の中で「マレーシュモクバエ」の目が左右に大きく離れている点に注目した。
丸山:お互いに額を突き合わせるみたいにして、どちらの目が離れているかを競うんですよね。そういうことを競っているうちに、より目の間隔が長いオスがメスを獲得することが続いて、どんどんと長くなっていったということみたいです。
村治:こういうものを理科の時間とかに教わっていれば、もっと生物に興味を持っていたかもしれないです。
丸山:恐竜って実際はオスとメスがほとんどわかっていないんです。恐竜は全身が見つかっているものが少ないですし、恐竜のオスとメスは見分けるのがとっても難しいです。なぜかというと、骨の形が違わないんです。
村治:へえ。同じなんですね。
丸山:哺乳類の場合はすごく大きな赤ちゃんを産むので、骨盤の形がオスとメスで違うんですけど、爬虫類はそんなに大きくない卵を産むので、オスとメスでそこまで「ここが違う」という骨がない。化石だけで見るとわからないんです。ただ、パラサウロロフスは、「とさか」と言われている骨が後頭部に伸びていて、それが長いものと短いものがいるので、同じ種だとするならば短いほうがメスでしょうね。なぜかというと普通はオスのほうが派手だから。でもそう言われているだけで、はっきりと「絶対にこっちがオス」というわけではないんです。
村治:想像の世界ですね。
丸山:そうですね。基本的にはオスのほうが派手というのが動物の世界では基本パターンです。だから同じ種だと思われるもので2つのパターンがある場合は、地味なほうがメスだろうという考え方です。
丸山さんによると、人間は基本的に一夫一妻制が多いため進化しにくいのだという。
丸山:哺乳類でも、1頭のオスが100頭のメスと交尾をして99頭のオスは交尾をできないまま死ぬパターンだと、その1頭のオスの特徴が広がって進化が起きやすいんです。でも、一夫一妻でみんなが子孫を残したら、取り立てて誰かの特徴が残るということがないので、進化が起こりにくいんですよね。
村治:そもそもオスとメスがあるもののほうが繁栄するということですね。
現在、オスとメスがない動物は少ないという。「どちらも子孫を残せるような体の作りに進化したほうが数が増えるのでは?」と感じる人もいるかもしれないが、効率が悪くなるようだ。
丸山:たとえばカタツムリは、オスとメスを1つの体のなかに両方持っている雌雄同体です。そういうものが少なくなった理由は、1つの体で両方というのは便利なようですけど、やっぱり動物の世界は生き残り競争が激しいので、スペシャリストじゃないと生き残りにくいんだと思うんです。オスとメスに役割を分業した場合に「卵を作る能力」をオスは捨てることができるんですよね。そうすると体が軽くなってより広いところ、昆虫であれば飛び回ってメスを探すことができる。メスはそうやってオスが飛び回って探してくれるから、ほとんど動かないでたくさんの卵を体の中に作ることができる。そういうふうに分業することで、より効率よく子孫を残すことができるから、オスとメスに分かれている動物が多くなったんだと思います。
『CLASSY LIVING』では、極上の音楽に包まれるゆったりとした週末の54分のプログラムをお届けする。放送は毎週土曜の20時から。
【書誌情報】
書名:オス・メスくらべるとこんなに違う つがい動物図鑑
定価 :1,100円+税
判型:46判
体裁:並製
頁数:176頁
ISBN:978-4-7612-7504-4
発行日:2020年8月5日
哺乳類は「オスとメスの違いが少ない」のはなぜ?
丸山さんが手掛けた『わけあって絶滅しました。』や『ざんねんないきもの事典』シリーズ(高橋書店)が子どもからも大人からも大好評。そして新たに『オス・メスくらべるとこんなに違う つがい動物図鑑』(かんき出版)が出版された。「なんでオスとメスに違いがあるの?」「そもそもなんでオスとメスがあるの?」「どうしてこんなふうになったの?」という、根源的なところを突き詰めていく。『オス・メスくらべるとこんなに違う つがい動物図鑑』(かんき出版)
丸山:進化には必ず理由があります。繁殖に有利なものがたくさん子孫を残して、それが積み重なることで進化が起きます。オスとメスの違いを見せることで、進化がどうして起きたか、なんでオスとメスに違いがあるのかを伝えることが、この本のテーマですね。
村治:この本では哺乳類から昆虫まで69種類ものオスとメスの違いがわかりやすく解説文とイラストで紹介されています。まとめるのは大変だったのでは。
丸山:ある程度バランスよく、いろいろな分類のものを入れたいなと思いました。人気があるのは哺乳類なんですが、哺乳類って意外とオスとメスの違いが少ないんです。
村治:違いがあるのは魚とかカエルとかですよね。
丸山:鳥もクジャクのオスはすごく派手だったり、違いが大きいものが多いんです。
『オス・メスくらべるとこんなに違う つがい動物図鑑』(かんき出版)より
丸山:もちろん違いが大きいものもいるので、本ではわりと違いがあるものを取り上げました。ですが、鳥や爬虫類に比べると、哺乳類は色を見る能力が退化しています。恐竜時代、ずっと夜に活動していた小さい生き物だったので、色を見る必要がないために退化しちゃってるんです。サルだけは二次的に色を見る能力が発達してきたので、マンドリルみたいに顔が派手で、お尻も派手なものが生まれてきましたが、哺乳類は毛色もみんな地味で、茶色か黒か白ぐらいしかいません。そういう意味では、オスとメスの違いも少ない部分が多い。哺乳類でオスとメスの違いがあるものは「体の大きさが違う」という感じですね。
目の離れ具合を競う「マレーシュモクバエ」
『つがい動物図鑑』では、どのページの生き物たちも色合いや姿かたちがリアルに描かれているが、どこか親しみがある。おもしろさも出したい、という思いがあったそうだ。丸山:今回のイラストはしょうのまきさんという方が担当していて、もともと動物を描いてらっしゃる方で、実際の姿かたちをあまりデフォルメしないでコミカルな感じに仕上げてくれています。
村治:図鑑というと精密に描かれているイメージがありますけど、『つがい動物図鑑』は精密な部分もありつつ表情豊かですよね。目がちょっと驚いていたり、ハートが描かれていたり、擬態語が書かれていたり。そういうことから「手に取りやすい図鑑」というイメージがあるのかなと思います。
村治は図鑑の中で「マレーシュモクバエ」の目が左右に大きく離れている点に注目した。
丸山:お互いに額を突き合わせるみたいにして、どちらの目が離れているかを競うんですよね。そういうことを競っているうちに、より目の間隔が長いオスがメスを獲得することが続いて、どんどんと長くなっていったということみたいです。
村治:こういうものを理科の時間とかに教わっていれば、もっと生物に興味を持っていたかもしれないです。
恐竜の雌雄判断は「想像の世界」
『つがい動物図鑑』には。ニクトサウルスなど絶滅した動物も取り上げられている。丸山:恐竜って実際はオスとメスがほとんどわかっていないんです。恐竜は全身が見つかっているものが少ないですし、恐竜のオスとメスは見分けるのがとっても難しいです。なぜかというと、骨の形が違わないんです。
村治:へえ。同じなんですね。
丸山:哺乳類の場合はすごく大きな赤ちゃんを産むので、骨盤の形がオスとメスで違うんですけど、爬虫類はそんなに大きくない卵を産むので、オスとメスでそこまで「ここが違う」という骨がない。化石だけで見るとわからないんです。ただ、パラサウロロフスは、「とさか」と言われている骨が後頭部に伸びていて、それが長いものと短いものがいるので、同じ種だとするならば短いほうがメスでしょうね。なぜかというと普通はオスのほうが派手だから。でもそう言われているだけで、はっきりと「絶対にこっちがオス」というわけではないんです。
村治:想像の世界ですね。
丸山:そうですね。基本的にはオスのほうが派手というのが動物の世界では基本パターンです。だから同じ種だと思われるもので2つのパターンがある場合は、地味なほうがメスだろうという考え方です。
なぜ「オスとメス」があるのだろう?
『オス・メスくらべるとこんなに違う つがい動物図鑑』(かんき出版)より
丸山:哺乳類でも、1頭のオスが100頭のメスと交尾をして99頭のオスは交尾をできないまま死ぬパターンだと、その1頭のオスの特徴が広がって進化が起きやすいんです。でも、一夫一妻でみんなが子孫を残したら、取り立てて誰かの特徴が残るということがないので、進化が起こりにくいんですよね。
村治:そもそもオスとメスがあるもののほうが繁栄するということですね。
現在、オスとメスがない動物は少ないという。「どちらも子孫を残せるような体の作りに進化したほうが数が増えるのでは?」と感じる人もいるかもしれないが、効率が悪くなるようだ。
丸山:たとえばカタツムリは、オスとメスを1つの体のなかに両方持っている雌雄同体です。そういうものが少なくなった理由は、1つの体で両方というのは便利なようですけど、やっぱり動物の世界は生き残り競争が激しいので、スペシャリストじゃないと生き残りにくいんだと思うんです。オスとメスに役割を分業した場合に「卵を作る能力」をオスは捨てることができるんですよね。そうすると体が軽くなってより広いところ、昆虫であれば飛び回ってメスを探すことができる。メスはそうやってオスが飛び回って探してくれるから、ほとんど動かないでたくさんの卵を体の中に作ることができる。そういうふうに分業することで、より効率よく子孫を残すことができるから、オスとメスに分かれている動物が多くなったんだと思います。
『CLASSY LIVING』では、極上の音楽に包まれるゆったりとした週末の54分のプログラムをお届けする。放送は毎週土曜の20時から。
【書誌情報】
書名:オス・メスくらべるとこんなに違う つがい動物図鑑
定価 :1,100円+税
判型:46判
体裁:並製
頁数:176頁
ISBN:978-4-7612-7504-4
発行日:2020年8月5日
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2020年11月28日28時59分まで
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番組情報
- CLASSY LIVING
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