門脇 麦&水原希子が演じた「最高にカッコいい女性」 映画『あのこは貴族』は、解放される物語

第33回東京国際映画祭で5日、今最も旬なキャスト・監督・原作者のアンサンブルで贈るシスターフッドムービー『あのこは貴族』(来年2月26日公開)が特別招待作品として上映され、門脇 麦、水原希子、高良健吾、そして岨手由貴子監督が舞台挨拶を行った。

作家・山内マリコの同名小説を原作に、都会の異なる環境を生きる2人の女性が、それぞれの環境と向き合いながら、恋愛や結婚だけではない人生を切り拓く姿を描く。門脇が演じるのは、東京に生まれ、箱入り娘として何不自由なく成長し、「結婚=幸せ」と信じて疑わない華子。一方の水原は、地方から猛勉強の末に名門大学に入学し上京したが、学費が続かず、夜の世界で働くも中退。仕事にやりがいを感じているわけでもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいる美紀を演じる。



箱入り娘・華子役の門脇は、水原とは出演パートが別れてるだけに「現場でもすれ違わなかったので、美紀(水原)のパートがどのようになっているのか想像がつきませんでした」と完成に期待して「前半と後半が違うくらい、華子は硬い画で、美紀は希子ちゃんが軽やかで伸びがある感じで軽やかな後半パートになっていました。ふっと二人が交わる瞬間に“こういう映画なのか!”とパーツが繋がった気がして、しかも希子ちゃんが最高にかっこよくてかわいくて素敵でサイコーでした」と絶賛した。



一方、地方から上京し、自力で生きる美紀役の水原は「いろんな葛藤を乗り越えて強く日々を送っている女性。脚本を読んだときがちょうど自分も起業をしたタイミングだったので、役柄とリンクしました」と共鳴。華子を演じた門脇については「タイトルが出てくるときの麦ちゃんの表情が魅力的で……麦ちゃんかっこいい!と思った」と褒め返していた。



華子と美紀を繋ぐ弁護士・幸一郎役の高良は「幸一郎は生まれながらにして一流のものが用意されているような人。その恵まれた環境の中での生きづらさは僕にはわかりませんでしたが、演じているうちに幸一郎の葛藤を理解しました」と共感。門脇と水原との共演には「美紀のときは心が開くというかやりやすくて、華子のときは心が開けなくてやりづらさを感じて。それぞれの違うという面白さを感じました」と役柄によっての空気感の違いを紹介しつつ「でも女性陣はかわいいし、かっこいい!」と太鼓判を押していた。



岨手監督は撮影を振り返り「監督として、いろいろなアプローチの中で演出しなければいけなかったのは初めて」と新鮮な表情。現場では「皆さんがアイデアを出してそれを受け入れて演出していくうちに、脚本上で設計したキャラクターからズレていき、完成形のキャラクターが出来上がっていった。役者さんが演じることでキャラクターに命が吹き込まれたのを、ここまで実感したのは初めてです」とキャスティングに自信を持っていた。

最後に門脇は本作を「解放される物語」と表現し「人は生きていく中でおのずと自分をカテゴライズしてしまう。でもちょっと角度を変えたり、新しい出会いがあったりすると、自分の視界が開けたり、自分のいいところを見つけて好きになれる。それをみつけてあげるかどうかで、人生もちょっとはよくなるということを言っている映画だと思います。映画観終わったあとに、少しでもいい自分が自分の中にいるかも……と思ってもらえたら嬉しい」と呼びかけた。

映画『あのこは貴族』公式サイトはこちら

(文・写真=石井隼人)

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