J-WAVEで放送中の番組『ROPPONGI PASSION PIT』(ナビゲーター:DEAN FUJIOKA/三原勇希)。各界で活躍する情熱を持ったゲストを迎えて、「好き」や「情熱」をテーマにトークを展開。
9月19日(土)のオンエアでは、漫画家、タレント、放送作家、プログラマーとマルチに活躍する、カメルーン生まれ日本育ちの星野ルネが登場。Twitterでエッセイ漫画を描いたきっかけを語ったほか、DEANと多様性の中で起こりうる個々人の関係性について意見を交えた。
DEANと星野は、この日のオンエアが初対面。DEANは、2年ほど前にTwitterに投稿されたエッセイ漫画を読んで星野の存在を知り、そこからずっと興味を持っていたと話す。
・星野ルネTwitter
https://twitter.com/renehosino
三原:Twitterに毎日漫画を投稿されているんですか?
星野:毎日が理想ですけど、実際は週5、6回ですね。毎朝5時くらいに起きて漫画を描いています。漫画を描くのは朝が一番いいんですよね。
DEAN:やっぱり朝なんだ。ルーティンとして漫画を描いて一日が始まるんですね。
星野:前日、散歩しているときにイメージを作っておいて、翌日の朝起きて一気に描きます。
星野は、カメルーンと日本、両国目線で描いた漫画をTwitterに投稿したきっかけについて、こう話す。
星野:僕はカメルーンで生まれて、4歳から兵庫県姫路市に引っ越したので、ほぼ姫路育ちなんです。あるとき、飲食店にいたお客さんに「きみの話は日本だけで育っているとなかなか聞けない面白い話だから、もっと多くの人に話したほうがいい」と言われました。それを聞いて「よし上京しよう」と思いました。最初はアフリカ系日本人タレントとして、自分の生い立ちなどいろんな話を伝えようと思っていたんですけど、なかなかチャンスがなくて。自分で発信する方法はないかと考えた結果、このSNS全盛の時代に子どもの頃から好きだった漫画を日記感覚で描いていこうと思い、スタートしました。そうしたら徐々に支持していただけるようになって、今に至ります。
三原:「きみの話は面白い」と言われた理由ってなんだったんですか?
星野:よく「日本に来て驚いたことは?」と訊かれるけど、僕は4歳から日本で暮らしはじめたので、物心がついた頃はほぼ日本にいました。だから、どちらかというと小学生の頃にカメルーンに帰ったときに、カルチャーギャップがあったんです。「俺の生まれ故郷は日本とだいぶ違う」って(笑)。
DEAN:そっちなんですね(笑)。
星野は日本人目線で自分の故郷の違いに気づいた、と幼少期を振り返る。
星野:たとえば日本人は「カメルーンではニシキヘビを食べる」と言うと「ええ!」と驚くけど、日本人ってタコを食べますよねって。タコはカメルーンの人からすると「ええ!」だよ、と。他にも、この見た目のせいで英語を話せて当たり前と思われて「英語は話せないの?」と言われるけど、「俺が最初に英語を勉強したのは中学校からだから、きみと条件はいっしょだよ」と言うようなこととか、案外みんなが考えていない気づきがあるんです。僕としては当たり前なんですけど、それは僕の境遇だから考えることで、普通はその違いを考えないですからね。「もし俺がアフリカに生まれたら、ニシキヘビをおいしく食べたのかな」って考える日本人はいないですよね。そういうことって自分でしか発見できないことなので、それを伝えると「なるほど!」って思ってくれる。そういうところの話をしていきましたね。
星野:実は今日も、とある場所でアクションの稽古をしていました。全く自分の畑とは違う場所に行くと、新しいイマジネーションが出てくるので。
DEAN:僕も今日は同じで、アクションの練習で刀を振り回していました(笑)。(星野さんの)漫画とか自分の中から生まれるものを作る仕事も楽しみだけど、人から頼まれて受ける仕事も向いてそうだなと思うんです。
星野:ほんとですか!
DEAN:自分も作る仕事と、場所を準備してもらって臨む仕事の両方をしているけど、例えば脚本を書いたときに「星野ルネさんにしかできない役があるな」って思いながら、いま見ていました(笑)。キャスティングの目で見て、なかなかない可能性を持っているなって。だから、演技の仕事は続けたほうがいいんじゃないかって勝手に思いました。
星野はDEANの言葉にうなずきながら、自分だからこそできる役について語る。
星野:昔だと外国人の役しかなかったんですけど、日本語が普通に話せるアフリカ系の人の役が来たらめちゃくちゃいいなと思っています。日本社会が変化するなかで、そういう人が出ていても不思議じゃない、みたいな。僕と話しているときに「星野ルネのこのキャラクターで、何かの役を作ってみたいな」と思ってもらえたら、めちゃくちゃうれしいですね。
DEAN:まさにそう思った。ちょっと考えよ。
三原:いつかふたりの共演があるかもしれないですね。
星野:僕が中学生のときに男子3人と女子3人でカラオケに行ったことがあって、当時、T.M.Revolutionにハマっていたので『WHITE BREATH』を歌ったんです。カラオケが終わって解散したあと、友だちから「女にモテたいならお前の見た目でT.M.Revolutionは違う」って言われたんです(笑)。
DEAN:(笑)。
星野:最初はその意味がわからなかったんですけど、確かにアフリカ系の俺にT.M.Revolutionのイメージはないんだろうなって気づきました。「もうちょっと自分のイメージと統一感を出したほうがいい」と言われたから、「なるほど!」と思い、今度は三木道三の『Lifetime Respect』を歌いました。レゲエなので、僕が歌ったら女の子の反応もよくて、友だちに「だいぶ近づいた。あとは英語で何か歌ったら間違いない」と言われました(笑)。
この話を星野は面白いネタとして捉えているが、人によっては偏見や差別と捉えることもできると続ける。
星野:「見た目がアフリカ系だからって、なんでアフリカ人のイメージに寄せなきゃいけないの」というふうにも取れますよね。僕は楽しめるタイプなので、「そう思う人もいるのか」と思う一方で、「それはなし」と言う人もいるのかと感じて難しいなと。最近、この問題ってテレビで取り上げられることがすごく多いですよね。例えば、女性芸人で「ブス」っていじられるのが嫌だっていう人もいれば、「ブス」っていじってほしい人もいる。同じ属性を使って笑いにしたいと思う一方で、それをしてほしくはないという人がいて、これからはそういう多様性とともに、同じ属性を持っている者同士での意見の調整が(大切になってくると思います)。
DEAN:それがポイントですよね。同じ属性を持っている者同士の調整。
星野:僕にウケたからって、僕の友たちが他のアフリカ系の人に同じネタをすると「この野郎!」って怒られる可能性があるんです。逆に僕に「ルネさん、その体験ってつらかったですよね」と言われても、「俺はけっこう楽しめるほうなんだけどな」って思う場合がある。だからマジョリティの人が「どっちに合わせればいいのか」と迷ってしまう。こういうことが、これから日本で盛り上がってくる議論だと思います。
DEAN:多様化に伴って必ずついてくる議論ですよね。そんなときに、星野ルネさんの漫画や存在がひとつの解決の方法というか、希望になると思います。
星野:まずは2パターンの人がいるって知るだけでもいいと思います。それだけでも気をつけられることがある。
星野:自分の頭だけで作った想像も、それを実現するための情熱がないとそこまで走りきれないので、そのための燃料が情熱だと思います。
三原:確かにイメージするのは簡単だけど、そこから実際に生み出すことが大切ですね。
星野:漫画でもなんでも考えるのは楽しいんです。でも実際にかたちにするとなるとかなり大変な作業がたくさんあるので、そこを走り切れる情熱がないと、おそらくそこまでたどり着けないと思います。
DEAN:なるほど。確かにそうですよね。
星野が描いた漫画『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』をはじめ、『まんが アフリカ少年が見つけた 世界のことわざ大集合 星野ルネのワンダフル・ワールド・ワーズ!』(集英社)など、ぜひ手にとってほしい。
『ROPPONGI PASSION PIT』は、東京・六本木に出現した、いろいろな人の“情熱"が集まり、重なり合い、さらに熱を増して燃え上がる秘密基地として、みんなの熱い思いを電波に乗せて発信。放送は毎週土曜の23時から。
9月19日(土)のオンエアでは、漫画家、タレント、放送作家、プログラマーとマルチに活躍する、カメルーン生まれ日本育ちの星野ルネが登場。Twitterでエッセイ漫画を描いたきっかけを語ったほか、DEANと多様性の中で起こりうる個々人の関係性について意見を交えた。
日本人目線で自分の故郷の違いに気づいた
星野は1984年アフリカのカメルーン共和国生まれ。4歳で来日し、兵庫県で育つ。その後、放送作家を目指し上京。2011年にフジテレビ『求む!新人放送作家。』に応募し、第1回グランプリを授賞。2018年からTwitterで発表していたエッセイ漫画『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』(毎日新聞出版)を書籍化し、大きな話題となった。DEANと星野は、この日のオンエアが初対面。DEANは、2年ほど前にTwitterに投稿されたエッセイ漫画を読んで星野の存在を知り、そこからずっと興味を持っていたと話す。
・星野ルネTwitter
https://twitter.com/renehosino
三原:Twitterに毎日漫画を投稿されているんですか?
星野:毎日が理想ですけど、実際は週5、6回ですね。毎朝5時くらいに起きて漫画を描いています。漫画を描くのは朝が一番いいんですよね。
DEAN:やっぱり朝なんだ。ルーティンとして漫画を描いて一日が始まるんですね。
星野:前日、散歩しているときにイメージを作っておいて、翌日の朝起きて一気に描きます。
星野は、カメルーンと日本、両国目線で描いた漫画をTwitterに投稿したきっかけについて、こう話す。
星野:僕はカメルーンで生まれて、4歳から兵庫県姫路市に引っ越したので、ほぼ姫路育ちなんです。あるとき、飲食店にいたお客さんに「きみの話は日本だけで育っているとなかなか聞けない面白い話だから、もっと多くの人に話したほうがいい」と言われました。それを聞いて「よし上京しよう」と思いました。最初はアフリカ系日本人タレントとして、自分の生い立ちなどいろんな話を伝えようと思っていたんですけど、なかなかチャンスがなくて。自分で発信する方法はないかと考えた結果、このSNS全盛の時代に子どもの頃から好きだった漫画を日記感覚で描いていこうと思い、スタートしました。そうしたら徐々に支持していただけるようになって、今に至ります。
三原:「きみの話は面白い」と言われた理由ってなんだったんですか?
星野:よく「日本に来て驚いたことは?」と訊かれるけど、僕は4歳から日本で暮らしはじめたので、物心がついた頃はほぼ日本にいました。だから、どちらかというと小学生の頃にカメルーンに帰ったときに、カルチャーギャップがあったんです。「俺の生まれ故郷は日本とだいぶ違う」って(笑)。
DEAN:そっちなんですね(笑)。
星野は日本人目線で自分の故郷の違いに気づいた、と幼少期を振り返る。
星野:たとえば日本人は「カメルーンではニシキヘビを食べる」と言うと「ええ!」と驚くけど、日本人ってタコを食べますよねって。タコはカメルーンの人からすると「ええ!」だよ、と。他にも、この見た目のせいで英語を話せて当たり前と思われて「英語は話せないの?」と言われるけど、「俺が最初に英語を勉強したのは中学校からだから、きみと条件はいっしょだよ」と言うようなこととか、案外みんなが考えていない気づきがあるんです。僕としては当たり前なんですけど、それは僕の境遇だから考えることで、普通はその違いを考えないですからね。「もし俺がアフリカに生まれたら、ニシキヘビをおいしく食べたのかな」って考える日本人はいないですよね。そういうことって自分でしか発見できないことなので、それを伝えると「なるほど!」って思ってくれる。そういうところの話をしていきましたね。
「星野ルネさんにしかできない役があるな」
漫画家に加え、タレントや放送作家として幅広く活躍する星野。最近はドラマのエキストラなど、演技の仕事にも挑戦している。星野:実は今日も、とある場所でアクションの稽古をしていました。全く自分の畑とは違う場所に行くと、新しいイマジネーションが出てくるので。
DEAN:僕も今日は同じで、アクションの練習で刀を振り回していました(笑)。(星野さんの)漫画とか自分の中から生まれるものを作る仕事も楽しみだけど、人から頼まれて受ける仕事も向いてそうだなと思うんです。
星野:ほんとですか!
DEAN:自分も作る仕事と、場所を準備してもらって臨む仕事の両方をしているけど、例えば脚本を書いたときに「星野ルネさんにしかできない役があるな」って思いながら、いま見ていました(笑)。キャスティングの目で見て、なかなかない可能性を持っているなって。だから、演技の仕事は続けたほうがいいんじゃないかって勝手に思いました。
星野はDEANの言葉にうなずきながら、自分だからこそできる役について語る。
星野:昔だと外国人の役しかなかったんですけど、日本語が普通に話せるアフリカ系の人の役が来たらめちゃくちゃいいなと思っています。日本社会が変化するなかで、そういう人が出ていても不思議じゃない、みたいな。僕と話しているときに「星野ルネのこのキャラクターで、何かの役を作ってみたいな」と思ってもらえたら、めちゃくちゃうれしいですね。
DEAN:まさにそう思った。ちょっと考えよ。
三原:いつかふたりの共演があるかもしれないですね。
なにが差別に当たるか。同じ属性の人たち同士で議論が必要だ
DEANと星野は、日本の多様化で起こりうる個々人の関係性についてもトークを展開した。星野:僕が中学生のときに男子3人と女子3人でカラオケに行ったことがあって、当時、T.M.Revolutionにハマっていたので『WHITE BREATH』を歌ったんです。カラオケが終わって解散したあと、友だちから「女にモテたいならお前の見た目でT.M.Revolutionは違う」って言われたんです(笑)。
DEAN:(笑)。
星野:最初はその意味がわからなかったんですけど、確かにアフリカ系の俺にT.M.Revolutionのイメージはないんだろうなって気づきました。「もうちょっと自分のイメージと統一感を出したほうがいい」と言われたから、「なるほど!」と思い、今度は三木道三の『Lifetime Respect』を歌いました。レゲエなので、僕が歌ったら女の子の反応もよくて、友だちに「だいぶ近づいた。あとは英語で何か歌ったら間違いない」と言われました(笑)。
この話を星野は面白いネタとして捉えているが、人によっては偏見や差別と捉えることもできると続ける。
星野:「見た目がアフリカ系だからって、なんでアフリカ人のイメージに寄せなきゃいけないの」というふうにも取れますよね。僕は楽しめるタイプなので、「そう思う人もいるのか」と思う一方で、「それはなし」と言う人もいるのかと感じて難しいなと。最近、この問題ってテレビで取り上げられることがすごく多いですよね。例えば、女性芸人で「ブス」っていじられるのが嫌だっていう人もいれば、「ブス」っていじってほしい人もいる。同じ属性を使って笑いにしたいと思う一方で、それをしてほしくはないという人がいて、これからはそういう多様性とともに、同じ属性を持っている者同士での意見の調整が(大切になってくると思います)。
DEAN:それがポイントですよね。同じ属性を持っている者同士の調整。
星野:僕にウケたからって、僕の友たちが他のアフリカ系の人に同じネタをすると「この野郎!」って怒られる可能性があるんです。逆に僕に「ルネさん、その体験ってつらかったですよね」と言われても、「俺はけっこう楽しめるほうなんだけどな」って思う場合がある。だからマジョリティの人が「どっちに合わせればいいのか」と迷ってしまう。こういうことが、これから日本で盛り上がってくる議論だと思います。
DEAN:多様化に伴って必ずついてくる議論ですよね。そんなときに、星野ルネさんの漫画や存在がひとつの解決の方法というか、希望になると思います。
星野:まずは2パターンの人がいるって知るだけでもいいと思います。それだけでも気をつけられることがある。
自分の想像は、それを実現するための情熱がないと走りきれない
この番組では毎回ゲストに、自分が思う「情熱」とはなにかを訊く。星野は「想像したイメージを、実際に創造するための燃料」と答えた。星野:自分の頭だけで作った想像も、それを実現するための情熱がないとそこまで走りきれないので、そのための燃料が情熱だと思います。
三原:確かにイメージするのは簡単だけど、そこから実際に生み出すことが大切ですね。
星野:漫画でもなんでも考えるのは楽しいんです。でも実際にかたちにするとなるとかなり大変な作業がたくさんあるので、そこを走り切れる情熱がないと、おそらくそこまでたどり着けないと思います。
DEAN:なるほど。確かにそうですよね。
星野が描いた漫画『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』をはじめ、『まんが アフリカ少年が見つけた 世界のことわざ大集合 星野ルネのワンダフル・ワールド・ワーズ!』(集英社)など、ぜひ手にとってほしい。
『ROPPONGI PASSION PIT』は、東京・六本木に出現した、いろいろな人の“情熱"が集まり、重なり合い、さらに熱を増して燃え上がる秘密基地として、みんなの熱い思いを電波に乗せて発信。放送は毎週土曜の23時から。
番組情報
- ROPPONGI PASSION PIT
-
毎週土曜23:00-23:54