女優・創作あーちすと のんが、自身が出演した映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』の岩井俊二監督をゲストに招き、映画製作におけるNEW NORMAL、映画文化の発展とこれからのイノベーションについて語りあった。
のんと岩井がトークを展開したのは、9月20日(日)放送のJ-WAVEのPodcast連動プログラム『INNOVATION WORLD ERA』のワンコーナー「FROM THE NEXT ERA」。のんは同番組の第3週目のマンスリーナビゲーターを務める。
【あらすじ】
通販サイトでコロナと戦ってくれるというカプセル怪獣を買ったサトウタクミ(斎藤工)。毎日怪獣の成長を配信しているタクミの元には、通販で宇宙人を買ったという後輩の丸戸のん(のん)や、コロナの影響で無職になってしまった先輩のオカモトソウ(武井壮)など、色々な人から連絡がくる。日に日に怪獣は成長していくが、どうもYouTuberもえかす(穂志もえか)が育てる怪獣とは種類が違うようだ。怪獣に詳しい知り合いの樋口監督(樋口真嗣)にノウハウを聞きながら、日々怪獣を育てていくタクミ。果たしてタクミはきちんと怪獣を育てることができるのか? そして、この怪獣はコロナをやっつけてくれるのか?
(公式サイトより)
岩井:(出演者とは)一度もお会いせぬまま撮影をするという、リモートでの作品制作でした。あのときは、完全にみなさんステイホームの真っただ中だったので。「こんなことがあるんだな」と思いながら(笑)。
のん:そうですね、画面越しに「よろしくお願いします」をして、演出もすべてリモートで。
岩井:今もアクリル板越しですし。
のん:1枚隔てて。
岩井:でも、今年はそういう年になってしまいましたね。
のん:そうですね。新しい試みの映画に参加できるという楽しみもあったし、いただいた脚本がすごく面白くて、どうなるのかとワクワクしました。そこに参加できるのがすごく幸せでしたね。
岩井:楽しい台本でしたよね。
のん:楽しかったです。
岩井:忘れがたい作品になった気がしますね。
のん:樋口真嗣監督のプロジェクトから派生された企画ということですね。
岩井:樋口監督と、あとはお友だちで。このコロナのなか、みんなステイホームでストレスも溜まっているだろうということで、樋口さんたちが呼びかけ人になって、みんなで自分の怪獣に「コロナと戦ってこい」みたいな。
のん:私も参加しました、斎藤工さんも。
岩井:「斎藤さんがトップランナーで。その動画に他にも参加してくれ」という依頼が樋口監督から来て。だから大体30秒ぐらいとかの短さの動画を撮って送れば終わりだったんです。だけど、いろいろと考えているうちにこの話を思いついてしまって。
のん:思いついちゃった!?
岩井:そうですね。最初は「卵から育てたらどうなるかな?」というところから始まりました。3分くらいの長さになるのかなと思って、書き始めているうちに段々と伸びてきちゃって(笑)。
のん:(笑)。
岩井:もともとの『カプセル怪獣計画』が自撮り的じゃないですか。自分が演じる予定だったわけですけど、30分くらいの長さになって「これはさすがに自分じゃ無理だ」ということで、ちゃんとキャスティングをしようと斎藤工さんにお願いしました。すぐに撮影が始まったんですよね。僕が作った怪獣を直接ご自宅までお届けしたんですけど、ひっくり返ると壊れちゃったりするので、そーっと持っていったんです。玄関の外で受け渡しをして(笑)。
のん:なんかその姿を想像すると面白いですね(笑)。
岩井:はたから見ていたら「あの2人なにやっているんだろう?」っていう感じだったと思いますけど。
のん:ブツの交換を。
岩井:そう、ブツの交換を(笑)。すぐに斎藤さんから「こんな感じで撮りました」と動画が送られてきて。1日に1個ずつ送られてくるんです。これをまとめて撮ったら1日で撮り切れてちゃうぐらいの量だと思うんですけれど、彼自身の「少しずつヒゲが伸びていくところも見せたいし」というこだわりもあったそうです。
のん:なるほど。
岩井:僕のほうは暇で、夕方に動画が送られてくるのを待っているだけだったんで、ぼんやりと考えているうちにどんどんと話がまた膨らんで(笑)。
のん:その夕方までの時間で。
岩井:そこでまた書き足していくうちに、のんちゃんのシーンが出てきたり、武井壮さんのシーンが出てきたりして。台本上ではそのぐらいですね。普通は「撮影が大変」とかいろいろとありそうなんですけど、そんなになくて楽しく撮影を終わることができた気がします。
岩井:今振り返ると、みんなバラバラでリモートで撮影をしていた印象があまりないというか……ちゃんとそこにいて、一緒に現場をやっていたような記憶しか残っていないようなところがありますね。どうですか?
のん:私も監督とか斎藤さんとはリモート越しで演技をしたり演出をしていただいたりという感じだったんですけど、想像力を働かせて、ちゃんと頭を一致させてみんなで作っていれば、充実感があるんだなというのはすごく感じました。
岩井:来月、再来月になったら「あれ、コロナいなくなっちゃったよ」「どうしちゃったの?」っていうのが誰にとっても一番ハッピーなわけですけど。これがどうなるんだろう?というのがなかなかわからない状況のなかで、それでもみんなそれぞれ妙に空いてしまった時間とか、逆にプレッシャーなく自分のやってきた仕事に向き合いなおしているような話を周りからも聞きます。大変なんだけど、ちょっと違うアングルから自分たちがいる世界を眺めなおしているというんですかね? そういうタイミングなのかなと。いつまでもずっと……ということではきっとないと思うので。なんとか耐えしのんで次につないでいかないと……と思ったり、僕自身はスタッフや役者さんたちに場を提供する監督・プロデューサーという立場なので、なんとか場面作りをやっていかないといけないなと。後輩に行定(勲)監督というのがいるんですけど、彼とも電話でお互いに意見交換をしたり、そういう場面がけっこう多い気がしますね。
のん:私もちょっと時間ができて「こんなことでいいのか?」と思っているときに、この怪獣の映画のオファーがきて「どんな状況でも岩井監督は、映像を撮るんだ」というのにすごく勇気が湧いたというか。「私も頑張って演技をしなければ」と思いました。
岩井:「自分は女優だったんだ」って思ったって言ってたよね。
のん:そうなんですよ(笑)。なんか休んじゃっていたけど、私は女優だったと思って。「ちゃんと演技をしましょう」って気合いが入りました。
『INNOVATION WORLD ERA』では、各界のイノベーターが週替りでナビゲート。第1週目はライゾマティクスの真鍋大度、第2週目はASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文、第3週目は女優で創作あーちすとの「のん」、第4週目はクリエイティブディレクター・小橋賢児。放送は毎週日曜日23時から。
のんと岩井がトークを展開したのは、9月20日(日)放送のJ-WAVEのPodcast連動プログラム『INNOVATION WORLD ERA』のワンコーナー「FROM THE NEXT ERA」。のんは同番組の第3週目のマンスリーナビゲーターを務める。
全編ほぼリモートで撮影!「忘れがたい作品になった」
岩井がメガホンをとった映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』で、のんは、通販で星人を購入して育て始めるという丸戸のん役で出演。同作は全編ほぼリモートで撮影され、オフィシャルサイトでは「2020年の今を切り取る作品がここに誕生しました」と紹介されている。通販サイトでコロナと戦ってくれるというカプセル怪獣を買ったサトウタクミ(斎藤工)。毎日怪獣の成長を配信しているタクミの元には、通販で宇宙人を買ったという後輩の丸戸のん(のん)や、コロナの影響で無職になってしまった先輩のオカモトソウ(武井壮)など、色々な人から連絡がくる。日に日に怪獣は成長していくが、どうもYouTuberもえかす(穂志もえか)が育てる怪獣とは種類が違うようだ。怪獣に詳しい知り合いの樋口監督(樋口真嗣)にノウハウを聞きながら、日々怪獣を育てていくタクミ。果たしてタクミはきちんと怪獣を育てることができるのか? そして、この怪獣はコロナをやっつけてくれるのか?
(公式サイトより)
岩井:(出演者とは)一度もお会いせぬまま撮影をするという、リモートでの作品制作でした。あのときは、完全にみなさんステイホームの真っただ中だったので。「こんなことがあるんだな」と思いながら(笑)。
のん:そうですね、画面越しに「よろしくお願いします」をして、演出もすべてリモートで。
岩井:今もアクリル板越しですし。
のん:1枚隔てて。
岩井:でも、今年はそういう年になってしまいましたね。
のん:そうですね。新しい試みの映画に参加できるという楽しみもあったし、いただいた脚本がすごく面白くて、どうなるのかとワクワクしました。そこに参加できるのがすごく幸せでしたね。
岩井:楽しい台本でしたよね。
のん:楽しかったです。
岩井:忘れがたい作品になった気がしますね。
30秒の動画が気が付けば大作に
『8日で死んだ怪獣の12日の物語』は「カプセル怪獣計画」をもとに制作された。新型コロナウイルス感染防止策に伴う外出自粛要請を受け、樋口真嗣監督が仲間と共に考案した、リレー形式で動画をつなげていく企画だ。のん:樋口真嗣監督のプロジェクトから派生された企画ということですね。
岩井:樋口監督と、あとはお友だちで。このコロナのなか、みんなステイホームでストレスも溜まっているだろうということで、樋口さんたちが呼びかけ人になって、みんなで自分の怪獣に「コロナと戦ってこい」みたいな。
のん:私も参加しました、斎藤工さんも。
のん:思いついちゃった!?
岩井:そうですね。最初は「卵から育てたらどうなるかな?」というところから始まりました。3分くらいの長さになるのかなと思って、書き始めているうちに段々と伸びてきちゃって(笑)。
のん:(笑)。
岩井:もともとの『カプセル怪獣計画』が自撮り的じゃないですか。自分が演じる予定だったわけですけど、30分くらいの長さになって「これはさすがに自分じゃ無理だ」ということで、ちゃんとキャスティングをしようと斎藤工さんにお願いしました。すぐに撮影が始まったんですよね。僕が作った怪獣を直接ご自宅までお届けしたんですけど、ひっくり返ると壊れちゃったりするので、そーっと持っていったんです。玄関の外で受け渡しをして(笑)。
のん:なんかその姿を想像すると面白いですね(笑)。
岩井:はたから見ていたら「あの2人なにやっているんだろう?」っていう感じだったと思いますけど。
のん:ブツの交換を。
岩井:そう、ブツの交換を(笑)。すぐに斎藤さんから「こんな感じで撮りました」と動画が送られてきて。1日に1個ずつ送られてくるんです。これをまとめて撮ったら1日で撮り切れてちゃうぐらいの量だと思うんですけれど、彼自身の「少しずつヒゲが伸びていくところも見せたいし」というこだわりもあったそうです。
のん:なるほど。
岩井:僕のほうは暇で、夕方に動画が送られてくるのを待っているだけだったんで、ぼんやりと考えているうちにどんどんと話がまた膨らんで(笑)。
のん:その夕方までの時間で。
岩井:そこでまた書き足していくうちに、のんちゃんのシーンが出てきたり、武井壮さんのシーンが出てきたりして。台本上ではそのぐらいですね。普通は「撮影が大変」とかいろいろとありそうなんですけど、そんなになくて楽しく撮影を終わることができた気がします。
自分たちを見つめなおした時期
『8日で死んだ怪獣の12日の物語』はステイホーム期間中だからこそ生まれた作品だ。岩井によると、こんな時期だからこそ、自らを見つめなおすきっかけにもなったという。岩井:今振り返ると、みんなバラバラでリモートで撮影をしていた印象があまりないというか……ちゃんとそこにいて、一緒に現場をやっていたような記憶しか残っていないようなところがありますね。どうですか?
のん:私も監督とか斎藤さんとはリモート越しで演技をしたり演出をしていただいたりという感じだったんですけど、想像力を働かせて、ちゃんと頭を一致させてみんなで作っていれば、充実感があるんだなというのはすごく感じました。
岩井:来月、再来月になったら「あれ、コロナいなくなっちゃったよ」「どうしちゃったの?」っていうのが誰にとっても一番ハッピーなわけですけど。これがどうなるんだろう?というのがなかなかわからない状況のなかで、それでもみんなそれぞれ妙に空いてしまった時間とか、逆にプレッシャーなく自分のやってきた仕事に向き合いなおしているような話を周りからも聞きます。大変なんだけど、ちょっと違うアングルから自分たちがいる世界を眺めなおしているというんですかね? そういうタイミングなのかなと。いつまでもずっと……ということではきっとないと思うので。なんとか耐えしのんで次につないでいかないと……と思ったり、僕自身はスタッフや役者さんたちに場を提供する監督・プロデューサーという立場なので、なんとか場面作りをやっていかないといけないなと。後輩に行定(勲)監督というのがいるんですけど、彼とも電話でお互いに意見交換をしたり、そういう場面がけっこう多い気がしますね。
のん:私もちょっと時間ができて「こんなことでいいのか?」と思っているときに、この怪獣の映画のオファーがきて「どんな状況でも岩井監督は、映像を撮るんだ」というのにすごく勇気が湧いたというか。「私も頑張って演技をしなければ」と思いました。
岩井:「自分は女優だったんだ」って思ったって言ってたよね。
のん:そうなんですよ(笑)。なんか休んじゃっていたけど、私は女優だったと思って。「ちゃんと演技をしましょう」って気合いが入りました。
『INNOVATION WORLD ERA』では、各界のイノベーターが週替りでナビゲート。第1週目はライゾマティクスの真鍋大度、第2週目はASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文、第3週目は女優で創作あーちすとの「のん」、第4週目はクリエイティブディレクター・小橋賢児。放送は毎週日曜日23時から。
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