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仕事を「オーケストラ型からジャズ型」へ。リモート時代の効率がいい働き方

J-WAVEで放送中の番組『TRUME TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。8月29日(土)のオンエアでは、IT批評家の尾原和啓さんがリモート出演。これまでの仕事内容や、仕事をする上で心がけていることなどを訊いた。

リゾート地を転々としながら働いていた

尾原さんは、マッキンゼー・アンド・カンパニー、リクルート、Google、楽天などの事業企画、投資、新規事業に従事。経産省対外通商政策委員などを経て、現在はシンガポール、バリ島を拠点に、IT批評家として活躍している。



市川:IT批評家で、フューチャリストという肩書もお持ちですね。具体的にはどんなお仕事をされているんでしょうか?
尾原:実は両方、同じことを言っているんです。フューチャリストは海外ではけっこう使われていますが、日本では珍しい肩書なので、IT批評家をつけています。一言で言うと、インターネットやテクノロジーが「未来の当たり前」を作るときに、「10年後の当たり前を、今わかりやすく説明する人」という肩書です。
市川:さらにリゾートワーカー、プロフェッショナルコネクターという肩書もあります。
尾原:もともと新型コロナ前は、年間80フライトぐらい乗って、世界中のリゾート地を転々としながら働くというワークスタイルをとっていました。今もこうやってリモートで収録させていただいていますけど、5年前くらいからリモートで仕事ができる時代だったんです。ごみごみしたところで働くよりも、リゾート地で働いたほうがクリエイティビティは高まりますよね。
市川:なるほど。
尾原:ただ、同じリゾート地に行くと飽きちゃうことがあるので、ひとつのリゾート地に3週間ぐらい滞在して仕事をして、また次のリゾート地に行って。そんな形で仕事をする人たちのことを「リゾートワーカー」という言い方します。海外ではこういう方がけっこう多いんです。
市川:おうちはあるんですか?
尾原:家族がいて、娘はバリ島の学校に通っていて、妻もバリ島をベースにしています。僕は仕事の拠点をシンガポールにして、リゾート地を回りながら働いていました。
市川:多くの人はここ数カ月で必死にリモートに食らいついている感じですが、尾原さんは以前からやっていたわけなんですね。
尾原:8年ぐらい前にGoogleで働いていたときは、上司がシンガポール人で、日本ではチームが僕ひとりみたいな形で働いていたので、リモートが仕事のベースになっていました。

仕事を「オーケストラ型からジャズ型」に変えよう

リモートワークではオンライン会議が必須となる。尾原さんによると、「効率がよくなった」という声が多いとのこと。前もって1時間と決めて会議の予定を組むのではなく、「今時間が空いているから15分やろう」と始めて、課題をすぐに解決できることもあるからだ。

さらにメリットを享受するために、尾原さんは「オーケストラ型からジャズ型に仕事を変えよう」と、共著『仮想空間シフト』(エムディエヌコーポレーション)のなかで提案している。

市川:ジャズ型?
尾原:オーケストラというのは、ある演奏日に向けて定期的に練習会でみんな集まって、ハーモニーを作ってやっていくじゃないですか。一方でジャズは、街角だろうがなんだろうが、ノリがあったらすぐにはじめて、そこにバイブスを感じる人たちがのっかってきて、アドリブ、インプロビゼーションにセッションがすることができる。そうしたジャズ型にモードを切り替えていくということがコツのひとつです。
市川:人とアポを取って会うと、15分で話を終わらせられないですよね。わざわざ来てくれたわけだし、1時間とかけっこうな時間を取りますよね。でもリモートだと必要なときに必要な会話だけをササッとできるのがリモートワークのメリットということですね。
尾原:「30分かけて来ていただいたので1時間きっちり時間を使わなきゃ失礼にあたるよね」と、今までなら思っちゃう。でも今だったら「ちょっと時間があるから10分話そうよ」で問題が解決して、「5分で終わったね、じゃあね」みたいなこともOKなわけです。

「雑談の時間」をあえて作ったほうがいい

これまで1時間の会議をして「雑談が多かったな」と感じたことがある人も多いだろう。忙しい日は無駄に感じられるものだが、雑談から生まれるものもある。

市川:1時間かけて話したときの雑談や無駄から生まれるいいアイデア、距離を縮めるといった考え方もあるじゃないですか。
尾原:すばらしいですね。それがふたつめのコツなんです。
市川:そうなんですか?
尾原:雑談は雑談として別に時間を取ったがほうがいいと思っています。チームの中でミーティングという形になると、日本人は特に真面目だから、目的以外のことをしゃべれないことがある。だから、「今日は普段話せないことを話してみよう」みたいな雑談タイムを作るんです。あとは、1対1で「最近ズレを感じていることはない?」みたいな、目的を決めないミーティングを、時間をとってやる。
市川:課題があるときと雑談を割り切ってちゃんと作るんですね。
尾原:課題があるときはアドリブで15分とか5分とかどんどんやって、むしろ目的がないミーティングこそ「毎週何曜日にみんなで集まってダラダラ話そうね」と、1週間に1回30分でもいいから、上司とメンバーでなんとなく今感じているズレを話し合う、みたいなことをやったほうが、実はいいということなんです。

時間の使い方がカギ

働き方の変化は、「新しい自分」が生まれるきっかけにもなる。

尾原:今までは仕事をしておうちに帰って、「仕事としての自分」と「家庭としての自分」がいても、なかなか「趣味としての自分」といった、新しい自分を作る時間がとれなかった。でもリモートになれば、前のミーティングが終わってから「1時間は友だちのプロジェクトを手伝うか」みたいなことが簡単にできるんです。
市川:自分ができること、役割がはっきりしていくわけですよね。
尾原:そうなんです。だから今まではどうしても会社の肩書、たとえば「〇〇課の課長さん」みたいなことに縛られていたものが、自分の「好き」とか「やりたいこと」から繋がりだすのがおもしろいところだと思います。自分で自分の時間を作れる人は、より自由になっていくし、人の時間に支配されて人の時間に生きていた人たちは逆に「どうすればいいんだろう?」と、ちょっと寂しくなっちゃう。
市川:ちゃんと自分で「これが得意」「これができる」「好き」「やりたい」ということを見つけることが大切になってきますね。

忙しさに流されてきた人は、一度立ち止まって、自分と向き合う。これからの時代に楽しく働くためには、そんな時間が必要になりそうだ。

『TRUME TIME AND TIDE』では、革新的な活動によって各界をけん引している人物をゲストに迎えて、現在の活動はもちろん、これから先どのようなビジョンに向かって進んでいくのかをじっくりと伺っていく。放送は毎週土曜日の21時から。
radikoで聴く
2020年9月5日28時59分まで

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番組情報
TRUME TIME AND TIDE
毎週土曜 21:00-22:00
21:00-22:00

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