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戦争という絶対的な悪のなかにある人間の良心―ジョン・カビラ、父の話を聞いて感じたこと

戦争という絶対的な悪のなかにある人間の良心―ジョン・カビラ、父の話を聞いて感じたこと

J-WAVEが2019年6月23日の沖縄慰霊の日にオンエアした、ジョン・カビラと父・川平朝清さんによる番組『GENERATION TO GENERATION~STORIES OF OKINAWA~』が、第57回ギャラクシー賞ラジオ部門の大賞を受賞した。戦後の沖縄でラジオ局を立ち上げた朝清さんが、放送の意義を伝える番組だ。2020年8月9日(日)『J-WAVE SELECTION』(日曜 22:00-22:54)で再放送される。

ジョンは、7月20日(月)に『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)に出演。戦後の沖縄における、両親の心境を振り返った。

父から息子に語り継いだ番組が大賞に

ギャラクシー賞は、日本の放送文化の質的な向上を願い、優秀な番組・個人・団体を顕彰するものだ。クリスは「おめでとうございます」と祝いの言葉を贈った。

ジョン::本当に心から感謝申し上げます。企画を立ててくれたJ-WAVEのプロデューサー、ディレクター、ADさんに心から感謝します。こういう機会を与えていただいて、父も最初は驚いていましたから。「え? 沖縄の慰霊の日にジョンと私が沖縄の話を? もっと昔の台湾時代の話も?」みたいな。植民地化されていた台湾の生まれなんです。
クリス:沖縄という歴史と、それからお父様のライフストーリーも交えて絡ませた内容でしたね。お父様も沖縄で放送局を立ち上げられたひとりなんですよね。
ジョン:立ち上げ時のメンバーになっていました。まだ若いころです。
クリス:アナウンサーとしても放送に携わってらしたんですよね。
ジョン:実は某公共放送のアナウンス研修所で研修を受けています。そのときは、今は九州で美術館の館長をされている鈴木健二さんも一緒でした。
クリス:(年代が)ご一緒ぐらいなんですね。
ジョン:そうなんですよ、世代的には。
クリス:ですから、当然と言えば当然なんですけど、お父様とカビラさんはプロフェッショナルなおふたり。しかも親子ですから、このあたりも絶妙なインタビューでした。すばらしかったです。
ジョン:ありがとうございます。

戦争という絶対的な悪のなかにあった「人間の良心」

朝清さんは台湾生まれ、台湾育ちで、沖縄には戦争が終わってから移り住むことになった。 家族は沖縄に“帰る”が、朝清さんにとっては初めて渡る土地となる。

「国破れて山河在り」という言葉がある。「国が敗れても、人間の社会がとんでもないことになっても、自然はそのまま残る」という意味だが、朝清さんの母は舟の上から沖縄の島を見て、「山河も残らなかった」「きれいな沖縄を息子に見てほしかった」と話したそう。ジョンは聞き手として、「この心のザワつきを、僕はどうすればいいのだろうか」と感じたという。

その後、朝清さんはアメリカのミシガン州立大学に留学する。アメリカの統治下にあった沖縄で、アメリカの宣伝活動の一貫として、知識や能力、将来性のある若者に奨学金を与えて留学をさせるというものだ。

クリス:それで、お父さんが留学をされたという。
ジョン:そうです。1年前まで「鬼畜米英」と教え込まれていた人たちが留学するという、そのときの心持ちだったり、大学の教授に「君が学んだ術は、沖縄の人たちのために使いなさい、アメリカのためじゃない」と言われた話だったり、戦争という絶対的な悪のなかにもある、絶対的な人間の良心。そこに触れた話にはグッときました。

アメリカ人の母親の存在

朝清さんは留学中に出会ったアメリカ人の女性と結婚。当時の沖縄は大盛り上がりとなったそうだが、母親は苦労や複雑な心境があったはずだとジョンは推察した。

ジョン::父が世話になったミシガン州立大学の学長ですかね。その人が手紙を書いて(母親の)就職を促して教職を得たんです。そういう人々の支えによって今がある。でも、沖縄の人たちをコントロールするアメリカの側……軍属、そして兵士の子どもたちの学びの場に自分がいるという。だから母の心持ちもけっこう複雑だったんじゃないかと思いますけどね。
クリス:そのなかから、こんな楽しげな川平三兄弟が育って、すばらしいですよね。
ジョン:クドいですけど……。
クリス:すごく素敵(笑)。どんな教育だったんだろう。
ジョン:いやいや、やめてください! 本当に、成功したんですかね(笑)。
クリス:(笑)。成功だと思います。

「18歳 vs 92歳」賑やかな川平家の会話

家族とは日ごろから連絡を取り合っているというジョン。弟の慈英が舞台『三谷幸喜のショーガール』の公演が控えていることもあり、心配をしつつやりとりをしているそう。

ジョン:「どうなの、本当に大丈夫なの? 今、舞台は大変なことになっているから、安全対策はどうなの?」ということを話し合っていますけれどね。今は娘が留学先から帰ってきているんです。幸い父も同じ建物のなかに、違う部屋ですけど住んでいるので、夕食をともにすることがあります。
クリス:それだけ近いと安心ですよね。
ジョン:そこでの話がすごいですよ。18歳 vs 92歳。
クリス:そうですよね(笑)。でも、こういうときだからですよね。
ジョン:本当に貴重だと思います。辛辣ですからね、政治からなにからズバズバきますからね。
クリス:どちらがですか?
ジョン:どちらかというと「孫もここまできたか」的な感じの面持ちですけれども。本当に大笑いをしながらいろいろな話をしています。

8月9日(日)に再放送される『GENERATION TO GENERATION~STORIES OF OKINAWA~』、ぜひ耳を傾けてほしい。

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番組情報
『GOOD NEIGHBORS』
月・火・水・木曜
13:00-16:30