J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「IMASIA」(ナビゲーター:SKY-HI)。7月19日(日)の放送では、話題の本『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』(柏書房)著者のキム・ヨンデさんにインタビューを実施。通訳は同著の翻訳を担当した桑畑優香さんが務めた。
キム:BTSがかつてない現象を生み出していて、特に2017年ぐらいから韓国でもすごくたくさんの人が関心を持つようになりました。でも、韓国でも外国でもBTSに対する評価が表面的な感じがしたので、僕が彼らの魅力を語ってみようと思ったんです。10年以上前からアメリカで彼らに近いところで「どうしてBTSの人気が出てきたのか?」というのを見守ってくることができました。
SKY-HI:K-POPのアーティストというのは、BIGBANGだったりラップとかに親和性が高いグループというのはあったと思いますが、BTSと彼らとの明確な違いみたいなものはありますか?
キム:重要なものは「メッセージ」と「姿勢・態度」だと思います。他のグループはヒップホップという形態を借りて、サウンドやファッションといったイメージを借りている感じがしました。BTSの場合は、ヒップホップに乗せてメッセージを伝えていて、それがすごく正直でストレートに伝わってきます。そこが違うと思います。
SKY-HI:完全に同意します。
SKY-HI:日本には「アイドルの仕事は嘘をつくことだ」という言葉があったりして、K-POPや日本のアイドル文化は(アイドルが)実際にそういう偽物、架空の存在として支持を得ていくというものがありました。その結果、アイドルやアーティストが精神を病むことが多い。韓国でも自殺者だったり、活動を休止してしまう方が多いのが問題だなと思って見ていたことがありました。BTSのメッセージは非常にパーソナルだし、メンタルヘルスや、そういったところにもすごくコミットしたメッセージが入っていると思います。そういうものを受け取ったファンは、やっぱり今までのファンとは意識が変わるのでは、と思っています。そういったファンの意識を訊く機会が自分にはなかったので、お伺いしたいなと思いました。
キム:おっしゃる通り、BTSのファンの方に話を訊くと「死にたかったけど、やっぱり生きようと思った」とか「難しいことがあってヘコんでいたけれど、勇気が出たのでやってみよう、乗り越えてみようと思った」という話をよく聞きます。これは、BTSのファン特有のことだと思っています。アイドルがよく「希望の歌」とか「いいメッセージ」を歌っていますが、あれはアーティストが心から歌っているわけではなく、誰かが書いたものや表面的なメッセージだったりするんじゃないかと感じることもあります。それに対しBTSは、ラッパーが心から歌っていたり、自ら曲を書いているので、そういったメッセージが伝わっているのではないかと思います。
SKY-HI:すばらしいですね、私は生まれる国を間違えたかもしれない(笑)。やっぱり難しいんです。本質を持ったメッセージをちゃんとしよう、人間として生きようと思うと、もっと愛や恋の話をしてほしいとか、もっとキラキラとした姿、ニコニコとした笑顔を見せてほしいと言われることのほうが多いんです。そこを僕はもう、10年ぐらいずっと悩んでいるんだけど(笑)。
SKY-HI:韓国がそうだったから、そういった存在が(日本にも)いっぱい出てくるだろうと思っていたんですよね。G-DRAGONが出たあとにジコもいたしミノもいたというのを見ていて、BTSが出た。そういう時代はそう遠くないだろうと思っていたんですけど、なかなか。やっと10代とかでそういう子が出だしたイメージがあるんですけど、継続的に出るというのは日本ではなかなかなかったんです。韓国はなんでこんなに継続的に出たんでしょうか。すごくうらやましくも思うし、不思議にも感じているんです。
キム:ちょっと難しい質問ですね。
SKY-HI:そうだよね、人の国の話だし(笑)。
キム:韓国のポピュラー音楽というのは、もともとR&Bやファンクと緊密な関係を持って生まれたという背景があります。そのため、ヒップホップやブラックミュージックを寛大に受け止めるという土壌ができているんじゃないかなと。だから、アイドルがヒップホップをやっても、みなさんが寛大に受け止めてくれるのだと思います。
SKY-HI: BTSというのはパーマネントにも見えるし、同時に個性の強さを考えると、各々にやりたいこともあるだろうなという感じもします。彼らは今後どのような存在になったり、活動をしていくと思いますか?
キム:おっしゃる通り、K-POPアイドルというのはすごく寿命が短かった。だけど、最近は少しずつ長くなっています。レーベルがうまくコントロールをしているんだと思います。BTSの場合、各メンバーの個性も強いし、それぞれが独特の音楽的な影響力を見せ始めているので、それを少しずつ出していけば息の長い活動をするのではないでしょうか。
SKY-HI:確かにそうですね、引き出しが多いというだけですから、いいことしかないですね。そういった(個性的な)メンバーが1人いるということは、今までもありました。自発的でメッセージがあって、主張があって、もちろんクリエイトもできて、アートに造詣も深い。それこそG-DRAGONもそうですよね。だけど、なぜBTSはこんなに集結をしたんだろう。しかも、大手のSMエンターテイメントやYGエンターテイメントのような事務所ではなく、Big Hitエンターテイメントでそういった才能が集結したのは、なぜだったんでしょうか。
キム:Big Hitのパン・シヒョク代表のビジョンが非常に大きかったと思います。パン・シヒョク代表はもともとヒットを飛ばす作曲家でもあり、JYPエンターテイメントのプロデューサー出身です。K-POPの長所と短所を両方知っている人でした。長所を活かしてさまざまなラッパーを集めて、最初から音楽家としての教育を与えていった。だから、彼のビジョンの勝利じゃないかと思っています。
SKY-HI:最後にこれも聞けてよかった。本当に楽しい話をいっぱいありがとうございます。
『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「IMASIA」では、ラッパーのSKY-HIがラップ、ヒップホップを軸にした切り口で、アジアのカルチャーを追う。放送は毎週日曜の10時40分から。
BTSが、他のグループと一線を画す理由
キム・ヨンデさんは音楽評論家として活動している。『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』を執筆した理由を尋ねると、BTSが「表面的」に評価されていると感じたことがきっかけだと明かした。キム:BTSがかつてない現象を生み出していて、特に2017年ぐらいから韓国でもすごくたくさんの人が関心を持つようになりました。でも、韓国でも外国でもBTSに対する評価が表面的な感じがしたので、僕が彼らの魅力を語ってみようと思ったんです。10年以上前からアメリカで彼らに近いところで「どうしてBTSの人気が出てきたのか?」というのを見守ってくることができました。
SKY-HI:K-POPのアーティストというのは、BIGBANGだったりラップとかに親和性が高いグループというのはあったと思いますが、BTSと彼らとの明確な違いみたいなものはありますか?
キム:重要なものは「メッセージ」と「姿勢・態度」だと思います。他のグループはヒップホップという形態を借りて、サウンドやファッションといったイメージを借りている感じがしました。BTSの場合は、ヒップホップに乗せてメッセージを伝えていて、それがすごく正直でストレートに伝わってきます。そこが違うと思います。
SKY-HI:完全に同意します。
前向きになれるBTSのメッセージ
日本やK-POPにおける一般的なアイドルと、BTSが投げかけるメッセージはどこが違うのだろうか。SKY-HI:日本には「アイドルの仕事は嘘をつくことだ」という言葉があったりして、K-POPや日本のアイドル文化は(アイドルが)実際にそういう偽物、架空の存在として支持を得ていくというものがありました。その結果、アイドルやアーティストが精神を病むことが多い。韓国でも自殺者だったり、活動を休止してしまう方が多いのが問題だなと思って見ていたことがありました。BTSのメッセージは非常にパーソナルだし、メンタルヘルスや、そういったところにもすごくコミットしたメッセージが入っていると思います。そういうものを受け取ったファンは、やっぱり今までのファンとは意識が変わるのでは、と思っています。そういったファンの意識を訊く機会が自分にはなかったので、お伺いしたいなと思いました。
キム:おっしゃる通り、BTSのファンの方に話を訊くと「死にたかったけど、やっぱり生きようと思った」とか「難しいことがあってヘコんでいたけれど、勇気が出たのでやってみよう、乗り越えてみようと思った」という話をよく聞きます。これは、BTSのファン特有のことだと思っています。アイドルがよく「希望の歌」とか「いいメッセージ」を歌っていますが、あれはアーティストが心から歌っているわけではなく、誰かが書いたものや表面的なメッセージだったりするんじゃないかと感じることもあります。それに対しBTSは、ラッパーが心から歌っていたり、自ら曲を書いているので、そういったメッセージが伝わっているのではないかと思います。
SKY-HI:すばらしいですね、私は生まれる国を間違えたかもしれない(笑)。やっぱり難しいんです。本質を持ったメッセージをちゃんとしよう、人間として生きようと思うと、もっと愛や恋の話をしてほしいとか、もっとキラキラとした姿、ニコニコとした笑顔を見せてほしいと言われることのほうが多いんです。そこを僕はもう、10年ぐらいずっと悩んでいるんだけど(笑)。
アイドルがヒップホップをやることを寛大に受け止める韓国の音楽シーン
SKY-HIは、パフォーマンスグループ・AAAでは「日高光啓」名義で活動している。数年前から「アイドルグループをやりながら、ラッパーとして活動」することに、ある程度の結果を出せたと感じるようになってきたと明かす。そんなSKY-HIだからこそ、日本の音楽シーンへの“ある期待”があったという。SKY-HI:韓国がそうだったから、そういった存在が(日本にも)いっぱい出てくるだろうと思っていたんですよね。G-DRAGONが出たあとにジコもいたしミノもいたというのを見ていて、BTSが出た。そういう時代はそう遠くないだろうと思っていたんですけど、なかなか。やっと10代とかでそういう子が出だしたイメージがあるんですけど、継続的に出るというのは日本ではなかなかなかったんです。韓国はなんでこんなに継続的に出たんでしょうか。すごくうらやましくも思うし、不思議にも感じているんです。
キム:ちょっと難しい質問ですね。
SKY-HI:そうだよね、人の国の話だし(笑)。
キム:韓国のポピュラー音楽というのは、もともとR&Bやファンクと緊密な関係を持って生まれたという背景があります。そのため、ヒップホップやブラックミュージックを寛大に受け止めるという土壌ができているんじゃないかなと。だから、アイドルがヒップホップをやっても、みなさんが寛大に受け止めてくれるのだと思います。
個性的なメンバーが集結したBTS
SKY-HIは、K-POPアーティストについて「永続的に活動を継続していくグループは本当に少ないと思う」と指摘。人気絶頂のときに解散や活動休止するグループを多く見るとしながらも、BTSは一線を画すグループではないかと分析する。SKY-HI: BTSというのはパーマネントにも見えるし、同時に個性の強さを考えると、各々にやりたいこともあるだろうなという感じもします。彼らは今後どのような存在になったり、活動をしていくと思いますか?
キム:おっしゃる通り、K-POPアイドルというのはすごく寿命が短かった。だけど、最近は少しずつ長くなっています。レーベルがうまくコントロールをしているんだと思います。BTSの場合、各メンバーの個性も強いし、それぞれが独特の音楽的な影響力を見せ始めているので、それを少しずつ出していけば息の長い活動をするのではないでしょうか。
SKY-HI:確かにそうですね、引き出しが多いというだけですから、いいことしかないですね。そういった(個性的な)メンバーが1人いるということは、今までもありました。自発的でメッセージがあって、主張があって、もちろんクリエイトもできて、アートに造詣も深い。それこそG-DRAGONもそうですよね。だけど、なぜBTSはこんなに集結をしたんだろう。しかも、大手のSMエンターテイメントやYGエンターテイメントのような事務所ではなく、Big Hitエンターテイメントでそういった才能が集結したのは、なぜだったんでしょうか。
キム:Big Hitのパン・シヒョク代表のビジョンが非常に大きかったと思います。パン・シヒョク代表はもともとヒットを飛ばす作曲家でもあり、JYPエンターテイメントのプロデューサー出身です。K-POPの長所と短所を両方知っている人でした。長所を活かしてさまざまなラッパーを集めて、最初から音楽家としての教育を与えていった。だから、彼のビジョンの勝利じゃないかと思っています。
SKY-HI:最後にこれも聞けてよかった。本当に楽しい話をいっぱいありがとうございます。
『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「IMASIA」では、ラッパーのSKY-HIがラップ、ヒップホップを軸にした切り口で、アジアのカルチャーを追う。放送は毎週日曜の10時40分から。
番組情報
- ACROSS THE SKY
-
EVERY SUN09:00-12:00