J-WAVEで放送中の『GROOVE LINE』(ナビゲーター:ピストン西沢)。2月6日(木)のオンエアには、メディアにも引っ張りだこの“お魚王子”である岸壁幼魚採集家・鈴木香里武が登場。2019年に発売した著書『わたしたち、海でヘンタイするんです。海のいきもののびっくり生態図鑑』(世界文化社)の魅力を語った。
■海の生き物が姿形を変えていく「ヘンタイ」を集めた1冊
鈴木は、漁港で幼魚をアミですくって採集して多くの生き物を観察・記録する岸壁幼魚採集家だ。「冬の時期だと意外と海面に深海魚の赤ちゃんがいる」と話す。
西沢:どこで採集するんですか?
鈴木:よく行くのは静岡県の駿河湾ですね。その辺りが日本で一番深い湾になっているんです。そうすると海の下から上に向かっていく流れがあるので、それにのって、たとえば幻の深海魚・リュウグウノツカイの赤ちゃんとか、意外と気付かないだけで足元にいることがあるんです。
西沢:そんな珍しい生き物を、船を出さずに捕まえることができるんですね。
鈴木:そうなんです。擬態していたり透明だったりするので、言われないと気付かないけど、ふと見ると足元にいるんです。虫取りアミみたいな小さなアミですくえるくらい、実は身近にいるんです。
鈴木が昨年上梓した『わたしたち、海でヘンタイするんです。 海のいきもののびっくり生態図鑑』は、海の生き物が姿形を変えていく「ヘンタイ」=「変態」を集めた1冊だ。
西沢:人間の「変態」と漢字が一緒なんですね(笑)。
鈴木:そこが問題で、漢字だとインパクトが強いのでカタカナにしました。
西沢:本の中身は色もポップだし、わかりやすく大きな文字だし、子どもも読みやすくなっていますよね。
鈴木:魚をずっと描かれているイラストレーターの友永たろさんに、とっても細かく特徴を捉えたイラストを描いていただきました。
(『わたしたち、海でヘンタイするんです。海のいきもののびっくり生態図鑑』より)
「ヘンタイする」とは、どういうことなのか?
鈴木:海の生き物は、卵から生まれて親になるまでに、生活スタイルがどんどん変わっていきます。たとえば、最初はプランクトンみたいに海面を漂っていたけど、だんだん海底に下りていく生き物になったり、泳ぎ回る生き物になったり、そうやって生活スタイルを変えていくと、環境に合わせて体の形も変えていったほうが、都合がいいんですよ。
西沢:なるほど。自然のものってそういうところが面白いですよね。頭がいいなって。
鈴木:生き抜くための進化の極み、みたいなものですよね。
西沢:擬態とかもすごいですよね。海の生き物って怪獣みたいな要素もあるじゃないですか。
鈴木:特に赤ちゃんの頃ってエイリアンみたいな生き物が多いんですよね。それが大きくなるにつれて魚になっていくんです。
■ウニ、ヒラメ、タツノオトシゴ… 海の生き物の意外なヘンタイ
同書では、さまざまな海の生き物の「ヘンタイ」を紹介している。
西沢:ウニってヘンタイするんですか?
鈴木:ヘンタイしますね。ウニはトゲトゲボールのイメージがあるんですけど、最初はプリズム幼生と言って、もう少し丸っこくてコロンとした形をしているんですよね。そこからだんだんトゲが生えてきて、気付くとトゲトゲボールになっています。
西沢:なるほど。ヒラメは?
鈴木:ヒラメって最初は目が左右にあって普通の魚のように泳いでるんです。これが着底すると顔の表面へ目が移動していって、右か左のどちらか片方に寄ってしまうんですね。目が片方に寄るって、かなりのヘンタイだなと思います。
西沢:目が片方に寄るまで、どれくらいの年月がかかるんですか?
鈴木:意外と早くて、数日くらいで変わっていくみたいなんです。
西沢:それはぜひとも飼ってみたいですね。なかなか水族館でもそういう展示ってないですよね。
鈴木:稚魚や幼魚の展示は少なくて、研究も進んでないんですよ。だから僕がアミを持って足元ですくっているようなものが、実は世界的な記録みたいなことがけっこうあります。
続いて鈴木は、タツノオトシゴについて「オスが妊娠するという謎の生態をもっている」と紹介した。
鈴木:メスが卵を産むんですけど、オスのお腹にカンガルーみたいな袋があって、その袋の中にメスが卵を産みつけるんです。種類にもよるけど、2週間ほどオスが子育てをするんです。
西沢:ハリセンボンは? 針が1000本もないですよね。
鈴木:知り合いが、ハリセンボンの剥製で針の数を数えたんです。そのときは2匹数えて、333本と334本だったそうです。平均的に350本前後と言われているから、1000本の半分もないですね。
■1匹1匹に物語がある
同書には、アミとバケツだけで楽しめる「岸壁採集探検記」も掲載されている。
西沢:この本を読んだら、実際に採集したくなりますよね。
鈴木:今の時期は夜の深海魚採集が面白いんですけど、夜は危ないので、子どもたちなら6月~8月くらいがベストかなと思います。カラフルな魚たちが昼間から漁港に溢れかえります。釣りをするときに足元をじっくり見ないかもしれないけど、ぜひ今年の夏はアミとバケツを持って海面をのぞいてみてください。意外な発見があるかもしれません。
最後に西沢は「この本で、どんなことを伝えたいですか?」と問いかける。
鈴木:海の生き物たちは、いろんな色や姿をしているけど、それら全てに意味があることを伝えたいですね。グロテスクな魚はその環境に合ってそういう顔つきになっているわけだし、透明な生き物は、たとえば敵に食べられないためにそうなったわけだし、1匹1匹に物語があることを知ってもらえたらうれしいですね。
この1冊で海の生き物の「ヘンタイ」の魅力を知り、ぜひこの夏は漁港で岸壁幼魚採集を楽しんでほしい。
『GROOVE LINE』ではピストン西沢が楽曲を紹介しながら、ゲストとの軽快なトークなどをお届けする。放送は毎週月曜から木曜の16時30分から。お楽しみに!
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年2月13日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『GROOVE LINE』
放送日時:月・火・水・木曜 16時30分-19時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/grooveline/
■海の生き物が姿形を変えていく「ヘンタイ」を集めた1冊
鈴木は、漁港で幼魚をアミですくって採集して多くの生き物を観察・記録する岸壁幼魚採集家だ。「冬の時期だと意外と海面に深海魚の赤ちゃんがいる」と話す。
西沢:どこで採集するんですか?
鈴木:よく行くのは静岡県の駿河湾ですね。その辺りが日本で一番深い湾になっているんです。そうすると海の下から上に向かっていく流れがあるので、それにのって、たとえば幻の深海魚・リュウグウノツカイの赤ちゃんとか、意外と気付かないだけで足元にいることがあるんです。
西沢:そんな珍しい生き物を、船を出さずに捕まえることができるんですね。
鈴木:そうなんです。擬態していたり透明だったりするので、言われないと気付かないけど、ふと見ると足元にいるんです。虫取りアミみたいな小さなアミですくえるくらい、実は身近にいるんです。
鈴木が昨年上梓した『わたしたち、海でヘンタイするんです。 海のいきもののびっくり生態図鑑』は、海の生き物が姿形を変えていく「ヘンタイ」=「変態」を集めた1冊だ。
西沢:人間の「変態」と漢字が一緒なんですね(笑)。
鈴木:そこが問題で、漢字だとインパクトが強いのでカタカナにしました。
西沢:本の中身は色もポップだし、わかりやすく大きな文字だし、子どもも読みやすくなっていますよね。
鈴木:魚をずっと描かれているイラストレーターの友永たろさんに、とっても細かく特徴を捉えたイラストを描いていただきました。
(『わたしたち、海でヘンタイするんです。海のいきもののびっくり生態図鑑』より)
「ヘンタイする」とは、どういうことなのか?
鈴木:海の生き物は、卵から生まれて親になるまでに、生活スタイルがどんどん変わっていきます。たとえば、最初はプランクトンみたいに海面を漂っていたけど、だんだん海底に下りていく生き物になったり、泳ぎ回る生き物になったり、そうやって生活スタイルを変えていくと、環境に合わせて体の形も変えていったほうが、都合がいいんですよ。
西沢:なるほど。自然のものってそういうところが面白いですよね。頭がいいなって。
鈴木:生き抜くための進化の極み、みたいなものですよね。
西沢:擬態とかもすごいですよね。海の生き物って怪獣みたいな要素もあるじゃないですか。
鈴木:特に赤ちゃんの頃ってエイリアンみたいな生き物が多いんですよね。それが大きくなるにつれて魚になっていくんです。
■ウニ、ヒラメ、タツノオトシゴ… 海の生き物の意外なヘンタイ
同書では、さまざまな海の生き物の「ヘンタイ」を紹介している。
西沢:ウニってヘンタイするんですか?
鈴木:ヘンタイしますね。ウニはトゲトゲボールのイメージがあるんですけど、最初はプリズム幼生と言って、もう少し丸っこくてコロンとした形をしているんですよね。そこからだんだんトゲが生えてきて、気付くとトゲトゲボールになっています。
西沢:なるほど。ヒラメは?
鈴木:ヒラメって最初は目が左右にあって普通の魚のように泳いでるんです。これが着底すると顔の表面へ目が移動していって、右か左のどちらか片方に寄ってしまうんですね。目が片方に寄るって、かなりのヘンタイだなと思います。
西沢:目が片方に寄るまで、どれくらいの年月がかかるんですか?
鈴木:意外と早くて、数日くらいで変わっていくみたいなんです。
西沢:それはぜひとも飼ってみたいですね。なかなか水族館でもそういう展示ってないですよね。
鈴木:稚魚や幼魚の展示は少なくて、研究も進んでないんですよ。だから僕がアミを持って足元ですくっているようなものが、実は世界的な記録みたいなことがけっこうあります。
続いて鈴木は、タツノオトシゴについて「オスが妊娠するという謎の生態をもっている」と紹介した。
鈴木:メスが卵を産むんですけど、オスのお腹にカンガルーみたいな袋があって、その袋の中にメスが卵を産みつけるんです。種類にもよるけど、2週間ほどオスが子育てをするんです。
西沢:ハリセンボンは? 針が1000本もないですよね。
鈴木:知り合いが、ハリセンボンの剥製で針の数を数えたんです。そのときは2匹数えて、333本と334本だったそうです。平均的に350本前後と言われているから、1000本の半分もないですね。
■1匹1匹に物語がある
同書には、アミとバケツだけで楽しめる「岸壁採集探検記」も掲載されている。
西沢:この本を読んだら、実際に採集したくなりますよね。
鈴木:今の時期は夜の深海魚採集が面白いんですけど、夜は危ないので、子どもたちなら6月~8月くらいがベストかなと思います。カラフルな魚たちが昼間から漁港に溢れかえります。釣りをするときに足元をじっくり見ないかもしれないけど、ぜひ今年の夏はアミとバケツを持って海面をのぞいてみてください。意外な発見があるかもしれません。
最後に西沢は「この本で、どんなことを伝えたいですか?」と問いかける。
鈴木:海の生き物たちは、いろんな色や姿をしているけど、それら全てに意味があることを伝えたいですね。グロテスクな魚はその環境に合ってそういう顔つきになっているわけだし、透明な生き物は、たとえば敵に食べられないためにそうなったわけだし、1匹1匹に物語があることを知ってもらえたらうれしいですね。
この1冊で海の生き物の「ヘンタイ」の魅力を知り、ぜひこの夏は漁港で岸壁幼魚採集を楽しんでほしい。
『GROOVE LINE』ではピストン西沢が楽曲を紹介しながら、ゲストとの軽快なトークなどをお届けする。放送は毎週月曜から木曜の16時30分から。お楽しみに!
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年2月13日28時59分まで)
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【番組情報】
番組名:『GROOVE LINE』
放送日時:月・火・水・木曜 16時30分-19時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/grooveline/