J-WAVEは2020年1月1日、ロゴデザインをリニューアルした。デザインを手がけたのは、デザインファーム・Takramだ。制作の裏側を、同社の渡邉康太郎がナビゲーターを務める番組『TAKRAM RADIO』にて1月30日(木)にオンエアした。ゲストとして登場したのは、リードデザイナー・弓場太郎。変更の意図や、デザインをする上でこだわった点は?
■J-WAVEの未来や会社のあり方を一緒に考える
Takramはこれまで、さまざまな企業のブランドリニューアルを手がけてきた。渡邉によると、ロゴだけ変えるような仕事はなく、ブランドのあり方を考え直すことがプロジェクトのコアだという。ロゴの更新はあくまで結果なのだ。J-WAVEとプロジェクトを始めるにあたっても、まずは社員や制作会社のスタッフ、音楽ジャーナリストなどに話を聞いた。「これからの音はどうなっていくのか」「ラジオというメディアの意味はなにか」「東京のラジオ局として何をやっていくべきなのか」といった議論を重ねたことがいちばんブランドの価値になったと、渡邉は振り返る。
そもそもロゴをリニューアルするきっかけは、J-WAVEの取締役のひとりが渡邉に対して、「会社の未来やあり方を一緒に考える仕事をやってみませんか?」と提案したことだった。依頼を受けたTakramは、J-WAVE社員にインタビューを実施し、「仕事をする上で、どこに向かうのか」というブランドフィロソフィーやステートメントを考えながら、ロゴの案を練っていった。
旧ロゴが作られたのは約25年前。当時はパソコンが普及しておらず、SNSもない。時代の変化によって“使いにくい点”も生じていた。
渡邉:J-WAVEのウェブサイトやSNSを運用する人たちからは、「横長のロゴだと小さいエリアで表示するときに、小さくなりすぎて見えない」って意見をもらったよね。
弓場:そうですね。ロゴデータがどのように作られているのかとデータを開いたら、デザイン的にうまく描かれていない部分もありました。
渡邉:結合していない要素があったよね。
弓場:ロゴの一部が分離したものがそのまま使われて、使っているうちにズレてしまうようなデータでした。そういうことも含めて、現状のロゴリサーチをやりました。
■単にデザインを変えるだけでなく、“らしさ”を追求するために
J-WAVEとTakramは「これから先、J-WAVEが社会に打ち出していく価値とはなにか」「会社としてどうありたいか」と議論を重ね、その中で案を出していった。
弓場:「新しいJ-WAVEの考え方に合致するロゴはどんなものだろう」とか、「実際にSNSでもうまく機能するロゴって何だろう」とか、複数の要因を考えながら探っていきました。枠をひとつ減らしたバージョンや、文字だけを変えたバージョンなど、少しずつバージョンを変えたロゴを作成していきました。
渡邉:マイナーバリエーションをたくさん作ったよね。
弓場:はい。おそらくロゴを専門とするグラフィックデザイナーは、そういった細かいバリエーションやスケッチなどのプロセスまではクライアントに見せないと思います。でも今回は、J-WAVEのみなさんとの共同制作が大事だと考えていたので、10個、20個とロゴのプロトタイプを作って、ミーティングのたびに提案しました。そのリアクションから、彼らが“J-WAVEらしさ”をどこに見出しているのか知りたかったんです。デザイン案ではなく、議論のためのプロトタイプとしてお見せしていたんです。
さまざまな書体でプロトタイピングしたが、「なかなか“らしさ”を表現することができなかった」とその苦労を振り返る。
弓場:前のロゴがかなり個性的だったので、元々もっていた特徴を削いでいくとシンプルになりすぎて、「これって変える意味があるの?」っていう雰囲気のものにしかならないというか。でも、あまりグラフィカルにしてもしかたがないし、「J-WAVE」と読ませなくてはいけない。J-WAVEのみなさんにいろんなロゴをプレゼンしていた当初は「これだったら変えなくてもいいんじゃない?」という正直なリアクションがけっこうあったけど、途中から「もっと変えていってもいいんじゃないか」という意見が出てきました。
渡邉:最初は特にロゴを変える意味はなく、サイズの調整をするだけでいい……っていう地点から始まった。でもロゴの成り立ちを分析したり、要素に解剖したりする過程で、みんなが変えていきたいと思い始めたんだよね。「(これまでのロゴは)何か、今っぽくないかも」って。
弓場:そういったデザインに対する解釈や評価の解像度がプロジェクトを進めるほど高くなり、チームのみなさんが自分の言葉で“J-WAVEらしさ”を語るようになりました。それがよかったなと思います。
渡邉:そうだよね。今回のプロジェクトも、後半に入って、ようやくメンバ一人ひとりの本音がしっかり聞こえてきた。時間を共にすることも、プロトタイプを共有することも大事だよね。
■リスナーの反応は?
1月1日にロゴがリニューアルしたあと、弓場はSNSなどでリアクションを確認したという。
弓場:ヒヤヒヤしながら見ていました(笑)。
渡邉:人は変化を嫌うものだからどんなブランドリニューアルでも歓迎されることはあまりないよね。
弓場:当然、変わったことに気付いた人もいるなか、あまり変わったと感じていない人たちの意見も多くて、それが意外でした。そんな違和感なく変わったことに気付いた流れもよかったですね。ポジティブな意見がすごく多くてうれしかったですね。
渡邉:どんな意見があった?
弓場:スタイリッシュとかソリッドとかスッキリしているとか、もともとJ-WAVEが目指していた姿に近いキーワードが入っていました。ブランドチームのみなさんが目指してた方向にリアクションされているので、非常によかったのでホッとしています。
今回、J-WAVEはロゴと同時にステートメントもリニューアルした。「声と音楽と行動で、多様な東京の風景をつくる」ことをミッションに、オンエアやライブイベントなどを創造していく。
【番組情報】
番組名:『TAKRAM RADIO』
放送日時:毎週木曜 26時30分-27時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/takram/
■J-WAVEの未来や会社のあり方を一緒に考える
Takramはこれまで、さまざまな企業のブランドリニューアルを手がけてきた。渡邉によると、ロゴだけ変えるような仕事はなく、ブランドのあり方を考え直すことがプロジェクトのコアだという。ロゴの更新はあくまで結果なのだ。J-WAVEとプロジェクトを始めるにあたっても、まずは社員や制作会社のスタッフ、音楽ジャーナリストなどに話を聞いた。「これからの音はどうなっていくのか」「ラジオというメディアの意味はなにか」「東京のラジオ局として何をやっていくべきなのか」といった議論を重ねたことがいちばんブランドの価値になったと、渡邉は振り返る。
そもそもロゴをリニューアルするきっかけは、J-WAVEの取締役のひとりが渡邉に対して、「会社の未来やあり方を一緒に考える仕事をやってみませんか?」と提案したことだった。依頼を受けたTakramは、J-WAVE社員にインタビューを実施し、「仕事をする上で、どこに向かうのか」というブランドフィロソフィーやステートメントを考えながら、ロゴの案を練っていった。
旧ロゴが作られたのは約25年前。当時はパソコンが普及しておらず、SNSもない。時代の変化によって“使いにくい点”も生じていた。
渡邉:J-WAVEのウェブサイトやSNSを運用する人たちからは、「横長のロゴだと小さいエリアで表示するときに、小さくなりすぎて見えない」って意見をもらったよね。
弓場:そうですね。ロゴデータがどのように作られているのかとデータを開いたら、デザイン的にうまく描かれていない部分もありました。
渡邉:結合していない要素があったよね。
弓場:ロゴの一部が分離したものがそのまま使われて、使っているうちにズレてしまうようなデータでした。そういうことも含めて、現状のロゴリサーチをやりました。
■単にデザインを変えるだけでなく、“らしさ”を追求するために
J-WAVEとTakramは「これから先、J-WAVEが社会に打ち出していく価値とはなにか」「会社としてどうありたいか」と議論を重ね、その中で案を出していった。
弓場:「新しいJ-WAVEの考え方に合致するロゴはどんなものだろう」とか、「実際にSNSでもうまく機能するロゴって何だろう」とか、複数の要因を考えながら探っていきました。枠をひとつ減らしたバージョンや、文字だけを変えたバージョンなど、少しずつバージョンを変えたロゴを作成していきました。
渡邉:マイナーバリエーションをたくさん作ったよね。
弓場:はい。おそらくロゴを専門とするグラフィックデザイナーは、そういった細かいバリエーションやスケッチなどのプロセスまではクライアントに見せないと思います。でも今回は、J-WAVEのみなさんとの共同制作が大事だと考えていたので、10個、20個とロゴのプロトタイプを作って、ミーティングのたびに提案しました。そのリアクションから、彼らが“J-WAVEらしさ”をどこに見出しているのか知りたかったんです。デザイン案ではなく、議論のためのプロトタイプとしてお見せしていたんです。
さまざまな書体でプロトタイピングしたが、「なかなか“らしさ”を表現することができなかった」とその苦労を振り返る。
弓場:前のロゴがかなり個性的だったので、元々もっていた特徴を削いでいくとシンプルになりすぎて、「これって変える意味があるの?」っていう雰囲気のものにしかならないというか。でも、あまりグラフィカルにしてもしかたがないし、「J-WAVE」と読ませなくてはいけない。J-WAVEのみなさんにいろんなロゴをプレゼンしていた当初は「これだったら変えなくてもいいんじゃない?」という正直なリアクションがけっこうあったけど、途中から「もっと変えていってもいいんじゃないか」という意見が出てきました。
渡邉:最初は特にロゴを変える意味はなく、サイズの調整をするだけでいい……っていう地点から始まった。でもロゴの成り立ちを分析したり、要素に解剖したりする過程で、みんなが変えていきたいと思い始めたんだよね。「(これまでのロゴは)何か、今っぽくないかも」って。
弓場:そういったデザインに対する解釈や評価の解像度がプロジェクトを進めるほど高くなり、チームのみなさんが自分の言葉で“J-WAVEらしさ”を語るようになりました。それがよかったなと思います。
渡邉:そうだよね。今回のプロジェクトも、後半に入って、ようやくメンバ一人ひとりの本音がしっかり聞こえてきた。時間を共にすることも、プロトタイプを共有することも大事だよね。
■リスナーの反応は?
1月1日にロゴがリニューアルしたあと、弓場はSNSなどでリアクションを確認したという。
弓場:ヒヤヒヤしながら見ていました(笑)。
渡邉:人は変化を嫌うものだからどんなブランドリニューアルでも歓迎されることはあまりないよね。
弓場:当然、変わったことに気付いた人もいるなか、あまり変わったと感じていない人たちの意見も多くて、それが意外でした。そんな違和感なく変わったことに気付いた流れもよかったですね。ポジティブな意見がすごく多くてうれしかったですね。
渡邉:どんな意見があった?
弓場:スタイリッシュとかソリッドとかスッキリしているとか、もともとJ-WAVEが目指していた姿に近いキーワードが入っていました。ブランドチームのみなさんが目指してた方向にリアクションされているので、非常によかったのでホッとしています。
今回、J-WAVEはロゴと同時にステートメントもリニューアルした。「声と音楽と行動で、多様な東京の風景をつくる」ことをミッションに、オンエアやライブイベントなどを創造していく。
【番組情報】
番組名:『TAKRAM RADIO』
放送日時:毎週木曜 26時30分-27時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/takram/
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