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Official髭男dism『Traveler』ジャケットを手がけたM!DOR!、コラージュの魅力を語る

Official髭男dism『Traveler』ジャケットを手がけたM!DOR!、コラージュの魅力を語る

J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」。12月6日(金)のオンエアでは、今年の大ヒットしたOfficial髭男dismのアルバム『Traveler』のジャケットを手掛けたコラージュアーティスト/グラフィックデザイナーのM!DOR!が登場。コラージュの魅力やジャケット制作秘話を語った。


■ハンドコラージュとは?

M!DOR!のアーティストとしての作品づくりの手法は、雑誌や紙の印刷物を切り貼りする「ハンドコラージュ」。印刷物は、1800年代から1950年代頃までのものを選ぶようにしているという。

M!DOR!:コラージュのアウトラインはハサミで、細かい部分はアートナイフという小さいペンタイプのカッターみたいなものを使って切っています。貼るのりは一般的なスティックのりを使っています。作品はハンドコラージュというのを決めていて、当時の古い素材などをコピーせずに現物そのものを使用すると自分で制限をかけています。そうすることによって、作品が一点物になるので、見る側も当時の紙そのものの色やモチーフをそのまま感じ取っていただけると思います。

パソコンなどで制作する「デジタルコラージュ」もある。M!DOR!は、仕事はデジタルコラージュ、作品はハンドコラージュで作るのだという。


■コラージュとの出会いは一冊の本

M!DOR!は高校生のときに、はじめてコラージュに興味を持ったと振り返る。

M!DOR!:当時、古書店で「ロシア・アヴァンギャルド」と呼ばれるジャンルの本を見つけて、そこにすごくカッコいいポスターが載っていました。そこに手法がコラージュって書いてあったんです。コラージュって何だろうと思って調べたら、簡単に言うと「切って貼る」という手法だとわかりました。私は絵を描くのが苦手なので、絵以外で何かを表現することを探していて。切って貼るのであれば私でもできるかもしれないと思い、コラージュを始めました。はじめは読んでいたファッション誌とかカレンダーの表紙とか、手持ちの素材を組み合わせて制作していましたね。

雑誌の誌面作りに興味を持ったM!DOR!は東京・文化女子大学(現在は文化学園大学)の編集・デザインコースを卒業。そして、デザイン事務所に所属した。その後、東京・原宿のギャラリーで開催されたグループ展にアーティストとして参加。さらに、仕事ではファッション誌『Them magazine』をはじめ、雑誌の誌面での活動も増えていった。

M!DOR!は2012年に独立。2014年にはGLAYのツアーパンフレットも手掛けた。その仕事の依頼は突然だったという。

M!DOR!:当時、すごく入りたかったデザイン事務所があったのですが、そこは私が就職をする頃はスタッフを募集していませんでした。でも、とにかくそのデザイン事務所が制作する作品が好きだったので、そこへ自分のポートフォリオと作品を持って「スタッフを募集してないけど、作品を見てもらいたい」と押しかけました。GLAYのツアーパンフレットのお仕事は、その時にお話を聞いていただいた方からのご依頼でした。急にその方から電話があり、それがまさかお仕事につながるとは、とすごくビックリしましたね。


■Official髭男dismのアルバム『Traveler』ジャケットの制作秘話

J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)

M!DOR!は今年、大きな注目を集めたOfficial髭男dismのメジャー1stアルバム『Traveler』のジャケットのアートワークを務めた。

M!DOR!:もともとヒゲダンさんのアートワークをやっているデザイン事務所の方からこの仕事をご依頼いただきました。以前、このデザイン事務所と鈴木このみさんのアートワークをさせていただいている経緯もあり、「ヒゲダンさんが『コラージュでアートワークをやりたい』とのことなので、M!DOR!さんしかいない」とご連絡をいただきました。ヒゲダンさんは人気だし、毎日のようにラジオで彼らの曲を聴いていて、素晴らしい曲を作る方だなと思っていたので、まさかヒゲダンさんとお仕事をご一緒する機会があるとは思っていなくて驚きました。その後はアルバムのイメージや収録曲を教えていただいて、曲のイメージや、曲の中に登場するモチーフだったり、メンバーそれぞれの好きなものを調べたり、ファンの方のブログを読んだりして、アートワークを制作しました。

Official髭男dismのアルバム『Traveler』には「ビンテージ」という曲が収録されている。この“ビンテージ”という言葉はM!DOR!が好きな言葉だったという。

M!DOR!:“ビンテージ”という単語が好きなので、その時点ですごくうれしくて。曲の雰囲気も曲調もビンテージ感というか、ヒゲダンさんのポップなんだけどもどこか懐かしさも感じるようなフレーズなどもアートワークに落とし込めたらと思ってイメージしました。もともとヒゲダンさんが「コラージュでこうしたい」とアートワークのイメージを固めていたので、私はすごくやりやすくもあり、その固まったイメージをさらにどうヒゲダンさんの音楽に寄せられるかと考えながら、楽しく制作させていただきました。モチーフで曲を抽象的にイメージしたり、タイトルそのものを入れていたりして、ファンの方に「これは、あれかな」と探してもらえるとより楽しめると思います。


■コラージュには偶然で作られる面白さがある

CDジャケット、雑誌の誌面、商業施設のショーウィンドウなど、さまざまな仕事とともに、M!DOR!は自身の作品づくりも続けている。そんなM!DOR!はコラージュの魅力について、こう語る。

M!DOR!:コラージュは偶然で作られる面白さがあります。その偶然は、現物の紙ものを使うから生まれます。デジタルコラージュだと色やサイズなど無限に変えることができるけど、現物を使うと、もともとの紙の色もサイズも変えられないから、「ちょっとサイズがおかしくて組み合わない」など制限があります。でも、すごくうまくカチッとはまるタイミングだったり、紙の年代によって紙質がぴったり合うなどの偶然がある。それが現物でコラージュをやる面白さだと思います。また、コラージュする本に名前が書いてあると「この人はどういう思いでこの本を所有していたのかな」とか、その経緯を想像することも面白く、時を超えて自分の元に今ある奇跡が、コラージュをやる楽しさの源でもあります。

Official髭男dismのアルバム『Traveler』を見て「どの曲がどのモチーフに使われているか」などを楽しんでみては。

現在、ツアー真っ最中のOfficial髭男dismのツアービジュアルやツアーグッズにもM!DOR!のコラージュが使われているとのこと。2020年6月にはM!DOR!の個展が東京・代官山のジュエリーブランド「8(eight)」で開催予定。そのほかの活動など、ぜひM!DOR!のホームページをチェックしてほしい。

J-WAVE『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」では、さまざまなフィールドで活躍する人物の裏側に迫る。放送は毎週金曜の10時40分頃から。お楽しみに。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年12月13日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『~JK RADIO~TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/

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