J-WAVEで放送中の番組『TRUME TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。11月16日(土)のオンエアでは、作家の道尾秀介をゲストに迎え、大反響を呼んでいる道尾の小説『いけない』(文藝春秋)の創作の舞台裏に迫った。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月23日28時59分まで)
■書いたことも読んだこともない小説を作りたかった
ストーリーの緻密さと人物造詣の豊かさ、そして娯楽性の高いストーリーテリングで読者を魅了する道尾。全作品の累計部数は500万部を突破。7月に発表したミステリー小説『いけない』も、最後の最後で大どんでん返しが待ち受け、「読み返さずにはいられない!」という声が続出している。
『いけない』は架空の町「がまくら市」で起こった3つの事件とエピローグからなる4章で構成されている。作品を執筆したきっかけは……。
道尾:作家になって15年経ちます。これまでいろいろな作品を書いてきたけど、今まで自分が書いたことも読んだこともない小説を作りたかったんです。各章の最後の1ページをめくると写真が出てきて、それをじっと見ているともうひとつの真相が出てくるかもしれない、しかも全ての章を繋げて読むとまた別のものが見えてくる。そういう作品を書こうと思いました。それが『いけない』を書くきっかけですね。
第1章「弓投げの崖を見てはいけない」は、道尾が10年ほど前に書いた単行本未収録の中編小説。「この作品がものすごく気に入っていたので、いつかこの作品を膨らませたいな」と考えていたという。
道尾:あるとき出版社から新作の中編小説の依頼を受けたときに「何を書いてもいいと」言われたので、「弓投げの崖を見てはいけない」に繋げて2章目を書きました。そのときに、各章の最後に1枚の写真を入れることを思いつき、全ての章をこのスタイルにすることにしました。
市川:『いけない』は写真を見ると新たな真相が浮かび上がって、海外ドラマのラストシーンのような強烈な引きを感じました。
道尾:各章の最後に1枚の写真があり、それを理解してもしなくても先に進んでもらっていいんです。僕はこの作品を“体験型”と読んでいるんですけど、読者が本の中に入り込んで自由に遊べる作品なんです。
一気に読み進めてから再読するもよし、章ごとに理解していくもよし、自分に合う方法で“体験”できる。
続編も考案中とのこと。今後の展開に注目したい。
■小説は読者の心や頭のなかに世界が広がっている
出版不況と言われる現状を、道尾はどう捉えているのだろうか。
道尾:世の中のあらゆる商品は売れなくなると「もっと手にとってもらおう」と改良しますよね。しかし、なぜか出版業界だけは「この1カ月で1冊以上の本を読んだ学生は何パーセントです」とか「読書をしない国民はよくない」とか、本を買わなくなった人のほうが悪いと言われるんです。でも、よい作品を作れば読者は戻ってきてくれる。僕は必ずそうなると思って、「こんな本は読んだことがないでしょう」「ほら、小説って面白いでしょう」と思ってもらいたかったので、新しい感覚の作品として『いけない』を書いたんですよね。
道尾が考える、小説の魅力は?
道尾:小説って本を開くと無数の文字が印刷されていますよね。ページをめくるとまた無数の文字が出てくる。でも、小説って書かれていることはごく一部で、書かれていないことのほうが圧倒的に多いんです。そのほとんどは余白の部分とか、読者の心とか頭のなかに世界が広がっている。そこが一番面白いところですよね。 市川:読者それぞれの経験や想像力によっていろいろな世界になっていくと。 道尾:そうですね。そこに思い込みを利用したトリックを入れ込むこともできるし、「世界一の美人」とか「世界で一番おいしいもの」とか、「世界で一番きれいな音楽」でさえ文章で想像させることができる。そういう面白さが小説にはあると思います。
現在、道尾は長編小説『龍神の雨』(新潮社)、『風神の手』(朝日新聞出版)に続く新作を執筆中。タイトルは未定だが「『雷神の○○』を予定し、雷が大きく関係する作品になる」と語った。また、10月に長編小説『カエルの小指 a murder of crows』(講談社)を上梓。この作品は2008年に出版し映画化した詐欺師たちの物語『カラスの親指 by rule of CROW's thumb』(講談社)の続編となる。こちらもぜひ手にとってほしい。
番組では他にも、道尾が小説を目指すきっかけやプライベートを明かす場面もあった。詳しくはradikoをチェックしてみてほしい。
J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』では、革新的な活動によって各界を牽引する人をゲストに迎え、現在の活動についてはもちろん、これまでどのような時を歩んできたのか、そしてこれから先はどのようなビジョンに向かって時を進めていくのかに迫る。放送は毎週土曜の21時から。お楽しみに!
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月23日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『TRUME TIME AND TIDE』
放送日時:毎週土曜 21時-22時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/timeandtide/
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■書いたことも読んだこともない小説を作りたかった
ストーリーの緻密さと人物造詣の豊かさ、そして娯楽性の高いストーリーテリングで読者を魅了する道尾。全作品の累計部数は500万部を突破。7月に発表したミステリー小説『いけない』も、最後の最後で大どんでん返しが待ち受け、「読み返さずにはいられない!」という声が続出している。
『いけない』は架空の町「がまくら市」で起こった3つの事件とエピローグからなる4章で構成されている。作品を執筆したきっかけは……。
道尾:作家になって15年経ちます。これまでいろいろな作品を書いてきたけど、今まで自分が書いたことも読んだこともない小説を作りたかったんです。各章の最後の1ページをめくると写真が出てきて、それをじっと見ているともうひとつの真相が出てくるかもしれない、しかも全ての章を繋げて読むとまた別のものが見えてくる。そういう作品を書こうと思いました。それが『いけない』を書くきっかけですね。
第1章「弓投げの崖を見てはいけない」は、道尾が10年ほど前に書いた単行本未収録の中編小説。「この作品がものすごく気に入っていたので、いつかこの作品を膨らませたいな」と考えていたという。
道尾:あるとき出版社から新作の中編小説の依頼を受けたときに「何を書いてもいいと」言われたので、「弓投げの崖を見てはいけない」に繋げて2章目を書きました。そのときに、各章の最後に1枚の写真を入れることを思いつき、全ての章をこのスタイルにすることにしました。
市川:『いけない』は写真を見ると新たな真相が浮かび上がって、海外ドラマのラストシーンのような強烈な引きを感じました。
道尾:各章の最後に1枚の写真があり、それを理解してもしなくても先に進んでもらっていいんです。僕はこの作品を“体験型”と読んでいるんですけど、読者が本の中に入り込んで自由に遊べる作品なんです。
一気に読み進めてから再読するもよし、章ごとに理解していくもよし、自分に合う方法で“体験”できる。
続編も考案中とのこと。今後の展開に注目したい。
■小説は読者の心や頭のなかに世界が広がっている
出版不況と言われる現状を、道尾はどう捉えているのだろうか。
道尾:世の中のあらゆる商品は売れなくなると「もっと手にとってもらおう」と改良しますよね。しかし、なぜか出版業界だけは「この1カ月で1冊以上の本を読んだ学生は何パーセントです」とか「読書をしない国民はよくない」とか、本を買わなくなった人のほうが悪いと言われるんです。でも、よい作品を作れば読者は戻ってきてくれる。僕は必ずそうなると思って、「こんな本は読んだことがないでしょう」「ほら、小説って面白いでしょう」と思ってもらいたかったので、新しい感覚の作品として『いけない』を書いたんですよね。
道尾が考える、小説の魅力は?
道尾:小説って本を開くと無数の文字が印刷されていますよね。ページをめくるとまた無数の文字が出てくる。でも、小説って書かれていることはごく一部で、書かれていないことのほうが圧倒的に多いんです。そのほとんどは余白の部分とか、読者の心とか頭のなかに世界が広がっている。そこが一番面白いところですよね。 市川:読者それぞれの経験や想像力によっていろいろな世界になっていくと。 道尾:そうですね。そこに思い込みを利用したトリックを入れ込むこともできるし、「世界一の美人」とか「世界で一番おいしいもの」とか、「世界で一番きれいな音楽」でさえ文章で想像させることができる。そういう面白さが小説にはあると思います。
現在、道尾は長編小説『龍神の雨』(新潮社)、『風神の手』(朝日新聞出版)に続く新作を執筆中。タイトルは未定だが「『雷神の○○』を予定し、雷が大きく関係する作品になる」と語った。また、10月に長編小説『カエルの小指 a murder of crows』(講談社)を上梓。この作品は2008年に出版し映画化した詐欺師たちの物語『カラスの親指 by rule of CROW's thumb』(講談社)の続編となる。こちらもぜひ手にとってほしい。
番組では他にも、道尾が小説を目指すきっかけやプライベートを明かす場面もあった。詳しくはradikoをチェックしてみてほしい。
J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』では、革新的な活動によって各界を牽引する人をゲストに迎え、現在の活動についてはもちろん、これまでどのような時を歩んできたのか、そしてこれから先はどのようなビジョンに向かって時を進めていくのかに迫る。放送は毎週土曜の21時から。お楽しみに!
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番組名:『TRUME TIME AND TIDE』
放送日時:毎週土曜 21時-22時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/timeandtide/