J-WAVEで放送中の番組『RADIO DONUTS』（ナビゲーター：渡辺 祐・山田玲奈）のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。5月18日（土）のオンエアでは、イラストレーター＆漫画家の本 秀康さんが登場。新刊『あげものブルース』（亜紀書房）についてお話を訊きました。
■プライベートで起こった面白いことを漫画にしたら…
音楽ファンに愛され続ける漫画『レコスケくん』の生みの親であり、レコードレーベルも手がける本さん。約2年前に番組に出演してくれた当時は『レコスケくん』連載20周年を迎えた年でした。
【関連記事】連載20年！ 漫画「レコスケくん」の誕生の秘密
そんな本さんが漫画家として9年ぶりに出版した『あげものブルース』。作品ができあがるまでには、不思議なめぐりあわせがありました。
本：タイトルが『あげものブルース』なので、最初から最後まで揚げ物が出てきます。てんぷら、からあげ、とんかつ。ちょっと趣きが違うんですけど、かりんとうも出てきます。最初から揚げ物の話を描こうと思ったわけではなく、漫画を休んでいた間にプライベートで起こったおもしろいことをメモ代わりに漫画のかたちで描きためておいたんです。それを集めてみたら、全部揚げ物屋さんでちょっとしたトラブルが起こったことをネタにしていたので、描き下ろしも揚げ物の話にして1冊にまとめました。
■漫画のネタを考えるためにインドへ!?
『あげものブルース』には、ウェブマガジン『あき地』で発表した「からあげ」「とんかつ」「続とんかつ」に加えて、未発表の描き下ろしページが収録されています。登場人物は主に3名。からあげにこだわる男、友だちが少なめのとんかつ好きの男、有名アパレルブランドの社長の家に生まれたてんぷら好きの男です。3名それぞれのストーリーが描かれつつ少しずつ絡み合い、30年の時が1冊の中で流れていきます。本さんに作品の原点について訊きました。
本：そろそろ漫画に戻らないといけないなと思ったときに、思いついたことがありました。僕はザ・ビートルズが大好きで、『The Beatles（ホワイト・アルバム）』という作品はメンバーがインドで瞑想修行をするために長期滞在をしたときにできた曲を、ロンドンに持ち帰って録音してできたアルバムなんです。そのプロセスを漫画に置き換えたら漫画版『ホワイト・アルバム』になるんじゃないかなと数年前に思いついたんです。でも、漫画のネタを考えにインドに行くって、すごくバカバカしいから実現するつもりはなく、過ごしていたんです。そうしたら去年が『ホワイト・アルバム』発売50周年の年だと知って、そのアイデアを実現させるしかないと思って、インドに行って、ザ・ビートルズが『ホワイト・アルバム』の曲を書いた場所で僕も漫画のネタを考えました。
瞑想道場（マハリシ・アシュラム）には宿泊施設があり、ザ・ビートルズが屋上にアコースティックギターを持ち込んで曲を制作。本さんもそこへ向かいました。
本：「この曲がここで作られたのか」ってiPhoneで聴きながら過ごしました。感じるものがありましたね。漫画にも描いているんですけど、数年前に僕の父が亡くなりまして、それからしばらく父のことをなるべく考えないようにしていたんです。ただ、ひとりになるとどうしても頭をよぎってしまって。そういう感じでここ数年を過ごしていました。インドにいる間はずっと父のことを思い出してしまうんです。振り払って過ごしていたんですけど、マハリシ・アシュラムで父のことを考え抜いて、せっかくのチャンスなので今回の漫画に父のことを描くのがいいかもしれないと思って、『あげものブルース』のストーリーが完成しました。
■不思議なめぐりあわせ
漫画には、神保町にある有名な天ぷら屋さん「いもや」がモデルになった店が登場します。
本：本が好きだったので高校生の頃から神保町に頻繁に通っていて、漫画と一緒で30年間通っています。「いもや」に行くと必ず定食にアナゴの天ぷらを追加するという注文をしています。これも漫画のとおりです。神保町に広く展開していた「いもや」が縮小して1店舗だけに残すというニュースでにぎわって、そのタイミングでこの本を出すのかってビックリしました。最初はどの出版社から出すか決めないで描いていたんですね。それで、僕の漫画が好きと言ってくれる知り合いの編集者がいたので、その人と話して亜紀書房さんに決めました。打ち合わせするときに亜紀書房さんに行ったら、1店舗だけ残った「いもや」のとなりが亜紀書房さんだったんですよ。こういう偶然がこの漫画にはたくさんあってけっこうビックリしました。
最後に、タイトルに込めた想いを訊きました。
本：登場人物の30年の人生を描いています。結論から言うと、3人のうち2人が結婚していて、1人だけずっと孤独に生きている人間です。僕は家内がいて20年くらいになるんですけど、一人暮らしのときと変わらないような気持ちになることもあって、その気持ちを1人で生きているキャラクターに置き換えたんです。なので、孤独に生きている彼も、家族を持っている2人も自分。それが人生なのかな。揚げ物だからなのか、すべて物悲しいんですよね。まあ、僕の体験談が物悲しいっていうこともあるかもしれませんけど。だから、タイトルをつけるときはすんなり「ブルース」が出てきました。
ユーモアあふれるテーマと本さんの実体験が反映されたストーリーに注目して『あげものブルース』をぜひ読んでみてください。
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【番組情報】
番組名：『RADIO DONUTS』
放送日時：毎週土曜 8時－12時
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/
【ついに！】単行本『あげものブルース』4/25発売です！昨年3月からさっきまで、丸々1年かけて描いた命がけの新作です！最高傑作(だと思いたい)！よろしくお願いします！！https://t.co/GKN5bnMewK pic.twitter.com/xbLxHrsa9K
— 本秀康 (@motomotohide) 2019年4月10日
■プライベートで起こった面白いことを漫画にしたら…
音楽ファンに愛され続ける漫画『レコスケくん』の生みの親であり、レコードレーベルも手がける本さん。約2年前に番組に出演してくれた当時は『レコスケくん』連載20周年を迎えた年でした。
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そんな本さんが漫画家として9年ぶりに出版した『あげものブルース』。作品ができあがるまでには、不思議なめぐりあわせがありました。
本：タイトルが『あげものブルース』なので、最初から最後まで揚げ物が出てきます。てんぷら、からあげ、とんかつ。ちょっと趣きが違うんですけど、かりんとうも出てきます。最初から揚げ物の話を描こうと思ったわけではなく、漫画を休んでいた間にプライベートで起こったおもしろいことをメモ代わりに漫画のかたちで描きためておいたんです。それを集めてみたら、全部揚げ物屋さんでちょっとしたトラブルが起こったことをネタにしていたので、描き下ろしも揚げ物の話にして1冊にまとめました。
■漫画のネタを考えるためにインドへ!?
『あげものブルース』には、ウェブマガジン『あき地』で発表した「からあげ」「とんかつ」「続とんかつ」に加えて、未発表の描き下ろしページが収録されています。登場人物は主に3名。からあげにこだわる男、友だちが少なめのとんかつ好きの男、有名アパレルブランドの社長の家に生まれたてんぷら好きの男です。3名それぞれのストーリーが描かれつつ少しずつ絡み合い、30年の時が1冊の中で流れていきます。本さんに作品の原点について訊きました。
本：そろそろ漫画に戻らないといけないなと思ったときに、思いついたことがありました。僕はザ・ビートルズが大好きで、『The Beatles（ホワイト・アルバム）』という作品はメンバーがインドで瞑想修行をするために長期滞在をしたときにできた曲を、ロンドンに持ち帰って録音してできたアルバムなんです。そのプロセスを漫画に置き換えたら漫画版『ホワイト・アルバム』になるんじゃないかなと数年前に思いついたんです。でも、漫画のネタを考えにインドに行くって、すごくバカバカしいから実現するつもりはなく、過ごしていたんです。そうしたら去年が『ホワイト・アルバム』発売50周年の年だと知って、そのアイデアを実現させるしかないと思って、インドに行って、ザ・ビートルズが『ホワイト・アルバム』の曲を書いた場所で僕も漫画のネタを考えました。
瞑想道場（マハリシ・アシュラム）には宿泊施設があり、ザ・ビートルズが屋上にアコースティックギターを持ち込んで曲を制作。本さんもそこへ向かいました。
本：「この曲がここで作られたのか」ってiPhoneで聴きながら過ごしました。感じるものがありましたね。漫画にも描いているんですけど、数年前に僕の父が亡くなりまして、それからしばらく父のことをなるべく考えないようにしていたんです。ただ、ひとりになるとどうしても頭をよぎってしまって。そういう感じでここ数年を過ごしていました。インドにいる間はずっと父のことを思い出してしまうんです。振り払って過ごしていたんですけど、マハリシ・アシュラムで父のことを考え抜いて、せっかくのチャンスなので今回の漫画に父のことを描くのがいいかもしれないと思って、『あげものブルース』のストーリーが完成しました。
■不思議なめぐりあわせ
漫画には、神保町にある有名な天ぷら屋さん「いもや」がモデルになった店が登場します。
本：本が好きだったので高校生の頃から神保町に頻繁に通っていて、漫画と一緒で30年間通っています。「いもや」に行くと必ず定食にアナゴの天ぷらを追加するという注文をしています。これも漫画のとおりです。神保町に広く展開していた「いもや」が縮小して1店舗だけに残すというニュースでにぎわって、そのタイミングでこの本を出すのかってビックリしました。最初はどの出版社から出すか決めないで描いていたんですね。それで、僕の漫画が好きと言ってくれる知り合いの編集者がいたので、その人と話して亜紀書房さんに決めました。打ち合わせするときに亜紀書房さんに行ったら、1店舗だけ残った「いもや」のとなりが亜紀書房さんだったんですよ。こういう偶然がこの漫画にはたくさんあってけっこうビックリしました。
最後に、タイトルに込めた想いを訊きました。
本：登場人物の30年の人生を描いています。結論から言うと、3人のうち2人が結婚していて、1人だけずっと孤独に生きている人間です。僕は家内がいて20年くらいになるんですけど、一人暮らしのときと変わらないような気持ちになることもあって、その気持ちを1人で生きているキャラクターに置き換えたんです。なので、孤独に生きている彼も、家族を持っている2人も自分。それが人生なのかな。揚げ物だからなのか、すべて物悲しいんですよね。まあ、僕の体験談が物悲しいっていうこともあるかもしれませんけど。だから、タイトルをつけるときはすんなり「ブルース」が出てきました。
ユーモアあふれるテーマと本さんの実体験が反映されたストーリーに注目して『あげものブルース』をぜひ読んでみてください。
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【番組情報】
番組名：『RADIO DONUTS』
放送日時：毎週土曜 8時－12時
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/