J-WAVEで放送中の番組『RADIO SWITCH』。この番組は【Listen to the Magazine, Reading the Radio 雑誌を聴く、ラジオを読む。】をコンセプトに、カルチャーマガジン『SWITCH』、旅の雑誌『Coyote』、新しい文芸誌『MONKEY』の3つの雑誌とゆるやかに連動しながらお送りしています。
12月22日(土)のオンエアでは、『RADIO SWITCH』から少しだけ早いクリスマスギフトとして、『MONKEY』編集長の柴田元幸さんによるクリスマスストーリーの朗読と、おおはた雄一さんと坂本美雨さんによるユニット「おお雨」によるスペシャル・クリスマスライブの模様をお届けしました。
■イギリスでクリスマスを祝う習慣が復活した話
柴田さんは朗読の前に、クリスマスの意外なエピソードを話し始めました。
柴田:もうすぐクリスマスですね。街に出て行くとそこら中に赤と緑が目について「ああ、今年ももうじき終わりだな」と思いますよね。日本はキリスト教徒でもない人が大半なのにクリスマスを祝うなんてヘンだ。そういう声をときどき聞くけど、逆に言うとキリスト教徒が大勢を占める国ならいつでもクリスマスを祝っていたかというと、必ずしもそうではないようです。たとえば、イギリス。イギリスの有名なクリスマスストーリーといえば、まずはチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を挙げる人が多いと思いますが……。ディケンズが1843年にこの作品を発表した当時、イギリスではクリスマスを祝う習慣がかなり廃れていたそうです。
柴田:そもそもクリスマスは休日でさえなくて、12月25日も人々は普通に働いていました。中世では盛んだったクリスマスを祝う習慣が下火になったのは、どうやら17世紀の清教徒革命の指導者・オリバー・クロムウェルに責任があるみたいです。彼の指導の下で清教徒(ピューリタン)の人々は、宗教にまつわる飾りやら儀式やらを徹底的に排除して純粋な信仰を追求しました。その一環として歌や踊りのようなものもやり玉にあがりました。それで、クリスマスの祝い歌『クリスマス・キャロル』を歌うことさえクロムウェルによって禁止されてしまいました。清教徒たちはその後、政治的な戦いに敗れてイギリスには王政が戻ってきたわけですが、クリスマスの習わしがかつてのような勢いを取り戻すことはありませんでした。それが清教徒革命から200年の時を経た1843年、人気作家だったディケンズが『クリスマス・キャロル』を発表して大好評を博し、クリスマスを祝う習慣が一気に復活したそうです。
柴田:ディケンズの『クリスマス・キャロル』はケチで誰からも嫌われている男が3人の幽霊に導かれ、過去・現在・未来の世界を見せられて人を助けることの大切さを学ぶというお話です。否定的に見れば説教くさい話になるでしょうけど、肯定的に見れば心温まる話だと言えると思います。その作品以来、クリスマスストーリーといえば心温まる話という伝統がずっと続いています。
このエピソードにちなみ、柴田さんは「ひねりはきいているけど、基本的には心温まる話」として、現代アメリカの作家・ポール・オースターの短編小説『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』を朗読しました。
■「おお雨」が即興演奏とともに詩の朗読を披露
番組後半は、おおはた雄一さんと坂本美雨さんによるユニット「おお雨」によるスペシャル・クリスマス・ライブの模様をお届けしました。
まずは、おおはたさんの『おだやかな暮らし』と坂本さんの『かぞくのうた』をふたりで披露しました。
その後、坂本さんは「このライブの模様は、私の大好きな柴田元幸さんの朗読と一緒にオンエアされるということで、うれしく思います」と喜びを語り、自らも朗読をしていたラジオ番組のエピソードを振り返ります。
坂本:2005年から2007年までJ-WAVEの『MIDNIGHT GARDEN』という番組で、いろんな文学やいろんな人の言葉や詩を読ませてもらいました。今でも本当に大事に残っている文章があって、そんな文章たちとたくさん出会わせてもらった番組でした。
「この番組の中では写真家・星野道夫さんの言葉もよく朗読した」と振り返る坂本さん。星野さんの友人であったアラスカ先住民クリンギット族のボブ・サムさんが書き、谷川俊太郎さんが訳した詩を、おおはたさんの即興演奏とともに朗読しました。
■ボブ・ディランの自伝が大好き
続いて、おおはたさんが「ボブ・ディランが好き」と話したことから、おおはたさんが和訳したボブ・ディランの『Don't Think Twice It's All Right』のカバーを「おお雨」で披露しました。
おおはた:10年くらい前に出たボブ・ディランの自伝が大好きで。不思議な本で読み終わらないの。
坂本:(笑)。
おおはた:毎回、読むたびに違うフレーズが気になってくる。その自伝は3巻出すって聞いて、10年前から2巻目を待ってるんだけど、いまだに出ないんですよ。
坂本:1巻目は話がどこで終わってるの?
おおはた:どこでっていうか、時代がバラバラなの。だから不思議な本で、1960年代のニューヨークのカフェで歌っている時のことを克明に書かれている部分もあれば、今になったりとか、いろんな時代に行ったり来たりしている本で。
坂本:私は職業柄いろんなジャンルのすごい人にお会いするんですけど、すごい人って記憶力がいいよね。
おおはた:この自伝もすごいんですよ。注文を持って来てくれたウエイトレスの瞳の色とか忠実に書いてあるからね。
坂本:ちょっと盛ってると思うけどね(笑)。
■坂本「クリスマスはマシュマロを…」
ライブの最後は「もうすぐクリスマスというこの時期にしか歌えない」と『The Christmas Song』を披露しました。
おおはた:クリスマスソングの中でこの曲がいちばん好きだな。
坂本:わたしも、これが好きかな、歌詞がかわいくて。タイトルはそのまま『The Christmas Song』という曲だけど、クリスマスの情景が思い浮かびます。特にアメリカの暖炉が燃えていて、七面鳥を焼いたり。欧米のクリスマスは家族が集まる時間なので、子どもたちも楽しみにしていて。
おおはた:マシュマロ焼いたのが好きだよね。それが全然わからなくて(笑)。
坂本:大きなマシュマロを串に刺して暖炉でちょっとあぶって、中がとろっとする。でも、あぶるとマシュマロのふわふわ・ムチムチ感はなくなるの。それは好きかなっていうと、焼いてないマシュマロの方が好きかもしれない(笑)。
おおはた:マシュマロって1年で何回かしか食べないよね。
坂本:あとアメリカでこの季節に飲むのはホットアップルサイダーですね。温かいリンゴジュースで、ちょっとシナモンとか入れて煮出して。
おおはた:自分の家で作るの?
坂本:家でも作るし、どこでも売ってるし。いつもそれを街中で歩きながら飲みたいなって思うんですよ。『The Christmas Song』はそんないろんな懐かしい情景が思い浮かぶ1曲ですね。
クリスマスを間近に控える夜に、おおはたさんの柔らかいギターと坂本さんの透き通る歌声が響き渡りました。柴田さんの朗読と「おお雨」のライブをぜひradikoでお聴きください。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『RADIO SWITCH』
放送日時:土曜23時ー24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radioswitch/about.html
12月22日(土)のオンエアでは、『RADIO SWITCH』から少しだけ早いクリスマスギフトとして、『MONKEY』編集長の柴田元幸さんによるクリスマスストーリーの朗読と、おおはた雄一さんと坂本美雨さんによるユニット「おお雨」によるスペシャル・クリスマスライブの模様をお届けしました。
■イギリスでクリスマスを祝う習慣が復活した話
柴田さんは朗読の前に、クリスマスの意外なエピソードを話し始めました。
柴田:もうすぐクリスマスですね。街に出て行くとそこら中に赤と緑が目について「ああ、今年ももうじき終わりだな」と思いますよね。日本はキリスト教徒でもない人が大半なのにクリスマスを祝うなんてヘンだ。そういう声をときどき聞くけど、逆に言うとキリスト教徒が大勢を占める国ならいつでもクリスマスを祝っていたかというと、必ずしもそうではないようです。たとえば、イギリス。イギリスの有名なクリスマスストーリーといえば、まずはチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を挙げる人が多いと思いますが……。ディケンズが1843年にこの作品を発表した当時、イギリスではクリスマスを祝う習慣がかなり廃れていたそうです。
柴田:そもそもクリスマスは休日でさえなくて、12月25日も人々は普通に働いていました。中世では盛んだったクリスマスを祝う習慣が下火になったのは、どうやら17世紀の清教徒革命の指導者・オリバー・クロムウェルに責任があるみたいです。彼の指導の下で清教徒(ピューリタン)の人々は、宗教にまつわる飾りやら儀式やらを徹底的に排除して純粋な信仰を追求しました。その一環として歌や踊りのようなものもやり玉にあがりました。それで、クリスマスの祝い歌『クリスマス・キャロル』を歌うことさえクロムウェルによって禁止されてしまいました。清教徒たちはその後、政治的な戦いに敗れてイギリスには王政が戻ってきたわけですが、クリスマスの習わしがかつてのような勢いを取り戻すことはありませんでした。それが清教徒革命から200年の時を経た1843年、人気作家だったディケンズが『クリスマス・キャロル』を発表して大好評を博し、クリスマスを祝う習慣が一気に復活したそうです。
柴田:ディケンズの『クリスマス・キャロル』はケチで誰からも嫌われている男が3人の幽霊に導かれ、過去・現在・未来の世界を見せられて人を助けることの大切さを学ぶというお話です。否定的に見れば説教くさい話になるでしょうけど、肯定的に見れば心温まる話だと言えると思います。その作品以来、クリスマスストーリーといえば心温まる話という伝統がずっと続いています。
このエピソードにちなみ、柴田さんは「ひねりはきいているけど、基本的には心温まる話」として、現代アメリカの作家・ポール・オースターの短編小説『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』を朗読しました。
■「おお雨」が即興演奏とともに詩の朗読を披露
番組後半は、おおはた雄一さんと坂本美雨さんによるユニット「おお雨」によるスペシャル・クリスマス・ライブの模様をお届けしました。
まずは、おおはたさんの『おだやかな暮らし』と坂本さんの『かぞくのうた』をふたりで披露しました。
その後、坂本さんは「このライブの模様は、私の大好きな柴田元幸さんの朗読と一緒にオンエアされるということで、うれしく思います」と喜びを語り、自らも朗読をしていたラジオ番組のエピソードを振り返ります。
坂本:2005年から2007年までJ-WAVEの『MIDNIGHT GARDEN』という番組で、いろんな文学やいろんな人の言葉や詩を読ませてもらいました。今でも本当に大事に残っている文章があって、そんな文章たちとたくさん出会わせてもらった番組でした。
「この番組の中では写真家・星野道夫さんの言葉もよく朗読した」と振り返る坂本さん。星野さんの友人であったアラスカ先住民クリンギット族のボブ・サムさんが書き、谷川俊太郎さんが訳した詩を、おおはたさんの即興演奏とともに朗読しました。
■ボブ・ディランの自伝が大好き
続いて、おおはたさんが「ボブ・ディランが好き」と話したことから、おおはたさんが和訳したボブ・ディランの『Don't Think Twice It's All Right』のカバーを「おお雨」で披露しました。
おおはた:10年くらい前に出たボブ・ディランの自伝が大好きで。不思議な本で読み終わらないの。
坂本:(笑)。
おおはた:毎回、読むたびに違うフレーズが気になってくる。その自伝は3巻出すって聞いて、10年前から2巻目を待ってるんだけど、いまだに出ないんですよ。
坂本:1巻目は話がどこで終わってるの?
おおはた:どこでっていうか、時代がバラバラなの。だから不思議な本で、1960年代のニューヨークのカフェで歌っている時のことを克明に書かれている部分もあれば、今になったりとか、いろんな時代に行ったり来たりしている本で。
坂本:私は職業柄いろんなジャンルのすごい人にお会いするんですけど、すごい人って記憶力がいいよね。
おおはた:この自伝もすごいんですよ。注文を持って来てくれたウエイトレスの瞳の色とか忠実に書いてあるからね。
坂本:ちょっと盛ってると思うけどね(笑)。
View this post on InstagramJ-WAVE 『RADIO SWITCH』さん(@radioswitch813)がシェアした投稿 -
■坂本「クリスマスはマシュマロを…」
ライブの最後は「もうすぐクリスマスというこの時期にしか歌えない」と『The Christmas Song』を披露しました。
おおはた:クリスマスソングの中でこの曲がいちばん好きだな。
坂本:わたしも、これが好きかな、歌詞がかわいくて。タイトルはそのまま『The Christmas Song』という曲だけど、クリスマスの情景が思い浮かびます。特にアメリカの暖炉が燃えていて、七面鳥を焼いたり。欧米のクリスマスは家族が集まる時間なので、子どもたちも楽しみにしていて。
おおはた:マシュマロ焼いたのが好きだよね。それが全然わからなくて(笑)。
坂本:大きなマシュマロを串に刺して暖炉でちょっとあぶって、中がとろっとする。でも、あぶるとマシュマロのふわふわ・ムチムチ感はなくなるの。それは好きかなっていうと、焼いてないマシュマロの方が好きかもしれない(笑)。
おおはた:マシュマロって1年で何回かしか食べないよね。
坂本:あとアメリカでこの季節に飲むのはホットアップルサイダーですね。温かいリンゴジュースで、ちょっとシナモンとか入れて煮出して。
おおはた:自分の家で作るの?
坂本:家でも作るし、どこでも売ってるし。いつもそれを街中で歩きながら飲みたいなって思うんですよ。『The Christmas Song』はそんないろんな懐かしい情景が思い浮かぶ1曲ですね。
クリスマスを間近に控える夜に、おおはたさんの柔らかいギターと坂本さんの透き通る歌声が響き渡りました。柴田さんの朗読と「おお雨」のライブをぜひradikoでお聴きください。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『RADIO SWITCH』
放送日時:土曜23時ー24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radioswitch/about.html