J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:藤田琢己)。木曜日は、いきものがかりの水野良樹とお届けしています。10月18日(木)の「DAILY SESSIONS」のコーナーでは、水野と吉岡聖恵との対談模様をお届けしました。「いきものがかり放牧宣言」をしたあとの過ごし方や、10月24日(水)に吉岡さんが発売するソロカバーアルバム『うたいろ』のエピソードについて話しました。
■カバーは「素直に、やってみたい!」と思えた
水野:今回はソロボーカリストとしてカバーアルバムを発売しますが、カバーはいきものがかりでも歌ってたよね。
吉岡:シングルの5枚目ぐらいまでは、カバーをしてましたからね。
水野:なぜ、カバーのアルバムにしようと思ったの?
吉岡:放牧して、リーダー(水野)も山下穂尊も、楽曲を提供したり、キャンピングカーを買って自由に移動してたりするなかで、私は半年間ほどのんびりしていて、本当に牧場に行ってたんですよ。スイスとかハワイの牧場に行きました。すごく自由な時間を過ごしているなかで、大瀧詠一さんの『夢で逢えたら』をカバーする話をいただいて、すごく素直に「やってみたい!」と思えたの。
水野:前からスタンダードとか、みんなが知ってる曲に対して、すごくシンパシーを感じるほうだったよね。
吉岡:そうだね。そういう歌が好きで口ずさんで、いきものがかりにつながっているというところもある。そのあとに、中島みゆきさんの『糸』のカバーの話もいただいてたの。もちろん気になっている曲だったけど、お話をいただかないとできないような、カバーの大名曲じゃないですか。そのお話をいただいたときに「私がカバーできるんだろうか」という怖さに打ち勝って、「やってみたい!」という気持ちが前に出ちゃって、気付いたら「私、やりたい!」といって手をあげたの。そのあとにもう一曲『World In Union』っていう「ラグビーワールドカップ2019」のオフィシャルソングの話もきて、興味が湧いている曲をふられて運命的なものを感じて、「これからカバーアルバムを作るのはどうだろうか」と思いました。
水野:いい具合にタイミングが重なって、ストーリーができたんだね。
■選んだのは「主人公が浮き彫りになっている曲」が多い
水野:いきものがかりの曲を歌うときと違いますか?
吉岡:いきものがかりのときは、リーダーと山下が曲を持ってきてくれて、そこに対して自分が語り手でいるという感じなんですけど、語り手の自分が曲を選んでいく作業だから……。
水野:いきものがかりのときは、自主性がないわけじゃないけど、三人で背負うからね。今回は一人で選んで一人で決断していくという。
吉岡:魅力的な主人公を自分が選んでいくというところで、主人公の気持ちに入り込んで、いきものがかりのときとの違いをそんなに出したくはないんだけど、自分で主人公を「好きだ」という感じで選んでいて、“主人公が浮き彫りになってる感”の曲がけっこう多いかな。
水野:説明をすると、いきものがかりではナレーターというか、なるべく曲の物語をそのまま聞き手に楽しんでいただくというスタイルをとっていたけど、ソロになると、もう少し曲に距離を近づけていく感じになるの?
吉岡:米津玄師さんの『アイネクライネ』とか、主人公がピュアで可愛くて、恋をして変わっていってて、そこにのめり込んで「頑張れ!」というふうになっていくとか。
水野:面白いね。一人でやっていくと変わっていくもんだね。
吉岡:語り手であるっていうことは変わらないんだけど、自分で選んでるっていうところは違うのかなって思う。
水野:11曲はすぐに決まりました?
吉岡:けっこう長い時間をかけて選んでるんですよ。
水野:聞いた話によると、候補曲はまだたくさんあって、仮歌を歌ってみた曲もあるという話でした。
吉岡:ディレクターさんの前で歌ってみて、「こりゃダメだ」みたいなこともあった(笑)。いきものがかりのときも、ずっとやってくれてるから、曲を歌ってみて、スタッフさんからみて「この曲はいける・いけない」みたいなのが、すごくはっきりしていたんです。
水野:それは吉岡の声質みたいなところなのか、佇まいみたいなところなのか、基準はどこなんだろうね?
吉岡:カバー曲を選んだ基準は何なんだろうって最後に考えたら、「自分が歌ったときに新しいニュアンスになる予感がする曲を選んでた」ということになってた。新しい表現というか。たとえば『夢で逢えたら』も「“夢でしか逢えない”というよりは、聖恵が歌ったら“夢で逢えて嬉しい”みたいになってんじゃん」ってディレクターさんに言われて、「明るい捉え方になれてるのかな」と思ったりした。
水野:吉岡のシンガーとしての個性というか、キャラクターみたいなものが、きちんと曲に染み渡っているというか、そういうことなのかな。いきものがかりでは、言い方はよくないけど、自分を過剰に出さないようにしていて、そこへの線引きがどこかにあるけど、そこをいい意味ではみ出すというか、はみ出さないと一人でできないというところがある。そういうことをすごく感じるかもしれないですね。
■これからチャレンジしたいこと
水野:これから、どんなことにチャレンジしていきたいですか?
吉岡:ソロでやらせてもらうのは、すごく面白かったんです。実は(水野は)前からソロで歌うことを勧めてくれてたじゃないですか。あるドキュメントのときに、リーダーが「一人でステージに立ってみたいとか思いませんか?」って急に聞いてきたりとかして、そのときは「リーダーやめてよ!」ってすごくドキドキしてたんだけど、やってみたら楽しかった。
水野:あの時期はいきものがかりもすごく忙しい時期で、大きなプレッシャーをかけるとよくないみたいな難しい時期というか、みんなが一生懸命に頑張ってた時期。そのなかで、ふとやってみたら楽しいこととかあったのかもしれないね。そこが今回のカバーアルバムと繋がってるのかなと、手前味噌ですけど、メンバーとしてはすごく思います。
■「放牧中」の過ごし方は?
水野:「放牧中」は、どんな過ごし方をしていましたか?
吉岡:「半年ぐらいのんびりした」って言いましたけど、けっこう飲んでました(笑)。
水野:説明すると、ツアー中とかは喉のことを考えて、お酒を抑えるんです。打ち上げとかも最終日だけ来たりして、けっこうストイックにしてるシンガーなんですけど、お酒は僕より飲めるんです。
吉岡:飲めますね(笑)。
水野:そうやってリラックスしてると、歌う面とかで変わった?
吉岡:友だちに会ったり、旅行でいろいろ出かけたりしていくなかで、隙間みたいなものができて、余裕というか、また新しくいろいろなことが吸収できるような気がしてきてます。
水野:それは歌にかえってくるの?
吉岡:レコーディングしていても、いきものがかりでやってるからこそ、いつも歌に集中させてもらえるじゃないですか。でも今回、自分が選曲して本間昭光さんとアレンジのやり取りをさせてもらったりとか、楽器担当の人とコミュニケーションをとったりとか、もう一回レコーディング現場に初めて入ったような気持ちになって、楽器を触らせてもらったり、メロトロンを開けたり、動画をバンバン撮ったりとか……。
水野:いきものがかりの現場では、“いちシンガー”として「とにかく頑張れ」みたいな感じで、それがストイックなんだけど、一方で今回のソロは、いちシンガーなんだけど、全体を見渡して自分がプレイヤーとしてどうするか、みたいな感じなのかな。
吉岡:そうなの。最後はジャケットとか選曲とかも「聖恵が決めて」って言われるから、それがすごく新しかったです。
■「歌は楽しい!」という気持ちに
水野:年を経てきて、今回のカバーアルバムは、どんな変化を吉岡さんに与えるでしょうか?
吉岡:いきものがかりを結成して20年ぐらい、ずっと一緒にやってきて、いきものがかりでもめちゃめちゃ濃密な時間を過ごして、向き合ってきました。今回は、いったん放牧という隙間ができて、そこから新たに曲を選んで、一曲ずつに歌を吹き込む作業をソロでしていくなかで、やっぱり「歌は楽しい!」っていうシンプルな気持ちになりましたよ。
水野:ポジティブで、いいパワーが出ているのを、身内としても感じます。シンプルなところにたどり着くのは、すごくいいことだなと思う。やってると複雑になっていっちゃうからね。
対談の模様は、次回の10月25日(木)の放送に続きます。どうぞ、お楽しみに!
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【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
■カバーは「素直に、やってみたい!」と思えた
水野:今回はソロボーカリストとしてカバーアルバムを発売しますが、カバーはいきものがかりでも歌ってたよね。
吉岡:シングルの5枚目ぐらいまでは、カバーをしてましたからね。
水野:なぜ、カバーのアルバムにしようと思ったの?
吉岡:放牧して、リーダー(水野)も山下穂尊も、楽曲を提供したり、キャンピングカーを買って自由に移動してたりするなかで、私は半年間ほどのんびりしていて、本当に牧場に行ってたんですよ。スイスとかハワイの牧場に行きました。すごく自由な時間を過ごしているなかで、大瀧詠一さんの『夢で逢えたら』をカバーする話をいただいて、すごく素直に「やってみたい!」と思えたの。
水野:前からスタンダードとか、みんなが知ってる曲に対して、すごくシンパシーを感じるほうだったよね。
吉岡:そうだね。そういう歌が好きで口ずさんで、いきものがかりにつながっているというところもある。そのあとに、中島みゆきさんの『糸』のカバーの話もいただいてたの。もちろん気になっている曲だったけど、お話をいただかないとできないような、カバーの大名曲じゃないですか。そのお話をいただいたときに「私がカバーできるんだろうか」という怖さに打ち勝って、「やってみたい!」という気持ちが前に出ちゃって、気付いたら「私、やりたい!」といって手をあげたの。そのあとにもう一曲『World In Union』っていう「ラグビーワールドカップ2019」のオフィシャルソングの話もきて、興味が湧いている曲をふられて運命的なものを感じて、「これからカバーアルバムを作るのはどうだろうか」と思いました。
水野:いい具合にタイミングが重なって、ストーリーができたんだね。
■選んだのは「主人公が浮き彫りになっている曲」が多い
水野:いきものがかりの曲を歌うときと違いますか?
吉岡:いきものがかりのときは、リーダーと山下が曲を持ってきてくれて、そこに対して自分が語り手でいるという感じなんですけど、語り手の自分が曲を選んでいく作業だから……。
水野:いきものがかりのときは、自主性がないわけじゃないけど、三人で背負うからね。今回は一人で選んで一人で決断していくという。
吉岡:魅力的な主人公を自分が選んでいくというところで、主人公の気持ちに入り込んで、いきものがかりのときとの違いをそんなに出したくはないんだけど、自分で主人公を「好きだ」という感じで選んでいて、“主人公が浮き彫りになってる感”の曲がけっこう多いかな。
水野:説明をすると、いきものがかりではナレーターというか、なるべく曲の物語をそのまま聞き手に楽しんでいただくというスタイルをとっていたけど、ソロになると、もう少し曲に距離を近づけていく感じになるの?
吉岡:米津玄師さんの『アイネクライネ』とか、主人公がピュアで可愛くて、恋をして変わっていってて、そこにのめり込んで「頑張れ!」というふうになっていくとか。
水野:面白いね。一人でやっていくと変わっていくもんだね。
吉岡:語り手であるっていうことは変わらないんだけど、自分で選んでるっていうところは違うのかなって思う。
水野:11曲はすぐに決まりました?
吉岡:けっこう長い時間をかけて選んでるんですよ。
水野:聞いた話によると、候補曲はまだたくさんあって、仮歌を歌ってみた曲もあるという話でした。
吉岡:ディレクターさんの前で歌ってみて、「こりゃダメだ」みたいなこともあった(笑)。いきものがかりのときも、ずっとやってくれてるから、曲を歌ってみて、スタッフさんからみて「この曲はいける・いけない」みたいなのが、すごくはっきりしていたんです。
水野:それは吉岡の声質みたいなところなのか、佇まいみたいなところなのか、基準はどこなんだろうね?
吉岡:カバー曲を選んだ基準は何なんだろうって最後に考えたら、「自分が歌ったときに新しいニュアンスになる予感がする曲を選んでた」ということになってた。新しい表現というか。たとえば『夢で逢えたら』も「“夢でしか逢えない”というよりは、聖恵が歌ったら“夢で逢えて嬉しい”みたいになってんじゃん」ってディレクターさんに言われて、「明るい捉え方になれてるのかな」と思ったりした。
水野:吉岡のシンガーとしての個性というか、キャラクターみたいなものが、きちんと曲に染み渡っているというか、そういうことなのかな。いきものがかりでは、言い方はよくないけど、自分を過剰に出さないようにしていて、そこへの線引きがどこかにあるけど、そこをいい意味ではみ出すというか、はみ出さないと一人でできないというところがある。そういうことをすごく感じるかもしれないですね。
■これからチャレンジしたいこと
水野:これから、どんなことにチャレンジしていきたいですか?
吉岡:ソロでやらせてもらうのは、すごく面白かったんです。実は(水野は)前からソロで歌うことを勧めてくれてたじゃないですか。あるドキュメントのときに、リーダーが「一人でステージに立ってみたいとか思いませんか?」って急に聞いてきたりとかして、そのときは「リーダーやめてよ!」ってすごくドキドキしてたんだけど、やってみたら楽しかった。
水野:あの時期はいきものがかりもすごく忙しい時期で、大きなプレッシャーをかけるとよくないみたいな難しい時期というか、みんなが一生懸命に頑張ってた時期。そのなかで、ふとやってみたら楽しいこととかあったのかもしれないね。そこが今回のカバーアルバムと繋がってるのかなと、手前味噌ですけど、メンバーとしてはすごく思います。
■「放牧中」の過ごし方は?
水野:「放牧中」は、どんな過ごし方をしていましたか?
吉岡:「半年ぐらいのんびりした」って言いましたけど、けっこう飲んでました(笑)。
水野:説明すると、ツアー中とかは喉のことを考えて、お酒を抑えるんです。打ち上げとかも最終日だけ来たりして、けっこうストイックにしてるシンガーなんですけど、お酒は僕より飲めるんです。
吉岡:飲めますね(笑)。
水野:そうやってリラックスしてると、歌う面とかで変わった?
吉岡:友だちに会ったり、旅行でいろいろ出かけたりしていくなかで、隙間みたいなものができて、余裕というか、また新しくいろいろなことが吸収できるような気がしてきてます。
水野:それは歌にかえってくるの?
吉岡:レコーディングしていても、いきものがかりでやってるからこそ、いつも歌に集中させてもらえるじゃないですか。でも今回、自分が選曲して本間昭光さんとアレンジのやり取りをさせてもらったりとか、楽器担当の人とコミュニケーションをとったりとか、もう一回レコーディング現場に初めて入ったような気持ちになって、楽器を触らせてもらったり、メロトロンを開けたり、動画をバンバン撮ったりとか……。
水野:いきものがかりの現場では、“いちシンガー”として「とにかく頑張れ」みたいな感じで、それがストイックなんだけど、一方で今回のソロは、いちシンガーなんだけど、全体を見渡して自分がプレイヤーとしてどうするか、みたいな感じなのかな。
吉岡:そうなの。最後はジャケットとか選曲とかも「聖恵が決めて」って言われるから、それがすごく新しかったです。
■「歌は楽しい!」という気持ちに
水野:年を経てきて、今回のカバーアルバムは、どんな変化を吉岡さんに与えるでしょうか?
吉岡:いきものがかりを結成して20年ぐらい、ずっと一緒にやってきて、いきものがかりでもめちゃめちゃ濃密な時間を過ごして、向き合ってきました。今回は、いったん放牧という隙間ができて、そこから新たに曲を選んで、一曲ずつに歌を吹き込む作業をソロでしていくなかで、やっぱり「歌は楽しい!」っていうシンプルな気持ちになりましたよ。
水野:ポジティブで、いいパワーが出ているのを、身内としても感じます。シンプルなところにたどり着くのは、すごくいいことだなと思う。やってると複雑になっていっちゃうからね。
対談の模様は、次回の10月25日(木)の放送に続きます。どうぞ、お楽しみに!
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番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
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