J-WAVEで放送中の番組『SUNRISE FUNRISE』(ナビゲーター:レイチェル・チャン)のワンコーナー「THERMOS SOCIAL PLAYGROUND」。10月14日(日)のオンエアでは、10月25日(木)に開幕する「第31回東京国際映画祭」を紹介。スタジオに、作品選定ディレクター・矢田部吉彦さんを迎えて、おすすめの作品を伺いました。
「東京国際映画祭」は、10日間に約200本の作品が上映される“映画のお祭り”です。今年は1800本の応募作品の中から絞り込まれました。
矢田部:僕が担当しているコンペティション部門では、世界の幅広い地域から作品を集めています。その場所で活躍してる監督たちの秋の新作です。日本で公開されるかどうかがこれから決まるというくらい、新しい作品です。
レイチェル:「世の中を映す鏡」といわれるくらい、今年の特徴を反映していますが、今年はどんな作品がありますか?
矢田部:ここ数年、移民や難民を扱った作品がとても多いです。『牛は語らない/ボーダー』という、国境でもあるけど、人間と動物の境目でもある、とても不思議な映画が話題になっていたり、厳しい世の中をいかに生き抜いていくか、という作品も非常に増えています。そうした世界の流れを反映して選んでいます。
レイチェル:今年ならではのテーマはありますか?
矢田部:いわゆる「激動する社会や世界の中で、いかに個人がサバイブするか」という主題が多くの監督たちに共通しています。表現の仕方として、それがコメディだったり、ホラーだったり、いろいろな形をとっていますが、どこかで個人と世界との関係を見つめた作品が多いです。
そこで、今年の「東京国際映画祭」で、世界の流れを汲んだ特徴的な作品を紹介していただきました。
『アマンダ(原題)』
矢田部:パリの同時テロで姉を亡くした青年と、その姉の娘・アマンダちゃんが、いかにして悲しみを乗り越えるか、というお話です。非常に美しい映像の中で、悲しみに立ち向かう人々の姿を優しく描いた、とても感動的な作品です。
『半世界』
矢田部:主人公は、友人や家族には恵まれているものの、やや不器用で、反抗期の息子にどのように接すればいいのかわからない男性。本人は世界と隔絶されたような場所で、木炭を作って仕事に向かっています。世界の中で自分の世界をどう築くかという阪本順治監督の日本映画です。主演は稲垣吾郎さん。素晴らしい演技で、とても感動的な作品です。
『ヒズ・マスターズ・ヴォイス』
矢田部:ヨーロッパで有名な監督、パールフィ・ジョルジの作品で、過去を振り返りながら未来を展望する奇妙な作品です。子どもの頃に父を亡くしたきょうだいが、父がアメリカの不思議な軍の実験に関与してるのではないかということで、アメリカに探しに行きます。軍だけでなく、宇宙からのメッセージが絡んできたり、生命の起源に迫るような展開になったりする、スケールの大きな物語です。
『愛がなんだ』
矢田部:角田光代さんの、同名小説を映画化した作品です。監督の今泉力哉さんは、日本の映画の未来を担う存在です。恋愛群像劇を得意としていて、角田さんの原作も力強い愛の物語で、いろいろな片思いが描かれています。男性も女性も感情移入ができるはずです。コミカルな部分もありますが、感動的で、ただの恋愛映画で終わらない作品です。
『堕ちた希望』
矢田部:ナポリ郊外の治安が悪いといわれることもある海岸沿いの地域で、犯罪に手を染めている若いヒロインが、どん底から這い上がって未来に向かってサバイブしようという物語です。荒れ果てたような海辺の地域を美しく撮ってしまう監督の演出が面白いのと、タフさと繊細さを兼ね備えたヒロイン像が非常に魅力的で、この先どう生きていくかを描いています。
『ブラ物語』
矢田部: 「ブラ」は「ブラジャー」のこと。街を走る列車がありまして、ある日、機関士が車体に洗濯物のブラジャーが引っかかっているのを発見。ブラジャーを持ち主に返すべく探しに行くというお話です。セリフがなくて、音楽と映像と役者の存在感で綴っていく、ほのぼのとしたあたたかい大人のファンタジーです。
『シレンズ・コール』
矢田部:舞台となるイスタンブールは、そこらじゅうで再開発工事が行われています。主人公の男性は、都会の喧騒にウンザリ。友人がオーガニックな農場を経営していて、人生をエンジョイしている彼女に合流しようと思い、荷物をまとめて街を出ようとしますが、都会の結界に阻まれて街を出られません。現代の皮肉に満ちたブラックコメディで、われわれにも響く面白い作品です。
「第31回東京国際映画祭」は10月25日(木)~11月3日(土・祝)に開催されます。ぜひ足を運んでみてください。
次回10月21日(日)のオンエアでは、「笑い」で全国の街を元気にする、よしもとの芸人さんが挑むプロジェクトについて紹介します。お聴き逃しなく!
【オンエアをradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『SUNRISE FUNRISE』
放送日時:毎週日曜6時ー9時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sunrise/
「東京国際映画祭」は、10日間に約200本の作品が上映される“映画のお祭り”です。今年は1800本の応募作品の中から絞り込まれました。
矢田部:僕が担当しているコンペティション部門では、世界の幅広い地域から作品を集めています。その場所で活躍してる監督たちの秋の新作です。日本で公開されるかどうかがこれから決まるというくらい、新しい作品です。
レイチェル:「世の中を映す鏡」といわれるくらい、今年の特徴を反映していますが、今年はどんな作品がありますか?
矢田部:ここ数年、移民や難民を扱った作品がとても多いです。『牛は語らない/ボーダー』という、国境でもあるけど、人間と動物の境目でもある、とても不思議な映画が話題になっていたり、厳しい世の中をいかに生き抜いていくか、という作品も非常に増えています。そうした世界の流れを反映して選んでいます。
レイチェル:今年ならではのテーマはありますか?
矢田部:いわゆる「激動する社会や世界の中で、いかに個人がサバイブするか」という主題が多くの監督たちに共通しています。表現の仕方として、それがコメディだったり、ホラーだったり、いろいろな形をとっていますが、どこかで個人と世界との関係を見つめた作品が多いです。
そこで、今年の「東京国際映画祭」で、世界の流れを汲んだ特徴的な作品を紹介していただきました。
『アマンダ(原題)』
矢田部:パリの同時テロで姉を亡くした青年と、その姉の娘・アマンダちゃんが、いかにして悲しみを乗り越えるか、というお話です。非常に美しい映像の中で、悲しみに立ち向かう人々の姿を優しく描いた、とても感動的な作品です。
『半世界』
矢田部:主人公は、友人や家族には恵まれているものの、やや不器用で、反抗期の息子にどのように接すればいいのかわからない男性。本人は世界と隔絶されたような場所で、木炭を作って仕事に向かっています。世界の中で自分の世界をどう築くかという阪本順治監督の日本映画です。主演は稲垣吾郎さん。素晴らしい演技で、とても感動的な作品です。
『ヒズ・マスターズ・ヴォイス』
矢田部:ヨーロッパで有名な監督、パールフィ・ジョルジの作品で、過去を振り返りながら未来を展望する奇妙な作品です。子どもの頃に父を亡くしたきょうだいが、父がアメリカの不思議な軍の実験に関与してるのではないかということで、アメリカに探しに行きます。軍だけでなく、宇宙からのメッセージが絡んできたり、生命の起源に迫るような展開になったりする、スケールの大きな物語です。
『愛がなんだ』
矢田部:角田光代さんの、同名小説を映画化した作品です。監督の今泉力哉さんは、日本の映画の未来を担う存在です。恋愛群像劇を得意としていて、角田さんの原作も力強い愛の物語で、いろいろな片思いが描かれています。男性も女性も感情移入ができるはずです。コミカルな部分もありますが、感動的で、ただの恋愛映画で終わらない作品です。
『堕ちた希望』
矢田部:ナポリ郊外の治安が悪いといわれることもある海岸沿いの地域で、犯罪に手を染めている若いヒロインが、どん底から這い上がって未来に向かってサバイブしようという物語です。荒れ果てたような海辺の地域を美しく撮ってしまう監督の演出が面白いのと、タフさと繊細さを兼ね備えたヒロイン像が非常に魅力的で、この先どう生きていくかを描いています。
『ブラ物語』
矢田部: 「ブラ」は「ブラジャー」のこと。街を走る列車がありまして、ある日、機関士が車体に洗濯物のブラジャーが引っかかっているのを発見。ブラジャーを持ち主に返すべく探しに行くというお話です。セリフがなくて、音楽と映像と役者の存在感で綴っていく、ほのぼのとしたあたたかい大人のファンタジーです。
『シレンズ・コール』
矢田部:舞台となるイスタンブールは、そこらじゅうで再開発工事が行われています。主人公の男性は、都会の喧騒にウンザリ。友人がオーガニックな農場を経営していて、人生をエンジョイしている彼女に合流しようと思い、荷物をまとめて街を出ようとしますが、都会の結界に阻まれて街を出られません。現代の皮肉に満ちたブラックコメディで、われわれにも響く面白い作品です。
「第31回東京国際映画祭」は10月25日(木)~11月3日(土・祝)に開催されます。ぜひ足を運んでみてください。
次回10月21日(日)のオンエアでは、「笑い」で全国の街を元気にする、よしもとの芸人さんが挑むプロジェクトについて紹介します。お聴き逃しなく!
【オンエアをradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『SUNRISE FUNRISE』
放送日時:毎週日曜6時ー9時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sunrise/