J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。8月4日(土)のオンエアでは、タレントの最上もがさんを迎えて、二十歳の頃に経験したという、初めての海外旅についてお話を伺いました。
東京出身の最上さんは、アイドルグループ・でんぱ組.incを昨年脱退。現在はモデル・女優としても活動するなど、活躍の場を広げています。
■最上さんにとって初めて訪れた海外の街は?
海外への憧れはあったものの、なかなかその機会がなかったという最上さん。そんな最上さんが将来に悩んでいたという二十歳の頃、母方のおじさんが渡航のチャンスをくれたと言います。
葉加瀬:初めて海外へ行ったのって、いつ頃ですか?
最上:初めて行ったのは、二十歳ぐらいのときにプライベートで行きました。デトロイトに。
葉加瀬:……デトロイト? 珍しいよね、デトロイトが初海外って(笑)。
最上:おじが車関係の仕事をしてまして。
葉加瀬:あー、デトロイトは自動車だからね。
最上:そうなんですよ。そのときちょうど学生時代、人生に希望が持てなくなっているときで。
葉加瀬:なにそれ(笑)。
最上:なんていうんですかね。なりたいものも特になかったのと……美術系の学校に通ってたんですけど。
葉加瀬:美術は何をやってたの?
最上:絵画を専攻していて、ずっと油絵を描いてましたね。おじいちゃんが画家だったんで、昔からそういう絵に触れる機会がすごく多くて。自分も絵を描くのが好きで、ずっと美術をやっていて……でも、ふとした瞬間に、「今後どうしよう?」と。
葉加瀬:美術系の大学の中でも、油とかって一番仕事に結びつかないでしょ。卒業してからとりあえず路頭に迷うのは彫刻と油だからね(笑)。
最上:そうなんですよ(笑)。絵を仕事にしようとはあまり思ってなくて、ただ「好きなことを突き詰めよう」っていうのが強くて。でも、いざ現実に直面して、大人になって「どうしよう……」って。すごい迷って、卒業するぐらいのときに、「今後どうやって生きたらいいんだろう? みんなどういうものを目標にして生きていってるんだろう?」っていう、結構落ち込んでた時期があって。実家では、うちのお母さんのお兄さんの家族が一緒に住んでて、そのおじさんが「良かったら、一緒に行くか? 」みたいな(笑)。いきなり言ってきて、「え!?」って。
葉加瀬:あ、おじさんにとってはデトロイトは出張だよね。
最上:そうです。単に年に何回も出張して、海外いろんなところに行く方だったので、僕もいつか海外行きたいって思いつつも、そんなお金もないし、機会もないしって思ってたら「俺、マイル貯まってるから、行くか?」みたいな(笑)。
■初海外の思い出は、意外にも○○○との遭遇?
出張で海外慣れしているおじさんと共に降り立った初めてのアメリカ・デトロイト。そこで最上さんが最初に衝撃を受けたのは、意外な人物との遭遇だったそうです。
最上:ホントに急に決めて、しかも、おじさんと2人きりで行ったんですよ。家族は誰もついてこなくて。でも空港から僕はずっと楽しくて、「おお、どうしようどうしよう初海外! しかもなんかこんな長距離で、飛行機に乗ることもない」って。
葉加瀬:そうだよ、グアム、サイパンじゃない、ハワイでもないんだしな。デトロイトだもんな(笑)。そりゃあ、随分遠いよ!
最上:ちょうどクリスマスが近かった、たぶん12月ぐらい。一番の衝撃は、空港に着いて、もうサンタさんがいたんですよ!
葉加瀬:空港に(笑)?
最上:本物の! 日本のサンタのコスプレって、「……はい!」って感じじゃないですか(笑)。
葉加瀬:まぁ、限度はあるわな(笑)。
最上:でも海外行ったときのサンタさん、恰幅も良くて、髭もフサフサの、もう絵に描いたようなサンタさんで。僕はもう空港に着いた瞬間に「あああっ! サンタさんがいる!」って。
葉加瀬:ハハハ(笑)。
最上:そのサンタさんは子どもにしかプレゼントをあげてなかったんですよ。「いいなぁ」と思いながら、ちょっとそばをフラ〜って歩いていたら、「メリークリスマス!」ってスティックキャンディを渡してきたんですよ。「えっ!?」って思って、それを大事にとっていましたね、当時。ホントに嬉しくて。
葉加瀬:だって、初めて海外で、空港降りたときに、サンタさんがいたんだもんね(笑)。それは夢のある話じゃないですか。
■初めて訪れたデトロイトの印象は?
初めて訪れた海外の街・デトロイト。彼女にとって、やはりその巨大なサイズが印象的だったと振り返ります。
葉加瀬:初めての海外の街ですけども、デトロイトはどんなふうに見えました?
最上:まず、「広い!」って思いましたね。
葉加瀬:デカいよな。
最上:デトロイトって建物が少なくて。敷地も広いですし、空港から街へ出るのも1時間以上車に乗らなきゃいけない。ホントに何もなかったんですよね。栄えてる場所に行ったとしても、建物と建物の距離がすごい離れてて、とにかくすべてが新鮮で。「こんな広いんだ!」と、日本にいると全然わからない。
葉加瀬:僕はアメリカはね、セリーヌ・ディオンさんていう歌手と一緒に、ずーっとツアーをしてて。全アメリカ、ずっとツアーでバスで回ってたんだけど、ただひたすらに広いんだよ。どの街行っても、とにかく巨大なショッピングモールがドーンって1個あって、巨大なスタジアムがドーンと1個あって。言ってみれば、それだけなんだよね。
最上:それだけですね(笑)。
葉加瀬:馬鹿デカいよね、日本人からすりゃね。
最上:そうですね、何もかも規模が大きくて。まずビックリしたのが、東洋人って若く見られる。
葉加瀬:もがちゃんだって、きっと小学生ぐらいに見られるでしょ?
最上:そうなんですよ(笑)。空港で入国するときに、まず言われたのが「13歳ですか?」みたいな。「このパスポート間違ってるんじゃないの?」って言われて、「ノーノーノー」と。
葉加瀬:みんなそうです(笑)。
最上:その頃は黒髪でしたし、メイクも全然してなかったので、すごく幼く見えたみたいで。おじさんの仕事仲間の人はみんなアメリカの方なんですけど、みんな子どもを連れてきたみたいな(笑)。
葉加瀬:ハハハ(笑)。美味しいものって、何か覚えてます?
最上:やっぱり、ハンバーガーですね(笑)。お肉が日本で食べるハンバーガーとは全然違うっていうことが、最初衝撃で。とにかくデカい! 中に入っているお肉が、肉肉しくて「めちゃくちゃ美味しい!」って。ただポテトは量が多いし、ケチャップ、ドーン! みたいな感じでした(笑)。でも、基本的には何でも美味しく感じましたね。
葉加瀬:買い出しも行った?スーパーマーケットに。スゴいだろ?
最上:行きました(笑)。「でか!」って思って。しかも、果物とかパックで入ってたりするじゃないですか。量がハンパなくて、「おお、すごい!」「カットスイカこんなに!」みたいな。海外でスーパー行くと、果物をたくさん買います。
葉加瀬:特にアメリカは、1週間分、2週間分をドバーっていうやつだから、すべてのサイズは大きくなるしな。
最上:それは映画でしか見たことがなかったので、やっぱ現実に存在しているんですね、っていう(笑)。
葉加瀬:旅の醍醐味の一番はさ、普段日本で生活としてやってたことを、国が違う、場所が違う、街が違うところでやると、一番感じられるかもしれないね。
最上:そうですね。文化の違いも感じますし、やっぱ空気も全然違いましたね。すごい美味しかっです。「美味しい」っていう表現がわからなかったんですよね。ずーっと東京にいたりすると、その生活に慣れ過ぎていて。「美味しい」「不味い」とか、そんな気にしないじゃないですか、空気なんて。でも海外行って、すごい自然に囲まれるところに行ったり、でかい川があったんですよ。バスがすごい有名で、そこで釣りしたりとかすると「すごい、清々しい」「すごい、空気が綺麗」みたいなのを味わって。それもすごい“二十歳のときの衝撃”というか。今までは一度もこういう経験をしたことがないし、やっぱ海外に対する憧れはすごくあったけど、実際に行ったことがなかったんで、わからなかったんですけど、そのデトロイトは、毎日楽しくて、最高でしたね。
■最上さんがデトロイトで出会った人、得たものは?
初めての海外旅行で、さまざまな体験をすることになったという最上さん。現地で出会った人々と過ごした時間や、それによって得た経験もまた、その後の最上さんにとって大きな影響を与えることになりました。
葉加瀬:でも旅ってやっぱり、何をするか、いろんなことで変わってくると思うんですけど、おじさんと行った初めてのデトロイトへの旅ってのは、やっぱり大きな経験でしたか?
最上:そうですね。そのときに「なんてちっぽけなことで悩んでたんだろう」って。よくあるじゃないですか。海外に行くと「なんでこんな小さい悩みで……」って。ホントにそう思ったんですよね。
葉加瀬:あ、いいねー。
最上:すごく自由でしたし、みんなやたら話しかけてくるじゃないですか。日本人って絶対に話しかけないじゃないですか、長蛇の列とかに並んでたとしても。
葉加瀬:そうだよね。
最上:だけど、どこへ行っても「ハーイ!」みたいな。僕、英語しゃべれないんで、なんとなくジェスチャーで答えたりとか、ニコニコしたりとかなんですけど、やっぱりそうやって気さくに話しかけてくれるっていうのが「あ、いいな、これ!」ってすごく思いました。行ったのは10日間ぐらいだったんですけど、そのおじさんのアメリカの友達の家に住まわせてもらったんですよ。馬鹿デカい家で(笑)。客室が何部屋もあって、お姫様のようなピンク色の綺麗な、ぬいぐるみとか置いてあるようなかわいい部屋を「使っていいよ」って言われて。
葉加瀬:旅もさ、ホテルに住むんじゃなくて、どなたかのお家に住むとまた、全然違うものね。街の見え方が違うでしょ?
最上:全然違います。そのおじさんの友達もすごく優しくしてくれて、料理を振舞ってくれたりとか、それもすごく新鮮で。1つ1つが楽しくて、ワクワクして、ずっと写真撮ってました。
葉加瀬:素晴らしいね(笑)。素敵な旅でしたね。その旅がいろいろと悩みへの答えをくれたと思うけど、何を求めてたと思う? そのときに。
最上:うーん、最初に「行くか?」って言われたときに、行こうと思ったのは、「ひたすら外の世界を見てみたい」って思ったんですよね。学生時代とかって学校と家しか知らない。「これ以上は何もないんじゃないか?」という気持ちがすごく強くて。「自由って何だろう?」とか、「働くって何だろう?」とか、「家庭って何だろう?」とか、そういうのをひたすら考えてて。でも、「気にしなくていいんだな」って思ったのと、やっぱ「年齢を重ねれば、気づけることが増えるんだな」っていうのをすごく思ったんですよ。だから「今、焦る必要性はないのではないか?」って。
葉加瀬:そうだね。
最上:「ここだけじゃない。日本だけじゃなくて、ほかにもたくさん居場所がある。それは今はないと思ってても、作ることは誰でもできるな」って。おじさんの友達でギャリーっていうんですけど、フリーで働いていて。畑で果物や野菜を作って、自給自足もしてる方でした。考えると、別にただ会社に勤めて働くのがすべてではなかったりとか、自ら捨てられたゴミを再生して家具にするとか、そういうお仕事をしてたので、「あ、なんかすごいな……」って。
葉加瀬:面白いですね、それ。
最上:“野生児”って言ったらあれですけど、そういうことをして生きていけるっていうのは、すごい嬉しかったというか。あとは釣った魚を持って帰って焼く。「……お、なるほど!」みたいな(笑)。
葉加瀬:ハハハ(笑)。当たり前のことなんだけどな(笑)。都会に住んでると気づかないよね。
最上:気づかないですよね。それでやっぱり「行ってよかったな」って思いました。
葉加瀬:いいですね。でも二十歳で経験したことっていうのは、その後の人生にとって大きいね。
最上:そうですね。なんか、一気に前向きにはなれました。
葉加瀬:ああ、素敵だ。
最後に、番組恒例の質問をしてみました。
葉加瀬:さて、最後にこれはいつもゲストの方に伺っているんですが、もがさんにとっての“旅”って一体なんですか?
最上:僕が思うのは、「“自分と見つめ合える時間”かな?」と思います。普段、仕事をして、家に帰ってきてっていう日々を続けていると、「一体自分はどういう存在なのか?」って思うことが増えちゃうっていうか。でも、なんかちょっと旅に出ると、自分のこと誰一人知らないようなところに行ったりするとすごく新鮮で、「……あ、自分も1人の人間なんだ」って、結構思えるというか。この仕事ってすごい特殊なので……。
葉加瀬:アイコンだもんね。
最上:そうなんですよね。そのときに、結構思い悩んでて。そういうときにデトロイトに行ったときのことを思い出したりとか。あのときはみんなが普通に接してくれてたし。そのときは仕事はしてないんですけど、子どもと見られてたとしても、みんな“いっちょまえの人間”として扱ってくれていたし、話かけてくれたし、「自分はどういう人間なのか?」っていうのを教えてくれるじゃないですけど、誰が語りかけるわけでもないですけど、いい時間だなと思いますね。
そのほか番組では、最上さんがでんぱ組.inc時代にライブで訪れたというインドでの思い出話や、最近訪れたというニューヨーク旅行の感想についてもお訊きしました。詳しくはradikoで聴いてみてください!
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【番組情報】
番組名:『ANA WORLD AIR CURRENT』
放送日時:土曜 19時-19時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/worldaircurrent/
東京出身の最上さんは、アイドルグループ・でんぱ組.incを昨年脱退。現在はモデル・女優としても活動するなど、活躍の場を広げています。
■最上さんにとって初めて訪れた海外の街は?
海外への憧れはあったものの、なかなかその機会がなかったという最上さん。そんな最上さんが将来に悩んでいたという二十歳の頃、母方のおじさんが渡航のチャンスをくれたと言います。
葉加瀬:初めて海外へ行ったのって、いつ頃ですか?
最上:初めて行ったのは、二十歳ぐらいのときにプライベートで行きました。デトロイトに。
葉加瀬:……デトロイト? 珍しいよね、デトロイトが初海外って(笑)。
最上:おじが車関係の仕事をしてまして。
葉加瀬:あー、デトロイトは自動車だからね。
最上:そうなんですよ。そのときちょうど学生時代、人生に希望が持てなくなっているときで。
葉加瀬:なにそれ(笑)。
最上:なんていうんですかね。なりたいものも特になかったのと……美術系の学校に通ってたんですけど。
葉加瀬:美術は何をやってたの?
最上:絵画を専攻していて、ずっと油絵を描いてましたね。おじいちゃんが画家だったんで、昔からそういう絵に触れる機会がすごく多くて。自分も絵を描くのが好きで、ずっと美術をやっていて……でも、ふとした瞬間に、「今後どうしよう?」と。
葉加瀬:美術系の大学の中でも、油とかって一番仕事に結びつかないでしょ。卒業してからとりあえず路頭に迷うのは彫刻と油だからね(笑)。
最上:そうなんですよ(笑)。絵を仕事にしようとはあまり思ってなくて、ただ「好きなことを突き詰めよう」っていうのが強くて。でも、いざ現実に直面して、大人になって「どうしよう……」って。すごい迷って、卒業するぐらいのときに、「今後どうやって生きたらいいんだろう? みんなどういうものを目標にして生きていってるんだろう?」っていう、結構落ち込んでた時期があって。実家では、うちのお母さんのお兄さんの家族が一緒に住んでて、そのおじさんが「良かったら、一緒に行くか? 」みたいな(笑)。いきなり言ってきて、「え!?」って。
葉加瀬:あ、おじさんにとってはデトロイトは出張だよね。
最上:そうです。単に年に何回も出張して、海外いろんなところに行く方だったので、僕もいつか海外行きたいって思いつつも、そんなお金もないし、機会もないしって思ってたら「俺、マイル貯まってるから、行くか?」みたいな(笑)。
■初海外の思い出は、意外にも○○○との遭遇?
出張で海外慣れしているおじさんと共に降り立った初めてのアメリカ・デトロイト。そこで最上さんが最初に衝撃を受けたのは、意外な人物との遭遇だったそうです。
最上:ホントに急に決めて、しかも、おじさんと2人きりで行ったんですよ。家族は誰もついてこなくて。でも空港から僕はずっと楽しくて、「おお、どうしようどうしよう初海外! しかもなんかこんな長距離で、飛行機に乗ることもない」って。
葉加瀬:そうだよ、グアム、サイパンじゃない、ハワイでもないんだしな。デトロイトだもんな(笑)。そりゃあ、随分遠いよ!
最上:ちょうどクリスマスが近かった、たぶん12月ぐらい。一番の衝撃は、空港に着いて、もうサンタさんがいたんですよ!
葉加瀬:空港に(笑)?
最上:本物の! 日本のサンタのコスプレって、「……はい!」って感じじゃないですか(笑)。
葉加瀬:まぁ、限度はあるわな(笑)。
最上:でも海外行ったときのサンタさん、恰幅も良くて、髭もフサフサの、もう絵に描いたようなサンタさんで。僕はもう空港に着いた瞬間に「あああっ! サンタさんがいる!」って。
葉加瀬:ハハハ(笑)。
最上:そのサンタさんは子どもにしかプレゼントをあげてなかったんですよ。「いいなぁ」と思いながら、ちょっとそばをフラ〜って歩いていたら、「メリークリスマス!」ってスティックキャンディを渡してきたんですよ。「えっ!?」って思って、それを大事にとっていましたね、当時。ホントに嬉しくて。
葉加瀬:だって、初めて海外で、空港降りたときに、サンタさんがいたんだもんね(笑)。それは夢のある話じゃないですか。
■初めて訪れたデトロイトの印象は?
初めて訪れた海外の街・デトロイト。彼女にとって、やはりその巨大なサイズが印象的だったと振り返ります。
葉加瀬:初めての海外の街ですけども、デトロイトはどんなふうに見えました?
最上:まず、「広い!」って思いましたね。
葉加瀬:デカいよな。
最上:デトロイトって建物が少なくて。敷地も広いですし、空港から街へ出るのも1時間以上車に乗らなきゃいけない。ホントに何もなかったんですよね。栄えてる場所に行ったとしても、建物と建物の距離がすごい離れてて、とにかくすべてが新鮮で。「こんな広いんだ!」と、日本にいると全然わからない。
葉加瀬:僕はアメリカはね、セリーヌ・ディオンさんていう歌手と一緒に、ずーっとツアーをしてて。全アメリカ、ずっとツアーでバスで回ってたんだけど、ただひたすらに広いんだよ。どの街行っても、とにかく巨大なショッピングモールがドーンって1個あって、巨大なスタジアムがドーンと1個あって。言ってみれば、それだけなんだよね。
最上:それだけですね(笑)。
葉加瀬:馬鹿デカいよね、日本人からすりゃね。
最上:そうですね、何もかも規模が大きくて。まずビックリしたのが、東洋人って若く見られる。
葉加瀬:もがちゃんだって、きっと小学生ぐらいに見られるでしょ?
最上:そうなんですよ(笑)。空港で入国するときに、まず言われたのが「13歳ですか?」みたいな。「このパスポート間違ってるんじゃないの?」って言われて、「ノーノーノー」と。
葉加瀬:みんなそうです(笑)。
最上:その頃は黒髪でしたし、メイクも全然してなかったので、すごく幼く見えたみたいで。おじさんの仕事仲間の人はみんなアメリカの方なんですけど、みんな子どもを連れてきたみたいな(笑)。
葉加瀬:ハハハ(笑)。美味しいものって、何か覚えてます?
最上:やっぱり、ハンバーガーですね(笑)。お肉が日本で食べるハンバーガーとは全然違うっていうことが、最初衝撃で。とにかくデカい! 中に入っているお肉が、肉肉しくて「めちゃくちゃ美味しい!」って。ただポテトは量が多いし、ケチャップ、ドーン! みたいな感じでした(笑)。でも、基本的には何でも美味しく感じましたね。
葉加瀬:買い出しも行った?スーパーマーケットに。スゴいだろ?
最上:行きました(笑)。「でか!」って思って。しかも、果物とかパックで入ってたりするじゃないですか。量がハンパなくて、「おお、すごい!」「カットスイカこんなに!」みたいな。海外でスーパー行くと、果物をたくさん買います。
葉加瀬:特にアメリカは、1週間分、2週間分をドバーっていうやつだから、すべてのサイズは大きくなるしな。
最上:それは映画でしか見たことがなかったので、やっぱ現実に存在しているんですね、っていう(笑)。
葉加瀬:旅の醍醐味の一番はさ、普段日本で生活としてやってたことを、国が違う、場所が違う、街が違うところでやると、一番感じられるかもしれないね。
最上:そうですね。文化の違いも感じますし、やっぱ空気も全然違いましたね。すごい美味しかっです。「美味しい」っていう表現がわからなかったんですよね。ずーっと東京にいたりすると、その生活に慣れ過ぎていて。「美味しい」「不味い」とか、そんな気にしないじゃないですか、空気なんて。でも海外行って、すごい自然に囲まれるところに行ったり、でかい川があったんですよ。バスがすごい有名で、そこで釣りしたりとかすると「すごい、清々しい」「すごい、空気が綺麗」みたいなのを味わって。それもすごい“二十歳のときの衝撃”というか。今までは一度もこういう経験をしたことがないし、やっぱ海外に対する憧れはすごくあったけど、実際に行ったことがなかったんで、わからなかったんですけど、そのデトロイトは、毎日楽しくて、最高でしたね。
■最上さんがデトロイトで出会った人、得たものは?
初めての海外旅行で、さまざまな体験をすることになったという最上さん。現地で出会った人々と過ごした時間や、それによって得た経験もまた、その後の最上さんにとって大きな影響を与えることになりました。
葉加瀬:でも旅ってやっぱり、何をするか、いろんなことで変わってくると思うんですけど、おじさんと行った初めてのデトロイトへの旅ってのは、やっぱり大きな経験でしたか?
最上:そうですね。そのときに「なんてちっぽけなことで悩んでたんだろう」って。よくあるじゃないですか。海外に行くと「なんでこんな小さい悩みで……」って。ホントにそう思ったんですよね。
葉加瀬:あ、いいねー。
最上:すごく自由でしたし、みんなやたら話しかけてくるじゃないですか。日本人って絶対に話しかけないじゃないですか、長蛇の列とかに並んでたとしても。
葉加瀬:そうだよね。
最上:だけど、どこへ行っても「ハーイ!」みたいな。僕、英語しゃべれないんで、なんとなくジェスチャーで答えたりとか、ニコニコしたりとかなんですけど、やっぱりそうやって気さくに話しかけてくれるっていうのが「あ、いいな、これ!」ってすごく思いました。行ったのは10日間ぐらいだったんですけど、そのおじさんのアメリカの友達の家に住まわせてもらったんですよ。馬鹿デカい家で(笑)。客室が何部屋もあって、お姫様のようなピンク色の綺麗な、ぬいぐるみとか置いてあるようなかわいい部屋を「使っていいよ」って言われて。
葉加瀬:旅もさ、ホテルに住むんじゃなくて、どなたかのお家に住むとまた、全然違うものね。街の見え方が違うでしょ?
最上:全然違います。そのおじさんの友達もすごく優しくしてくれて、料理を振舞ってくれたりとか、それもすごく新鮮で。1つ1つが楽しくて、ワクワクして、ずっと写真撮ってました。
葉加瀬:素晴らしいね(笑)。素敵な旅でしたね。その旅がいろいろと悩みへの答えをくれたと思うけど、何を求めてたと思う? そのときに。
最上:うーん、最初に「行くか?」って言われたときに、行こうと思ったのは、「ひたすら外の世界を見てみたい」って思ったんですよね。学生時代とかって学校と家しか知らない。「これ以上は何もないんじゃないか?」という気持ちがすごく強くて。「自由って何だろう?」とか、「働くって何だろう?」とか、「家庭って何だろう?」とか、そういうのをひたすら考えてて。でも、「気にしなくていいんだな」って思ったのと、やっぱ「年齢を重ねれば、気づけることが増えるんだな」っていうのをすごく思ったんですよ。だから「今、焦る必要性はないのではないか?」って。
葉加瀬:そうだね。
最上:「ここだけじゃない。日本だけじゃなくて、ほかにもたくさん居場所がある。それは今はないと思ってても、作ることは誰でもできるな」って。おじさんの友達でギャリーっていうんですけど、フリーで働いていて。畑で果物や野菜を作って、自給自足もしてる方でした。考えると、別にただ会社に勤めて働くのがすべてではなかったりとか、自ら捨てられたゴミを再生して家具にするとか、そういうお仕事をしてたので、「あ、なんかすごいな……」って。
葉加瀬:面白いですね、それ。
最上:“野生児”って言ったらあれですけど、そういうことをして生きていけるっていうのは、すごい嬉しかったというか。あとは釣った魚を持って帰って焼く。「……お、なるほど!」みたいな(笑)。
葉加瀬:ハハハ(笑)。当たり前のことなんだけどな(笑)。都会に住んでると気づかないよね。
最上:気づかないですよね。それでやっぱり「行ってよかったな」って思いました。
葉加瀬:いいですね。でも二十歳で経験したことっていうのは、その後の人生にとって大きいね。
最上:そうですね。なんか、一気に前向きにはなれました。
葉加瀬:ああ、素敵だ。
最後に、番組恒例の質問をしてみました。
葉加瀬:さて、最後にこれはいつもゲストの方に伺っているんですが、もがさんにとっての“旅”って一体なんですか?
最上:僕が思うのは、「“自分と見つめ合える時間”かな?」と思います。普段、仕事をして、家に帰ってきてっていう日々を続けていると、「一体自分はどういう存在なのか?」って思うことが増えちゃうっていうか。でも、なんかちょっと旅に出ると、自分のこと誰一人知らないようなところに行ったりするとすごく新鮮で、「……あ、自分も1人の人間なんだ」って、結構思えるというか。この仕事ってすごい特殊なので……。
葉加瀬:アイコンだもんね。
最上:そうなんですよね。そのときに、結構思い悩んでて。そういうときにデトロイトに行ったときのことを思い出したりとか。あのときはみんなが普通に接してくれてたし。そのときは仕事はしてないんですけど、子どもと見られてたとしても、みんな“いっちょまえの人間”として扱ってくれていたし、話かけてくれたし、「自分はどういう人間なのか?」っていうのを教えてくれるじゃないですけど、誰が語りかけるわけでもないですけど、いい時間だなと思いますね。
そのほか番組では、最上さんがでんぱ組.inc時代にライブで訪れたというインドでの思い出話や、最近訪れたというニューヨーク旅行の感想についてもお訊きしました。詳しくはradikoで聴いてみてください!
【この記事の放送回をradikoで聴く】
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『ANA WORLD AIR CURRENT』
放送日時:土曜 19時-19時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/worldaircurrent/