J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:玄理)のワンコーナー「WORLD CONNECTORS」。8月26日(日)のオンエアでは、ジャーナリストで翻訳家の高口康太さんをお迎えし、発展めざましい中国の都市・深圳(しんせん)にフォーカスしました。
■40年で急成長を遂げた都市、深圳
まずは深圳の成り立ちについて伺いました。
高口:中国というと、北京や西安など、千年、二千年の歴史を持つ都市が多いですよね。その中で深圳は40年くらいしか歴史がない都市です。1977年に終結宣言された文化大革命により、強固な社会主義だった中国が少しずつ市場経済を導入しようという改革が行われました。香港に近い場所にある深圳は、それから資本主義を取り入れる入口としてゼロから作られました。
40年前は漁村だった深圳。山と湿地がある場所でした。山を削ったり埋め立てたりした平地は多くの工場を建てられ、世界の工場と呼ばれるようになりました。現在はハイテク企業がどんどん進出して高層ビルが立つほか、以前の工場を再利用して、百貨店や文化施設などに活用されています。
玄理:深圳は「アジアのシリコンバレー」と呼ばれているそうですね。
高口:ベンチャーやスタートアップと言われる新しい有望な企業が次々生まれています。深圳は非常に工業力があるので、いろいろな新しい製品を開発する場所として適しています。中国人がここに会社を作り製品を作るほか、世界中の人たちも深圳で製品を作り、また自分たちの製品と組み合わせて新しいサービスを開始するなど、世界のハードウエアに関するビジネスの中心地になっています。
■日本の建築家が設計した「海上世界文化芸術中心」
近年は刺激的なカルチャースポットとしても注目を浴びる深圳。そのなかで代表的なスポットを教えていただきました。
高口:ひとつは2017年にオープンしたカルチャーセンター「海上世界文化芸術中心」で、日本の建築家・槇 文彦さんが設計しています。施設内にはいろいろなテナントが入っています。特に注目なのは、世界の工業デザインについての資料を収集するイギリスの「ヴィクトリア&アルバート博物館」と提携するデザインミュージアム「デザイン・ソサエティ」です。
玄理:珍しい展示が見られそうですね。
高口:ここは普通の博物館と違い興業デザインの歴史を展示しているので、プラスチックや木など代表的な材料についての説明であったり、スマートフォンのソフトウエアに関するデザインを教えてくれたり、日本の馬具である鐙がどういう機能をもっているかなど、デザインと実用的な機能を両面から教えてくれる場所です。
■中国で無印良品は○○な思想のシンボル
もうひとつの注目は無印良品が展開するホテル「MUJI HOTEL」。無印良品が作ったホテルの1号店です。
玄理:1号店が日本じゃないことって不思議ですよね。
高口:日本人にはあまり知られてないと思いますが、中国では無印良品の人気が凄まじいんです。単純に製品が好きなだけではなく、シンプルであるとかフェアであるとか、いわゆるロハス的な思想のシンボルとして無印良品があります。だからホテルを建てても、「この世界を味わいたい」と泊まりに来るんです。
玄理:中国人が好むのはもう少し派手な色彩だと思っていました。
高口:中国はすごい勢いで変わっています。少し前の中国人は日本に来てブランド品を爆買いするというイメージだったと思います。でも、新しい世代は「ブランド品はいらない、むしろ普段使いできて少しよいものがほしい」とか「生産者にとってもメリットのあるフェアなものを買いたい」と考えが変化しているんです。
■深圳はアジアのイノベーション・シティ
最後に、さまざまなイノベーションが起きている深圳と日本のつながりはどう進んで行くのでしょうか。
高口:深圳は非常に注目される都市。日本からもビジネスマンや政治家なども視察している状況です。これからアジアのイノベーション・シティとして、多くの日本の若者たちも深圳に行く機会が増えるでしょう。この先、世界はもっとグローバル化していくので、東京で働くのも、深圳で働くのも、ひとつの選択肢として同じような意味になっていくのでは。海外で働くことが選択肢として増えていくなか、深圳は重要な場所のひとつになると思います。
中国の今をもっと深く知りたい方は、ライフスタイルマガジン『Pen』の9月1日号・特集「いま最も知りたい国『中国』最新案内。」を手に取ってみてください。ここでは高口さんが担当した深圳をはじめ、北京、広州といった話題の都市の魅力が紹介されています。
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【番組情報】
番組名:『ACROSS THE SKY』
放送日時:日曜9時?12時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/
■40年で急成長を遂げた都市、深圳
まずは深圳の成り立ちについて伺いました。
高口:中国というと、北京や西安など、千年、二千年の歴史を持つ都市が多いですよね。その中で深圳は40年くらいしか歴史がない都市です。1977年に終結宣言された文化大革命により、強固な社会主義だった中国が少しずつ市場経済を導入しようという改革が行われました。香港に近い場所にある深圳は、それから資本主義を取り入れる入口としてゼロから作られました。
40年前は漁村だった深圳。山と湿地がある場所でした。山を削ったり埋め立てたりした平地は多くの工場を建てられ、世界の工場と呼ばれるようになりました。現在はハイテク企業がどんどん進出して高層ビルが立つほか、以前の工場を再利用して、百貨店や文化施設などに活用されています。
玄理:深圳は「アジアのシリコンバレー」と呼ばれているそうですね。
高口:ベンチャーやスタートアップと言われる新しい有望な企業が次々生まれています。深圳は非常に工業力があるので、いろいろな新しい製品を開発する場所として適しています。中国人がここに会社を作り製品を作るほか、世界中の人たちも深圳で製品を作り、また自分たちの製品と組み合わせて新しいサービスを開始するなど、世界のハードウエアに関するビジネスの中心地になっています。
■日本の建築家が設計した「海上世界文化芸術中心」
近年は刺激的なカルチャースポットとしても注目を浴びる深圳。そのなかで代表的なスポットを教えていただきました。
高口:ひとつは2017年にオープンしたカルチャーセンター「海上世界文化芸術中心」で、日本の建築家・槇 文彦さんが設計しています。施設内にはいろいろなテナントが入っています。特に注目なのは、世界の工業デザインについての資料を収集するイギリスの「ヴィクトリア&アルバート博物館」と提携するデザインミュージアム「デザイン・ソサエティ」です。
玄理:珍しい展示が見られそうですね。
高口:ここは普通の博物館と違い興業デザインの歴史を展示しているので、プラスチックや木など代表的な材料についての説明であったり、スマートフォンのソフトウエアに関するデザインを教えてくれたり、日本の馬具である鐙がどういう機能をもっているかなど、デザインと実用的な機能を両面から教えてくれる場所です。
■中国で無印良品は○○な思想のシンボル
もうひとつの注目は無印良品が展開するホテル「MUJI HOTEL」。無印良品が作ったホテルの1号店です。
玄理:1号店が日本じゃないことって不思議ですよね。
高口:日本人にはあまり知られてないと思いますが、中国では無印良品の人気が凄まじいんです。単純に製品が好きなだけではなく、シンプルであるとかフェアであるとか、いわゆるロハス的な思想のシンボルとして無印良品があります。だからホテルを建てても、「この世界を味わいたい」と泊まりに来るんです。
玄理:中国人が好むのはもう少し派手な色彩だと思っていました。
高口:中国はすごい勢いで変わっています。少し前の中国人は日本に来てブランド品を爆買いするというイメージだったと思います。でも、新しい世代は「ブランド品はいらない、むしろ普段使いできて少しよいものがほしい」とか「生産者にとってもメリットのあるフェアなものを買いたい」と考えが変化しているんです。
■深圳はアジアのイノベーション・シティ
最後に、さまざまなイノベーションが起きている深圳と日本のつながりはどう進んで行くのでしょうか。
高口:深圳は非常に注目される都市。日本からもビジネスマンや政治家なども視察している状況です。これからアジアのイノベーション・シティとして、多くの日本の若者たちも深圳に行く機会が増えるでしょう。この先、世界はもっとグローバル化していくので、東京で働くのも、深圳で働くのも、ひとつの選択肢として同じような意味になっていくのでは。海外で働くことが選択肢として増えていくなか、深圳は重要な場所のひとつになると思います。
中国の今をもっと深く知りたい方は、ライフスタイルマガジン『Pen』の9月1日号・特集「いま最も知りたい国『中国』最新案内。」を手に取ってみてください。ここでは高口さんが担当した深圳をはじめ、北京、広州といった話題の都市の魅力が紹介されています。
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【番組情報】
番組名:『ACROSS THE SKY』
放送日時:日曜9時?12時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/