安楽死に賛成ですか? 反対ですか? 条件のひとつ「耐えられない痛み」とは何なのか

J-WAVEで放送中の番組『BOOK BAR』(ナビゲーター:大倉眞一郎・杏)。毎週ナビゲーターの2人が「今読むべき本」として、おすすめの本を持ち寄っています。7月14日(土)のオンエアでは、大倉が『安楽死を遂げるまで』を紹介しました。

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■安楽死を認める国で…本人、医師、家族に取材した一冊

大倉が今週選んだのは、ジャーナリスト・宮下洋一さんの『安楽死を遂げるまで』。宮下さんはスペイン、フランスを拠点に活動しており、同書の執筆にあたっては、安楽死を国として認めているスイス、ベルギー、オランダに足を運び、安楽死を受けようとする本人、家族または遺族、医者などに話を聞いています。「深い長い溜息をつきながら読み切りました」と大倉は語ります。

大倉:安楽死に近いことを認めようとしている国もあります。スペインにもそういう動きがありますし、アメリカは州によって認めるところもあります。しかし、国として認められているスイス、ベルギー、オランダは、国民みんなが安楽死に賛成かといえば全然そうではなく、「それは駄目だ」という人もたくさんいるんです。また、安楽死をするまでに必要な手続きもレポートされています。宮下さんは極力、感情移入を避けながら書こうとされるんですが、そんなこと無理じゃないですか。人が自分の目の前で安楽死を遂げる様子をいくつかご覧になっていて、そうすると、どうしたって感情が揺さぶられる。そのことも正直に書いているので、読み手も宮下さんと同じ視点に立ってしまうんです。「これはしょうがないかもしれないな」「いやこれはだめだろう」とか、いろいろ考えちゃうんですよ。
:老い先短い人だけじゃなくて、若い人や子どもも、「ここで終わらせよう」という選択をするというケースがあるんですよね。
大倉:今、世界的に安楽死が認められるよう活動している人は、4つの条件を設けています。ほとんど共通で、1番目は「耐えられない痛みがある」、2番目は「回復の見込みがない」、3番目が「明確な意思表示ができる」、4番目が「治療の代替手段がない」。これに当てはまるならいいのではなかろうか、という認め方をしているんです。ところがですね、1番目の「耐えられない痛み」、これは肉体的な痛みだけかというと、そこが拡大解釈可能なところで、精神的な痛みを加えていいものか。
:主観ですしね、どれも……。
大倉:非常に難しいところなんです。精神疾患を持っている人。認知症の方でも頭がしっかりしているうちにそれを実行したいとか、どうしても耐えられない自分と外界と接触することが非常に苦痛であるという方も安楽死されているケースがある。ひとくちでは括りきれない。
:取り返しがつかないですから、あとの気持ちは計り知れないですよね。
大倉:そこなんですよ。「間違えました、ごめんなさい」というわけにはいかないことですから。


■「耐えられない痛み」とはなんなのだろう?

大倉:どういう条件であれば安楽死を認めるのか。本には液体を飲み干そうとしている人の写真が掲載されています。実はこれ、飲んだあとに亡くなってしまうという……「液体を飲んで」という方法なんですね。安楽死は、自殺ほう助のほうが多いんです。点滴をセットしておいて、最後は自分で決められるとか。医者はお膳立てをして「あなたのタイミングで、やめたければやめるという選択肢もあるんです」と。そういうセットをする前にけっこうな数のケースで友人、親族を呼んでパーティーをやる方が多いみたいんです。生前葬みたいな感じですね。「楽しいことがあったよね」という話したあとに「じゃあ」と言ってベッドの上に向かうという、そういうことが多いというのを読んで「うーん」と。
:そこまでしゃべったりできるのなら逆に、「もっとしゃべっていたい」と思う気持ちも残された者としてはありますよね。逆に、しゃべることもできない食べることもできない、何かに喜びを見出す気持ちが酷く奪われてしまった状態で、同意とか希望とかいった意思表示はできないけど……というパターンもあるでしょうし。
大倉:いろいろな議論があると思います。ぜひ、反対派も賛成派も考えてみてほしいです。「耐えられない痛み」とはなんだろうか、余命が残り少ない状態で痛みに耐える……という状況は望みますか、と。

精神疾患の人にとっては、安楽死という手段があるということが自殺をする抑止力になることもあり、さまざま側面から考えなくてはいけない問題です。ぜひ、手にとってみてください。

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【番組情報】
番組名:『BOOK BAR』
放送日時:土曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/bookbar/

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