J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:藤田琢己)。木曜日は、いきものがかりの水野良樹とお届けしています。 週替わりで1組のアーティストを4日間かけて掘り下げていくコーナー「FEATURE TOPICS」では、28歳の若さで亡くなったAviciiについて特集しました。
【追悼特集】EDMシーンを牽引したAviciiの生い立ちから成功までを振り返る
【追悼特集その2】Avicii、過酷なスケジュールに疲れ果て…ドキュメンタリーで語った「引退の言葉」
【追悼特集その3】世界的DJ・音楽プロデューサーAviciiの苦悩と活動の変化、そして突然の死
5月3日(木・祝)のオンエアでは、スターへの道を駆け上がったもののDJ活動を引退し、天国へ旅立つまでのAviciiの軌跡をたどりました。
■華やかなイメージとは裏腹に…
オンエアで藤田は「この年代は、若くして亡くなった人たちは、27歳という若さの人が意外と多くて、『27クラブ』などという言われ方をします。27〜28歳という、一度壁にぶつかる歳なのかなと思ってしまいます」と考察。これに対して、水野は「成功が一周しちゃうんでしょうね。みんなから『成功している』と言われることへの苦しみが、どこかにあるんじゃないかと思ったりします」と答えました。
Aviciiは16歳で音楽制作ソフトに出会い、ダンスミュージックの制作に没頭。自宅の寝室から次々とネットに作品を発表した10代を送りました。19歳でレーベルと契約し、22歳で『Levels』を発表。世界各国のトップ10に入り、爆発的ヒットソングになりました。さらに、グラミー賞「最優秀ダンス・レコーディング賞」にもノミネート。その後、数十万人を動員する大型フェスティバルに全てヘッドライナー(主役)として出演。プライベートジェットで世界中を飛び回る、世界的スーパースターDJに上りつめます。
しかし、殺人的なスケジュールと仕事量、周りを取り巻く環境の変化に、彼の心と体が悲鳴をあげます。もともと内向的な性格のAvicii。人前に出るときは、緊張を和らげるためにアルコールに頼るようになっていました。
2016年3月29日(火)に、自身のオフィシャルサイト及びFacebookで、2016年8月を最後にライブツアーなどのDJ活動から引退すると発表。16歳でダンスミュージックを作り始め、25歳で世界の頂点に上りつめ、26歳でLIVEやDJ活動から引退したAvicii。その後、音楽フェスやイベントにその姿を一切見せることはなく、音楽を始めた頃と同じように自宅での音源制作に戻っていきます。
2017年8月、Aviciiは新しい音楽と共に再始動。6曲の新曲を収めたEP『AVĪCI(01)』をリリース。この後、2枚のEPとニューアルバムをリリースすると発表しました。ニューアルバムのレコーディングに取り組んでいましたが、4月20日(金)、28歳という若さで突然この世から去ってしまいました。
藤田:若くして成功を収めて、誰もが一見羨むような生活をしていたと表現することはできるのですけど。内向的な性格でちくちくと音楽を作るのがもともと好きだった彼が、トラックメイカーやプロデューサーだけではなく、表に出るDJとしての活動をしていたわけですから。何十万人いる観客の前で「ワッショイ!」とやるわけですよね。
水野:賞賛を受けている人の視点に立つっていうのは、なかなかできることではない。その人が持っている「俺、本当に幸せなのかな?」という気持ちは、なかなか伝わらないと思うんです。そこに押しつぶされる人は、いるのかもしれないですね。
■死を意識していたかのような歌詞
Aviciiの急逝後、数多くのアーティストやDJ、プロデューサーがAviciiとの思い出や彼への追悼の意を表しました。AviciiとコラボしていたNicky Romeroは4月27日(金)、オランダ・アムステルダムで開催されたフェス「Kingsland Festival」で、Aviciiの未発表曲『Heaven』を披露し、天国へ旅立ったAviciiに捧げました。
ColdplayのChris Martinが参加した未発表曲『Heaven』は、ニューアルバムに収録される予定だった一曲です。その歌詞の一節を和訳すると以下のようになります。
「僕は今、生きている感じがしないんだ。僕は死んでしまったのか。僕はこの世からいなくなったのか。きっと僕は、この世を去ったんだろうね。僕は今、天国にいくような気分を味わっている。きっとこのまま天国にいくんだ。僕は天国にいってしまったのか。僕たちは鳥になって、空をも飛べるんだ。僕たちはいくんだ、世界を輝かせるために。僕たちは今夜、正気を失うくらい夢中になるだろう。天国が見えたんだ」
まるで、自分の死を意識していたかのような歌詞。本当にこの世から去ってしまった今、改めて読むと胸が痛くなります。パフォーマンスをしたNicky Romeroは「この未発表曲は、リリースされることはないだろう」と語っています。
藤田:アルバムに向けて曲を作っていた、という発表もあったということで、もしかすると楽曲が(他にも)あったのではないかという憶測はあるんですけれども、それがどのような形で世に出るのか出ないのかというのは、Nicky Romeroが明言しているように、我々はわかりません。しかし、音楽を作って、一生懸命向き合っていたことに変わりはなかった。それが余計に悔しいというか、形にしてアルバムの発表までしていたので、しっかりと我々に音楽を届けてくれるであろうと思っていたところが、余計に残念でならないですね。
水野:残酷なことなんですけど、作る側の人間とか、届ける側の人間というのは、訪れる死がそのままエンターテインメントになってしまうというか、それ自体が伝説になったりとか、ストーリーにされてしまう。それが彼らのやっていることなんですよね。人生だったり、何かをかけて、それが誰かのためになっていくっていう。そこが残酷なんだけど、だからこそ生まれてるハッピーもあるから、すごく難しいんだけど、その中でみんなが戦っていて、それぞれにギリギリなところまでやっていて。あるとき、その崖をおりてしまうこともあるという……。すごく難しいですけどね。
突然の訃報に世界が震撼したAviciiの追悼特集でした。今後も彼の音楽は世界中に残り続けることでしょう。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
【追悼特集】EDMシーンを牽引したAviciiの生い立ちから成功までを振り返る
【追悼特集その2】Avicii、過酷なスケジュールに疲れ果て…ドキュメンタリーで語った「引退の言葉」
【追悼特集その3】世界的DJ・音楽プロデューサーAviciiの苦悩と活動の変化、そして突然の死
5月3日(木・祝)のオンエアでは、スターへの道を駆け上がったもののDJ活動を引退し、天国へ旅立つまでのAviciiの軌跡をたどりました。
■華やかなイメージとは裏腹に…
オンエアで藤田は「この年代は、若くして亡くなった人たちは、27歳という若さの人が意外と多くて、『27クラブ』などという言われ方をします。27〜28歳という、一度壁にぶつかる歳なのかなと思ってしまいます」と考察。これに対して、水野は「成功が一周しちゃうんでしょうね。みんなから『成功している』と言われることへの苦しみが、どこかにあるんじゃないかと思ったりします」と答えました。
Aviciiは16歳で音楽制作ソフトに出会い、ダンスミュージックの制作に没頭。自宅の寝室から次々とネットに作品を発表した10代を送りました。19歳でレーベルと契約し、22歳で『Levels』を発表。世界各国のトップ10に入り、爆発的ヒットソングになりました。さらに、グラミー賞「最優秀ダンス・レコーディング賞」にもノミネート。その後、数十万人を動員する大型フェスティバルに全てヘッドライナー(主役)として出演。プライベートジェットで世界中を飛び回る、世界的スーパースターDJに上りつめます。
しかし、殺人的なスケジュールと仕事量、周りを取り巻く環境の変化に、彼の心と体が悲鳴をあげます。もともと内向的な性格のAvicii。人前に出るときは、緊張を和らげるためにアルコールに頼るようになっていました。
2016年3月29日(火)に、自身のオフィシャルサイト及びFacebookで、2016年8月を最後にライブツアーなどのDJ活動から引退すると発表。16歳でダンスミュージックを作り始め、25歳で世界の頂点に上りつめ、26歳でLIVEやDJ活動から引退したAvicii。その後、音楽フェスやイベントにその姿を一切見せることはなく、音楽を始めた頃と同じように自宅での音源制作に戻っていきます。
2017年8月、Aviciiは新しい音楽と共に再始動。6曲の新曲を収めたEP『AVĪCI(01)』をリリース。この後、2枚のEPとニューアルバムをリリースすると発表しました。ニューアルバムのレコーディングに取り組んでいましたが、4月20日(金)、28歳という若さで突然この世から去ってしまいました。
藤田:若くして成功を収めて、誰もが一見羨むような生活をしていたと表現することはできるのですけど。内向的な性格でちくちくと音楽を作るのがもともと好きだった彼が、トラックメイカーやプロデューサーだけではなく、表に出るDJとしての活動をしていたわけですから。何十万人いる観客の前で「ワッショイ!」とやるわけですよね。
水野:賞賛を受けている人の視点に立つっていうのは、なかなかできることではない。その人が持っている「俺、本当に幸せなのかな?」という気持ちは、なかなか伝わらないと思うんです。そこに押しつぶされる人は、いるのかもしれないですね。
■死を意識していたかのような歌詞
Aviciiの急逝後、数多くのアーティストやDJ、プロデューサーがAviciiとの思い出や彼への追悼の意を表しました。AviciiとコラボしていたNicky Romeroは4月27日(金)、オランダ・アムステルダムで開催されたフェス「Kingsland Festival」で、Aviciiの未発表曲『Heaven』を披露し、天国へ旅立ったAviciiに捧げました。
ColdplayのChris Martinが参加した未発表曲『Heaven』は、ニューアルバムに収録される予定だった一曲です。その歌詞の一節を和訳すると以下のようになります。
「僕は今、生きている感じがしないんだ。僕は死んでしまったのか。僕はこの世からいなくなったのか。きっと僕は、この世を去ったんだろうね。僕は今、天国にいくような気分を味わっている。きっとこのまま天国にいくんだ。僕は天国にいってしまったのか。僕たちは鳥になって、空をも飛べるんだ。僕たちはいくんだ、世界を輝かせるために。僕たちは今夜、正気を失うくらい夢中になるだろう。天国が見えたんだ」
まるで、自分の死を意識していたかのような歌詞。本当にこの世から去ってしまった今、改めて読むと胸が痛くなります。パフォーマンスをしたNicky Romeroは「この未発表曲は、リリースされることはないだろう」と語っています。
藤田:アルバムに向けて曲を作っていた、という発表もあったということで、もしかすると楽曲が(他にも)あったのではないかという憶測はあるんですけれども、それがどのような形で世に出るのか出ないのかというのは、Nicky Romeroが明言しているように、我々はわかりません。しかし、音楽を作って、一生懸命向き合っていたことに変わりはなかった。それが余計に悔しいというか、形にしてアルバムの発表までしていたので、しっかりと我々に音楽を届けてくれるであろうと思っていたところが、余計に残念でならないですね。
水野:残酷なことなんですけど、作る側の人間とか、届ける側の人間というのは、訪れる死がそのままエンターテインメントになってしまうというか、それ自体が伝説になったりとか、ストーリーにされてしまう。それが彼らのやっていることなんですよね。人生だったり、何かをかけて、それが誰かのためになっていくっていう。そこが残酷なんだけど、だからこそ生まれてるハッピーもあるから、すごく難しいんだけど、その中でみんなが戦っていて、それぞれにギリギリなところまでやっていて。あるとき、その崖をおりてしまうこともあるという……。すごく難しいですけどね。
突然の訃報に世界が震撼したAviciiの追悼特集でした。今後も彼の音楽は世界中に残り続けることでしょう。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/