J-WAVEでオンエア中の「SONAR MUSIC」(ナビゲーター:藤田琢己)。木曜はいきものがかりの水野良樹とお送りしています。10月12日の「グッドミュージック研究会」のコーナーでは、水野が、作詞家の阿久悠さんの歌詞についてたっぷりと解説しました。
今年は阿久悠さんの没後10年に関連して、阿久さんの人生がドラマ化されたり、阿久さんの未発表の詞に、さまざまなアーティストが曲を付けるなど、いろいろなプロジェクトが動いています。水野も阿久さんの人となりを探る番組を担当しました。今回、水野が阿久さんについて最初に解説した曲は、森山加代子の「白い蝶のサンバ」でした。
「今の音楽を聴いている人だったら、そうは思わないでしょうが、当時は『早口』とか『リズムをとるのが難しそう』と言われました。この曲は“曲先”で、阿久さんがメロディーに詞をつけたものです。日本語のイントネーションは5・7・5が基本で、阿久さんの時代の前の歌謡曲は、5・7・5で歌が作られているものが多いのですが、それを崩そうとしたのが阿久さんや松本隆さんです」(水野、以下同)
◯石川さゆり「津軽海峡・冬景色」
「5・7・5のリズムからは、かなり外れてます。また、この曲は映像的で、主人公がいる場面を俯瞰でカメラで捉えるように、引きの映像から始まります。波しぶきや船の様子などのシーンを出した上で、突然、主人公のアップになったりとか。場面を表現することによって、感情や温度を想像させる点が、阿久さんの歌詞の素晴らしいところだと思います」
◯ピンク・レディー「サウスポー」
「音楽ディレクターの飯田久彦さんに伺ったところ、ピンクレディーの曲はタイトルから決めることが多かったそうです。しかも、『サウスポー』は元々、全く違う曲、歌詞だったそうで、飯田さんは『何か違う』と思って、阿久さんと作曲家の都倉(俊一)さんに、もう一度書いて欲しいと土下座をして、それで出来上がった曲だそうです」
70年代はまさに阿久さんの黄金期でしたが、80年代になって沢田研二さんが最初に歌ったのは、糸井重里さんが作詞した「TOKIO」でした。
「糸井さんは『歌詞は自由に描けるアニメだ』とおっしゃっていて、阿久さんは『歌詞は映画だ』とおっしゃっていました。違うものだけど似通っている部分もあるから、同じ手法でありながらも全然違うカラーになったというのが、いろいろな示唆に富んでるんじゃないかと思います。世代によって捉え方が違うから、今のスマホ世代の人たちが、『映像』と言われた時に何を想像するか…それによって表現も、どんどん変わっていくんじゃないかと思います」
◯和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」
「歌は、その時代だけに届けば良いという訳じゃなくて、時代を超えることの強さがあると思うんですけど、『あなた』という3文字は、何十年後かの未来にいる僕らも指し示されてるような気がして、すごく飛距離があると思ってます。阿久さんは、どこまで飛距離を想像して書いたのか、ということに興味があります。
昔、阿久さんの息子さんが、お父さんに『あの鐘を鳴らすのはあなた』の『あなた』の意味について聞いたら、阿久さんは『未来感だね』とおっしゃったらしいんです。その一言は芯を食っているような気がして、すごいと思って。阿久さんは書いた時点で、時代を担う若者たちを指し示すことになることを感じてたと思うんです。歌詞は短いからこそ、想像が膨らむ。それが時を超えたり、価値観を超えたりするのが歌詞の素晴らしさだと思います」と語りました。
さらに、放送では阿久さんの未公開の詞に水野が曲を付けた「愛せよ」(歌:山本彩)をオンエアしました。
さて、次週の16日(月)から19日(木)は、番組ライブイベント「SONAR MUSIC LIVE VOL.2」に出演したMONO NO AWARE、日食なつこ、雨のパレード、あいみょん、ポルカドットスティングレイの貴重なライブ音源を毎日オンエアします! さらに、小沢健二にフォーカスする企画もあります。どうぞ、お楽しみに!
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:「SONAR MUSIC」
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
今年は阿久悠さんの没後10年に関連して、阿久さんの人生がドラマ化されたり、阿久さんの未発表の詞に、さまざまなアーティストが曲を付けるなど、いろいろなプロジェクトが動いています。水野も阿久さんの人となりを探る番組を担当しました。今回、水野が阿久さんについて最初に解説した曲は、森山加代子の「白い蝶のサンバ」でした。
「今の音楽を聴いている人だったら、そうは思わないでしょうが、当時は『早口』とか『リズムをとるのが難しそう』と言われました。この曲は“曲先”で、阿久さんがメロディーに詞をつけたものです。日本語のイントネーションは5・7・5が基本で、阿久さんの時代の前の歌謡曲は、5・7・5で歌が作られているものが多いのですが、それを崩そうとしたのが阿久さんや松本隆さんです」(水野、以下同)
◯石川さゆり「津軽海峡・冬景色」
「5・7・5のリズムからは、かなり外れてます。また、この曲は映像的で、主人公がいる場面を俯瞰でカメラで捉えるように、引きの映像から始まります。波しぶきや船の様子などのシーンを出した上で、突然、主人公のアップになったりとか。場面を表現することによって、感情や温度を想像させる点が、阿久さんの歌詞の素晴らしいところだと思います」
◯ピンク・レディー「サウスポー」
「音楽ディレクターの飯田久彦さんに伺ったところ、ピンクレディーの曲はタイトルから決めることが多かったそうです。しかも、『サウスポー』は元々、全く違う曲、歌詞だったそうで、飯田さんは『何か違う』と思って、阿久さんと作曲家の都倉(俊一)さんに、もう一度書いて欲しいと土下座をして、それで出来上がった曲だそうです」
70年代はまさに阿久さんの黄金期でしたが、80年代になって沢田研二さんが最初に歌ったのは、糸井重里さんが作詞した「TOKIO」でした。
「糸井さんは『歌詞は自由に描けるアニメだ』とおっしゃっていて、阿久さんは『歌詞は映画だ』とおっしゃっていました。違うものだけど似通っている部分もあるから、同じ手法でありながらも全然違うカラーになったというのが、いろいろな示唆に富んでるんじゃないかと思います。世代によって捉え方が違うから、今のスマホ世代の人たちが、『映像』と言われた時に何を想像するか…それによって表現も、どんどん変わっていくんじゃないかと思います」
◯和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」
「歌は、その時代だけに届けば良いという訳じゃなくて、時代を超えることの強さがあると思うんですけど、『あなた』という3文字は、何十年後かの未来にいる僕らも指し示されてるような気がして、すごく飛距離があると思ってます。阿久さんは、どこまで飛距離を想像して書いたのか、ということに興味があります。
昔、阿久さんの息子さんが、お父さんに『あの鐘を鳴らすのはあなた』の『あなた』の意味について聞いたら、阿久さんは『未来感だね』とおっしゃったらしいんです。その一言は芯を食っているような気がして、すごいと思って。阿久さんは書いた時点で、時代を担う若者たちを指し示すことになることを感じてたと思うんです。歌詞は短いからこそ、想像が膨らむ。それが時を超えたり、価値観を超えたりするのが歌詞の素晴らしさだと思います」と語りました。
さらに、放送では阿久さんの未公開の詞に水野が曲を付けた「愛せよ」(歌:山本彩)をオンエアしました。
さて、次週の16日(月)から19日(木)は、番組ライブイベント「SONAR MUSIC LIVE VOL.2」に出演したMONO NO AWARE、日食なつこ、雨のパレード、あいみょん、ポルカドットスティングレイの貴重なライブ音源を毎日オンエアします! さらに、小沢健二にフォーカスする企画もあります。どうぞ、お楽しみに!
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:「SONAR MUSIC」
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/