第4回を迎えたJ-WAVExHOT STUFF”LIVE OASIS"が、9月20日、東京・六本木のEX THEATER ROPPONGIで行われた。出演したのはペトロールズとcero。ライヴ・シーンで注目の2バンドの共演を、フロア一杯の観客が待ちかねていた。
J-WAVEでナビゲーターも務める渡辺祐が、前説でこの2バンドを「自由に音楽をやっているレアな2組」と紹介したが、まさにその通り。2004年に活動開始したceroは3人組だが、ライヴではサポート・メンバーを加えて豊かなサウンドを鳴らし、これまでに3枚のフル・アルバムをリリース、人気を高めてきた。
一方、3人だけで従前のロック・バンドにないサウンドを奏でるペトロールズは、2007年にリリースした初ミニ・アルバム『仮免』から10年を迎え、大先輩ORIGINAL LOVEや話題のSuchmosらが参加したカヴァー・アルバム『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?』が3月にリリースされたが、ペロトールズ自身は2015年8月に初のフル・アルバム『Renaissance』を出したきり。だがライヴでは、音源化されていない新曲も多く披露しているだけに、この夜もオーディエンスの期待は尋常ではない。
最初に登場したペトロールズは、そんな期待に応えるようにライヴでは演奏しているが未音源化の「KA・MO・NE」からスタート。
長岡亮介(Vo,G)、三浦淳悟(B,Cho)、河村俊秀(D,Cho)が3つの楽器と3人の声だけで作る立体感のある音像は、最小限の音でどこまで豊かな音楽を作れるか試しているような緊張感と遊び心が共存する。ファルセットのコーラスが綾なす中、長岡のヴォーカルがシニカルな歌詞とともに前面に位置するのも妙味だ。MCで、次に出るceroが8人編成であることから「多勢に無勢。粛々と演奏してceroに渡します」などと言いながら9曲を演奏。全国ツアーの合間にこのステージに来た彼らにとって、ここも流れの中にあるのだろう。曲が進むほどに自在な演奏に力が入り、最近はほとんど演奏していない「水蒸気」から人気曲「止まれ見よ」など、どれもこの夜限りの演奏で魅了した。そして最後に、J-WAVEのジングル「81.3 J-WAVE」も歌う大サービス。
続いて登場したceroはメンバーである髙城晶平(Vo,Flute)、荒内佑(Kb)、橋本翼(G,Cho)に、サポートのドラム、ベース、パーカッション、鍵盤、トランペットを加えた8人編成。華やかに様々な音が重なるアフリカン・テイストの祝祭的なサウンドで、幕開けの「マイ・ロスト・シティー」から盛り上げる。ダンサブルな「Yellow Magus」が続くと、オーディエンスは手を挙げ体を揺らした。8人が鳴らす音は巧みに重なりあってカオス寸前の高揚感を生み出し、髙城の歌が全てを従えて、更なる高みへとオーディエンスを導いていく。
それにしても、いつにない高揚感の理由が中盤に髙城のMCで明らかに。数年前に共演して以来ペトロールズのファンであり、この2マンを心待ちにしていたそうだ。そんな思いの表れか、「Elephant Ghost」「我が名はスカラベ」と曲を続け、さらに幻想的な「TWNKL」など未発表曲を3曲も立て続けに披露。「そのうち、皆さんに音源として届くと思うので楽しみにしてください」と髙城は笑顔を見せた。ラストは最新シングルの「街の報せ」。おおらかな髙城の歌とスケール感のある演奏がドラマチックに響いた。
アンコールに応えて再登場したceroがペトロールズを呼び込み、一緒に演奏したのはGEISHA GIRLS(ダウンタウンが坂本龍一らと’94~’96年に活動したユニット)の「少年」。荒内の提案で決まったそうで、坂本龍一がサイモン&ガーファンクルの「ボクサー」を意識して作ったという隠れた名曲が、この夜限りの素晴らしい演奏でカヴァーされた。演奏が終わり、髙城が「ありがとう!ペトロールズ!」と言えば長岡が「cero!二つ合わせてペロ!」と返し、この2バンドならではの緩やかで豊かなライヴが幕を閉じた。この貴重なライヴの模様は10月9日、J-WAVEで放送される。
※text by 今井智子(音楽評論家)
【番組情報】
番組名:「J-WAVE HOLIDAY SPECIAL TIME MACHINE RADIO」
放送日時:2017年10月9日(月・祝)9時-17時55分
セットリスト&フォトレポート:http://www.j-wave.co.jp/blog/eventarchives/2017/09/cerolive_oasis.html
J-WAVEでナビゲーターも務める渡辺祐が、前説でこの2バンドを「自由に音楽をやっているレアな2組」と紹介したが、まさにその通り。2004年に活動開始したceroは3人組だが、ライヴではサポート・メンバーを加えて豊かなサウンドを鳴らし、これまでに3枚のフル・アルバムをリリース、人気を高めてきた。
一方、3人だけで従前のロック・バンドにないサウンドを奏でるペトロールズは、2007年にリリースした初ミニ・アルバム『仮免』から10年を迎え、大先輩ORIGINAL LOVEや話題のSuchmosらが参加したカヴァー・アルバム『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?』が3月にリリースされたが、ペロトールズ自身は2015年8月に初のフル・アルバム『Renaissance』を出したきり。だがライヴでは、音源化されていない新曲も多く披露しているだけに、この夜もオーディエンスの期待は尋常ではない。
最初に登場したペトロールズは、そんな期待に応えるようにライヴでは演奏しているが未音源化の「KA・MO・NE」からスタート。
長岡亮介(Vo,G)、三浦淳悟(B,Cho)、河村俊秀(D,Cho)が3つの楽器と3人の声だけで作る立体感のある音像は、最小限の音でどこまで豊かな音楽を作れるか試しているような緊張感と遊び心が共存する。ファルセットのコーラスが綾なす中、長岡のヴォーカルがシニカルな歌詞とともに前面に位置するのも妙味だ。MCで、次に出るceroが8人編成であることから「多勢に無勢。粛々と演奏してceroに渡します」などと言いながら9曲を演奏。全国ツアーの合間にこのステージに来た彼らにとって、ここも流れの中にあるのだろう。曲が進むほどに自在な演奏に力が入り、最近はほとんど演奏していない「水蒸気」から人気曲「止まれ見よ」など、どれもこの夜限りの演奏で魅了した。そして最後に、J-WAVEのジングル「81.3 J-WAVE」も歌う大サービス。
続いて登場したceroはメンバーである髙城晶平(Vo,Flute)、荒内佑(Kb)、橋本翼(G,Cho)に、サポートのドラム、ベース、パーカッション、鍵盤、トランペットを加えた8人編成。華やかに様々な音が重なるアフリカン・テイストの祝祭的なサウンドで、幕開けの「マイ・ロスト・シティー」から盛り上げる。ダンサブルな「Yellow Magus」が続くと、オーディエンスは手を挙げ体を揺らした。8人が鳴らす音は巧みに重なりあってカオス寸前の高揚感を生み出し、髙城の歌が全てを従えて、更なる高みへとオーディエンスを導いていく。
それにしても、いつにない高揚感の理由が中盤に髙城のMCで明らかに。数年前に共演して以来ペトロールズのファンであり、この2マンを心待ちにしていたそうだ。そんな思いの表れか、「Elephant Ghost」「我が名はスカラベ」と曲を続け、さらに幻想的な「TWNKL」など未発表曲を3曲も立て続けに披露。「そのうち、皆さんに音源として届くと思うので楽しみにしてください」と髙城は笑顔を見せた。ラストは最新シングルの「街の報せ」。おおらかな髙城の歌とスケール感のある演奏がドラマチックに響いた。
アンコールに応えて再登場したceroがペトロールズを呼び込み、一緒に演奏したのはGEISHA GIRLS(ダウンタウンが坂本龍一らと’94~’96年に活動したユニット)の「少年」。荒内の提案で決まったそうで、坂本龍一がサイモン&ガーファンクルの「ボクサー」を意識して作ったという隠れた名曲が、この夜限りの素晴らしい演奏でカヴァーされた。演奏が終わり、髙城が「ありがとう!ペトロールズ!」と言えば長岡が「cero!二つ合わせてペロ!」と返し、この2バンドならではの緩やかで豊かなライヴが幕を閉じた。この貴重なライヴの模様は10月9日、J-WAVEで放送される。
※text by 今井智子(音楽評論家)
【番組情報】
番組名:「J-WAVE HOLIDAY SPECIAL TIME MACHINE RADIO」
放送日時:2017年10月9日(月・祝)9時-17時55分
セットリスト&フォトレポート:http://www.j-wave.co.jp/blog/eventarchives/2017/09/cerolive_oasis.html