J-WAVEで放送中の番組「RADIO DONUTS」(ナビゲーター:渡辺祐・山田玲奈)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。7月29日(土)のオンエアでは、書籍「食品サンプルの誕生」をピックアップしました。
日本独自の文化とも言える食品サンプルのカルチャーは、なぜ、どうやって育ってきたのでしょうか? 今回は、日本の食文化を独自の視点で切り取り、「食品サンプルの誕生」という本を出版した野瀬泰申さんに、目で味わうごちそうの誕生秘話を伺いました!
「長いこと、食品サンプルを観察しているうちに、疑問に思うことが出てきたんです。こんなに私たちの生活の中に普通に存在している食品サンプルについて、どうして誰も調べてないのかと」と本を書くきっかけを語ってくれた野瀬さん。身近な存在過ぎて知らないことがたくさんありそうな世界ですね。
これほど当たり前の存在になっている食品サンプルにもかかわらず、実は“食品サンプルの定義付け”は業界的にもまだ誰もしていないそう。そこで野瀬さんは、同書で “食べ物のカタチそっくりに作られた三次元のメディア”と独自に定義付けしていました。
そもそも野瀬さんの本業ですが、日本経済新聞の特任編集委員で、ベテランの新聞記者。その一方で個人的にご当地グルメなど日本の食文化を研究しています。これまで、東京・日本橋から京都・三条大橋の旧東海道を歩きながら、薬味のネギが白ネギから青ネギに変わる境界線や、醤油が濃口からたまり醤油に変わるエリアはどこか、などの興味深い調査を行っています。
さて、今回出版された「食品サンプルの誕生」は、15年前に野瀬さんが執筆した「眼で食べる日本人-食品サンプルはこうして生まれた」をアップデートした文庫本。食品サンプルの進歩や技術、世の中に与えた影響などがまとめられた一冊となっています。
「ほとんどの日本人が食品サンプルは戦後にできたものだと思ってるんじゃないかと思うんです。実はもっと古くて、私が調べた限りでは大正7年まで遡ることができるんです」(野瀬さん、以下同)
大正7年の時点では、食堂に置くことを目的としたものではなかったそうですが、“料理の模型”が作られた記録が残っているのだそう。そのため、実際の誕生は「ひょっとしたら明治まで遡るかもしれない」とも。
飲食店で使われるようになったのは、大正から昭和の初めだそうで、きっかけはデパートの食堂がものすごく賑わい始めたためのようです。「食堂に見たこともないような、名前も聞いてもわからないような料理がいっぱい並んでいる。それをいちいち文字で説明しても伝わらないので、食品サンプルを置くことになりました」
現在の食品サンプルの技術は、本物の料理を作るのとほとんど同じ工程だそう。例えばハンバーグの場合、サンプルの依頼を受けたお店のハンバーグの型取りをし、そこにプラスティック・ゲルを流し込んで、固めるためにオーブンに入れます。加熱後に取り出すと、本物のハンバーグの表面のように仕上がるそうです。
それをお店のハンバーグの焼け具合や、ソースの色と照合して着色。特に最近ではご飯。なんとあれは塊で作るのではなく、ちゃんと一粒一粒あるのだそうです!「それをお茶碗に入れて、接着剤をかけるんです。くるくると混ぜるとくっついてちゃんと一膳のご飯になるんです」と、この技術には野瀬さんもすごいと驚いたそうです。
しかもこれらの技術は、研究所が開発した技術ではなく、職人さんの知恵と経験が生んだものだと言います。何気なく見ている食品サンプルですが、そこにはまさに日本の匠の技が詰まっているのですね。
「日本人って、食品サンプルを何気なく見てるつもりかもしれないけれど、結局、頭の中で瞬時に一度味わうんですね。それを確かめるが如く現物を食べる。わからないのは味だけなんで。頭で食べて、舌で食べてっていう、日本人ってお得で1回に2種類の食べ方をしてるということが言えるかもしれませんね」と分析する野瀬さん。
海外の人にも人気の食品サンプル。もし海外の友人がいて日本に遊びにきた際は、野瀬さんがおっしゃる日本人ならではの“2種類の食べ方”をおすすめしてみてはいかがでしょうか?
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:「RADIO DONUTS」
放送日時:毎週土曜 8時-12時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/
日本独自の文化とも言える食品サンプルのカルチャーは、なぜ、どうやって育ってきたのでしょうか? 今回は、日本の食文化を独自の視点で切り取り、「食品サンプルの誕生」という本を出版した野瀬泰申さんに、目で味わうごちそうの誕生秘話を伺いました!
「長いこと、食品サンプルを観察しているうちに、疑問に思うことが出てきたんです。こんなに私たちの生活の中に普通に存在している食品サンプルについて、どうして誰も調べてないのかと」と本を書くきっかけを語ってくれた野瀬さん。身近な存在過ぎて知らないことがたくさんありそうな世界ですね。
これほど当たり前の存在になっている食品サンプルにもかかわらず、実は“食品サンプルの定義付け”は業界的にもまだ誰もしていないそう。そこで野瀬さんは、同書で “食べ物のカタチそっくりに作られた三次元のメディア”と独自に定義付けしていました。
そもそも野瀬さんの本業ですが、日本経済新聞の特任編集委員で、ベテランの新聞記者。その一方で個人的にご当地グルメなど日本の食文化を研究しています。これまで、東京・日本橋から京都・三条大橋の旧東海道を歩きながら、薬味のネギが白ネギから青ネギに変わる境界線や、醤油が濃口からたまり醤油に変わるエリアはどこか、などの興味深い調査を行っています。
さて、今回出版された「食品サンプルの誕生」は、15年前に野瀬さんが執筆した「眼で食べる日本人-食品サンプルはこうして生まれた」をアップデートした文庫本。食品サンプルの進歩や技術、世の中に与えた影響などがまとめられた一冊となっています。
「ほとんどの日本人が食品サンプルは戦後にできたものだと思ってるんじゃないかと思うんです。実はもっと古くて、私が調べた限りでは大正7年まで遡ることができるんです」(野瀬さん、以下同)
大正7年の時点では、食堂に置くことを目的としたものではなかったそうですが、“料理の模型”が作られた記録が残っているのだそう。そのため、実際の誕生は「ひょっとしたら明治まで遡るかもしれない」とも。
飲食店で使われるようになったのは、大正から昭和の初めだそうで、きっかけはデパートの食堂がものすごく賑わい始めたためのようです。「食堂に見たこともないような、名前も聞いてもわからないような料理がいっぱい並んでいる。それをいちいち文字で説明しても伝わらないので、食品サンプルを置くことになりました」
現在の食品サンプルの技術は、本物の料理を作るのとほとんど同じ工程だそう。例えばハンバーグの場合、サンプルの依頼を受けたお店のハンバーグの型取りをし、そこにプラスティック・ゲルを流し込んで、固めるためにオーブンに入れます。加熱後に取り出すと、本物のハンバーグの表面のように仕上がるそうです。
それをお店のハンバーグの焼け具合や、ソースの色と照合して着色。特に最近ではご飯。なんとあれは塊で作るのではなく、ちゃんと一粒一粒あるのだそうです!「それをお茶碗に入れて、接着剤をかけるんです。くるくると混ぜるとくっついてちゃんと一膳のご飯になるんです」と、この技術には野瀬さんもすごいと驚いたそうです。
しかもこれらの技術は、研究所が開発した技術ではなく、職人さんの知恵と経験が生んだものだと言います。何気なく見ている食品サンプルですが、そこにはまさに日本の匠の技が詰まっているのですね。
「日本人って、食品サンプルを何気なく見てるつもりかもしれないけれど、結局、頭の中で瞬時に一度味わうんですね。それを確かめるが如く現物を食べる。わからないのは味だけなんで。頭で食べて、舌で食べてっていう、日本人ってお得で1回に2種類の食べ方をしてるということが言えるかもしれませんね」と分析する野瀬さん。
海外の人にも人気の食品サンプル。もし海外の友人がいて日本に遊びにきた際は、野瀬さんがおっしゃる日本人ならではの“2種類の食べ方”をおすすめしてみてはいかがでしょうか?
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:「RADIO DONUTS」
放送日時:毎週土曜 8時-12時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/