全員分ない支援物資は突き返す? 「公平性」という壁

J-WAVEで放送中の番組「JAM THE WORLD」のワンコーナー、「LOHAS TALK」(ナビゲーター:小黒一三)。7月17日(月)からの週は、4月に著書「震災が起きた後で死なないために」を刊行されたアルピニストの野口健さんをお迎えし、ネパール大地震や熊本地震などでの体験を伺ってきました。7月20日(木)は、熊本地震で野口さんが直面した「ルール」の問題について伺いました。

熊本地震の際に避難所として益城町にテント村を設置しようとした野口さんですが、「過去に事例がない」という理由でなかなか許可が降りず、苦労したと言います。

以前、岡山県総社市で仕事をした縁から、総社市の市長・職員に協力してもらい、益城町の町長・職員を役人同士で説得。「総社市と野口健で最後まで責任持って運営していく」という条件で、町長から許可が出たのだとか。しかし、大量のテントを持って現場に行くと避難所を運営している指定管理団体が認めないという話になり大混乱になったそう。

「この問題ですごい難しかったのは、彼らなりの言い分があって『公平性をどうするのか?』ってことなんです。テント村には最大600人しか入れない中で、『入れなかった人がいた場合はどうするのか』と聞いてくるんです。僕が『入れなかったもなにも早い者勝ちでいいのでは?』と言ったら絶句していましたね。物資も指定管理者からすれば同じものが全員に届かなければならない。『全員に届けられないなら返せ』って話になって…。

東北大震災の時、生島ヒロシさんが気仙沼で被災して、200人の避難所に入ったそうなんですが、そこに180個のケーキが届いたんです。でも管理団体は『20個足りないから』と、このケーキを突き返したそうです。全員がケーキ食べたいわけじゃないですよね? 『公平性』がものすごい邪魔するんですよ」(野口さん、以下同)

そこで、野口さんたちが指定管理の方に言ったのは「もう、ルールは破ろう」ということ。

「ルールを守っていたら何もできない。厳密にこのルールを守ろうとすると『全員を助けられなければ、1人も助けてはならない』ってことになっちゃうんですね。僕と総社市は『ルールを破る』という共通認識をもっていたので現場では揉めますよね」

難しい問題ですが、確かに公平性を意識しすぎるあまり、救える人まで救えないという状況は本末転倒ですよね。野口さんは「時にはルールを破ることも大事」と、力強く語ってくれました。

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【番組情報】
番組名:「LOHAS TALK」
放送日時:平日 20時40分-20時50分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/blog/lohastalk/

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