ファッションモデル、俳優、タレントの井桁弘恵が「チーフ」としてナビゲートする、J-WAVEの番組『LOGISTEED TOMOLAB.~TOMORROW LABORATORY』(通称、トモラボ)が、2026年9月20日、東京・東急プラザ原宿「ハラカド」の特設イベントスペースで、番組としては初となる公開収録を実施。ゲストには、元プロテニスプレーヤー、スポーツキャスターの松岡修造が登場した。
ここでは、公開収録の一部を紹介する。番組の内容はSpotifyなどのポッドキャストでも配信中。
・ポッドキャストページ
『トモラボ』は2021年4月にスタート。井桁は2023年10月から2代目チーフを務めている。
松岡:番組を担当して4年目を迎えたということでおめでとうございます!
井桁:ありがとうございます! 4年目にして初の公開収録となりました。
松岡:公開ということですから、僕自身も「公に開く」ということを意識して、自分の思いを開いていきたいと思います。
井桁:修造さんとの最初の出会いは、TV番組のスタジオ収録でご一緒させていただいたときだったんですが、私はテニスをやっていて(高校は硬式テニス部に所属)、小さいときから拝見していたので、表も裏もずっと熱い方なんだというのをすごく覚えています。
松岡:表と裏があるわけじゃないですけど、オンとオフという感覚でしょうか。意外と僕は冷静ですし、静かです。大声を出すことが熱さだとは思っていないんです。熱いというのは、その人の本気さとか情熱をどう表現できているかだと思うんです。
だから僕はあまり喋らない人とか、シャイな人がすごく好きなんです。心をオープンにする術を知らない可能性があるから。例えば、僕が出会った中では錦織圭選手。彼は本当にシャイでした。
井桁:えー! そうなんですね。
松岡:人前で喋ることも本当に苦手でした。そんな中で世界で戦うための合宿に入ってきたんですけど、世界に行くには喋らざるを得ないんです。
だから人前で、すごく緊張した中で、「圭、自分の思いを英語で語って」と言うわけです。でも、彼はまだ小学校6年ですよ。名前まではいけたんですけど、そこから先は涙でしたね。喋れなくなる。
僕は「言葉が出ないんだったら帰っていいぞ」と伝えました。でも、彼は世界に行きたいから頑張るんです。そこで絞り出すように「I like orange juice.」と言うわけです。これはすごいことなんですよ。ジュニアの中には、そこで何も喋らず終わる子もいるんです。でも彼はそうやってひとつずつ壁を突破しながら、自分の思いを言葉にしていきました。シャイからビッグになっていく姿を見られたのが一番うれしかったです。
井桁と松岡は、日本テレビ系のバラエティ番組『沸騰ワード10』のピックルボール企画で共演している。
井桁:番組でも修造さんに問われることが多くて、そのたびに自分の心と向き合うことになって、すごく成長させていただいています。
思いがけず涙が出てきたり、考えたこともなかった自分の中の熱いものを引き出していただいたことが、強く印象に残っています。なので、「今回この公開収録で誰とお話したいですか?」と聞かれたときに、一番に「修造さんともっとお話をしてみたい」と伝えて、実現したんです。
松岡:うれしいですね。そうやって伝えていただけると。
井桁:今回は私とスタッフさんが考えた質問を通して、修造さんのお話を伺えればと思っています!
松岡:アメリカも含めヨーロッパはピックルボールが本当に盛んで、テニス人口に迫る勢いだとか。一般の人たちが、街のどこでも楽しんでいるようなイメージです。
井桁:本当ですね。ちなみにピックルボールは約50年前にアメリカで生まれたスポーツで、テニスとバドミントンと卓球を足して3で割ったようなスポーツと言われています。コートはバドミントンと同じサイズで、ネットが真ん中にあり、パドルというラケットに似たもので、ボールを打ち合います。ピックルボールならではのルールもあります。今、東京をはじめ全国にコートが広がっていて、大会も行われています。私は1年半前ぐらいに出会い、ハマって週3ぐらいのペースで楽しんでいます。
松岡:自分でもピックルボールをやってみて「なんで流行るのかな?」と考えたんですけど、入口は「誰でもすぐにやれますよ」という感じですけど、その奥に行くと将棋感覚ですね。考えることが本当に大事なんです。
井桁:本当にそうですね!
松岡:打つことに関してはみんなすぐ上手くなるでしょう。でも、どこを狙うかなど、思考やメンタルの部分になると途端に深くなる。簡単なんですけど、奥に行くと、急に難しくなるんですよ。その難しい方を井桁さんは頑張ろうとしているんです。
井桁:そのゾーンに入ってしまいました(笑)。もう抜けられないですね。
松岡:だからある意味きついはずなんですよ。苦しい部分も出てくる。何でやるんですか?
井桁:そこに面白さを見いだしてしまいました。例えば「強い球を打てるようになる=強い」わけじゃないんです。弱い球でも、コントロールして前に落とす球だったり、難しい技術というよりは、メンタルと力の加減を調整した先に少しずつ上手くなっていく道が見えるというのが面白さなんじゃないかなと。プレーをするたびに“まだまだこんなにできないテクニックがあったんだ”と痛感します。
松岡:これはうれしいですね。僕は、番組を一緒にやる中で、井桁さんに対し相当困難なもの、苦しいこと、辛いことを選択しています。それは僕がジュニア合宿で30年近くやってきたものを、ピックルボールに合わせて作り変えているだけだからです。でも、目標や夢に向かっている人は“苦しみの捉え方”が全然違うと僕は思っています。苦しいのは当たり前でしょう。だってできないんですから。
井桁:そうですね。
松岡:だから、失敗とか苦しみは基本的に練習みたいなものですよ。そこでできなくてもいいんです。でも、乗り越えた先に夢が待っているとわかっている人は、苦しみが来たときに「やった」という感じなんです。井桁さんもそういう気持ちがあると思っています。辛いという字に1本線を引くと「幸」になる。“辛い時間は幸せを掴むための最も近いところ”だと僕は捉えています。
井桁:本当にそう思います。私、結構メンタルが弱くて、今までそれで上手くいかないことも多かったんですけど、修造さんに鍛えられて、今まではできるようになるちょっと前でやめていたんですが、“もうちょっと頑張る”というのを大人になって経験させていただきました。“頑張れば自分もできるんだ”と、新しい一面を見つけられたのが、修造さんとの番組での合宿でした。
松岡:そう言ってもらえると本当にうれしい。いつも合宿が終わって車に乗った途端に、マネージャーからめちゃくちゃ怒られるんですよ。
井桁:え(笑)。なぜですか?
松岡:「何であんなに井桁さんに失礼なこと言うんですか? 何であんなキツイことをさせるんですか」と。でも、僕もやっぱり本気だし、人の殻は中途半端では破れっこないんです。だから相当追い込んではいるんですけど、井桁さんはその中でも絶対に諦めないでしょう。
井桁:そうですね。
松岡:それがスゴイですよね。
井桁:でも、その自分を引き出していただけたのは、人生の糧になっていると思っています。
松岡:井桁さん自身はメンタルが強くないというお話でしたが、何が弱いんですか?
井桁:緊張します。テニスでは一つトラウマがあって。小学6年生のとき、出場した大会で、自分の半分ぐらいの身長の小学1年生の子に負けたことがあったんです。そのとき、“メンタルで負けたな”という感覚がすごくありました。自分は小6で、小学1年生の子に負けたら恥ずかしい、やらなきゃという気持ちがあって。一方で、1年生の子は、すごく天真爛漫に「いくぜ!」みたいな気持ちで試合に臨んでいて、それに「怖いかも」と怖気づいたんですね。そうなると「負けたらどうしよう。みんなが見ている。小6で小1に負けるなんてすごく嫌だ…」と思っているうちに負けてしまいました。
そういう小さな経験の積み重ねだと思うんですけど、「自分は勝負弱いんだ」という先入観があるんです。
松岡:でもそれは一つのいい経験だったんじゃないですか。だって辛い経験ですよ。でなければ、今こんな場所にいられないですよ。緊張に弱くて、自分を出せなかったら特に。
井桁:そうですね。修造さんに出会って、ピックルの合宿を経て、最近バレエの舞台(SWAN BALLET cross READING)をやらせていただいたんですけど。緊張で甘噛みして「明日からの本番、もう無理かも」となったときに、「自分に今できることを」と鏡の前で奮起する自分がいたんです。
松岡:スゴイ…!
井桁:そのとき、白い紙の裏に「もう無理かも。やばい。自分できないかも」とも書いて、でも、もうやるしかない。本番は来る。どうしたらいいか。とりあえず一つずつ、練習しよう。もう一回読み直そうと考えて、無事に舞台をできたんです。
松岡:おめでとうございます!
会場からも拍手が起こった。
松岡:それはすごく大事なことだったと思います。僕よく「緊張しちゃうんです」というのを耳にするんですけど、井桁さんはなぜ緊張するのでしょう?
井桁:失敗したくないとか、人に迷惑かけたくないですかね。
松岡:そっちですか? 舞台だったらどう思います?
井桁:上手くやりたい、ですかね。
松岡:そうですよ。だから緊張するんです。本気だから。
井桁:確かに…! ちゃんと届けたいという思いがあるからこそ、緊張するんだなと舞台を経験して感じました。
松岡:僕は海外も含め、何人かのメンタルの先生に指導を受けてきました。その中で言えるのは、緊張を乗り越えるのは「技術」です。間違いなくテクニックです。
井桁:どういうことですか?
松岡:誰でも技術を知れば、クリアできるものなんですよ。
井桁:どれだけ緊張に弱くても、そこを技術で解決できるということですね。
井桁は、松岡が自身を「ネガティブ」と表現することについて尋ねた。
井桁:修造さんはご自身を「ネガティブ」とおっしゃっていますが、ネガティブなんですか?
松岡:ネガティブでしょうね。人間は9割方、ネガティブなんだそうです。でもそれを変換する作業はだいぶ上手くなっていると思います。あともう一つ楽なことは、僕が前向きな人って思われていることですね。「松岡修造=ポジティブ」とみんなは勘違いしているんですよ。
井桁:私たちは勘違いをさせられているんですね(笑)。
松岡:そうでしょうね。でもそれがあるから僕は前向きでいられるという。非常に楽なんです。「もう今日ちょっとキツイ…」というときも人間だからあるわけです。でも世間は「松岡修造、元気なんでしょ?」と思っている。だったらやるしかありませんから。そこでスイッチを変えています。
井桁:私たちの期待に応えてくださっていたんですね(笑)。
松岡:僕は応援されている感覚なんです。そんな風にいさせてもらっていることがうれしい。
井桁:そこに対して、「今日の自分はさすがにちょっと…」というギャップを感じたり、ネガティブになることもないんですか?
松岡:それはないかもしれないですね。
松岡は「スポーツ選手はみんなネガポジくんです」と断言した。
松岡:ネガティブがたくさんある人の方がポジティブに多く持っていけます。弱さは力なんですよ。そして僕は選手にインタビューするとき、すごく嫌な奴と思われているかもしれません。ものすごく心を掘っていくから。
井桁:確かにそうかも(笑)。
松岡:何を掘るかというと、弱さを掘ります。強さではありません。でも選手がその弱さを言語化してくれたとき、気づきに変わっていくんです。そこが、インタビューをする上での僕の応援の役割だと思っていて。
視聴者もどこか選手の弱さを感じたときに、「一緒なんだね」と共感できる時間がある。そこをどう乗り越えたか、その方法も伝えると、視聴者もどこかでそれを試してくれる。そこは大事だと思いますね。
井桁:私自身も、修造さんに、どんどん、心を持っていかれるというか(笑)。何て言うんでしょう…修造さんの手のひらで転がされるというか(笑)。
松岡:でもそれは僕というよりも、井桁さんがピックルボールを本気でやってくれているからなんです。本気じゃない人に対して僕はそうしません。だってそれはもうただのお節介ですから。
でも、その人が本当に変わりたいと望んでいるのならば、僕も本気でぶつかります。
井桁:すごく修造さんらしい考えです…!本当に貴重なお話をありがとうございました!
番組名:LOGISTEED TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY
放送日時:毎週土曜日20:00~20:54
ナビゲーター:井桁弘恵
番組サイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tomolab/
番組X(旧twitter):https://x.com/tomolab813?s=20
番組Instagram:https://www.instagram.com/tomolab813/
ハッシュタグ:#トモラボ813
(文・中山洋平)
ここでは、公開収録の一部を紹介する。番組の内容はSpotifyなどのポッドキャストでも配信中。
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〈公式サイトでは、オンエア内容を「グラレコ(グラフィックレコーディング)」でわかりやすくまとめている。〉
松岡修造が振り返る錦織圭の少年時代「彼は本当にシャイでした」
1967年、東京都に生まれた松岡。高校2年生のときにテニスの名門・福岡県の柳川高校に編入。その後、単身アメリカへ渡り、プロに転向。ケガに苦しみながらも、シングルス世界ランキング46位を記録し、ウィンブルドンで日本人男子として62年ぶりとなるベスト8進出を果たした。現役引退後はジュニアの育成とテニス界の発展に力を尽くす一方、スポーツキャスターなどメディアでも幅広く活動している。著書に『まいにち、修造!心を元気にする本気の応援メッセージ』などがある。『トモラボ』は2021年4月にスタート。井桁は2023年10月から2代目チーフを務めている。
松岡:番組を担当して4年目を迎えたということでおめでとうございます!
井桁:ありがとうございます! 4年目にして初の公開収録となりました。
松岡:公開ということですから、僕自身も「公に開く」ということを意識して、自分の思いを開いていきたいと思います。
井桁:修造さんとの最初の出会いは、TV番組のスタジオ収録でご一緒させていただいたときだったんですが、私はテニスをやっていて(高校は硬式テニス部に所属)、小さいときから拝見していたので、表も裏もずっと熱い方なんだというのをすごく覚えています。

だから僕はあまり喋らない人とか、シャイな人がすごく好きなんです。心をオープンにする術を知らない可能性があるから。例えば、僕が出会った中では錦織圭選手。彼は本当にシャイでした。
井桁:えー! そうなんですね。
松岡:人前で喋ることも本当に苦手でした。そんな中で世界で戦うための合宿に入ってきたんですけど、世界に行くには喋らざるを得ないんです。
だから人前で、すごく緊張した中で、「圭、自分の思いを英語で語って」と言うわけです。でも、彼はまだ小学校6年ですよ。名前まではいけたんですけど、そこから先は涙でしたね。喋れなくなる。
僕は「言葉が出ないんだったら帰っていいぞ」と伝えました。でも、彼は世界に行きたいから頑張るんです。そこで絞り出すように「I like orange juice.」と言うわけです。これはすごいことなんですよ。ジュニアの中には、そこで何も喋らず終わる子もいるんです。でも彼はそうやってひとつずつ壁を突破しながら、自分の思いを言葉にしていきました。シャイからビッグになっていく姿を見られたのが一番うれしかったです。
井桁と松岡は、日本テレビ系のバラエティ番組『沸騰ワード10』のピックルボール企画で共演している。
井桁:番組でも修造さんに問われることが多くて、そのたびに自分の心と向き合うことになって、すごく成長させていただいています。
思いがけず涙が出てきたり、考えたこともなかった自分の中の熱いものを引き出していただいたことが、強く印象に残っています。なので、「今回この公開収録で誰とお話したいですか?」と聞かれたときに、一番に「修造さんともっとお話をしてみたい」と伝えて、実現したんです。
松岡:うれしいですね。そうやって伝えていただけると。
井桁:今回は私とスタッフさんが考えた質問を通して、修造さんのお話を伺えればと思っています!
辛い時間は幸せを掴むための最も近いところ
井桁と松岡が取り組むピックルボールとは、どんなスポーツなのか。松岡:アメリカも含めヨーロッパはピックルボールが本当に盛んで、テニス人口に迫る勢いだとか。一般の人たちが、街のどこでも楽しんでいるようなイメージです。

松岡:自分でもピックルボールをやってみて「なんで流行るのかな?」と考えたんですけど、入口は「誰でもすぐにやれますよ」という感じですけど、その奥に行くと将棋感覚ですね。考えることが本当に大事なんです。
井桁:本当にそうですね!
松岡:打つことに関してはみんなすぐ上手くなるでしょう。でも、どこを狙うかなど、思考やメンタルの部分になると途端に深くなる。簡単なんですけど、奥に行くと、急に難しくなるんですよ。その難しい方を井桁さんは頑張ろうとしているんです。
井桁:そのゾーンに入ってしまいました(笑)。もう抜けられないですね。
松岡:だからある意味きついはずなんですよ。苦しい部分も出てくる。何でやるんですか?
井桁:そこに面白さを見いだしてしまいました。例えば「強い球を打てるようになる=強い」わけじゃないんです。弱い球でも、コントロールして前に落とす球だったり、難しい技術というよりは、メンタルと力の加減を調整した先に少しずつ上手くなっていく道が見えるというのが面白さなんじゃないかなと。プレーをするたびに“まだまだこんなにできないテクニックがあったんだ”と痛感します。
松岡:これはうれしいですね。僕は、番組を一緒にやる中で、井桁さんに対し相当困難なもの、苦しいこと、辛いことを選択しています。それは僕がジュニア合宿で30年近くやってきたものを、ピックルボールに合わせて作り変えているだけだからです。でも、目標や夢に向かっている人は“苦しみの捉え方”が全然違うと僕は思っています。苦しいのは当たり前でしょう。だってできないんですから。

松岡:だから、失敗とか苦しみは基本的に練習みたいなものですよ。そこでできなくてもいいんです。でも、乗り越えた先に夢が待っているとわかっている人は、苦しみが来たときに「やった」という感じなんです。井桁さんもそういう気持ちがあると思っています。辛いという字に1本線を引くと「幸」になる。“辛い時間は幸せを掴むための最も近いところ”だと僕は捉えています。
井桁:本当にそう思います。私、結構メンタルが弱くて、今までそれで上手くいかないことも多かったんですけど、修造さんに鍛えられて、今まではできるようになるちょっと前でやめていたんですが、“もうちょっと頑張る”というのを大人になって経験させていただきました。“頑張れば自分もできるんだ”と、新しい一面を見つけられたのが、修造さんとの番組での合宿でした。
松岡:そう言ってもらえると本当にうれしい。いつも合宿が終わって車に乗った途端に、マネージャーからめちゃくちゃ怒られるんですよ。
井桁:え(笑)。なぜですか?
松岡:「何であんなに井桁さんに失礼なこと言うんですか? 何であんなキツイことをさせるんですか」と。でも、僕もやっぱり本気だし、人の殻は中途半端では破れっこないんです。だから相当追い込んではいるんですけど、井桁さんはその中でも絶対に諦めないでしょう。
井桁:そうですね。
松岡:それがスゴイですよね。
井桁:でも、その自分を引き出していただけたのは、人生の糧になっていると思っています。

井桁弘恵が語る小学生の頃の苦い経験 松岡修造が伝える緊張との向き合い方
松岡は、井桁が語った「メンタルの弱さ」を深掘りした。松岡:井桁さん自身はメンタルが強くないというお話でしたが、何が弱いんですか?
井桁:緊張します。テニスでは一つトラウマがあって。小学6年生のとき、出場した大会で、自分の半分ぐらいの身長の小学1年生の子に負けたことがあったんです。そのとき、“メンタルで負けたな”という感覚がすごくありました。自分は小6で、小学1年生の子に負けたら恥ずかしい、やらなきゃという気持ちがあって。一方で、1年生の子は、すごく天真爛漫に「いくぜ!」みたいな気持ちで試合に臨んでいて、それに「怖いかも」と怖気づいたんですね。そうなると「負けたらどうしよう。みんなが見ている。小6で小1に負けるなんてすごく嫌だ…」と思っているうちに負けてしまいました。
そういう小さな経験の積み重ねだと思うんですけど、「自分は勝負弱いんだ」という先入観があるんです。
松岡:でもそれは一つのいい経験だったんじゃないですか。だって辛い経験ですよ。でなければ、今こんな場所にいられないですよ。緊張に弱くて、自分を出せなかったら特に。
井桁:そうですね。修造さんに出会って、ピックルの合宿を経て、最近バレエの舞台(SWAN BALLET cross READING)をやらせていただいたんですけど。緊張で甘噛みして「明日からの本番、もう無理かも」となったときに、「自分に今できることを」と鏡の前で奮起する自分がいたんです。

井桁:そのとき、白い紙の裏に「もう無理かも。やばい。自分できないかも」とも書いて、でも、もうやるしかない。本番は来る。どうしたらいいか。とりあえず一つずつ、練習しよう。もう一回読み直そうと考えて、無事に舞台をできたんです。
松岡:おめでとうございます!
会場からも拍手が起こった。
松岡:それはすごく大事なことだったと思います。僕よく「緊張しちゃうんです」というのを耳にするんですけど、井桁さんはなぜ緊張するのでしょう?
井桁:失敗したくないとか、人に迷惑かけたくないですかね。
松岡:そっちですか? 舞台だったらどう思います?
井桁:上手くやりたい、ですかね。
松岡:そうですよ。だから緊張するんです。本気だから。
井桁:確かに…! ちゃんと届けたいという思いがあるからこそ、緊張するんだなと舞台を経験して感じました。
松岡:僕は海外も含め、何人かのメンタルの先生に指導を受けてきました。その中で言えるのは、緊張を乗り越えるのは「技術」です。間違いなくテクニックです。
井桁:どういうことですか?
松岡:誰でも技術を知れば、クリアできるものなんですよ。
井桁:どれだけ緊張に弱くても、そこを技術で解決できるということですね。
井桁は、松岡が自身を「ネガティブ」と表現することについて尋ねた。
井桁:修造さんはご自身を「ネガティブ」とおっしゃっていますが、ネガティブなんですか?
松岡:ネガティブでしょうね。人間は9割方、ネガティブなんだそうです。でもそれを変換する作業はだいぶ上手くなっていると思います。あともう一つ楽なことは、僕が前向きな人って思われていることですね。「松岡修造=ポジティブ」とみんなは勘違いしているんですよ。
井桁:私たちは勘違いをさせられているんですね(笑)。
松岡:そうでしょうね。でもそれがあるから僕は前向きでいられるという。非常に楽なんです。「もう今日ちょっとキツイ…」というときも人間だからあるわけです。でも世間は「松岡修造、元気なんでしょ?」と思っている。だったらやるしかありませんから。そこでスイッチを変えています。

松岡:僕は応援されている感覚なんです。そんな風にいさせてもらっていることがうれしい。
井桁:そこに対して、「今日の自分はさすがにちょっと…」というギャップを感じたり、ネガティブになることもないんですか?
松岡:それはないかもしれないですね。
松岡は「スポーツ選手はみんなネガポジくんです」と断言した。
松岡:ネガティブがたくさんある人の方がポジティブに多く持っていけます。弱さは力なんですよ。そして僕は選手にインタビューするとき、すごく嫌な奴と思われているかもしれません。ものすごく心を掘っていくから。
井桁:確かにそうかも(笑)。

視聴者もどこか選手の弱さを感じたときに、「一緒なんだね」と共感できる時間がある。そこをどう乗り越えたか、その方法も伝えると、視聴者もどこかでそれを試してくれる。そこは大事だと思いますね。
井桁:私自身も、修造さんに、どんどん、心を持っていかれるというか(笑)。何て言うんでしょう…修造さんの手のひらで転がされるというか(笑)。
松岡:でもそれは僕というよりも、井桁さんがピックルボールを本気でやってくれているからなんです。本気じゃない人に対して僕はそうしません。だってそれはもうただのお節介ですから。
でも、その人が本当に変わりたいと望んでいるのならば、僕も本気でぶつかります。
井桁:すごく修造さんらしい考えです…!本当に貴重なお話をありがとうございました!
番組情報
放送局:J-WAVE(81.3FM)番組名:LOGISTEED TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY
放送日時:毎週土曜日20:00~20:54
ナビゲーター:井桁弘恵
番組サイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tomolab/
番組X(旧twitter):https://x.com/tomolab813?s=20
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(文・中山洋平)
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