クリス・ペプラーが選ぶ、“100年後も残るロックの名盤”は?「この4人は、恐ろしいカルテットでしたよね」

クリス・ペプラーが、「100年後も残る不朽のロックの名盤」をテーマに、時代を超えて受け継がれるロックの魅力について語った。

クリスが登場したのは、9月23日(水・祝)放送のJ-WAVE『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL SAISON presents HELLO, CLASSIC!』(ナビゲーター:秀島史香)。音楽をはじめとする時代を超えて愛される名作にフォーカスし、その背景をひも解きながら、普遍的な魅力と、そこに込められた思想に触れていく特別番組だ。

ロックの歴史を変えたビートルズの革新的名盤

ここでは、J-WAVE『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(毎週日曜 13:00-16:54)のナビゲーターを務めるクリス・ペプラーが、時代を超えて愛されるロックについて語るパートをテキストで紹介する。

番組ではほかにも、多彩なゲストとともに、クラシックやオペラの名作を取り上げたほか、JO1・川尻 蓮にとってのダンスミュージックの名作や、クラシカルDJの水野蒼生によるスタジオライブなどをお届けした。


秀島:クリスさんはJ-WAVEの歴史を見てこられた方ですよね。『TOKIO HOT 100』も、今度の10月の放送で39年目に突入します。クリスさんは小さいころから音楽を聴き続けていらして、さらには実際にロックもやってこられた。いろんな立場でロックに触れてこられたということですよね。

クリス:そうですね。ロックは13歳ぐらいから聴き始めて、バンドも14、15歳ぐらいから始めました。

秀島:そんなクリスさんに今日は、100年後も残るようなロックの名盤をセレクトしていただきました。

1枚目にクリスが選んだロックの名盤は、ザ・ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』だった。

クリス:ここからいろいろなロックが多様化したと言われていますよね。ビートルズが順風満帆でヒットを飛ばしていたんだけども、ものすごくこだわりがあるグループで。このアルバムまで、全部大ヒットしているわけじゃないですか。だから、ある意味、余裕があって、冒険や実験をガンガンやっていた。当時、ジョージ・ハリスンをはじめとして、インドにも行くようになって、サイケデリックにもハマって。ただ、やっぱりこの曲の構成がクラシックのモチーフだったり、いろいろな要素が含まれたりしていて、後のバンドにもすごく影響を与えていますよね。

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』について、クリスは「ディープ・パープル、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン……プログレ系はだいたいこのアルバムにすごく影響を受けていると思います」と指摘する。

さらに、ブリティッシュロックにおいても、この1枚があるかないかで、その後の音楽の流れは大きく変わったのではないかと語った。


秀島:ひとつの大きなターニングポイントというか、そこから枝分かれしていったんですね。

クリス:ブリティッシュロック特有のものは、ここから始まったんだと思います。

秀島:そんな歴史的名盤ですが、そのなかからクリスさんが1曲選ぶとしたら?

クリス:やっぱり『A Day in the Life』じゃないですかね。すごくメロディックな部分がある一方で、サイケデリックなサウンドにとどまらず、ミックスやバランスにおいても、それ以前にはなかったような画期的で実験的なことが行われていました。当然、前衛的な音楽というのはビートルズ以前からあったんだけれども、これだけポップスの頂点にいたビートルズが前衛というものを受け入れたというのは、すごいことじゃないかなと思いますね。

The Beatles - The Beatles - A Day In The Life (Official Video)

クリスが選ぶ「後世に残したいロックレコードジャケット」は?

『A Day in the Life』をオンエア後、あらためてふたりは同曲の魅力について語りあった。

秀島:中ほどで聴こえてくる、「これはどういうことだろう」というパートも、実験的で面白いですよね。

クリス:ストリングスを鳴らしているわけだけれども、ドラマティックというか。相反するものをぶつけるというのは、ポップスの世界ではご法度じゃないですか。それをやり遂げたというか、この時期のビートルズはすごく実験的でしたよね。過去の自分たちを当然、継承はしているんだけれども、アイドルという部分から脱皮したいという意識みたいなものを感じます。もっとちゃんとアーティストとして捉えられたい、アートを作りたいというのが伝わってきます。

秀島:ジャケットも印象的ですよね。ニューヨークのMoMAにアートとして展示されているみたいなこともあって。レコードのジャケットも作品として100年後に残したいよね、という楽しみ方もおそらくあると思うんですが。クリスさんが選ぶ「ナンバーワン・ロックレコードジャケット」は何でしょうか?

クリス:このアルバム以降、サイケデリックロックが出てから、日本でも「アートロック」って言われていたんですよね。当時のいわゆるロックンロールと、どう差別化するのかというところで、アートとものすごく親和性があるというか、現代アート、コンテンポラリーアートを意識した音楽が、60年代後期から始まるロックなんじゃないかなという気がすごくしていて。当時のアルバムジャケットを見たら、いろいろびっくりしますよ。「50、60年前でこの感性って何!?」って驚くというか、今の感性よりもぶっ飛んでるかもしれない。みんなは新しいものを「とんがっているもの」と捉えるかもしれませんが、歴史を見てみると違いますよね。

秀島:なるほど。

クリス:日本だと大正時代はすごくとんがっていて、昭和のほうが保守的になっている。そういう時代性っていうのがあって、60年代後期以降のアルバムはすごいものばかりなんですよ。自分のフェイバリットもいっぱいあるんだけど、100年後も残るものとして考えると、ローリング・ストーンズの『スティッキー・フィンガーズ』ですね。こちらは画家のアンディ・ウォーホルがデザインしたものと言われています。

秀島:(ジャケットの人物は)ミック・ジャガーなんですかね? ウエストから下、ズボンのアップになっています。

クリス:チャックが本物で、下げられます。アンディ・ウォーホルの作品ですし、100年後も美術館で保管されているだろうと思いました。

4人の才能が生んだ『レッド・ツェッペリン II』

クリスが選んだ「100年後も残るようなロックの名盤」、2枚目は『レッド・ツェッペリン II』だった。

クリス:今まで優等生なことを言っていたので、ここはちょっと本音でいいかなと。本来だったらクイーンなんですけど、僕の個人的な見解で選びました。このアルバムは、たぶん僕が最初に買った5枚のうちの1枚なんだけれども、やっぱり衝撃でしたね。ジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムのこの4人は、恐ろしいカルテットでしたよね。

秀島:今思えば、この4人が揃ったこと自体が奇跡というか。

クリス:ジミー・ペイジは三大ギタリストに挙げられていますけども、ギターの音の出し方、バランス、マーシャルのアンプの使い方……すべてにおいて、この人は画期的でしたね。やっぱり、今まで鳴っていたロックギターの音を変えたと思う。リフに対しても本当にアイコン的で、とにかくカッコいい。いろんなグループを見ても、やっぱりツェッペリンってカッコいいんですよね。

秀島:ガツンときた名盤から、1曲選ぶなら何ですか?

クリス:レッド・ツェッペリンには、契約を満たさないといけなくて、お蔵入りの曲を集めた1枚があるんだけど、それ以外のツェッペリンの曲って全部いいんですよね。『II』のなかでも名曲だらけで全部好きなんだけど、いちばんわかりやすいものとして『Whole Lotta Love』にします。

Led Zeppelin - Whole Lotta Love (Official Music Video)

クリスが感じるロック復権の兆し

ロックを長年聴き続けてきたクリス・ペプラーは、現在のロックをどのように捉えているのだろうか。

クリス:このあいだ、フジロックにうちのバンドで行ったときに、こじゃれた曲をやっても、あんまり盛り上がらないんですね。ガツンとくる、パワーがある音楽をみんなが求めている。そのフジロックでXGのライブを見たんですけど、バンドを入れていて、すっごいロックに寄せていたんですよ。ギターベースのロックがまた来るなって、すごく感じましたね。

さらにクリスは、下火と言われるロックについて「音楽って揺り戻しというか、振り子現象なんですよね。極端まで行くと、また戻ってくる」と自身の考えを述べる。

クリス:ひとつ顕著な出来事がありまして、表参道にギターのフェンダーのビルができたんですよ。コロナ禍って不景気のイメージがありましたけども、楽器は違っていたんです。ギターの売り上げに関しては、フェンダージャパンが設立されてからいちばん収益を上げた時期だったんです。それであのビルが建ったんです。

秀島:そうだったんですか。

クリス:当時、「暇だし、ギターを弾いてみようかな」って思っていた連中はたくさんいて、そうなると演奏人口が増えるわけです。そこから切磋琢磨して、だんだんとファンも増えてくる。裾野も広がる感じがあって、僕はバンドがまた増えてくるんじゃないかなと思っています。だから、僕はまたロックは戻ってくると感じていますね。

秀島:次々と素晴らしいギタリスト、もしくはロックバンドが今後出てくるぞと。

クリス:特に若い子たちは、サブスクで音楽を聴いたりしていて、インターネット世代じゃないですか。彼らにとって音楽の「新しい・古い」ってないと思うんですよ。「いいものはいい」っていう発想だと思うんです。

秀島:そう考えてみると、今聴いている音楽が100年後に残るかもしれないですよね。時空を超えることがテクノロジーで可能になってきていると感じました。

クリス:一方で、100年前の作品が大事に扱われているのって、クラシックのコンサートホールだったり美術館だったりするじゃないですか。そこではない感じがしますよね。音楽の価値を計測するのっていろんな要素があるじゃないですか。単純にいいメロディーといいますか、歴史的に重要だったりとか。サージェント・ペッパーズの話に戻るけれども、やっぱりあれはエポックだったと思うんですよ。音楽史を語るうえで外せない1枚だったんじゃないかな。100年後も愛される、人類の宝だと思って選びました。

秀島:それを聴き続け、次の世代に渡していきたいなと、お話を伺いながら思いました。

クリス・ペプラーの最新情報は公式サイトまで。
番組情報
J-WAVE HOLIDAY SPECIAL SAISON presents HELLO, CLASSIC!
9月23日(水・祝)
9:00-17:55

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