ディズニー映画における音楽の役割と、その重要性に迫った。
この内容をお届けしたのは、9月8日(火)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:林 佑香〈代演〉)の「MUSIC EXPLORER」。世界の音楽シーンのムーブメントを“今”の視点で考察するコーナーだ。この日はお休みの市川紗椰に代わり、フリーアナウンサーの林 佑香がナビゲートした。
話を伺ったのは、フェリス女学院大学教授の谷口昭弘さん。長年にわたってクラシック音楽を研究し、書籍『ディズニー・ミュージック ディズニー映画 音楽の秘密』(スタイルノート)も発表している。ナビゲーターの林は、まずディズニー作品を彩る音楽の魅力について尋ねた。
谷口:ディズニー映画の音楽にはいくつか魅力がありますが、まずひとつは、登場人物の思いがきちんと伝わる曲が多いことです。たとえば、『白雪姫』の『いつか王子様が』という曲は小人たちに向けて、白雪姫が王子様への思いをつづる歌なんですけれども、白雪姫が小人たちに向かって歌っている画面を私たちが観ていると、「白雪姫はいつか王子様と会いたいんだな」というのが自然にわかってきます。登場人物の思いがわかって、私たちも共感できるという歌が非常に多いかなと思います。
そして、時代が進むにつれ、音楽の役割もさらに広がっていく。
谷口:『リトル・マーメイド』の『パート・オブ・ユア・ワールド』では、アリエルが「人間の世界に行きたい」「エリック王子に会いたい」という思いを歌います。その歌を通して、私たちはアリエルに感情移入して、彼女が抱えている憧れや葛藤を知ることができます。
林:主人公の思いを表現する音楽、そして歌。映画を観ているなかで、思わず白雪姫やアリエルに感情移入してしまうというのは、とてもよくわかりますね。そうやって主人公と同じ気持ちになって、その作品の世界に入り込んでしまう瞬間が、ディズニー映画を観ているなかでよくある気がします。
谷口:『いつか王子様が』や『星に願いを』には、優しく甘いメロディーというか、親しみやすい形式があると思います。また、『星に願いを』や『パート・オブ・ユア・ワールド』は、曲の構成がしっかりしていて、日本語でいう「起承転結」のような流れがあります。『星に願いを』の場合は、Aメロ、Bメロがあって、最後にもう一度Aメロのメロディーが帰ってきて終わります。これはポピュラーソングとしては定番で、どちらの曲も耳に残りやすく、馴染みやすい構成になっています。
林:ディズニー映画の舞台となるのは、いつもお城や街のなかというわけではありません。ジャングルや海のなか、氷の世界など、さまざまな舞台でストーリーが繰り広げられています。そんななかで、音楽が果たす役割について谷口さんに伺いました。
谷口:『白雪姫』をはじめ、いわゆるクラシック・ディズニーの作品というと、どちらかというとクラシックっぽい(曲調の)ものが多いです。それはおそらく、ヨーロッパ的なストーリーだからだと思います。一方、『リトル・マーメイド』には、セバスチャンというカニのキャラクターが登場します。このキャラクターは、カリブ海のカニという設定を、作詞家のハワード・アッシュマンが決めたそうです。そこから、セバスチャンの歌である『アンダー・ザ・シー』には、レゲエやカリプソのようなカリブ海の音楽を取り入れるべきだ、という発想につながったんですね。作詞家としては、こういった童話というのは必ずしも時代や地域を特定しないという考え方だったそうですが、音楽的に面白いんじゃないかというところで、セバスチャンをカリブ海から来たカニにしたらしいです。
そのほかにも、作品の舞台となる地域の音楽を取り入れている点が特徴として挙げられるという。
谷口:『アラジン』だと中近東、いわゆるアラブ世界なので、アラブやトルコの音楽で使われる「ダラブッカ」という打楽器が入っていたり、小さなフィンガーシンバルの音色も取り入れられていたりします。それらによって、西洋音楽とは異なるエキゾチックな響きが生まれているんです。音階にも西洋音楽とは少し異なる特徴があって、オープニング曲の『アラビアン・ナイト』のように弦楽器で演奏されていても違うなと感じられると思います。
谷口:映画音楽のひとつの機能としては、「物語の場を設定する」という大切な面があります。そういう意味では、民族楽器を入れるということもひとつの大きな手段かなと思います。
谷口:ウォルト・ディズニーが『白雪姫』を最初に作ったとき、作曲者は3人いて、25曲を作ったんです。そのうち採用されたのは8曲だったというエピソードがあります。それは、どんなにいい歌であっても物語の場面にそぐわないとか、あるいは物語的に必要じゃない歌というのは、どんどんカットされたということがあります。ウォルト・ディズニー自身は音楽の専門教育を受けていなかったわけですが、どの場面にどういう歌が必要なのかというのは、かなり強い意識を持っていたようです。
林:私も小さいころからディズニーに育ててもらったんじゃないかなというくらい、たくさんのディズニー映画や音楽に触れてきました。いろいろな感情を教えてもらったり、世界中のさまざまな土地の音楽に触れさせてもらったり。振り返ってみると、ディズニーの音楽や物語に、人生を豊かにしてもらったんだなとあらためて感じます。
J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間のプログラム。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。
『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「MUSIC EXPLORER」では、世界の音楽シーンのムーブメントを「今」の視点で考察する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。
この内容をお届けしたのは、9月8日(火)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:林 佑香〈代演〉)の「MUSIC EXPLORER」。世界の音楽シーンのムーブメントを“今”の視点で考察するコーナーだ。この日はお休みの市川紗椰に代わり、フリーアナウンサーの林 佑香がナビゲートした。
登場人物の心情を映すディズニー音楽
物語を彩るキャラクターや時代背景、舞台となる土地の設定など、ストーリーを盛り上げる要素はさまざま。そのなかでも、作品の世界観や感情を伝えるうえで重要な役割を担っているのが音楽だ。今回は「なぜ、ディズニー音楽は愛されるのか?」をテーマに、その魅力をひも解いていく。話を伺ったのは、フェリス女学院大学教授の谷口昭弘さん。長年にわたってクラシック音楽を研究し、書籍『ディズニー・ミュージック ディズニー映画 音楽の秘密』(スタイルノート)も発表している。ナビゲーターの林は、まずディズニー作品を彩る音楽の魅力について尋ねた。
谷口:ディズニー映画の音楽にはいくつか魅力がありますが、まずひとつは、登場人物の思いがきちんと伝わる曲が多いことです。たとえば、『白雪姫』の『いつか王子様が』という曲は小人たちに向けて、白雪姫が王子様への思いをつづる歌なんですけれども、白雪姫が小人たちに向かって歌っている画面を私たちが観ていると、「白雪姫はいつか王子様と会いたいんだな」というのが自然にわかってきます。登場人物の思いがわかって、私たちも共感できるという歌が非常に多いかなと思います。
そして、時代が進むにつれ、音楽の役割もさらに広がっていく。
谷口:『リトル・マーメイド』の『パート・オブ・ユア・ワールド』では、アリエルが「人間の世界に行きたい」「エリック王子に会いたい」という思いを歌います。その歌を通して、私たちはアリエルに感情移入して、彼女が抱えている憧れや葛藤を知ることができます。
林:主人公の思いを表現する音楽、そして歌。映画を観ているなかで、思わず白雪姫やアリエルに感情移入してしまうというのは、とてもよくわかりますね。そうやって主人公と同じ気持ちになって、その作品の世界に入り込んでしまう瞬間が、ディズニー映画を観ているなかでよくある気がします。
舞台の雰囲気を生む音楽の工夫
ディズニー映画の音楽には、どのような特徴があるのだろうか。谷口さんは、具体的な楽曲を例に挙げながら、その特徴を解説する。谷口:『いつか王子様が』や『星に願いを』には、優しく甘いメロディーというか、親しみやすい形式があると思います。また、『星に願いを』や『パート・オブ・ユア・ワールド』は、曲の構成がしっかりしていて、日本語でいう「起承転結」のような流れがあります。『星に願いを』の場合は、Aメロ、Bメロがあって、最後にもう一度Aメロのメロディーが帰ってきて終わります。これはポピュラーソングとしては定番で、どちらの曲も耳に残りやすく、馴染みやすい構成になっています。
林:ディズニー映画の舞台となるのは、いつもお城や街のなかというわけではありません。ジャングルや海のなか、氷の世界など、さまざまな舞台でストーリーが繰り広げられています。そんななかで、音楽が果たす役割について谷口さんに伺いました。
谷口:『白雪姫』をはじめ、いわゆるクラシック・ディズニーの作品というと、どちらかというとクラシックっぽい(曲調の)ものが多いです。それはおそらく、ヨーロッパ的なストーリーだからだと思います。一方、『リトル・マーメイド』には、セバスチャンというカニのキャラクターが登場します。このキャラクターは、カリブ海のカニという設定を、作詞家のハワード・アッシュマンが決めたそうです。そこから、セバスチャンの歌である『アンダー・ザ・シー』には、レゲエやカリプソのようなカリブ海の音楽を取り入れるべきだ、という発想につながったんですね。作詞家としては、こういった童話というのは必ずしも時代や地域を特定しないという考え方だったそうですが、音楽的に面白いんじゃないかというところで、セバスチャンをカリブ海から来たカニにしたらしいです。
そのほかにも、作品の舞台となる地域の音楽を取り入れている点が特徴として挙げられるという。
谷口:『アラジン』だと中近東、いわゆるアラブ世界なので、アラブやトルコの音楽で使われる「ダラブッカ」という打楽器が入っていたり、小さなフィンガーシンバルの音色も取り入れられていたりします。それらによって、西洋音楽とは異なるエキゾチックな響きが生まれているんです。音階にも西洋音楽とは少し異なる特徴があって、オープニング曲の『アラビアン・ナイト』のように弦楽器で演奏されていても違うなと感じられると思います。
谷口:映画音楽のひとつの機能としては、「物語の場を設定する」という大切な面があります。そういう意味では、民族楽器を入れるということもひとつの大きな手段かなと思います。
物語に必要な音楽を選んだウォルト・ディズニー
ディズニー映画に限らず、物語を盛り上げる「脇役」ともいえる音楽には、さまざまな工夫が凝らされている。では、1本1本の作品に愛情を注いだウォルト・ディズニーは、映画の音楽に何を求めていたのだろうか。谷口:ウォルト・ディズニーが『白雪姫』を最初に作ったとき、作曲者は3人いて、25曲を作ったんです。そのうち採用されたのは8曲だったというエピソードがあります。それは、どんなにいい歌であっても物語の場面にそぐわないとか、あるいは物語的に必要じゃない歌というのは、どんどんカットされたということがあります。ウォルト・ディズニー自身は音楽の専門教育を受けていなかったわけですが、どの場面にどういう歌が必要なのかというのは、かなり強い意識を持っていたようです。
林:私も小さいころからディズニーに育ててもらったんじゃないかなというくらい、たくさんのディズニー映画や音楽に触れてきました。いろいろな感情を教えてもらったり、世界中のさまざまな土地の音楽に触れさせてもらったり。振り返ってみると、ディズニーの音楽や物語に、人生を豊かにしてもらったんだなとあらためて感じます。
J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間のプログラム。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。
『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「MUSIC EXPLORER」では、世界の音楽シーンのムーブメントを「今」の視点で考察する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。
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番組情報
- MIDDAY LOUNGE
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月・火・水・木曜13:30-16:30
-
月曜:ハリー杉山 火曜:市川紗椰 水曜:クリス・ペプラー 木曜:ジョン・カビラ
