高中正義をオマージュしたのは「友人との会話」から?DYGL・下中洋介が語る“J-FUSIONの精神”

インディ・ロックバンド、DYGLのギタリスト・下中洋介が、初のソロアルバム『SHIMONAKA』の制作エピソードを語った。

下中が登場したのは、7月23日(木)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(木曜ナビゲーター:ジョン・カビラ)の「MUSIC EXPLORER」。世界の音楽シーンのムーブメントを“今”の視点で考察するコーナーだ。

父と兄が育んだギター人生

下中洋介は1992年生まれ。2012年、明治学院大学のサークル仲間だった秋山信樹らとDYGLを結成。DYGLは、秋山信樹(Vo/Gt)、下中洋介(Gt)、嘉本康平(Gt)、加地洋太朗(Ba)によるギターロックバンド。2016年にデビューEPをリリース以降、アメリカやイギリスに長期滞在しながら活動し、全編英詞の楽曲を発表してきた。

2026年には、下中がソロ活動を本格化。never young beachの安部勇磨が主宰するレーベル・Thaian Recordsに参加し、7月1日に1stシングル『Private Jet』をリリース。さらに8月19日(水)には、自身初となるソロアルバム『SHIMONAKA』をリリース。まずは下中に、ギターとの出会いについて話を聞いた。

ジョン:下中さんはギタリストですが、お父様がアコースティックギターを弾かれていたそうですね。

下中:そうですね。僕が小さいころから、お父さんがアコギを弾いている姿を見て育ちました。でも、家にあったのが12弦ギターで、高音弦だけ外したような状態だったんです。

ジョン:すごく難しいギターですね。

下中:大きいし、弾きにくいし、「難しいな」と思っていました。それを見かねた父が、兄と僕にヤマハのPACIFICA(エレキギター)を買ってくれて、本格的に始めたのが13歳のころです。

ジョン:お兄さんは教則本マニアなんですよね?

下中:そうなんです。兄は本を集めるのが好きで、ギターの教則本もたくさん買ってきてくれて。僕はそれを盗み見しながら練習してましたね。

ジョン:そして、野球少年でもあったとお聞きしました。

下中:そうです(笑)。なので、ユニフォーム姿で泥だらけのまま帰宅して、そのままギターを弾いてました。今思うと、ソファーにも土を付けていたと思うので、両親には申し訳なかったですね(笑)。

ジョン:青春のひとコマですね。ちなみに、その野球のユニフォーム姿で練習していた曲は何だったんですか?

下中:だいたいオジー・オズボーンだったと思います。あとはディープ・パープルとかも弾いてました。お兄ちゃんが誕生日に教則本を買ってくれたので、それを使って練習してました。

ジョン:いいですね! でも、世代的には全然リアルタイムではないですよね?

下中:全然違います。お兄ちゃんが高校のお昼休みに流れていた聖飢魔IIをきっかけにヘビーメタルを知って、「すごい音楽がある」と教えてくれたんです。ギターを始めたばかりのころは、とにかくうまい人に憧れていたので、ヘビーメタルからは大きな影響を受けました。

日本のフュージョンを示してくれた高中正義という存在

話題は、下中がフュージョンに惹かれるようになったきっかけへと移った。下中は、もともとフュージョンを熱心に聴いていたわけではなく、スティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニといったギターヒーローに夢中で、メタルを中心に聴いていたという。本格的にフュージョンと出会ったのは、実は2年ほど前のことだったそう。

ジョン:フュージョン、そしてギターといえば高中正義さんのお名前も思い浮かびます。実は、6月にこのスタジオにも高中正義さんが来てくださったんです!

【関連記事】『高中正義のダジャレに、海外の会場が沸いた!? “ジャパニーズ・フュージョンの再評価”の理由も語る』

ジョン:僕も高校生のころから聴いていたので、本当に感激しました。下中さんにとって、日本のフュージョンギタリストのみなさんはどんな存在ですか?

下中:道を作ってくださった方々で、そこを歩かせてもらっているような感覚です。音楽的にも、「日本人として音楽を作る」ということを初めて強く意識できたのは、高中正義さんや大村憲司さんをはじめ、多くのミュージシャンのおかげでした。本当に背中を見ながら歩いているような気持ちです。

ジョン:巨匠といえば、パット・メセニーのような海外のギタリストもいますよね。

下中:なんだか、情緒が違うと思うんです。もちろんすばらしいんですが、作っていて思うのは「あれは自分にはできない」ということなんです。僕はジャズ出身ではなく、あくまでロックギタリストなので。そう考えると、高中さんや大村さんのほうに自然とシンパシーを感じます。

ジョン:高中さんもロック出身ですからね。

下中:あそこまでいくと、すごすぎてジャンルを超越している感じもします。

楽曲『Private Jet』誕生の舞台裏

番組では、『SHIMONAKA』の収録曲『Private Jet』をオンエア。

Private Jet

ジョン:気持ちよすぎるイントロ。これはもう、両手を広げて立ち上がるしかないでしょう! 下中さん、この気持ちよすぎるフレーズはどうやって生まれたんですか?

下中:我ながら、あまり覚えていないんですよ(笑)。でも、すごく高ぶりながら作ったことだけは覚えています。

ジョン:アルバムを出すとなると曲順もあると思いますが、この曲が制作の最初だったんですか?

下中:そうですね。これが最初に書いた曲で、曲名はあとから考えました。この曲を作っていたころ、自分の中には夏の景色だったり、いろいろなイメージがあったんですが、その多くは実際の体験というより想像の世界だったんです。その想像の世界を飛んでいるような感覚があって、『Private Jet』というタイトルがぴったりかなと思って付けました。

ジョン:実はアメリカだと、プライベートジェットって所有していなくても利用できるんですよ。車でいうリムジンをレンタルするような感覚で、時間単位で利用できたりするんです。

下中:へええ!

ジョン:ちなみに、行くならどこがいいですか?

下中:どこがいいかな……ハバナとか(笑)?

ジョン:行きましょうよ! 今日はアロハを着ていらっしゃるし、僕も気分が上がってアロハを着てきました!

アルバムタイトルを『SHIMONAKA』にした理由は?

全8曲を収録した『SHIMONAKA』は、1970〜80年代に日本独自の進化を遂げたJ-フュージョン/クロスオーバーのエッセンスを継承しつつ、「あの時代が思い描いた未来」を2026年ならではの感覚で再構築した、新世代のトロピカル・インストゥルメンタル・アルバムとなっている。

ジョン:アルバムタイトルは、ご自身の名前そのものです。どんな想いがあったんですか?

下中:そもそもソロをやろうと思ったきっかけが、「下中」という名前が高中正義さんと少し響きが似ているよね、という友人との会話だったんです。だから、自分の名前をアルバムタイトルにするのは冗談みたいなものだと思っていたんですが、レーベルの方から「『SHIMONAKA』でいこう」と背中を押していただきました(笑)。

ジョン:最高です。アートワークも、かなりオマージュを感じますよね。

下中:そうですね。結果的にそうなりました(笑)。最初はスティーヴ・クロッパーというギタリストのアルバムジャケットを意識して撮ろうとしていたんですが、気付いたら今のかたちになっていました。

ジョン:続いて2ndシングルの『Coconut Groovin'』。そこから『Rainy Harbor』『Synthesized Reality』『Sucker Punch』と続き、『Aquarium Memory』『Don't Be (too) Sad』。最後は、アルバムのリードトラックとされている『Jojo's Heaven』です。この「Jojo」は何なんですか?

下中:コーラスには、高中正義さんのライブでもコーラスを担当されているAMAZONSのみなさんに参加していただきました。レコーディングもご一緒したんですが、本当に最高でした。アレンジも考えてくださって、コーラスの歌詞も付けていただいたんです。そのなかに「Jojo」という言葉が入っていて、「このまま曲名にしよう」となりました。

ジョン:まさに一期一会のクリエイティビティが詰まった1曲なんですね。リリースしたらライブで聴きたいです。

下中:やりたいですね! 夏の終わりに打ち上げのようなかたちでできたらいいなとは考えています。

下中洋介の最新情報はInstagram公式アカウント(@simon_aka_ysk)まで。

J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間のプログラム。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。

『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「MUSIC EXPLORER」では、世界の音楽シーンのムーブメントを「今」の視点で考察する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。
番組情報
MIDDAY LOUNGE
月・火・水・木曜
13:30-16:30

関連記事