『電車男』のキャラ作りで大切にしたことは?伊藤淳史「“エルメスたん”と結ばれる。あとは引き算なんです」

俳優の伊藤淳史と松下奈緒がJ-WAVEで対談。伊藤がドラマ『電車男』での役作りや、映画『ビリギャル』を通して感じた仕事の意義、さらに欠かせない仕事道具について語った。

ふたりがトークを展開したのは、8月14日(金)放送のJ-WAVE『KENEDIX CROSSROADS』(ナビゲーター:松下奈緒)。毎月ひとりのゲストを迎え、成功の背景にある「決断」「迷い」「出会い」を掘り下げながら、「人生の分岐点」について語り合う30分。音楽とともに、ライフデザインのヒントを届けていく。

番組では、毎週月曜7時に再編集版ポッドキャストを配信中。8月14日(金)にオンエアしたトーク内容(ポッドキャストのエピソード2)は以下で聴くことができる。

・ポッドキャストページ

最後は電車男を応援している自分がいた

8月のゲストとして伊藤を迎えた『KENEDIX CROSSROADS』。伊藤と松下は、現在放送中のテレビ朝日系のドラマ『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜Season2』でも共演している。

2週目となる今回は「キャリアのなかのクロスロード」をテーマに、伊藤が自身の転機として挙げた2005年放送のドラマ『電車男』(フジテレビ)について振り返った。

『電車男』は、実在するインターネット掲示板をもとに制作されたドラマ。気弱で、恋愛経験のないオタク「電車男」と、美人でお金持ちの「エルメス」と呼ばれる女性とのあいだで繰り広げられるラブストーリーだ。

松下:ドラマ観てました! 言葉が正しいかはわからないんですけど、電車男の伊藤さんが本当にいるんだと思ってました(笑)。それぐらいリアルだったし、伊藤さんってこういう人なんだろうなって。ドラマがすごく斬新だったのと、役柄が衝撃的だったのは今でも覚えてます。

伊藤:連ドラって、撮影とオンエアが同時進行じゃないですか。当時は、まだネット文化が今ほど主流じゃなかったので、テーマとしても新しかったんですよね。オタクの聖地と呼ばれている秋葉原でけっこうロケをしていたんです。そうすると自分がすごい存在になっているわけですよ。

松下:オタク界の神ですよね、電車男といえば。

伊藤:秋葉原の万世橋とかで撮影していると、すごく注目を浴びて。実際に秋葉原にいらっしゃる方々がすごく協力的で、撮影していると温かく見守ってくださったり、守ってくれたりするような空気があったんです。

当時、ネットやオタク文化の受け止め方はさまざまだったという。伊藤は、そんな時代の空気と実話をもとにした物語が重なったことで、作品が徐々に受け入れられた感覚があったと話す。

伊藤:いろんなものが流行ったり、当たり前になったりするときの最初って、いろんな意見があるじゃないですか。まさにその最初のころだった感覚が僕にもあって。そこに嘘じゃない本当の話が融合されて、観てくださる人たちが受け入れてくれた。どんどん盛り上がっていきました。

松下:最初は「そんなことあり得ないでしょ」って思う世界観なんだけど、最後は応援している自分がいましたもんね。電車男のことが好きになっちゃうんです。その感覚をドラマで味わったのが初めてだったので、すごく覚えています。あの役はどうやって作り上げていったんですか?

伊藤:まずゴールが決まっているわけなんです。伊東美咲さんが演じる超美人の“エルメスたん”と電車男が結ばれる。あとは引き算なんです。当時、僕たちが方向性として見つけたのは、いかに「こんなふたりが結ばれるわけがない」とキャラクターとしても見えるか。性格もそうですし、ある種、ドラマなので見た目の部分でも作っていきました。

松下:かなり秋葉原になじむ感じの作り方でしたよね。

伊藤:ファッションもそうでした。

松下:本当なのか嘘なのか、フィクションなのかどっちなのか、みたいなギリギリの感じが本当に面白かったです。

伊藤:台本もとても面白かったですね。

松下:モデルになる人がいるのではなく、完全にこういう人だろうなっていうところからスタートしたんですね。

伊藤:そうですね。もちろん、実話なのでそこはちゃんとリスペクトしつつ、エンターテインメントのドラマとして面白く描くことを大切にしていました。

『ビリギャル』を観て慶應へ「作品が人の力になっている」

もうひとつ、伊藤が自身の指針となった作品に挙げたのが、2015年公開の映画『ビリギャル』だ。物語は、成績学年最下位の主人公・さやかが、伊藤演じる塾講師・坪田先生に支えられ、慶應義塾大学合格という大きな目標に向かって突き進む姿を描いている。

映画『ビリギャル』予告編

伊藤:『ビリギャル』は今でもすごいんですよ。僕の娘が小学5年生なんですけど、映画が公開された2015年に生まれたんです。今、娘の同級生が授業参観とかで「『ビリギャル』観たよ!」って言ってくれるんですよ。『電車男』とか『とんねるずのみなさんのおかげです』で演じた“チビノリダー”は今なかなか観る機会がないけど、『ビリギャル』は今でも観られるから、子どもたちも観てくれていて。

伊藤は俳優という仕事について、警察官や医者などの職業と比べ、「わかりやすく誰かのためになっている」と実感しにくい部分があると考えていたという。しかし、ある男性との出会いによって、その想いが大きく変わった。

伊藤:家族でごはんを食べていたら、隣の席に親子がいたんです。ご両親が帰られて、その息子さんひとりになったときに「あの、伊藤淳史さんですよね」って声をかけられて。「今、大学1年生なんですけど、高校3年生のときに偏差値35ぐらいで『ビリギャル』を観て、慶應に入りたいと思って。それで頑張って慶應に入ったんです」って。

松下:リアル!

伊藤:すごいなと思って。作品が本当に人のためになったり、力になったりしているんだって、ここまで実感したのは初めてだったかもって。

松下:いろんなところで話題になったりっていうのはあるけど、直接「それを観て、こうなりました」っていう報告があると違いますよね。

伊藤:しかも『ビリギャル』で有村架純ちゃんが演じた女の子と同じぐらいの偏差値だった人が、本当に現役で慶應に入った。で、最初に出て行かれたご両親も戻ってこられて、「うちの息子を慶應に入れてくださりありがとうございました」って言われて(笑)。「いや、違います違います! 僕が入れたんじゃないです。ご自身の努力がすべてです」って(笑)。現実と作品が混ざっちゃったみたいな感じで。でも、そう言っていただけて本当にうれしかったです。

松下:その瞬間って「この仕事をやっていて、この役をやっていてよかった」と思えますよね。

伊藤:そういうことを感じると、「お芝居を仕事として続けていいよ」って、まわりの人に認めてもらえたような気持ちになったりするんです。

松下:それが私たちのやる気にも、やりがいにもなって、活力になりますよね。

伊藤:だから『ビリギャル』は、自分にとっての指針みたいな作品ですね。

撮影前のスイッチは「15分のひげ剃り」

番組後半では、伊藤が3つの仕事道具を紹介。最初は、手放せないというリップクリームだ。

伊藤:リップクリームがないとソワソワしちゃうんですよ。仕事のときも塗るんですけど、それ以外にも同じリップを各所に置いてるんです。どこか行っちゃったときの予備、その予備を忘れたときの予備、みたいな(笑)。

松下:私、伊藤さんと同じの使ってるんですよ。あれ、いいんですよね。メイクさんが伊藤さんに渡しているのを見て、「同じの使ってる」って思ってました。

伊藤:マジで(笑)。なんかすみません、同じリップ使っちゃって(笑)。あれ一択です。

ふたつ目は、長年使い続けているひげ剃りだ。

伊藤:男の俳優って、ほとんどの人が現場のメイク室とかでひげを剃るんですよ。でも、僕は朝起きて家で剃る。全部剃った状態でメイクから始めるのをずっとやっていて。朝、信じられないぐらいの深剃りを目指して、鏡の前で剃り続けてます(笑)。

松下:ちなみに、どれぐらいの時間ですか?

伊藤:15分ぐらい剃ってるかも。

松下:そんなにかけるものですか?

伊藤:たぶん、かけないですね。2、3分でササッとやる人が多いと思います。でも、僕は気になっちゃって。ずっと剃ってたら、時間ギリギリになっちゃったりして。しかも同じひげ剃りを何年も使ってるんです。最新のものなら15分かけなくてもきれいに剃れると思うんですけど、買い換える不安もあって。日頃から使っているものを使い続けたいんですよね。

松下:験担ぎみたいなところもあるんですか?

伊藤:あるかもしれないですね。

松下:それでスイッチが入る、みたいな。それが朝の儀式なんですね。

伊藤:それでちゃんとして、「よし!」と思わないと出発できないですね。

最後に伊藤は、台本を挙げた。

伊藤:もう、これしかないですよね。

松下:伊藤さん、絶対噛まないですもん。あのセリフの難しさをよくザザザって話せるなって。

伊藤:いないところで噛んでますから(笑)。

松下:でも、噛まないため、間違えないための努力があるわけですね。私は人の名前とか、時間、場所が入った説明ゼリフがけっこうあって、感情を入れずに、説明だけをわかりやすくとなるといちばん緊張しますね。

伊藤:だから、みんなで慰め合って励まし合っていきましょう。

松下:そう、「大丈夫、次はいける!」って。

伊藤:本当に助け合っていこう(笑)。

松下:よろしくお願いします(笑)。

伊藤淳史の最新情報はクォーター・トーンの公式サイトまで。

毎月ひとりのゲストを迎え、「人生の分岐点」について語り合うJ-WAVE『KENEDIX CROSSROADS』は毎週金曜24時30分からオンエア。伊藤は8月のゲストとして次週8月21日(金)、28日(金)にも出演する。オンエアから1週間はradikoタイムフリー機能で再生可能だ。

radikoで聴く
2026年8月21日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
KENEDIX CROSSROADS
毎週金曜
24:30-25:00

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