アニメーション映画監督の細田 守が、現在開催中の「細田守の原点/展」について語り、ものづくりで大切にしている想いを明かした。
細田が登場したのは、7月26日(日)放送のJ-WAVE『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考えるプログラムだ。
以降、『おおかみこどもの雨と雪』『未来のミライ』『竜とそばかすの姫』など数々の話題作を手がける。2025年11月には、長編アニメーション『果てしなきスカーレット』を発表した。
本番組はゲストのライフスタイルに迫る。今回は細田が、アニメーション表現の可能性、スマート家電の魅力、お気に入りのコーヒーショップについて語る場面があった。全編はSpotifyなどのポッドキャストで配信中。
この記事では、オンエア内容の一部として、展覧会「細田守の原点/展」にまつわるパートをテキストで紹介する。
・ポッドキャストページ
吉岡:私は細田 守さんの作品をずっと観ていて、『時をかける少女』が特に大好きだったんです。オーディションに呼んでいただいたんですが、11年前なので、私はまだデビューしたてで。お仕事もほとんどしていないころでした。緊張しすぎて、本当に体がおかしくなっていて。
細田:そうだったんですか。
吉岡:何がなんだかわからないような状態だったんですが、見事に落ちまして(笑)。
細田:僕もオーディションのときのことは今でも覚えています。ものすごく素敵でした。オーディションのときにもお伝えしたと思うんですけど、すごくナチュラルで自然でした。演じていただいたのは楓というキャラクターだったんですが、(主人公と)同い年だけどメンターのような存在で。そういう雰囲気をすごくよく表現してくださっていました。とても素敵だったことを覚えています。
吉岡:泣いちゃうかも……ちょっとだけ泣きますね(笑)。ラジオでこんなに気持ちがかき乱されることってないんですけども。
細田:すごく素敵で、ずっと印象に残っていますよ。今はすごく人気な女優さんになられて、あのときに「輝いているな」と思ったのは本当だったんだな、とあらためて思い出しますよ。
吉岡:恥ずかしいですね(笑)。実はこの『UR LIFESTYLE COLLEGE』も、2026年で11年目なんです。ちょうどあのオーディションのあとに番組が始まって、それこそボイストレーニングを始めたりして、この11年間が今、走馬灯のようによみがえっています。
会場では、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』の3作品をテーマにしたエリアを展開。さらに、中学3年生のころに初めて制作したアニメーションや、大学時代に描いた油絵なども展示され、細田監督の創作のルーツをたどる内容となっている。本展は大阪、福岡、富山への巡回も決定している。
吉岡:今回は細田さんご自身も、かなり深く関わってディレクションされているのでしょうか?
細田:はい。タイトルが先に決まっていまして、「展覧会をやりたいと思っています」と(先方から)言われた瞬間に、「しっかり関わって、充実したものにしなければ」と最初から思いました。『時をかける少女』や『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』を制作していた当時、何を考え、どんな想いで作っていたのか。そして、それをみなさんに観てもらって、どういうことがうれしかったのか。そういったことを展覧会として再構成する作業を、プロデューサーやディレクターの方々と一緒に進めていきました。
吉岡:準備期間も相当長かったのではないでしょうか。
細田:そうですね。子どものころや学生時代の作品が本当に残っているのか、まず探すところから始まりました。実家へ戻って探したんですが、実は父も母も亡くなっていて、今は人に貸しているんです(笑)。
吉岡:そういう状況なんですね!
細田:「すみません、ちょっと探し物をしたいです」とお願いして中に入れてもらいました(笑)。(資料が)どれくらい残っているのか自分でもわからなかったですし、保存状態も展示できるようなものなのかまったくわからないままだったんですね。だけど探してみると、幸いにも半分くらいは残っていることがわかりました。
吉岡:細田さんが時代の移り変わりをアニメで描いているというお話も印象的でした。よく考えると『時をかける少女』が20年前ですし、『サマーウォーズ』で描かれた世界も、「こんなに早く描いていたんだ」と驚かされます。今、ちょうど現実と重なってきている感じがしますよね。
細田:本当ですよね。『サマーウォーズ』は2009年の作品ですが、ハッキングAIが敵として登場し、それに田舎の親戚たちが立ち向かうという映画です。
吉岡:最高です!
細田:今、まさにAIが世界中を席巻して、僕らの生活を大きく変えようとしていますよね。たとえば、ハッキング能力に優れたAIが国家インフラの安全性を揺るがしかねない、という話も出ています。そう考えると「『サマーウォーズ』で17年ほど前に描いたじゃん」ってことを、今まさに僕らが日常として感じているわけです。そういう意味では、時間を超えたような不思議な気持ちになりますね。
吉岡:『サマーウォーズ』を作られていたころから感じていたんですが、細田さんの作品には未来的なエッセンスと、牧歌的な自然風景が共存していますよね。それは(細田の)故郷の富山が大きく影響しているのかなと思っていて。私も親戚が昔、富山に住んでいたので、あの景色の美しさはよくわかるんです。『おおかみこどもの雨と雪』には、富山の雪景色もエッセンスとして取り入れられていると伺いました。
細田:そうですね。『おおかみこどもの雨と雪』は、おおかみおとことのあいだに生まれた子どもたちを育てる、ひとりの母親の物語です。なぜこの作品を作ろうと思ったかというと、ちょうど母が亡くなったんです。それで、「子どもである自分は、母の幸せにどれだけ貢献できたんだろう」と考えざるを得なくなりました。そこで、母をモデルに映画を作ろうと思ったんです。そうすると必然的に舞台は富山、自分の生まれ故郷になりました。
荒々しく雄大な山々が連なり、厳しい自然のなかで命が育まれる土地だったことに、何十年ものときを経てようやく気づいたそう。「故郷の美しさや魅力を映画に反映できたと思います」と振り返った。
細田:ただ景色が美しいから、有名だからという理由でロケ地を選ぶのではなく、自分がそこで過ごし、そのときは気づかなかったものを、作り手としてもう一度見つめ直す。母のことを思いながら描く。そうすると、同じ風景でも全然違って見えてくるんです。そういう感覚が、作品を観てくださる方にも伝わっていくところがあったんじゃないかと思います。
吉岡:細田さんの作品は、ご自身が本当に心を動かした実感が込められているからこそ、人を感動させるのだなと、お話を聞いていて感じます。
細田:ものづくりをするときに大事なのは、自分の人生から見えているものに対して、なるべく嘘をつかずに描くことなんだと、だんだんわかってきたんです。ものづくりって、どうしても「今はこういうものが流行っている」「みんなが求めているから作ろう」というマーケティング的な考え方になりがちです。でも映画は、そうやって作ると嘘が伝わってしまう気がするんです。「本当に作りたくて作っているのかな」と、観る人にバレちゃう気がするんですよ。映画って、そのくらい気持ちと気持ち、魂と魂でコミュニケーションするものなんですよね。
「細田守の原点/展」の詳細は特設サイトまで。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
細田が登場したのは、7月26日(日)放送のJ-WAVE『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考えるプログラムだ。
『時をかける少女』の公開20周年を記念した展覧会を開催
細田 守は1967年生まれ、富山県出身。1991年に東映動画(現・東映アニメーション)へ入社し、アニメーターとしてのキャリアをスタート。2006年、劇場アニメ『時をかける少女』を発表。第30回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、第61回毎日映画コンクールアニメーション映画賞などを受賞する。以降、『おおかみこどもの雨と雪』『未来のミライ』『竜とそばかすの姫』など数々の話題作を手がける。2025年11月には、長編アニメーション『果てしなきスカーレット』を発表した。
本番組はゲストのライフスタイルに迫る。今回は細田が、アニメーション表現の可能性、スマート家電の魅力、お気に入りのコーヒーショップについて語る場面があった。全編はSpotifyなどのポッドキャストで配信中。
この記事では、オンエア内容の一部として、展覧会「細田守の原点/展」にまつわるパートをテキストで紹介する。
・ポッドキャストページ
『バケモノの子』がつないだ縁
細田と吉岡の初対面は、約11年前の『バケモノの子』のオーディションだったという。吉岡は当時を「人生で5本の指に入るくらい衝撃的でした」と振り返る。バケモノの子 予告篇
細田:そうだったんですか。
吉岡:何がなんだかわからないような状態だったんですが、見事に落ちまして(笑)。
細田:僕もオーディションのときのことは今でも覚えています。ものすごく素敵でした。オーディションのときにもお伝えしたと思うんですけど、すごくナチュラルで自然でした。演じていただいたのは楓というキャラクターだったんですが、(主人公と)同い年だけどメンターのような存在で。そういう雰囲気をすごくよく表現してくださっていました。とても素敵だったことを覚えています。
吉岡:泣いちゃうかも……ちょっとだけ泣きますね(笑)。ラジオでこんなに気持ちがかき乱されることってないんですけども。
細田:すごく素敵で、ずっと印象に残っていますよ。今はすごく人気な女優さんになられて、あのときに「輝いているな」と思ったのは本当だったんだな、とあらためて思い出しますよ。
吉岡:恥ずかしいですね(笑)。実はこの『UR LIFESTYLE COLLEGE』も、2026年で11年目なんです。ちょうどあのオーディションのあとに番組が始まって、それこそボイストレーニングを始めたりして、この11年間が今、走馬灯のようによみがえっています。
「原点」を再構成した展覧会の舞台裏
6月20日(土)から8月31日(月)まで、『時をかける少女』の公開20周年を記念した展覧会「細田守の原点/展」が東京・京橋のCREATIVE MUSEUM TOKYOで開催中。【情報解禁】
— 細田守の原点/展 (@hosodagenten_) March 18, 2026
『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』
アニメーション映画監督・細田守の過去最大規模の展覧会をこの夏開催!
『時をかける少女』20周年記念
細田守の原点/展
2026.6.20~8.31
CREATIVE MUSEUM TOKYO[東京・京橋]https://t.co/GvLo4D7HKJ#細田守展 pic.twitter.com/7T6TKTJBxt
吉岡:今回は細田さんご自身も、かなり深く関わってディレクションされているのでしょうか?
細田:はい。タイトルが先に決まっていまして、「展覧会をやりたいと思っています」と(先方から)言われた瞬間に、「しっかり関わって、充実したものにしなければ」と最初から思いました。『時をかける少女』や『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』を制作していた当時、何を考え、どんな想いで作っていたのか。そして、それをみなさんに観てもらって、どういうことがうれしかったのか。そういったことを展覧会として再構成する作業を、プロデューサーやディレクターの方々と一緒に進めていきました。
吉岡:準備期間も相当長かったのではないでしょうか。
細田:そうですね。子どものころや学生時代の作品が本当に残っているのか、まず探すところから始まりました。実家へ戻って探したんですが、実は父も母も亡くなっていて、今は人に貸しているんです(笑)。
吉岡:そういう状況なんですね!
細田:「すみません、ちょっと探し物をしたいです」とお願いして中に入れてもらいました(笑)。(資料が)どれくらい残っているのか自分でもわからなかったですし、保存状態も展示できるようなものなのかまったくわからないままだったんですね。だけど探してみると、幸いにも半分くらいは残っていることがわかりました。
時代を先取りする細田作品の魅力
6月に開催された展覧会のトークイベントでは、『おおかみこどもの雨と雪』や『竜とそばかすの姫』など、細田作品4作に出演している染谷将太が登壇し、細田と対談を行った。吉岡は、その対談で染谷が「子どものころに観た細田さんの作品と、自分に子どもが生まれてから一緒に観る作品では、全然違って見える」と語ったことを紹介し、自身の心境の変化を明かした。吉岡:細田さんが時代の移り変わりをアニメで描いているというお話も印象的でした。よく考えると『時をかける少女』が20年前ですし、『サマーウォーズ』で描かれた世界も、「こんなに早く描いていたんだ」と驚かされます。今、ちょうど現実と重なってきている感じがしますよね。
細田:本当ですよね。『サマーウォーズ』は2009年の作品ですが、ハッキングAIが敵として登場し、それに田舎の親戚たちが立ち向かうという映画です。
サマーウォーズ 予告篇
細田:今、まさにAIが世界中を席巻して、僕らの生活を大きく変えようとしていますよね。たとえば、ハッキング能力に優れたAIが国家インフラの安全性を揺るがしかねない、という話も出ています。そう考えると「『サマーウォーズ』で17年ほど前に描いたじゃん」ってことを、今まさに僕らが日常として感じているわけです。そういう意味では、時間を超えたような不思議な気持ちになりますね。
吉岡:『サマーウォーズ』を作られていたころから感じていたんですが、細田さんの作品には未来的なエッセンスと、牧歌的な自然風景が共存していますよね。それは(細田の)故郷の富山が大きく影響しているのかなと思っていて。私も親戚が昔、富山に住んでいたので、あの景色の美しさはよくわかるんです。『おおかみこどもの雨と雪』には、富山の雪景色もエッセンスとして取り入れられていると伺いました。
おおかみこどもの雨と雪 予告篇
心がけているのは「嘘をつかない映画づくり」
故郷への見方は、映画づくりを通して大きく変わったと細田は語る。子どものころは「何もない田舎だ」と思っていたという。しかし、物語を作る視点であらためて故郷を見つめ直したことで、その印象は一変する。荒々しく雄大な山々が連なり、厳しい自然のなかで命が育まれる土地だったことに、何十年ものときを経てようやく気づいたそう。「故郷の美しさや魅力を映画に反映できたと思います」と振り返った。
細田:ただ景色が美しいから、有名だからという理由でロケ地を選ぶのではなく、自分がそこで過ごし、そのときは気づかなかったものを、作り手としてもう一度見つめ直す。母のことを思いながら描く。そうすると、同じ風景でも全然違って見えてくるんです。そういう感覚が、作品を観てくださる方にも伝わっていくところがあったんじゃないかと思います。
吉岡:細田さんの作品は、ご自身が本当に心を動かした実感が込められているからこそ、人を感動させるのだなと、お話を聞いていて感じます。
細田:ものづくりをするときに大事なのは、自分の人生から見えているものに対して、なるべく嘘をつかずに描くことなんだと、だんだんわかってきたんです。ものづくりって、どうしても「今はこういうものが流行っている」「みんなが求めているから作ろう」というマーケティング的な考え方になりがちです。でも映画は、そうやって作ると嘘が伝わってしまう気がするんです。「本当に作りたくて作っているのかな」と、観る人にバレちゃう気がするんですよ。映画って、そのくらい気持ちと気持ち、魂と魂でコミュニケーションするものなんですよね。
「細田守の原点/展」の詳細は特設サイトまで。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
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2026年8月2日28時59分まで
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番組情報
- UR LIFESTYLE COLLEGE
-
毎週日曜18:00-18:54